無担保融資とは?担保付き融資との違い、代表的な無担保融資制度を解説

無担保融資とは?担保付き融資との違い、代表的な無担保融資制度を解説

担保はないけど資金調達をしたいとお悩みですか?無担保融資は、担保がない事業者でも利用できる融資制度です。しかし、無担保融資は本当に使える制度なのか不安を覚える方もいるでしょう。

本記事を読めば無担保融資のメリット・デメリットと、いますぐ使える融資制度を検討できるようになります。ぜひご活用ください。

目次
  1. 1. 無担保融資とは
    1. 1-1. 無担保融資の種類と特徴
  2. 2. 無担保融資・担保付き融資のメリットとデメリットを比較
    1. 2-1. 無担保融資のメリット・デメリット
    2. 2-2. 担保付き融資のメリット・デメリット
  3. 3. 代表的な無担保融資制度
    1. 3-1. 日本政策金融公庫:新創業融資制度
    2. 3-2. 日本政策金融公庫:挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)
    3. 3-3. 日本政策金融公庫:担保を不要とする融資
    4. 3-4. 日本政策金融公庫:マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
    5. 3-5. 日本政策金融公庫:生活衛生改善貸付
    6. 3-6. 三井住友銀行:中小企業向け融資ビジネスセレクトローン
    7. 3-7. 関西みらい銀行:新型長期無担保融資
    8. 3-8. 横浜銀行:クラウド会計ソフトfreee提携〈はまぎん〉スーパービジネスローン
    9. 3-9. 広島県:広島県無担保スピード保証融資
  4. 4. 無担保融資のメリット・デメリットや代表的な制度を紹介しました

無担保融資とは

無担保融資では、債権や不動産などの担保を設定せずに融資します。通常、融資には返済が困難になった場合のために担保を設定しておきます。そうしないと、金融機関は資金を回収できないからです。

日本政策金融公庫や信用保証協会は、無担保融資を展開している代表的な金融機関。では、なぜ無担保融資をしてくれるのでしょうか。

無担保融資には「プロパー融資」と「信用保証協会付融資」の2種類があります。

プロパー融資とは、借り主の収入や返済履歴などに問題がないかを適切に審査して貸し付ける方法。借り主が無理なく返済できると見積もっているからこそ無担保でも融資できるというわけです。ちなみに日本政策金融公庫はプロパー融資を採用しています。

一方で、信用保証協会付融資は、返済が困難になった場合は信用保証協会が保証(返済を建て替え払い)する融資。個人向けカードローンや、企業相手の融資でも利用されています。

無担保融資の種類と特徴

無担保融資にはどのような種類があるのでしょうか。下記に種類とメリット・デメリットをまとめました。

種類

メリット

デメリット

カードローン

限度額以内であれば

必要なときに借り入れ可能

金利が高い

キャッシング

ATMなどから

手軽に借り入れができる

まとまった金額の融資は

期待できない

フリーローン

金利は比較的低め

審査に時間がかかる

目的別ローン

金利が低い

使途証明書の提出が必要

カードローン

カードローンは、金融機関や消費者金融で提供されているローンで、借入限度額の範囲内であれば利用目的を問わず自由に借り入れできます。

カードローンのメリットは、審査にさえ通って借り入れ用のカードを持っていれば、限度額以内であれば必要なときに借り入れができる点。また、返済プランを自分で設定できるため、長期返済で月々の返済額を抑えることも可能です。

デメリットは、金利が高く、計画的に利用しないと返済額が膨らんでしまう点。限度額は返済能力に応じて設定されるため、希望する限度額をもらえない可能性もあります。

キャッシング

キャッシングはクレジットカードに付いているキャッシング枠で借り入れするサービスATMなどから手軽に借り入れできる手軽さがメリットです。キャッシング枠は、クレジットカードの作成時に申し込めば利用可能。いざというときに借りられる手段として有効です。

カードローンに比べると借入限度額は少額に設定されているため、まとまった金額の融資は期待できないのがデメリットといえます。ほかにも、カードローンと同様に金利が高いため、長期返済には向いていません。

フリーローン

フリーローンは、銀行で取り扱っている無担保ローンです。銀行によっては「多目的ローン」と呼ばれることも。

フリーローンの特徴として、借り入れの際に資金の使用目的を申告しなくてはいけない点が挙げられます。たとえば、新規事業立ち上げのためまとまったお金が必要になった、など、目的を伝えれば借り入れが可能です。申請した目的にしか利用できない代わり、金利は比較的低めというメリットがあります。

一方で、カードローンのように何度も借り直すことができません。再度、借り入れをする場合は申し込み直す必要があります。また、審査に時間がかかる点もデメリットです。

目的別ローン

金融機関が貸し出す条件として融資資金の利用目的を限定したローンのこと。法人の場合、相続・事業継承向けローンや、不動産担保ローンなどが挙げられます。

用途を限定しているため低金利なのがメリットで、金利はフリーローンよりもさらに低い傾向があります。デメリットとしては、目的外のことに資金を使わせないために使途証明書の提出が義務付けられているケースもあり、ルールが厳しい点が挙げられます。

無担保融資・担保付き融資のメリットとデメリットを比較

 

種類

メリット

デメリット

無担保融資

・担保がなくても借りられる

・返済計画を柔軟に変更できる

・金利が高い

・審査は厳しい

担保付き融資

・金利が高い

・高額融資が期待できる

・担保を失うリスクがある

・手続きが煩雑

無担保融資のメリット・デメリット

無担保融資のメリットは、担保がなくても保証人を立てずに気軽に申し込みができる点です。また、返済計画を柔軟に変更できるため、そのときの財政状況にあわせて返済できる自由度の高さが魅力

一方で、無担保融資のデメリットは、担保付き融資と比べると金利が高く設定されている点でしょう。担保を設定しない代わりに審査はしっかり行われるため、返済能力に疑問符がつくと融資を受けられないか、希望限度額をもらえない可能性があります。

無担保融資が向いている事業者

無担保融資の利用が向いている事業者は以下のとおりです。

  • 担保を持たない小規模事業者担保を持たず事業規模が小さい事業者は、どうしても資金が必要なときに無担保融資が利用可能です。

  • 魅力的な事業を展開する新規事業者新規事業者は、まだ担保を提供するほどの資産を持っていないことがほとんど。しかし、魅力的な事業を展開し、事業計画書で担当者を納得させられれば融資が期待できます。

  • 少額で借り入れたい事業者無担保融資は数千万円~1億円程度が融資限度額のものがほとんどです。数億円とはいわなくても、少額を借り入れたいのであれば無担保融資がおすすめできます。

担保付き融資のメリット・デメリット

担保付き融資のメリットは、担保を提供することで融資リスクが下がり金利も低くなる点。同時に融資限度額も高く設定可能になります。ほかにも、担保があれば審査がスムーズに進みやすくなるため、資金調達がしやすくなります。

デメリットとしては、担保にする資産を保有していなければ融資を受けられないという点でしょう。また、担保にするときには鑑定評価や登記などの手続きが必要です。そして何より、担保を失うかもしれないというリスクがあります。

担保付き融資が向いている事業者

担保付き融資の利用が向いている事業者は以下のとおりです。

  • 早く融資を受けたい事業者不動産や債権を担保として提供できると、審査で有利です。審査結果も早く出てまとまった資金調達ができるのでおすすめ。いますぐに資金調達をしたい場合には担保付き融資のほうが効果的でしょう。

  • なるべく低金利で借り入れたい事業者担保付き融資は無担保融資と比べて低金利で借り入れできます。そのため、返済総額を抑えたい事業者に向いています。

代表的な無担保融資制度

金融機関

制度・サービス名

融資限度額

返済期間

金利

日本政策金融公庫

新創業融資制度

3,000万円

(うち運転資金

1,500万円)

定められた

返済期間以内

0.87~3.30%

日本政策金融公庫

挑戦支援資本強化

特別貸付

(資本性ローン)

7,200万円

5年1ヶ月以上

20年以内

0.50~4.65%

(毎年の業績に応じて

変動)

日本政策金融公庫

担保を

不要とする融資

4,800万円

定められた

返済期間以内

0.57~3.00%

日本政策金融公庫

マル経融資

(小規模事業者

経営改善資金)

2,000万円

運転資金 7年以内

設備資金 10年以内

1.12%

日本政策金融公庫

生活衛生改善貸付

2,000万円

運転資金 7年以内

設備資金 10年以内

1.12%

三井住友銀行

中小企業向け

融資ビジネス

セレクトローン

1億円

7年

2.125%~

関西みらい銀行

新型長期

無担保融資

8,000万円

7年

審査結果に応じて

金利を決定

横浜銀行

クラウド会計ソフト

freee提携

〈はまぎん〉

スーパービジネスローン

5,000万円

5年

固定金利:年2.50%~

変動金利:年2.70%~

広島県

広島県無担保スピード

保証融資

3,000万円

10年

4.0%以下

日本政策金融公庫:新創業融資制度

日本政策金融公庫

資金用途

新たに事業を始めるため、

または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金

融資限度額

3,000万円(うち運転資金1,500万円)

返済期間

定められた返済期間以内

金利

0.87~3.30%(2023年5月現在)

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告が2期を終えていない企業が対象の無担保融資です。

日本政策金融公庫:挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)

日本政策金融公庫

資金用途

新規開業資金

新事業活動促進資金

海外展開・事業再編資金

事業承継・集約・活性化支援資金

企業再建資金

融資限度額

7,200万円

返済期間

5年1ヶ月以上20年以内

金利

0.50~4.65%(毎年の業績に応じて変動)(2023年5月現在)

スタートアップや新事業展開・海外展開などに取り組む財務体質強化や、金融機関からの資金調達の円滑化を支援する制度です。

日本政策金融公庫:担保を不要とする融資

日本政策金融公庫

資金用途

指定なし

融資限度額

4,800万円

返済期間

定められた返済期間以内

金利

0.57~3.00%(2023年5月現在)

税務申告を2期以上行っている方を対象に、無担保で融資する制度。法人の場合は無担保で保証人は代表者、個人の場合は無担保・無保証人で融資を受けられます。

日本政策金融公庫:マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

日本政策金融公庫

資金用途

運転資金、設備資金

融資限度額

2,000万円

返済期間

運転資金:7年以内(据置期間1年以内)

設備資金:10年以内(据置期間2年以内)

※据置期間とは返済が猶予される期間のこと

金利

1.12%(2023年5月現在)

商工会議所や商工会などの経営指導を受けていて、新型コロナウイルス感染症の影響で業績が悪化している小規模事業者の商工業者が利用できる制度です。

日本政策金融公庫:生活衛生改善貸付

日本政策金融公庫

資金用途

運転資金、設備資金

融資限度額

2,000万円

返済期間

運転資金:7年以内(据置期間1年以内)

設備資金:10年以内(据置期間2年以内)

※据置期間とは返済が猶予される期間のこと

金利

1.12%(2023年5月現在)

商工会議所や商工会などから経営指導を受けている小規模事業者の方が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる制度です。

三井住友銀行:中小企業向け融資ビジネスセレクトローン

三井住友銀行

資金用途

運転資金、設備資金(決算・賞与資金も可)

融資限度額

1億円

返済期間

7年(据置期間の設定も可)

金利

2.125%~

1億円までを無担保・無保証人で借り入れられる金融サービス。業歴が2年以上、債務超過していないことを条件に借り入れられます。

関西みらい銀行:新型長期無担保融資

関西みらい銀行

資金用途

事業資金

融資限度額

8,000万円

返済期間

7年

金利

審査結果に応じて金利を決定

大阪信用保証協会と連携した法人向けスピード審査商品で、8,000万円までの融資を無担保・無保証人で借り入れられる金融サービス。法人の場合は代表が保証人になる必要があります。

横浜銀行:クラウド会計ソフトfreee提携〈はまぎん〉スーパービジネスローン

横浜銀行

資金用途

運転資金、設備資金

融資限度額

5,000万円

返済期間

5年

金利

固定金利:年2.50%~

変動金利:年2.70%~

「クラウド会計ソフトfreee」を利用する事業者を対象としており、インターネットから仮審査を受けて最短当日で結果がわかる金融サービス。売上高10億円以下の中小企業であることが条件です。

広島県:広島県無担保スピード保証融資

広島県

資金用途

運転資金、設備資金

融資限度額

3,000万円

返済期間

10年(据置期間6ヶ月)

金利

4.0%以下

広島県が同県信用保証協会、各取扱金融機関などと連携して提供する制度です。一括払または分割払での返済が可能で、分割払いの場合は6ヶ月の据置期間を設定可能です。

無担保融資のメリット・デメリットや代表的な制度を紹介しました

本記事では、無担保融資のメリット・デメリットや代表的な制度について紹介しました。

担保がない事業者にとって、無担保融資は資金調達の有効な手段といえます。1億円未満の融資であれば、無担保でも借り入れられますので、本記事で紹介した制度やサービスから検討してみてはいかがでしょうか。