事業再構築補助金の認定支援機関とは?役割と選び方も紹介

事業再構築補助金の認定支援機関とは?役割と選び方も紹介

事業再構築補助金の認定支援機関選びにお悩みではないでしょうか?

この記事では認定支援機関が対応してくれる内容や選び方、採択事例までを解説します。自社の事業に合った認定支援機関を見つけ、新たな事業に取り組むために参考にしてもらえればと思います。

目次
  1. 1. 事業再構築補助金の認定支援機関とは
  2. 2. 認定支援機関に相談できる内容
    1. 2-1. 補助金申請
    2. 2-2. 経営改善計画策定の支援
    3. 2-3. 資金調達
    4. 2-4. 税制優遇制度の活用
  3. 3. 認定支援機関の選び方
    1. 3-1. 採択実績を確認する
    2. 3-2. 認定支援機関の報酬相場を確認する
  4. 4. 認定支援機関の利用の流れ
  5. 5. 各補助金申請に必要な要件
    1. 5-1. 事業再構築補助金
    2. 5-2. ものづくり補助金
    3. 5-3. 事業承継・引継ぎ補助金
  6. 6. 採択事例
    1. 6-1. 洋菓子店から地域の特産品を販売するマルシェ事業に進出
    2. 6-2. 非対面販売と集客機能を併せ持つスマート自販機を開発
    3. 6-3. 極小ロットで受注販売までを提供するOEM事業を立ち上げ
  7. 7. まとめ

事業再構築補助金の認定支援機関とは

事業再構築補助金の認定支援機関に登録できるのは以下の組織です。

  • 税理士
  • 税理士法人
  • 公認会計士
  • 中小企業診断士
  • 商工会・商工会議所
  • 金融機関

正式な名称は「認定経営革新等支援機関」とされており、一定レベル以上の中小企業支援の知識や実務経験を持ったものとして、国から認定された機関です。

認定支援機関に相談できる内容

認定支援機関に相談できる内容

それぞれについて解説していきます。

補助金申請

認定支援機関では以下の補助金申請が可能です。

  • 事業再構築補助金
  • ものづくり補助金
  • 事業承継・引継ぎ補助金

いずれも中小企業の経営に役立つ補助金であり、事業再構築補助金と事業承継・引継ぎ補助金においては認定支援機関による確認が必須となっています。

経営改善計画策定の支援

財務上の問題を抱えた中小企業や小規模事業者が、金融機関から融資を受ける際に必要な経営改善計画策定に関する支援を受けられます。

この支援は「経営改善計画策定支援事業」の一環として行われており、依頼費用の一部を国が負担する仕組みです。

資金調達

認定支援機関を介することで「日本政策金融公庫」と「信用保証協会」の2つから優遇金利での資金調達が可能です。

それぞれ以下のメリットがあります。

名称

内容

日本政策金融公庫

保証人、担保不要

信用保証協会

金融機関に保証を依頼するための保証料の減免

税制優遇制度の活用

認定支援機関でサポートを受けることで、以下の税制優遇制度が利用できます。

名称

内容

先端設備等導入計画

条件を満たした中小企業に対し固定資産税が優遇される

事業承継税制

事業承継で支払う相続税や、贈与税の猶予

認定支援機関の選び方

認定支援機関の選び方

それぞれについて紹介していきます。

採択実績を確認する

官公庁のサイトを検索して、採択実績を確認すると応募する業種に適した認定支援機関を見つけやすくなります。

下記に紹介するサイトでは、地域ごとに採択結果がKWや業種別などで検索できるので、応募する業種がどのような認定機関を介して採択されているのかわかります。

認定支援機関選びの参考になるので、利用してみてください。

関連記事:認定経営革新等支援機関検索システム

認定支援機関の報酬相場を確認する

令和4年4月に事務局より発表された「事業再構築補助金(第1回〜第4回公募)認定経営革新等支援機関の報酬」にて認定支援機関報酬額が公開されています。

「報酬なしが全体の65.8%」を占めており、報酬ありの場合「補助金の2.5%〜15%」が一般的となっています。

主に無料で行っているのは商工会議所であり、あまり費用をかけたくない場合は商工会に依頼するのがいいでしょう。

認定支援機関によって報酬に違いがあるため、依頼する機関へ問い合わせてみてください。

関連記事:事業再構築補助金(第1回~第4回公募)認定経営革新等支援機関の報酬

認定支援機関の利用の流れ

認定支援機関を利用する流れは以下です。

  1. 企業が経営課題の解決のため事業を計画する
  2. 認定経営革新等支援機関検索システムで支援機関を選ぶ
  3. 認定支援機関と相談を行う
  4. 事業計画を実行し課題を解決する
  5. 継続して事業の報告を行う

補助金が交付された後、事業の報告を継続して5年行う必要があります。

報告書の作成のサポートを行ってくれるか、あらかじめ確認してくことが重要です。

各補助金申請に必要な要件

認定支援機関で申請が可能なそれぞれの補助金について、申請に必要な要件を解説します。

事業再構築補助金

付加価値額を向上させること

補助事業の目標として、営業利益、人件費、減価償却費を足した付加価値額を向上させることが定められています。

具体的な数値目標は以下です。

  • 補助事業終了後3〜5年で付加価値額を年率平均3.0〜5.0%以上増加
  • 従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0〜5.0%増加

いずれかを達成して、補助事業の成果を示すことが義務となっています。

ものづくり補助金

ものづくり補助金

申請時に創業していること

補助金申請時に法人として会社を設立しているか、開業届を出している必要があります。

また補助事業を実行するための工場や店舗が建設済みであることも必須条件です。

企業の規模が一定以下であること

資本金または従業員数が下記以下の企業または個人であることが条件となっています。

業種

資本金

常勤従業員数

製造業、建設業、運輸業、旅行業

3億円

300人

卸売業

1億円

100人

サービス業

(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)

5,000万円

100人

小売業

5,000万円

50人

ゴム製品製造業

(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業

並びに工業用ベルト製造業を除く)

3億円

900人

ソフトウェア業又は情報処理サービス業

3億円

300人

旅館業

5,000万円

200人

その他の業種(上記以外)

3億円

300人

表にある常勤従業員には正社員、アルバイト、パート、契約社員が当てはまります。役員や日雇い労働者は当てはまりません。

賃金引上げ計画を実行すること

以下の内容の賃金引上げ計画を定め、実行する必要があります。

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加する。
  • 事業計画期間において、補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金を、地域別最低賃金+30円以上の水準とする。
  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加する。

補助金の交付後の事業報告の際に報告計画が達成されていないことが発覚した場合、返還を求められてしまいます。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金

補助対象者の11要件を満たす

補助対象者は以下の11の要件を満たす必要があります。

  1. 日本国内で事業を営む者であること。
  2. 地域経済に貢献している中小企業者等であり、地域経済に貢献している中小企業者等であること。
  3. 補助対象者又はその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力でないこと。
  4. 法令順守上の問題を抱えている中小企業者等でないこと。
  5. 事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に対応すること。
  6. 事務局が補助金の交付申請ほか各種事務局による承認及び結果通知に係る事項につき修正を加えて通知することに同意すること。
  7. 補助金の返還等の事由が発生した際、いかなる事由においても事務局が負担しないことについて同意すること。
  8. 経済産業省及び独立行政法人中小企業基盤整備機構から補助金指定停止措置又は指名停止措置が講じられていないこと。
  9. 補助対象事業に係る全ての情報について、匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること。
  10. 事務局が求める補助事業に係る調査やアンケート等に協力できること。
  11. 以下のいずれかに該当すること
  • 中小企業基本法等の小規模企業者
  • 直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者
  • 新型コロナウイルス感染症拡大以前と比べて売上高が減少している者
  • 中小企業活性化協議会からの支援を受けており、公募申請時において以下のいずれかに該当することを証明する書類を提出する者
    ・再生計画等を「策定中」の者
    ・再生計画等を「策定済」かつ公募終了日から遡って3 年以内に再生計画等が成立等した 
       者

関連記事:https://jsh.go.jp/r3h/business-innovation/requirements/

企業の事業規模が一定以下

対象となる事業者の事業規模は以下です。

業種

資本金の額又は出資の総額

従業員数

製造業その他

3億円以下

300人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

小売業

5千万円以下

50人以下

サービス業

5千万円以下

100人以下

引継ぎの要件を満たす

補助対象事業期間完了日までに、中小企業者等間における事業を被承継者と承継者の間で引き継ぎを行うこと。

公募要領の「6.2.事業承継形態に係る区分整理」で定める形態が対象です。

詳しい事業承継の形態については以下を参照してください。

関連記事:https://jsh.go.jp/r3h/assets/pdf/requirements_business.pdf

採択事例

採択事例

事業計画の参考のために採択事例を3つ紹介します。

洋菓子店から地域の特産品を販売するマルシェ事業に進出

食料品小売業の「有限会社コート・ダジュール」では生産者と消費者が交流、販売できるマルシェ(フランスの朝市)事業に取り組みました。

プロジェクターで映像を流して産地を実際に訪問しているかのような演出や、画像認識で素早い会計ができるAIレジを導入。

サイトでの商品予約とも連動させて、顧客の待ち時間の削減を目指しました。

非対面販売と集客機能を併せ持つスマート自販機を開発

モバイル端末向けのデジタルマーケティングを行っている「株式会社アドインテ」では、通信端末の「AIBeacon」と広告ディスプレイを搭載したスマート自販機「AIICO」を開発。

非接触での商品販売と集客、人流計測ができる機能で、広告料収入を自販機設置場所のオーナーに手数料として還元。

「PR・集客・収益」という3つの機会を、自販機1台で創出するシステムを構築しました。

極小ロットで受注販売までを提供するOEM事業を立ち上げ

食料品製造業・飲食店を行っている「合同会社ナチュール青森」では、地産品を利用したレトルト食品事業への進出を行いました。

レトルトパウチや冷凍、焼き菓子といった、導入した設備を活用して保存食品を50個という小ロットから受託できるOEM生産システムを構築

さらに商品企画から販路開拓、販売までを請け負い、地域活性化を目指しました。

まとめ

中小企業や小規模事業者が利用できる事業再構築補助金には、認定支援機関が必須です。

事業計画書や事業の報告書の作成のサポートや資金調達まで行ってくれるため、応募する事業者にとっては心強い存在です。

採択を受けるためには、応募する業種に合った実績のある認定機関を選ぶことが重要です。

この記事で紹介した認定支援機関の選び方を参考にすると、事業に合った認定支援機関がスムーズに見つかります。

事業再生構築補助金への応募を考えている事業者の方は、ぜひ参考にしてみてください。