中小企業基盤整備機構が実施している助成金制度を一気見!事例も合わせてご紹介

中小企業基盤整備機構が実施している助成金制度を一気見!事例も合わせてご紹介

企業経営の強い味方になってくれる助成金ですが、種類が多くて選べないという事業者も多いのではないでしょうか。この記事では中小企業基盤整備機構が実施している助成金制度について解説します。IT導入から事業承継まで幅広い種類の助成金がありますのでぜひチェックしてみてください。

目次
  1. 1. 中小企業基盤整備機構が実施している助成金
    1. 1-1. 中小企業基盤整備機構とは
    2. 1-2. ものづくり補助金
    3. 1-3. IT導入補助金
    4. 1-4. 小規模事業者持続化補助金
    5. 1-5. 事業承継・引継ぎ補助金
    6. 1-6. 事業再構築補助金
  2. 2. 中小企業基盤整備機構が実施している融資制度
  3. 3. 中小企業基盤整備機構のその他のサービス
    1. 3-1. 中小機構経営相談
    2. 3-2. 海外展開ハンズオン支援
    3. 3-3. IT経営簡易診断
    4. 3-4. よろず支援拠点による相談受付
    5. 3-5. 認定経営革新等支援機関による事業支援
    6. 3-6. ハンズオン支援(専門家派遣)
  4. 4. 助成金を活用した事例紹介
  5. 5. J-Net21を利用すれば助成金が簡単に検索できる
  6. 6. 中小企業基盤整備機構を利用して経営課題の解決に取り組もう

中小企業基盤整備機構が実施している助成金

中小企業基盤整備機構が実施している助成金

中小企業基盤整備機構の役割や実施している助成金について解説していきます。

中小企業基盤整備機構とは

中小企業基盤整備機構とは国の中小企業政策の実務機関です。2004年に設立され日本の中小企業の経営を支援するため全国9か所の地域本部を持ち、9つの中小企業大学校、29の施設を運営しています。経営相談や専門家の派遣など事業者に役立つ活動を中心に、共済金の貸し付けや補助金の交付も行っています。

ものづくり補助金

事業環境の変化への対応や生産性の向上を目的とした事業に対し、資金面での支援を目的とした補助金です。5つの申請類型が設定されており、種類ごとに上限金額や補助率が違っています。さらに企業の規模によって金額や補助率が変わります。

申請類型

補助対象経費

補助率

補助上限額

通常枠

機械装置

システム構築費

技術導入費

専門家経費

運搬費

クラウドサービス利用費

原材料費

外注費

知的財産権等関連経費

(グローバル市場開拓枠のみ)

海外旅費

通訳・翻訳費

広告宣伝・販売促進費

1/2、2/3

(小規模・

再生事業者)

従業員5人以下:750万円

6〜20人:1,000万円

21人以上. :1,250万円

回復型賃上げ

雇用拡大枠

(賃上げ、雇用拡大に

取り組む事業者が対象)

2/3

デジタル枠

(DXをはじめとする

デジタル技術を活用した

事業者が対象)

グリーン枠

(温室効果ガスの

排出削減に役立つ

事業者が対象)

エントリー

従業員5人以下:750万円

6〜20人:1,000万円

21人以上 :1,250万円

スタンダード

従業員5人以下:1,000万円

6〜20人:1,500万円

21人以上 :2,000万円

アドバンス

従業員5人以下:2,000万円

6〜20人:3,000万円

21人以上 :4,000万円

グローバル市場開拓枠

(海外事業の拡大、

強化等を目的とした

事業者が対象)

1/2、2/3

(小規模・

再⽣事業者)

3,000万円

 

申請から交付の流れ

ものづくり補助金の申請の流れは以下の通りです。

  1. 事業者が必要に応じて認定経営革新等支援機関の補助を受けて申請書の準備を行う。
  2. 「GビズID」というシステムから申請を行う。
  3. 事務局により審査が行われ採択通知が発送される。
  4. 採択を受けた事業者が交付申請を行う。
  5. 交付決定後、事業を実施し事務局に事業報告を行う。
  6. 補助金が交付される。
  7. 事業者は継続して5年間事業報告を行う。

申請類型や要件など、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

関連記事:ものづくり補助金の内容を解説!対象となる事業者の要件と金額とは

IT導入補助金

中小企業や小規模事業者がITツールの導入を行う際に経費の一部を補助するものです。

申請枠は3つに分かれており、補助対象や補助金額に違いがあります。

申請枠

補助対象経費

補助率

上限額

通常枠

A類型

ソフトウェア購入費・

クラウド利用料・導入関連費

1/2

150万円

B類型

450万円

セキュリティ対策推進枠

(ITセキュリティ強化に

関する経費が対象)

サービス利用料

1/2

100万円

デジタル化基盤導入枠

(企業間取引における

デジタル化に関する経費が対象)

ソフトウェア購入費・

クラウド利用料・導入関連費

2/3~3/4

350万円

PC・タブレット・プリンター・

スキャナー・複合機・レジ・券売機

1/2

20万円

申請から交付の流れ

IT導入補助金の申請の流れは以下の通りです。

  1. 事業者がIT導入支援事業者・ITツールの選定をする。
  2. 事業者とIT導入支援事業者が共同で「GビズID」から交付申請を行う。
  3. ITツールの発注・契約・支払いを行う。
  4. 事務局へ事業実績を報告する。
  5. 補助金が交付される。
  6. 事務局へ事業実施効果報告を行う。

※「IT導入登録事業者」とは事務局に採択されてITツールの提案や手続きのサポートを行う事業者のことです。

交付決定の通知が届く前に、ITツールの発注や支払いを行うと交付を受けることができなくなるので注意しましょう。

くわしい内容は以下を参考にしてみてください。

関連記事:IT導入補助金2023 申請・手続きフロー

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が賃上げ、インボイス制度などの制度変更に対応できるように事業の経費の一部を負担してくれる補助金です。補助対象事業は、商工会・商工会議所の支援を受けたものであることが要件です。

5つの申請類型が設定されており、種類ごとに上限金額や補助率が違っています。

補助金の上限金額と補助率

種類ごとの上限金額と補助率は以下の通りです。

申請類型

補助対象経費

補助率

補助上限額

通常枠

機械装置等費、広報費、

ウェブサイト関連費、

展示会等出展費、旅費、

開発費、資料購入費、

雑役務費、借料、設備処分費、

委託・外注費

2/3

50万円

賃金引上げ枠

(最低賃金引き上げに

取り組む事業者が対象)

2/3、赤字事業者は4/3

200万円

卒業枠

(事業拡大に

取り組む事業者が対象)

2/3

後継者支援枠

(事業承継に

取り組む事業者が対象)

創業枠

(開業する事業者が対象)

各類型に対し、インボイスに登録した事業者にはインボイス特例として上限額50万円が上乗せされます。

申請から交付の流れ

小規模事業者持続化給付金の申請は以下の通りです。

  1. 事業者が事業計画書を作成する。
  2. 商工会・商工会議所に事業支援計画書の交付を依頼する。
  3. 事務局へ郵送もしくは「GビズID」から申請する。
  4. 交付が決定し事業者へ通知される。
  5. 事業を開始する。
  6. 事業者が実績報告書を提出する。
  7. 補助金が交付される。
  8. 状況報告書を事務局へ提出する。

くわしい手続き方法は以下を参考にしてみてください。
関連記事:小規模事業者持続化補助金<一般型> 第 12 回公募 公募要領
関連記事:小規模事業者持続化補助金の採択率は?直近の実績と確認方法

事業承継・引継ぎ補助金

事業の引継ぎや企業合併、買収後の設備投資や販路開拓に関わる費用を一部負担してくれる補助金
です。

新事業の立ち上げに伴う廃業の費用も補助対象となっており、事業によって3つに種類に分かれています。

事業の種類

補助対象

補助上限額

補助率

経営革新事業

新事業の費用

600万円・800万円

2/3又は1/2

専門家活用事業

事業に係る専門家への費用

600万円

2/3又は1/2

廃業・再チャレンジ事業

既存事業の廃業費用

150万円

2/3又は1/2

※経営革新事業においては、一定の賃上げを行った場合補助上限額が800万円に引き上げられます。

申請から交付の流れ

事業承継・引継ぎ補助金の申請の流れは以下の通りです。

  1. 事業者は金融機関や商工会などの認定支援機関に相談する。
  2. 認定支援機関の支援を受けて「GビズID」から交付申請を行う。
  3. 事務局により交付が決定する。
  4. 事業者は事業を実施する。
  5. 事務局へ実績を報告し補助金の請求を行う。
  6. 補助金が交付される。
  7. 事務局へ引き続き事業報告を行う。

くわしい手続き方法は以下を参考にしてみてください。
関連記事:事業承継・引継ぎ補助金

事業再構築補助金

新型コロナウィルスの影響に対して中小企業等の事業再構築を支援するための補助金です。事業展開や新分野への挑戦を行う企業が対象です。対象となる事業者の状況によって6つの類型に分かれています。

類型

補助対象経費

補助率

補助上限額

最低賃金枠

(最低賃金引上げの

影響を受けた事業者が対象)

建物費、機械装置・

システム構築費

(リース料を含む)、

技術導入費、専門家経費、

運搬費、外注費、

クラウドサービス利用費、

知的財産権等関連経費、

広告宣伝・販売促進費、

研修費、廃業費

(産業構造転換枠のみ)

3/4

最大1,500万円

物価高騰対策・回復再生応援枠

(売り上げが減少した

事業者が対象)

2/3

(一部3/4)

最大3,000万円

産業構造転換枠

(国内市場の縮小による

影響を受けた事業者が対象)

 

2/3

最大7,000万円

成長枠

(事業成長を目指す

事業者が対象)

 

1/2

(大規模な賃上げ

達成で2/3へ引上げ)

・給与支給総額

   +6%以上

・事業場内最低賃金

   +45円

最大7,000万円

グリーン成長枠

(環境に配慮した

取り組みをする

事業者が対象)

エントリー

 

最大8,000万円

(中堅1億円)

スタンダード

 

1億円

(中堅1.5億円)

サプライチェーン強靱化枠

(地域産業活性化への

取り組みをする事業者が対象)

建物費、

機械装置

システム構築費

1/2

最大5億円

くわしい類型の内容や要件については以下を参考にしてみてください。
関連記事:必須申請要件

申請から交付の流れ

事業再構築補助金の申請の流れは以下の通りです。

  1. 事業者が必要に応じて認定経営革新等支援機関の補助を受けて申請書の準備を行う。
  2. 「GビズID」から申請を行う。
  3. 事務局により審査が行われ採択通知が発送される。
  4. 採択を受けた事業者が交付申請を行う。
  5. 交付決定後、事業を実施し事務局に事業報告を行う。
  6. 補助金が交付される。
  7. 事業者は継続して5年間事業報告を行う。

くわしい手続き方法は以下を参考にしてみてください。
関連記事:事業再構築補助金の概要 (中小企業等事業再構築促進事業)
関連記事:事業再構築補助金の認定支援機関とは?役割と選び方も紹介

中小企業基盤整備機構が実施している融資制度

中小企業基盤整備機構には経営者向けの融資制度と起業家向けの融資制度が用意されています。

それぞれについて解説していきます

経営者向けの融資制度

経営者向けの融資制度は以下の通りです。

  • 新型コロナウイルス感染症特別利子補給事業
  • 小規模企業共済制度の特例措置(※令和4年9月30日で受付停止)

新型コロナウイルス感染症特別利子補給事業は日本政策金融公庫、日本政策投資銀行などからの借入れに対し最長3年間分の利子相当額を助成する制度です。「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「危機対応業務」等の借入れを行った方のうち一定の要件を満たす必要があります。

小規模企業共済制度の特例措置は新型コロナウイルスにより業績が悪化した事業者に対して、以下の条件で貸し付けを行う制度です。(※令和4年9月30日をもって新規受付を停止しています)

  • 借入額:50万円~2,000万円(掛金納付月数に応じて、掛金の7割~9割)
  • 借入期間:借入額が500万円以下の場合は4年、借入額が505万円以上の場合は6年(いずれも据置期間1年を含む)
  • 利率:0%(無利子)
  • 返済方法:据置後、6か月毎の元金均等払い

起業家向けの融資制度

起業家向けの融資制度は以下の通りです。

  • 創業転業時・新規事業展開等貸付け
  • 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

創業転業時・新規事業展開等貸付けは事業者が中小企業基盤整備機構に対して共済契約を結ぶことを条件に起業した際、事業資金を低金利で借入れできる制度です。

地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)は中小企業基盤整備機構と都道府県、金融機関等が設立したファンドの運用益により事業者を支援する事業です。中小企業と農林漁業者が共同で行う商品開発・販路開拓の取り組みなどが対象です。

中小企業基盤整備機構のその他のサービス

中小企業基盤整備機構のその他のサービス

中小機構経営相談

生産性向上をはじめ経営に関する様々な相談に専門家が無料で回答してくれるサービスです。事務所における対面型やWEB会議システムを活用したオンライン型などの相談方法が利用できます。

海外展開ハンズオン支援

経営の専門家が海外への事業展開について相談を行ってくれるサービスです。現地へ同行し、商談の支援や調査のフォロー等を行い、訪問アポイントメント取得のサポートなどを実施してくれます。現地での車両や通訳の手配は中小基盤整備機構が行い、費用も負担してくれます。

IT経営簡易診断

IT経営簡易診断はITの活用可能性や生産性向上を目指したい中小企業者に対して専門家が無料で相談に乗ってくれるサービスです。主に顧客対応、営業支援業務、総務、会計、人事、労務、在庫、物流等の業務に関する相談に対応しています。

よろず支援拠点による相談受付

よろず支援拠点は全国47都道府県に設置された、経営に関するあらゆる相談が可能な相談窓口
です。

無料で何度も相談ができるため、小さな悩みでも気軽に相談することが可能です。

認定経営革新等支援機関による事業支援

認定経営革新等支援機関は中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う、国から専門的知識や実務経験が一定レベル以上と認められた個人や団体のことです。経営課題の相談や事業計画策定に向けた支援を中心に行っています。

ハンズオン支援(専門家派遣)

経営の専門家を派遣してもらい様々な経営課題の解決をサポートしてもらえるサービスです。

関連記事:ハンズオン支援(専門家派遣)

助成金を活用した事例紹介

助成金を利用して生産性が向上した事例を3つ紹介します。

ものづくり補助金で設備を導入し海外事業を成功

氷の卸業を営む「クラモト氷業」では補助金で自動計量器を導入しました。

クラモト氷業は、海外向けの商品のためにカットした氷を袋詰めにした商品を企画していました。しかし、国内向けの氷のカットサイズとアメリカ向けの氷のカットサイズが大きく変わったため、袋詰めの計量が従来の方法ではうまくいかないという課題を抱えていました。手作業で対応するしか解決策はなく、作業時間がかかるため製造工程におけるロスになっていました。

そこで、問題の解決のためにものづくり補助金で自動計量器を導入し、作業時間を20%短縮することに成功したのです。アメリカ向け輸出は順調に拡大し続け、会社全体で30%以上の増収を得るまでに成長しました。

小規模事業者持続化補助金で広告による販路拡大に挑戦

コーヒー豆店を営む「ましろ」ではコロナ禍による来店客の減少により全体的な売り上げの低下を受けて、小規模事業者持続化補助金を利用した宣伝活動に取り組みました。具体的には、SNS広告、チラシの作成を行い、その結果、継続的な広告宣伝が行えるようになりました。

IT導入補助金を活用してセルフレジを導入

お弁当屋と仕出し屋をチェーン展開する「杏亭グループ」ではコロナ禍により、仕出し弁当の売上が激減しました。代わりにテイクアウトの弁当の売り上げが増加しましたが、慢性的な人員不足によりレジ前に顧客が並んでしまう事態に。そこで、IT導入補助金を活用してセルフレジを導入し業務効率化を図りました。

タッチパネル型レジシステムを導入し、会計の人員を減らして調理に回すことで提供スピードをアップさせることに成功。さらに、会計ミスを防ぎ、画面にサイドメニューが表示され販促効果が高まり、客単価が増える結果になりました。

J-Net21を利用すれば助成金が簡単に検索できる

J-Net21は国や都道府県、中小企業支援機関など、助成金情報を効率的に検索できるデータベース
です。

キーワードや地域別だけではなく事業の課題別からも検索できるようになっています。事業に合った助成金の検索に活用ください。

関連記事:支援情報ヘッドライン

中小企業基盤整備機構を利用して経営課題の解決に取り組もう

中小企業基盤整備機構を利用すれば、経営の相談や補助金を活用した事業の立ち上げが可能です。どのように活用するべきかわからない場合は、よろず支援拠点をはじめとする相談窓口を利用するとスムーズに問題の解決に取り掛かれます。経営課題に悩む事業者の方は、この記事を参考にしてみてください。