法人がもらえる補助金・助成金12選!概要や支給額、支給条件をまとめて紹介

法人がもらえる補助金・助成金12選!概要や支給額、支給条件をまとめて紹介

法人が利用できる補助金や助成金はたくさんあります。しかし、自社にとって利用できる制度はわかりにくいのが実情です。本記事では、補助金と助成金の違いと、利用できる代表的な補助金・助成金について紹介します。最後まで読むことで、自社で活用できる補助金・助成金が理解できるようになるでしょう。ぜひご活用ください。

目次
  1. 1. 補助金と助成金の違い
  2. 2. 事業の拡大・再建・引継ぎに活用できる補助金5選
    1. 2-1. ものづくり補助金
    2. 2-2. 小規模事業者持続化補助金
    3. 2-3. 事業再構築補助金
    4. 2-4. IT導入補助金
    5. 2-5. 事業承継・引継ぎ補助金
  3. 3. 労働環境・雇用環境改善に活用できる助成金7選
    1. 3-1. キャリアアップ助成金
    2. 3-2. 業務改善助成金
    3. 3-3. 人材確保等支援助成金
    4. 3-4. 働き方改革推進支援助成金
    5. 3-5. 人材開発支援助成金
    6. 3-6. 両立支援等助成金
    7. 3-7. トライアル雇用助成金
  4. 4. 補助金・助成金の基礎知識や法人がもらえる補助金・助成金について紹介しました

補助金と助成金の違い

 

補助金

助成金

管轄

経済産業省

厚生労働省

支援範囲

事業拡大、設備投資など

雇用促進、職場改善など

受給額

高額(数千万~数億)

少額(数万~数百万)

受給難易度

高い

低い

返済義務

なし

なし

公募期間

年に1〜2回

通年

補助金と助成金は、事業資金の負担を国や地方自治体から支援してもらえるという点で大きな違いはありません。両方とも返済義務がない点も共通しています。

では、なぜ補助金と助成金は呼び方が異なるのかというと、主催している省庁が異なるためです。補助金は主に経済産業省が管轄し、助成金は厚生労働省が管轄します

また、補助金は事業拡大、設備投資などの事業開発を支援するのに対し、助成金は雇用促進や職場改善などの社内制度への取り組みを支援します。

特徴的なのは、補助金は高額な受給額であるがゆえに審査が厳しく年に2回程度しか申請できません。一方で、助成金は受給額が少額な代わりに条件さえ満たせば誰でも受給でき、申請も通年で受け付けています。

事業の拡大・再建・引継ぎに活用できる補助金5選

事業の拡大・再建・引継ぎに活用できる補助金は主に以下の5つ。各補助金の条件や支給額をそれぞれ詳しく紹介します。

制度

概要

支給額

ものづくり補助金

中小企業・小規模事業などを対象に、

製造業における技術革新や生産性向上を促すための制度

100万~1,250万円

小規模事業者

持続化補助金

物価高騰、賃上げ、インボイス制度の

導入などの制度変更に対応するため、

販路開拓などの経費の一部を補助する制度

50万~200万円

事業再構築補助金

コロナの影響で厳しい状況にある

中小企業の事業再構築を支援し、

日本経済の構造転換を促すことを目的とした制度

1,500万~5億円

IT導入補助金

企業の課題やニーズに合った

ITツールの導入を支援するための制度

5万~450万円

事業承継・引継ぎ

補助金

事業再編、事業統合を含む事業承継に

必要な経費の一部を補助する制度

100万~800万円

ものづくり補助金

概要

中小企業・小規模事業などを対象に、

製造業における技術革新や生産性向上を促すための制度

支給対象

中小企業者(組合関連以外)

中小企業者(組合・法人関連)

特定事業者、特定非営利活動法人

社会福祉法人

支給額

(補助率)

100万円~1,250万円(中小1/2、小規模2/3)

対象となる

経費

機械装置・システム構築費

技術導入費

専門家経費

運搬費

クラウドサービス利用費

原材料費

外注費

知的財産権等関連経費

海外旅費

通訳・翻訳費

広告宣伝・販売促進費

申請期間

15次締切:2023年7月28日 17時まで

中小企業や小規模事業者の生産性を向上させるための設備投資を支援する補助金です。本補助金には5つの枠があり、目的に応じた枠を選択する必要があります。

  • 通常枠
  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠
  • デジタル枠
  • グリーン枠
  • グローバル市場開拓枠

詳しくは下記記事を参考にしてください。

関連記事:ものづくり補助金の内容を解説!対象となる事業者の要件と金額とは

小規模事業者持続化補助金

概要

物価高騰、賃上げ、インボイス制度の導入などの制度変更に対応するため、

販路開拓などの経費の一部を補助する制度

支給対象

小規模事業者、特定非営利活動法人

支給額

(補助率)

50万円~200万円(2/3※賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4)

対象となる

経費

機械装置等費

広報費

ウェブサイト関連費

展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)

旅費

開発費

資料購入費

雑役務費

借料

設備処分費

委託・外注費 

申請期間

第12回:2023年6月1日、第13回:2023年9月7日

小規模事業者や特定非営利活動法人が制度変更(物価高騰、賃上げ、インボイス制度の導入など)に対応するため、販路開拓などの経費の一部を補助する制度です。

詳しくは下記記事を参考にしてください。

関連記事:小規模事業者持続化補助金とは?種類や補助率、対象者について解説

事業再構築補助金

概要

コロナの影響で厳しい状況にある中小企業の事業再構築を支援し、

日本経済の構造転換を促すことを目的とした制度

支給対象

中小企業、中堅企業

支給額

(補助率)

1,500万円~5億円(1/2~3/4)

対象となる

経費

建物費

機械装置・システム構築費

クラウドサービス利用費

運搬費

技術導入費

知的財産権等関連経費

外注費

専門家経費

広告宣伝費・販売促進費

研修費

申請期間

第10回:2023年6月30日 18時まで

コロナの影響で業績が悪化した中小企業の事業再構築を支援することを目的とした制度。事業者は事業再構築指針に沿った事業計画を作成し、認定経営革新等支援機関から認定を受ける必要があります。本補助金には5つの枠があり、多様な目的で利用できるように設計されています。

  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠
  • 産業構造転換枠 成長枠
  • グリーン成長枠
  • サプライチェーン強靱化枠

詳しくは下記記事を参考にしてください。

関連記事:事業再構築補助金とは?第10回の概要・補助額・申請手順をわかりやすく解説

IT導入補助金

概要

企業の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援するための制度

支給対象

中小企業、小規模事業者

支給額

(補助率)

5万円~450万円(1/2~3/4)

対象となる

経費

ソフトウェア購入費

クラウド利用料

導入関連費

※デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は上記に加え

ハードウェア購入費が対象

申請期間

2023年6月2日 17時まで

中小企業、小規模事業者などが課題やニーズに合ったitツールの導入を支援するための制度です。本補助金には2つのコースがありましたが、2023年度からはセキュリティ対策推進枠が新しく追加され合計3つになりました。

  • 通常枠
  • デジタル化基盤導入枠
  • セキュリティ対策推進枠

詳しくは下記記事を参考にしてください。

関連記事:IT導入補助金とは?対象者や補助額、申請方法を解説【注意点も】

事業承継・引継ぎ補助金

概要

事業再編、事業統合を含む事業承継に必要な経費の一部を補助する制度

支給対象

経営革新等を行う中小企業、小規模事業者

支給額

(補助率)

100万円~800万円(1/2~2/3)

対象となる

経費

以下の条件をすべて満たす経費

  1. 1.使用目的が補助対象事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
  2. 2.補助事業期間内に契約・発注を行い支払った経費
    (原則として、被承継者が取り扱った経費は対象外)
  3. 3.補助事業期間終了後の実績報告で提出する証拠書類等によって
     金額・支払い等が確認できる経費

申請期間

5次:2023年5月12日 17時まで

経営革新等を行う中小企業、小規模事業者が、事業再編、事業統合を含む事業承継に必要な経費の一部を補助する制度です。本補助金には3タイプの対象事業があり、単純な事業継承以外にも専門家によるアドバイスや、廃業にかかる経費も対象経費として利用できるのが特徴です。

  • 経営革新事業
     創業や経営者交代、M&Aにおける経費の一部を補助します。
  • 専門家活用事業事業
     承継における専門家活用(FA・仲介者)経費の一部を補助します。
  • 廃業・再チャレンジ事業
     既存事業を廃業または再チャレンジにおける経費の一部を補助します。

労働環境・雇用環境改善に活用できる助成金7選

制度

概要

支給額

キャリアアップ

助成金

非正規雇用労働者の企業内での

キャリアアップを促進するために、

正社員化、処遇改善を実施した

事業主に対して助成する制度

コースごとに異なるため、

関連記事を参照のこと

業務改善助成金

事業場内で最低賃金を30円以上引き上げ、

生産性を向上させるために設備投資を行った場合に、

その費用の一部を助成する制度

60万円~600万円

(3/4~9/10)

人材確保等

支援助成金

魅力的な職場を作るために、

労働環境を改善して生産性の向上、賃金アップし、

従業員の離職率の低下に取り組む事業主を助成する制度

57万円~1,000万円

働き方改革推進

支援助成金

生産性を向上させ、時間外労働を減らし、

年次有給休暇や特別休暇の取得を促進するための

環境整備取り組みを支援する制度

100万円~200万円

(対象経費の合計額×

補助率3/4または4/5)

人材開発

支援助成金

事業主が雇用する労働者に、

職務に必要な専門的な知識や技能を教育する訓練費用や

訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度

コースごとに異なるため、

関連記事を参照のこと

両立支援等

助成金

働きながら子育てや介護をする

労働者の雇用を継続するために、

就業環境を整備する事業主に対して助成する制度

20万円~120万円

トライアル

雇用助成金

求職者が職業経験不足などの理由で

就職が難しい場合、無期雇用契約に移行する前に

一定期間のトライアル雇用を行う事業主を支援する制度

1人あたり最大

8万円(3ヶ月)

キャリアアップ助成金

概要

非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために、

正社員化、処遇改善を実施した事業主に対して助成する制度

支給対象

雇用保険適用事業所の事業主

支給額

(補助率)

各コースの詳細を参照のこと

対象となる

経費

人件費または社内制度改革費

申請期間

随時

非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために、正社員化、処遇改善を実施した事業主に対して助成する制度です。本補助金には以下6つのコースがあります。

コース

概要

支給額

正社員化コース

有期雇用労働者を正規雇用労働者に

転換または直接雇用した場合に助成

1人あたり

最大72万円

賃金規定等

改定コース

有期雇用労働者の基本給の賃金規定を

2%以上増額し、昇給した場合に助成

1人あたり

最大4万円

賃金規定等

共通化コース

有期雇用労働者に関して正規雇用労働者との

共通の職務に応じた賃金規定等を新たに作成し、

適用した場合に助成

1人あたり

最大72万円

賞与・退職金

制度導入コース

有期雇用労働者に関して賞与・退職金制度を新たに設け、

支給または積立てを実施した場合に助成

1事業所あたり

最大48万円

選択的適用拡大

導入時処遇改善コース

有期雇用労働者等について、働き方の意向を適切に把握し、

新たに社会保険の被保険者とした場合に助成

1事業所あたり

最大24万円

短時間労働者

労働時間延長コース

短時間労働者の週所定労働時間を延長し、処遇の改善を図り、

社会保険の被保険者とした場合に助成

1人あたり

最大28.4万円

なお、一定の条件を満たすと「加算措置」として受給額が上乗せされます。詳しくは下記記事を参考にしてください。

関連記事:キャリアアップ助成金とは?コースや申請方法、注意点を解説

業務改善助成金

概要

事業場内で最低賃金を30円以上引き上げ、生産性を向上させるために

設備投資を行った場合に、その費用の一部を助成する制度

支給対象

中小企業・小規模事業者

支給額

(補助率)

60万円~600万円(3/4~9/10)

対象となる

経費

機器・設備の導入、経営コンサルティングなど

申請期間

2024年1月31日

中小企業・小規模事業者が事業場内で最低賃金を30円以上引き上げ、生産性を向上させるために設備投資を行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。

助成金の金額は、生産性を向上させるために投資した設備などの費用に一定の割合をかけた金額と助成金の上限額を比較して、より低い金額が支給されます。また、賃金の引き上げ額と引き上げる労働者の人数によっても助成上限額は変動します。詳しくは下記記事を参考にしてください。

関連記事:業務改善助成金とは|令和5年度の対象者・助成額・申請の流れを紹介

人材確保等支援助成金

概要

魅力的な職場を作るために、労働環境を改善して生産性の向上、

賃金アップし、従業員の離職率の低下に取り組む事業主を助成する制度

支給対象

労働環境を改善する事業主や事業協同組合

支給額

(補助率)

57万円~1,000万円

対象となる

経費

社内制度改革費、介護福祉機器の導入費など

申請期間

各コースの詳細を参照のこと

事業主や事業協同組合が、魅力的な職場を作るために生産性の向上や賃金をアップし、従業員の離職率の低下に取り組む事業主を助成する制度です。本助成金では9つのコースで構成されており、それぞれ要件や対象事業主が異なります。

  • 雇用管理制度助成コース
  • 介護福祉機器助成コース
  • 中小企業団体助成コース
  • 人事評価改善等助成コース
  • 建設キャリアアップシステム等普及促進コース
  • 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
  • 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
  • 外国人労働者就労環境整備助成コース
  • テレワークコース

また、制度変更によって廃止になったコースが複数あります。詳しくは下記記事を参考にしてくだ
さい。

関連記事:人材確保等支援助成金とは?対象資格や助成金額をわかりやすく解説

働き方改革推進支援助成金

概要

生産性を向上させ、時間外労働を減らし、年次有給休暇や特別休暇の

取得を促進するための環境整備取り組みを支援する制度

支給対象

中小企業事業者

支給額

(補助率)

100万円~200万円(対象経費の合計額×補助率3/4または4/5)

対象となる

経費

労務管理担当者に対する研修

労働者に対する研修、周知・啓発

外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング

就業規則・労使協定等の作成・変更

人材確保に向けた取組

労務管理用ソフトウェアの導入・更新

労務管理用機器の導入・更新

デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新

労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

申請期間

2023年11月30日

2020年4月1日から施行された働き方改革関連法により、中小企業労働者の労働時間に上限が設定されました。本助成金は、中小企業が労働生産性を向上させ、時間外労働を減らすなどの環境整備を支援するための制度です。

なお、3段階ある成果目標の達成に応じて上限額が変動します。詳しくは下記記事を参考にしてください。

関連記事:働き方改革推進支援助成金とは?5つあるコースの違いや支給額を解説

人材開発支援助成金

概要

事業主が雇用する労働者に、職務に必要な専門的な知識や技能を教育する

訓練費用や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度

支給対象

コースごとに細かい条件があるため、関連記事を参照のこと

支給額

(補助率)

コースごとに異なるため、関連記事を参照のこと

対象となる

経費

コースごとに異なるため、関連記事を参照のこと

申請期間

コースごとに異なるため、関連記事を参照のこと

事業主が雇用する労働者に、職務に必要な専門的な知識や技能を教育する訓練費用や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度です。本助成金は9つのコースにわかれており、各コースごとに対象となる事業主や支給額が大きく異なります。

  • 人材育成支援コース
  • 教育訓練休暇等付与コース
  • 人への投資促進コース
  • 事業展開等リスキリング支援コース
  • 建設労働者認定訓練コース
  • 建設労働者技能実習コース
  • 障害者職業能力開発コース 

詳しくは下記記事を参考にしてください。

関連記事:人材開発支援助成金の対象講座・コースや支給金額、申請方法を解説

両立支援等助成金

概要

働きながら子育てや介護をする労働者の雇用を継続するために、

就業環境を整備する事業主に対して助成する制度

支給対象

中小企業事業者

支給額

(補助率)

20万円~130万円(第1種で代替要員を3人確保し、第2種要件をすべて満たした場合)

対象となる

経費

要件を満たした労働者の人件費

申請期間

随時

働きながら子育てや介護をする労働者の雇用を継続するために、就業環境を整備する事業主に対して助成する制度です。本助成金は3つのコースにわかれており、出産・育児・介護で活用できます。

  • 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
  • 介護離職防止支援コース
  • 育児休業等支援コース

詳しくは下記記事を参考にしてください。

関連記事:育児や介護をサポートする企業が対象の両立支援等補助金とは?

トライアル雇用助成金

概要

求職者が職業経験不足などの理由で就職が難しい場合、

無期雇用契約に移行する前に一定期間のトライアル雇用を行う事業主を支援する制度

支給対象

対象労働者をハローワークなどの紹介から3ヶ月以上トライアル雇用する事業主

支給額

(補助率)

1人あたり最大8万円(3ヶ月)

対象となる

経費

要件を満たした労働者の人件費

申請期間

随時

求職者が職業経験不足などの理由で就職が難しい場合、無期雇用契約する前に一定期間のトライアル雇用を行う事業主を支援する制度です。本助成金は、2つのコースにわかれており、障害者の雇用時間に応じて支給される金額が異なります。

  • 障害者トライアルコース
  • 障害者短時間トライアルコース

具体的には、週の所定労働時間を10時間以上20時間未満の場合は「障害者短時間トライアルコース」を利用可能です。

補助金・助成金の基礎知識や法人がもらえる補助金・助成金について紹介しました

本記事では補助金・助成金の違いや法人がもらえる補助金・助成金について紹介しました。

補助金や助成金は、国だけでなく地方自治体なども含めると膨大な数に登ります。そのため、自社の事業計画に一致するものがいくつかは見つけられるでしょう。本記事で紹介した補助金・助成金の中からも利用できるものがあれば、積極的に活用してみてください。