美容室が申請できる補助金・助成金の種類と申請方法まとめ

美容室が申請できる補助金・助成金の種類と申請方法まとめ

美容室・サロンを開業したいと考えていても高額な費用が必要だとお悩みではありませんか?

両立支援等助成金やキャリアアップ助成金、小規模事業者持続化補助金など美容室が申請できる様々な助成金・補助金があります。

制度を利用すると美容室・サロンを開業しやすくなるでしょう。この記事では、美容室におすすめの補助金・助成金や補助金・助成金の申請方法について解説

最後まで読めば、美容室開業での助成金に関する知識を蓄え、申し込みを検討できます。

目次
  1. 1. 補助金と助成金、融資の違い
  2. 2. 補助金と助成金のメリット・デメリット
    1. 2-1. メリット
    2. 2-2. デメリット
  3. 3. 美容室におすすめの補助金・助成金
    1. 3-1. 小規模事業者持続化補助金(一般型)
    2. 3-2. 両立支援等助成金
    3. 3-3. キャリアアップ助成金
    4. 3-4. IT導入補助金
    5. 3-5. 人材開発支援助成金
  4. 4. 補助金・助成金の申請方法
    1. 4-1. 小規模事業者持続化補助金(一般型)
    2. 4-2. 両立支援等助成金
    3. 4-3. キャリアアップ助成金
    4. 4-4. IT導入補助金
    5. 4-5. 人材開発支援助成金
  5. 5. 美容室が申請できる補助金・助成金の種類と申請方法を解説しました

補助金と助成金、融資の違い

助成金と補助金、融資の違いは以下の通りです。

項目

助成金

補助金

融資

支払い機関

厚生労働省・地方自治体

経済産業省・

地方自治体

銀行・日本政策金融公庫・地方自治体

支払い

後払い

後払い

即支払い

返済

不要

不要

必要

採択率

高い

低い

 

利息

なし

なし

あり

使途

自由ではない

自由ではない

自由

補助金と助成金のメリット・デメリット

補助金と助成金のメリット・デメリットについて解説します。

メリット

補助金と助成金のメリットは以下の通りです。

項目

内容

雑所得扱い

  • ・雑収入扱いのため青色申告で有利になる

 →最大10万円、または65万円の青色申告特別控除ができる

返済不要

  • ・融資と異なり返済が不要である

  • ・財政的負担を軽減できる

繰り返し受給できるものがあること

  • ・開業後も補助金や助成金の申請が可能

デメリット

補助金と助成金のデメリットは以下の通りです。

項目

内容

廃止が難しい

  • ・廃止すると労働者にとって不利な環境になるため廃止は難しい

要件・期限が厳しい

  • ・特に補助金は要件が厳しく審査で落ちる場合がある

  • ・助成金が通年で募集している一方で補助金は期限が短い

  • ・申請書類の提出期限や審査期間に余裕を持って準備する必要がある

受給までに時間がかかる

  • ・受給までに時間がかかるため立て替えが必要になる

  • ・使った経費が全額支給されるわけではない場合がある

一定のコストがかかる

  • ・就業規則や労使協定を提出する必要があり、コストがかかる

  • ・書類が複雑なため専門業者に依頼する場合はコストがかかる

関連記事:助成金・補助金のおすすめ相談先については、「助成金・補助金のおすすめ相談先を解説!選び方や費用感も解説します」をあわせてご覧ください。

美容室におすすめの補助金・助成金

美容室におすすめの補助金・助成金

美容室におすすめの補助金・助成金について紹介します。

小規模事業者持続化補助金(一般型)

小規模事業者持続化補助金の特徴は以下の通りです。いずれか1つの枠のみで申請ができます。要件を満たしても補助されるわけではなく、審査により評価の高い順に採択者が決まる仕組みです。

項目

内容

目的

  • ・小規模事業者が持続的な経営に向けた経営計画を作成し、

  •  販路開拓や生産性向上の取組をする場合に支援

申請の種類

  • ・通常枠

  • ・賃金引上げ枠

  • ・後継者支援枠

  • ・創業枠

補助率

  • ・補助率:2/3

  • ・補助上限:50万円

両立支援等助成金

人材開発支援助成金の特徴は以下の通りです。

項目

内容

目的

  • ・職業生活と家庭生活が両立できる「職場環境づくり」のため

概要

  • ・出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金):男性が育児休業を取得

  • ・介護離職防止支援コース:労働者が介護休業を取得

  • ・育児休業等支援コース:労働者が育児休業を取得

補助率

  • ・出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金):20万円(第1種)

  • ・介護離職防止支援コース:30万円(A介護休業)

  • ・育児休業等支援コース:30万円

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金の特徴は以下の通りです。

項目

内容

目的

非正規雇用労働者のキャリアアップを促進するため

概要

  • ・正社員化コース:非正規雇用労働者の正社員化

  • ・賃金規定等改定コース:非正規雇用労働者の賃金規定等を改定し3%以上増額

助成額

正社員化コース

  • ・中小企業:

    •   ・有期雇用労働者:57万円

    •   ・無期雇用労働者:28万5,000円

  • ・大企業:

    •   ・有期雇用労働者:42万7,500円

    •   ・無期雇用労働者:21万3,750円

賃金規定等改定コース

※3%以上5%未満の場合

  • ・中小企業:5万円

  • ・大企業:3万3,000円

令和5年度より、令和5年度以降に人材開発支援助成金とキャリアアップ助成金(正社員化コース)の措置を実施する場合、キャリアアップ助成金(正社員化コース)のキャリアアップ計画書の提出が不要になりました。

キャリアアップ助成金

画像引用:厚生労働省「キャリアアップ助成金パンフレット」

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツール導入に活用できるものです。補助金の特徴は以下の通り。

項目

内容

目的

  • ・通常枠(A・B類型):業務効率化・売上アップなど経営力の向上・強化

  • ・セキュリティ対策推進枠:サイバー攻撃によるリスクや生産性向上を阻害するリスクの低減

  • ・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型):企業間取引のデジタル化を推進

補助率

  • ・通常枠(A・B類型):1/2以内

  • ・セキュリティ対策推進枠:1/2以内

  • ・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型):3/4以内(50万円以下)

上限枠・下限枠

  • ・通常枠:

    •   ・A類型:5万円~150万円未満

    •   ・B類型:150万円~450万円以下

  • ・セキュリティ対策推進枠:5万円~100万円

  • ・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型):50万円超~350万円

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金の特徴は以下の通りです。2023年4月1日から特定訓練コース・一般訓練コース・特別育成訓練コースは人材育成支援コースに統合されました。

項目

内容

目的

  • ・労働者の職業生活設計の全期間を通じて職業能力開発を効果的に促進するため

概要

  • ・労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得を

 させるための職業訓練等を計画に沿って実施

助成率

  • ・人材育成訓練:

    •   ・雇用保険被保険者:45%(30%)

  •   ・有期契約労働者:60%

  •   ・有期契約労働者を正規雇用労働者へ転換: 70%

  • ・認定実習併用職業訓練:45%(30%)

  • ・有期実習型訓練:

    •   ・有期契約労働者:60%

  •   ・有期契約労働者を正規雇用労働者へ転換: 70%

( )内は大企業の金額

関連記事:起業・開業資金に使える助成金については、「起業・開業資金に使える助成金の種類や申請方法・注意点を解説」をあわせてご覧ください。

補助金・助成金の申請方法

補助金・助成金の申請方法

補助金・助成金の申請方法について解説します。

小規模事業者持続化補助金(一般型)

小規模事業者持続化補助金(一般型)

画像引用:小規模事業者持続化補助金ガイドブック

(1)申請の準備をして手続き
請書類に不備があった場合、不採択となるため注意が必要です。電子申請または郵送で提出。

主な提出書類は以下の通りです。

  • 小規模事業者持続化補助金事業の申請書
  • 経営計画書兼補助事業計画書
  • 補助事業計画書
  • 事業支援計画書
  • 補助金交付申請書
  • 宣誓・同意書
  • 電子媒体
  • 貸借対照表および損益計算書など

(2)審査
要件を満たす全ての方が採択となるわけではなく、評価の高い案件から順に採択されます

(3)採択・交付決定後に補助事業の実施
採択されたら事業計画に沿って事業を実施します。

(4)実績報告書の提出
補助事業終了後から1カ月後又は最終提出期限の早い日までに実績報告書を提出します。

(5)確定検査・補助金額の確定後、補助金を請求・入金
補助金額の確定後、補助金を請求すると入金されます。

(6)事業効果報告
補助事業の完了から1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」を提出します。

両立支援等助成金

両立支援等助成金

画像引用:厚生労働省「両立支援助成金 支給申請の手引き」

両立支援助成金 支給申請の手引き

画像引用:厚生労働省「両立支援助成金 支給申請の手引き」

本記事では、育児休業等支援コース(職場復帰時)について解説します。育児休業等支援コース(職場復帰時)で必要な書類を労働局に提出。必要な書類と要件は以下の通りです。

項目

内容

要件

  • ・子の看護休暇制度がある中小企業

  • ・就業規則に規定する育児休業を1か月以上取得した労働者を、育児休業から職場復帰させた中小企業

  • ・対象労働者は雇用保険被保険者

  • ・育児休業終了後、申請日まで雇用保険被保険者として半年以上継続雇用

  • ・保育サービスの費用の一部を補助するための制度を整備

  • ・「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」(内閣府)を不受給など

必要書類

  • ・支給申請書

  • ・支給要件確認申立書

  • ・面談シート

  • ・ 休業中の育児休業取得者に提供した業務内容に関する資料

  • ・対象労働者の出勤簿

  • ・労働協約、就業規則、労使協定

  • ・一般事業主行動計画策定届

  • ・育児短時間勤務の申出書など

(2)支給決定等の通知
採択になった場合、「両立支援等助成金支給決定通知書」が送られてきます。支給要件を満たしていなかったことが支給後に判明した場合、助成金の支給決定は取り消され、返還しなくてはなりません。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金

画像引用:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

(1)キャリアアップ計画書を提出する
まず、「キャリアアップ計画書」の作成が必要。キャリアアップ計画書とは、キャリアアップを計画的に進めるため、今後の取り組みを以下のように記載したものです。

  • 対象者
  • 目標
  • 期間
  • 事業主が行う取り組み

最寄りの労働局に提出し、認定後、直接雇用を実施する前日までに提出します。

キャリアアップ助成金の申請期間は以下の通りです。

  • 正規雇用転換日:キャリアアップ計画期間内
  • 申請期間:正規雇用転換後半年分の賃金支払日翌日から2か月以内

申請書類は以下の通り。

項目

書類

申請書類

・キャリアアップ助成金支給申請書

・正社員化コース内訳

・正社員化コース対象労働者詳細4

・支給要件確認申立書

・支払方法・受取人住所届

添付書類

・管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書(写)

・転換前後の就業規則または労働協約等(写)

・対象労働者の転換前後の雇用契約書または労働条件通知書等(写)

・対象労働者の転換前後の賃金台帳等(写)及び賃金3%以上増額に係る計算書

・対象労働者の転換前後の出勤簿またはタイムカード等(写)

(2)就業規則を改訂して正社員へ転換する
最寄りの労働基準監督署に改定後の就業規則の届け出が必要です。転換制度を規定している場合でも、以下の規定は必須です。

  • 試験等の手続き
  • 対象者の要件
  • 転換実施時期

雇用契約書や労働条件通知書を対象労働者に渡し、労働条件・待遇の変更も必要です。

(3)転換後賃金支払いを実施し助成金の支給申請を行う
転換後半年間の賃金を転換前半年間の賃金と比べて3%以上の増額が必要。3%以上増額にならない場合、不支給となってしまいます。

転換後半年分の賃金(残業代等を含む)を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請する必要があります。審査に通過すると受給可能です。

IT導入補助金

IT導入補助金

画像引用:IT導入補助金2023

(1)IT導入支援事業者とITツールの選択
IT導入支援事業者とITツールを選定します。

(2)必要な作業
以下のように必要な作業をします。

  • gBizIDプライムアカウントの取得
  • 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言
  • 「みらデジ」の「経営チェック」の実施

(3)事業計画を策定し提出
IT導入支援事業者との間で商談をし、交付申請の事業計画を策定後、事務局へ提出します。

(4)補助事業の実施後、事業実績報告
事務局から「交付決定」を受けた後に、ITツールの発注・契約・支払いをします。証拠書類を用意し、事務局に事業実績報告を提出。

(5)補助金交付手続き後に事業実施効果報告の提出
補助金額が確定すると交付されます。事業実施効果報告を提出。

関連記事:IT導入補助金とは?対象者や補助額、申請方法を解説【注意点も】

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金

画像引用:厚生労働省「令和5年度版パンフレット(人材育成支援コース)詳細版(R5.4.1~)」

(1)訓練計画の提出
訓練開始日の1か月前までに「職業訓練実施計画届」と必要な書類を各都道府県労働局へ提出します。必要書類は以下の通りです。

  • 職業訓練実施計画届
  • 職業訓練実施計画変更届
  • 支給申請書
  • 賃金要件・資格等手当要件を満たした場合の追加支給申請
  • 訓練別の対象者一覧
  • 人材開発支援助成金事前確認書
  • 事業所確認票など

(2)訓練の実施
企業内におけるOJTと教育訓練機関等で行われるOFF-JTを受講します。

(3)支給申請書の提出
訓練終了日の翌日から2か月以内に、支給申請書と必要書類を最寄りの労働局に提出する必要があります。

(4)助成金の支給決定または不支給決定
審査の上、支給・不支給が決定されます。

関連記事:従業員の育児休業に使える助成金については、「従業員の育児休業に使える助成金とは?概要や支給額、支給要件を解説」をあわせてご覧ください。

美容室が申請できる補助金・助成金の種類と申請方法を解説しました

美容室・サロンの開業を考えている方向けに、美容室におすすめの補助金・助成金や補助金・助成金の申請方法などを解説しました。

美容室におすすめの補助金・助成金は以下の通りです。

  • 小規模事業者持続化補助金(一般型)
  • 両立支援等助成金
  • キャリアアップ助成金
  • IT導入補助金
  • 人材開発支援助成金

本記事で紹介した内容をもとに、適切な制度の申請を検討してみましょう。