ものづくり補助金の採択率は?データの推移から読み解く難易度や傾向

採択率

ものづくり補助金への申請を検討するにあたって、採択率などのデータを調べて難易度を確認したいと感じていませんか?

本記事では、ものづくり補助金の採択率やデータの推移から読み解く難易度や傾向などを解説します。ものづくり補助金に申請するか判断する際の参考になりますので、ぜひご覧ください。

※2024年4月時点の情報です。補助金の申請にあたっては最新の情報を調べてください。

目次
  1. 1. ものづくり補助金とは?
    1. 1-1. 基本要件
    2. 1-2. 申請枠
    3. 1-3. 補助上限額と補助率
    4. 1-4. 補助対象者
  2. 2. ものづくり補助金の採択率
    1. 2-1. ものづくり補助金の採択率は50%前後
    2. 2-2. 直近の申請枠別の採択率
    3. 2-3. 【参考】主要な補助金の採択率
  3. 3. ものづくり補助金の申請・採択データから読み取れる傾向
    1. 3-1. 申請件数が多いほど採択率は下がる
    2. 3-2. 申請額が高いほど採択率は上がる
    3. 3-3. 従業員数5人以下は採択率が低い
    4. 3-4. 加点項目が多いほど採択率は上がる
    5. 3-5. 支援者の関与が高いほど採択率は上がる
  4. 4. ものづくり補助金の申請事例
    1. 4-1. 環境制御システム導入によるミニトマトの生産性向上の事例
    2. 4-2. 独自技術を活用した試作機開発の事例
    3. 4-3. アレルギーに対応した給食用パン製造の事例
  5. 5. 【まとめ】ものづくり補助金の採択率を紹介しました

ものづくり補助金とは?

ものづくり補助金は、中小企業等による生産性向上や革新的サービスの開発、生産プロセス等の改善を行うための設備投資を支援する補助金です。申請を検討している方は、基本要件や申請枠などの基本情報を確認して理解を深めておきましょう。本記事では18次締切の公募要領をもとに紹介します。

※「基本情報は知っているのですぐに採択率を確認したい」という方は「ものづくり補助金の採択率」の項からお読みください。

基本要件

ものづくり補助金の申請者は、以下の基本要件をすべて満たす3〜5年の事業計画を策定・実行する必要があります。

  • 事業者全体の付加価値額を年平均成長率(CAGR)3%以上増加する
  • 給与支給総額を年平均成長率(CAGR)1.5%以上増加する
  • 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする

基本要件が未達の場合には、補助金の返還義務が生じる可能性があるため注意が必要です。

申請枠

ものづくり補助金では、以下の申請枠が用意されています。申請する枠によって要件や補助上限額・補助率などが異なりますので、自社が申請する場合はどの枠になりそうか確認しておきましょう。

枠・類型

概要

省力化(オーダーメイド)枠

人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した

専用設備の導入等により、革新的な生産プロセス・

サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに

必要な設備・システム投資等を支援する

製品・サービス高付加価値化枠

通常類型

革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・

システム投資等を支援する

製品・サービス高付加価値化枠

成長分野進出類型

今後成長が見込まれる分野に資する革新的な製品・

サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等

を支援する

グローバル枠

海外事業を実施し、国内の生産性を高める取組みに

必要な設備・システム投資等を支援する

出典元:「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 18次公募要領 概要版」をもとに作成

補助上限額と補助率

ものづくり補助金では、補助上限額と補助率が申請枠別に定められています。枠ごとの数値は以下の通りです。

補助上限額
※カッコ内は大幅賃上げを行う場合

補助率

省力化(オーダーメイド)枠

750万~8,000万円

(1,000万〜1億円)

中小企業:1/2

※小規模事業者または再生事業者:2/3

※補助金額1,500万円を超える部分は1/3

製品・サービス高付加価値化枠

通常類型

750万~1,250万円

(850万〜2,250万円)

中小企業:1/2

※小規模事業者または再生事業者:2/3

※新型コロナ加速化特例:2/3

製品・サービス高付加価値化枠

成長分野進出類型

1,000万~2,500万円

(1,100万〜3,500万円)

中小企業:2/3

グローバル枠

3,000万円

(3,100万円~4,000万円)

中小企業:1/2

※小規模事業者:2/3

出典元:「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版」をもとに作成

なお、補助上限額は従業員数の規模によっても異なります。詳細は最新の公募要領をご確認ください。

補助対象者

ものづくり補助金の補助対象者は、要件を満たす中小企業者や小規模事業者などです。

中小企業者とは、資本金または常勤従業員数が下表の数字以下となる会社または個人を指します。

業種

資本金

常勤従業員数

製造業、建設業、運輸業、旅行業

3億円

300人

卸売業

1億円

100人

サービス業(※1)

5,000万円

100人

小売業

5,000万円

50人

ゴム製品製造業(※2)

3億円

900人

ソフトウェア業又は情報処理サービス業

3億円

300人

旅館業

5,000万円

200人

その他の業種(上記以外)

3億円

300人

出典元:「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版」をもとに作成

※1 ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く

※2 自動車または航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く

小規模事業者の定義は、常勤従業員数が下表の数字となる者です。

業種

常勤従業員数

製造業その他

20人以下の会社及び個人事業主

商業・サービス業

5人以下の会社及び個人事業主

サービス業のうち宿泊業・娯楽業

20人以下の会社及び個人事業主

出典元:「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版」をもとに作成

また、工場や店舗など、補助事業の実施場所を有していることも条件のため押さえておきましょう。補助事業の実施場所とは、補助対象経費となる機械装置等を設置する場所、または管理を行う場所を指します。

ものづくり補助金の採択率

過去のデータをもとにものづくり補助金の採択率を紹介します。採択率を知っておくことでものづくり補助金の難易度が掴めるため、確認しておきましょう。

ものづくり補助金の採択率は50%前後

ものづくり補助金の採択率は、過去のデータを参考にすると50%前後が目安といえます。12次締切から16次締切の採択率をまとめると、以下の通りです。

締切

申請者数

採択者数

採択率

12次

3,256

1,907

58.6%

13次

3,322

1,927

58.0%

14次

4,865

2,470

50.7%

15次

5,694

2,861

50.2%

16次

5,608

2,738

48.8%

出典元:「ものづくり補助金公式サイト 採択結果」をもとに作成

13次締切までは60%前後で推移している時期もありましたが、直近3回の採択率は50%前後で推移しています。

直近の申請枠別の採択率

16次締切の申請枠別の採択率をまとめると、以下の通りです。

申請枠

申請者数

採択者数

採択率

通常枠

3,846

1,967

51.1%

回復型賃上げ・雇用拡大枠

177

80

45.2%

デジタル枠

1,209

561

46.4%

グリーン枠

199

78

39.2%

グローバル市場開拓枠

177

52

29.4%

出典元:「ものづくり補助金公式サイト 採択結果」をもとに作成

通常枠とグローバル市場開拓枠では採択率に20%以上の違いがあるなど、枠によって難易度(採択率)に差があることがわかります。

【参考】主要な補助金の採択率

ものづくり補助金の採択率だけを見ても、難易度が掴みづらいと思った方もいるかもしれません。参考に、ものづくり補助金以外の主要な補助金の直近3回の採択率についても紹介しておきます。

補助金の種類

公募回

採択率

事業再構築補助金

第9回

26.5%

第10回

48.1%

第11回

45.5%

IT導入補助金

8次締切

76.9%

9次締切

75.5%

10次締切

75.6%

小規模事業者持続化補助金

第12回

55.6%

第13回

57.0%

第14回

62.5%

上記の表の通り、補助金の種類や公募回によって採択率は異なります。なお、ものづくり補助金の16次締切の採択率は48.8%。2人に1人は不採択になると考えると、簡単とはいえないでしょう。

ものづくり補助金の申請・採択データから読み取れる傾向

ものづくり補助金の採択率は?データの推移から読み解く難易度や傾向_6

続いて、ものづくり補助金の公式サイトで公開されている「データポータル」の内容を参考に、申請・採択データから読み取れる傾向を解説します。あくまでデータから読み取れる傾向のため、参考情報としてご覧ください。

申請件数が多いほど採択率は下がる

ものづくり補助金の採択率は?データの推移から読み解く難易度や傾向_3

画像引用元:ものづくり補助金総合サイト「データポータル」

上の図はデータポータルから引用した申請件数と採択率の推移を示すデータです。ものづくり補助金の採択率は、申請件数が多いほど下がる傾向にあるといえるでしょう。具体的には、申請件数が10,312件と高い数値となった4次締切の採択率は、例年より低い30.8%でした。反対に、申請数が2,287件と低い数値である1次締切では、採択率は62.5%と高くなっています。

申請額が高いほど採択率は上がる

ものづくり補助金の採択率は?データの推移から読み解く難易度や傾向_7

画像引用元:ものづくり補助金総合サイト「データポータル」

上の図は補助金の申請額と採択率の関係を示すデータです。データから、申請額が高いほど採択率が上がる傾向にあることが読み取れます。実際に、申請額が250万円以下の採択率は33.6%なのに対して、申請額が750万円を超える場合の採択率は50%以上という結果です。

従業員数5人以下は採択率が低い

ものづくり補助金の採択率は?データの推移から読み解く難易度や傾向_9

画像引用元:ものづくり補助金総合サイト「データポータル」

上の図は申請者の従業員数の規模と採択率の関係を示すデータです。データを見ると、従業員数が5人以下の申請者は採択率が低い傾向にあることがわかります。6人以上の規模では、従業員数と採択率の関係に大きな変化は見られませんでした。

加点項目が多いほど採択率は上がる

ものづくり補助金の採択率は?データの推移から読み解く難易度や傾向_5

画像引用元:ものづくり補助金総合サイト「データポータル」

上の図は加点項目の数と採択率の関係を示すデータです。ものづくり補助金では、公募要領にて定められている加点項目を満たすことで加点が行われます。加点項目が多いほど、採択率は上がる傾向にあるといえるでしょう。たとえば、加点項目が0個の場合の採択率が33.4%に対して、4個の場合は60.4%と数値が高くなっています。

支援者の関与が高いほど採択率は上がる

ものづくり補助金の採択率は?データの推移から読み解く難易度や傾向_1

画像引用元:ものづくり補助金総合サイト「データポータル」

上の図は支援者の関与(補助金に対する報酬の比率)と採択率の関係を示すデータです。
支援者の関与が高いほど採択率が上がる傾向が見受けられます。たとえば支援なしの場合の採択率が34.1%に対して、支援ありの場合は報酬なしであっても採択率は47.2%と高い数値です。

ものづくり補助金の申請事例

続いて、補助金の申請事例を3つ紹介します。事業計画書作成における話もあわせて紹介しますので、申請のイメージや難易度を掴むための参考としてください。

環境制御システム導入によるミニトマトの生産性向上の事例

ものづくり補助金の採択率は?データの推移から読み解く難易度や傾向_2

画像引用元:中小企業庁 ミラサポplus「補助金の申請事例・ものづくり補助金1」

静岡県にある松下農園は、質の高いミニトマトをつくるためにハウスの環境制御設備の導入が必要と考え、ものづくり補助金を申請することに決めました。

事業計画書の作成においては支援者からのアドバイスもあり、自園のこだわりとビジョンを明確にし、他の事業者との違いが伝わるように工夫したといいます。また、事業の課題を明らかにするとともに、客観的な数値で解決策を提示しました。将来の展望においても、客観的なデータや具体的な目標値を示しました。

結果、ものづくり補助金を活用して、環境制御システムの設置を実現。稼働してから品質・生産量が向上しました。また、ものづくり補助金の申請を進める上で、課題意識を高めるきっかけにもなったそうです。

参考元:中小企業庁 ミラサポplus「補助金の申請事例・ものづくり補助金1」

独自技術を活用した試作機開発の事例

ものづくり補助金の採択率は?データの推移から読み解く難易度や傾向_4

画像引用元:西光エンジニアリング株式会社

続いて、マイクロ波減圧乾燥技術をコアテクノロジーとするベンチャー企業、西光エンジニアリング株式会社における事例です。同社は、植物由来の素材「CNF」を濃縮する独自技術を活かした装置の開発をするために、ものづくり補助金を申請することにしました。

事業計画書の作成においては、CNFという専門性・新規性の高い技術を分かりやすく説明するように工夫したといいます。また、表などを用いて推奨されているページ内でコンパクトにまとめることも心がけました。将来の展望の欄では「具体的なターゲット顧客」の項目を設けて「想定顧客との現時点の商談状況」を記載。

結果、量産用CNF濃縮装置の試作機が完成。商談が成立し、正式契約にもつながりました。

参考元:中小企業庁 ミラサポplus「補助金の申請事例・ものづくり補助金2」

アレルギーに対応した給食用パン製造の事例

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画像引用元:福田製パン

最後に、磐田市内の学校や福祉施設、企業等にパンを製造販売している福田製パン合資会社の事例を紹介します。同社では、アレルギーに対応した美味しいパンの製造が求められている背景や、生産性向上が課題となっていることから、新しい設備の導入を検討していました。

事業計画書の作成では、審査項目の「政策面」を意識して、学校給食の地域貢献面を記載。また、現状の課題を補助事業でどのように解決していくのかを対応させて記述しました。さらに、事業効果とガイドラインの関連性を示し、具体的な数値で事業目標を記載することにも注力したそうです。

ものづくり補助金によって強加熱の新型オーブンを設置してからは、1回に焼き上げる量が従来の1.5倍に、また焼き上げ時間も20分から15分へと短縮しました。温度管理の精度が高まったことでふっくら焼きあがるアレルギー対応パンの製造も実現し、幼稚園・保育園からの注文が増えたそうです。

参考元:中小企業庁 ミラサポplus「補助金の申請事例・ものづくり補助金3」

【まとめ】ものづくり補助金の採択率を紹介しました

ものづくり補助金の採択率やデータの推移から読み解く難易度や傾向などを解説しました。

  • ものづくり補助金の採択率は50%前後が目安
  • 申請枠によっても難易度(採択率)に差がある
  • 申請件数が多いほど採択率は下がる傾向にある
  • 申請額・加点項目・支援者の関与が多いほど採択率は上がる傾向にある
  • 従業員数5人以下は採択率が低い傾向にある

ものづくり補助金に申請するか検討する際に、ぜひ本記事の内容をお役立てください。