産学連携補助金とは?具体的な制度の概要や種類、上限額を解説

産学連携補助金とは?具体的な制度の概要や種類、上限額を解説

競合優位性を保つために研究開発をしたいが、コストや人材確保の面で難しいとお悩みではありませんか?

産学連携補助金を利用すると企業の資金不足を補えます。この記事では、産学連携補助金の概要や産学連携補助金の種類の例について解説

最後まで読めば、産学連携補助金の内容を知り、対象であれば申請しやすくなります。

目次
  1. 1. 産学連携補助金とは
    1. 1-1. 産学連携の目的
    2. 1-2. 産学連携のメリット
  2. 2. 産学連携補助金に関する種類の例
    1. 2-1. 共同講座創造支援事業費補助金
    2. 2-2. 産学連携推進事業費補助金(地域の中核大学の産学融合拠点の整備)
    3. 2-3. 成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)
    4. 2-4. 地域オープンイノベーション拠点選抜制度
  3. 3. 産学連携補助金の概要や種類、上限額を解説しました

産学連携補助金とは

産学連携補助金とは

産学連携補助金とは、大学や研究機関と企業が共同で研究開発を行う際に、政府が支援する制度です。

産学連携補助金を活用すると、大学や研究機関は研究費の確保ができるだけではなく、市場のニーズに合った研究ができます。一方、企業は資金・設備・技術などの不足を補えます。

産学連携の目的

産学連携の目的は、学術的な知見と実用的な技術を結びつけ、イノベーションを促進することです。また、社会的な課題解決も目的としています。

産学連携は、平成7年に科学技術基本計画の策定から始まりました。2016年、経済産業省は文部科学省とともに「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」を策定。

「大学等における産学連携等実施状況について」の調査を実施しました。2018年より、各大学の産業界との連携実績などのデータを「見える化」し、「大学ファクトブック」として取りまとめています。

産学連携補助金の申請方法や審査基準は、各省庁や機関によって異なります。一般的に重視されるのは、研究テーマの社会的な意義や独創性、研究成果の事業化における可能性などです。

産学連携のメリット

国が支援する助成金や補助金の受給により、研究開発の負担を軽減できます。また、企業は自社で用意するのが難しい研究設備を大学から借りることが可能。

そのため、研究開発のコスト削減も可能です 。産学連携を導入すると、企業は自社で扱っていない分野の専門知識や技術を持つ研究者と協力できます。その結果、新たなアイデアやソリューションを得ることが可能です。

産学連携補助金に関する種類の例

産学連携補助金に関する種類の例

産学連携補助金に関する種類の例について解説します。

共同講座創造支援事業費補助金

共同講座創造支援事業費補助金とは、企業が大学・高等専門学校で特定の分野に関した高度人材育成目的の講座やコース・学科(共同講座)を設置し、運営事業の費用の一部を補助する制度

共同講座の内容は以下の通りです。

  • 人材育成が目的
  • 学生や補助対象事業者の従業員に講義を実施
  • 補助対象事業者が共同講座の設置・運営経費の一部又は全部を拠出
  • 高等教育機関の常勤教員が共同講座の担当者

支援目的は、人材のリスキリングや、産業界のニーズに合った人材育成をするためです。リスキリングの成果を評価し、従業員の処遇に反映する取組に関して、通常より高い補助率が適用されます。

上限額

上限額は以下の通りです。

項目

内容

通常枠

  • ・共同講座を設置・運営する取組を支援
  • ・補助率:1/3以内
  • ・補助上限額:3,000万円(税抜)/事業

処遇反映枠

  • ・リスキリングの成果を処遇へ反映する取組を支援
  • ・補助率:1/2以内
  • ・補助上限額:3,000万円(税抜)/事業

応募資格

応募資格は以下の通りです。

項目

内容

対象事業者

  • ・日本国内に登記し活動実績のある法⼈
  • ・補助事業を遂⾏できる財務状況
  • ・予算決算及び会計令第70条及び第71条の規定に該当無し
  • ・経済産業省所管補助金等交付等の停⽌及び契約に係る指名停止等措置要領に該当無し

対象事業

(通常枠)

  • ・中長期の経営・事業戦略と紐付けられた人材戦略
  • ・2023年12⽉末まで開始するもの
  • ・総活動時間が15時間以上
  • ・20名以上の参加者を想定

対象事業

(処遇反映枠)

  • ・10名以上の従業員等又は10%以上の従業員
  • ・共同講座によるリスキリングの成果を昇進・昇給等の処遇へ反映し従業員等へ周知

産学連携推進事業費補助金(地域の中核大学の産学融合拠点の整備)

産学連携推進事業費補助金は、地域の中核大学が強みや特色を有する研究分野で、Jイノベ拠点のプラットフォーム型を選抜する制度です。同補助金には、企業と大学の連携によりオープンイノベーションを推進するための産学融合機能を担う役割があります。

以下の3タイプの整備を支援。

  • 企業との共同実験施設・設備の整備
  • インキュベーション施設・設備の整備
  • オープンイノベーション推進施設・設備の整備

上限額

上限額は以下の通りです。

項目

内容

調査設計費

  • ・建築計画に関する調査費及び設計費
  • ・補助率:2/3以内

工事費

  • ・施設の建築又は改修に要する経費
  • ・補助率:2/3以内
  • ・上限額:10億円以内

研究開発設備費

  • ・研究開発に必要な機械装置の購入又は据え付け等に必要な経費
  • ・補助率:定額
  • ・上限額:5億円以内

応募資格

応募資格は以下の通りです。

項目

内容

対象事業者

  • ・企業との共同実験施設・設備の整備
  • ・インキュベーション施設・設備の整備
  • ・オープンイノベーション推進施設・設備の整備

対象事業

  • ・国公私立大学、高等専門学校
  • ・国公私立大学が産学連携等の機能促進のために出資した外部化法人

成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)

成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)

画像引用:中小企業庁「成長型中小企業等研究開発支援事業」

成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)とは、以下の取組を一貫して支援する制度
です。

  • ものづくり基盤技術
  • サービスの高度化に向けた研究開発
  • 事業化に向けたものづくり

また、中小企業が以下の取り組みを行うことを促進します。

  • 高付加価値製品の製造による下請け構造の脱却
  • ものづくりとAI・IoT等の先端技術を融合させた高度なサービス開発

中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化等に関する事項は以下の通りです。

  • デザイン開発
  • 情報処理
  • 精密加工
  • 製造環境
  • 接合・実装
  • 立体造形
  • 表面処理
  • 機械制御
  • 複合・新機能材料
  • 材料製造プロセス
  • バイオ
  • 測定計測

上限額

上限額には以下の通り通常枠と出資獲得枠があります。

通常枠とは、中小企業者等が大学・公設試等と連携し、研究開発等を支援する枠。

出資獲得枠とは、研究開発等を行う中小企業者が補助事業開始から終了後1年までの間に、ファンド等の出資を受けることが見込まれる事業者を支援する枠です。

【通常枠】

項目

内容

補助事業期間

  • ・2年度又は3年度

補助金額

(上限額)

  • ・補助事業当たり単年度 4,500万円以下
  • ・2年度の合計で、7,500万円以下
  • ・3年度の合計で、9,750 万円以下

補助率

  • ・中小企業:2/3以内
  • ・A機関及びB機関:共同体に参加している場合:定額
    •           共同体に参加していない場合:2/3以内
上限額

画像引用:中小企業庁「成長型中小企業等研究開発支援事業」

【出資獲得枠】

項目

内容

補助事業期間

  • ・2年度又は3年度

補助金額

(上限額)

  • ・補助事業当たり 単年度1億円以下
  • ・2年度の合計で、2億円以下
  • ・3年度の合計で、3億円以下

補助率

  • ・中小企業:2/3以内
  • ・A機関及びB機関:共同体に参加している場合:定額
    •           共同体に参加していない場合:2/3以内
上限額

画像引用:中小企業庁「成長型中小企業等研究開発支援事業」

応募資格

応募資格

画像引用:中小企業庁「成長型中小企業等研究開発支援事業」

応募資格

画像引用:中小企業庁「成長型中小企業等研究開発支援事業」

応募資格は以下の通りです。

項目

内容

申請対象者

  • ・研究等実施機関(間接補助事業者):研究開発等を実施する中小企業者
  • ・従たる研究等実施機関:研究等実施機関の取組を補完するための
  •             研究開発等を行う研究者が所属する研究等実施機関
  • ・事業管理機関(補助事業者):研究開発計画の運営管理、共同体構成員相互の調整を行う者
  • ・アドバイザー:成果の事業化及び資金調達に関する助言を行う者
  •    ・有識者
  •    ・研究者
  •    ・大学・公設試等
  •    ・ファンド等の金融機関
  •    ・川下製造業者等※

対象事業

  • ・中小企業要件:
    •    ・中小企業者等が受け取る補助金額が、共同体全体の補助金額の2/3以上
    •    ・従たる研究等実施機関が購入した設備備品費で、
    •     中小企業者等が専ら(2/3以上)使用する設備備品費は、
    •     中小企業者等が受け取る補助金額に含めることが可能
  • ・対象研究開発計画:
    •    ・事業化までの道筋が明確に描けているものが対象
    •    ・補助対象期間の終了後5年以内に事業化を達成する目標が策定できる事業
    •    ・付加価値額※が15%以上(年率平均3%以上)の向上
    •    ・給与支給総額が7.5%以上(年率平均1.5%以上)の
    •     向上を達成する目標が策定できる事業
    •    ・研究等実施機関の事業場内
    •    ・最低賃金(事業場内で最も低い賃金)が地域別最低賃金+30円以上の水準
  • ・高度化指針との整合性:

   ・高度化指針に記載された内容に関する研究開発等の事業

※川下製造業者:研究開発の成果を利用することが見込まれる者※付加価値額:付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費

応募資格

画像引用:中小企業庁「成長型中小企業等研究開発支援事業」

関連記事:ものづくり補助金の内容を解説!対象となる事業者の要件と金額とは

地域オープンイノベーション拠点選抜制度

地域オープンイノベーション拠点選抜制度とは、経済産業省が伴走支援を行う制度です。

大学や高等専門学校を中心とした地域イノベーション拠点の中で、企業ネットワークの中心地として活躍している産学連携拠点を国際展開型と地域貢献型の2類型で評価・選抜。支援を集中し、トップ層の引き上げを促すことを目的としています。

支援内容

地域オープンイノベーション拠点選抜制度の支援内容は以下の通りです。

項目

内容

国内外への広報・拠点間の連携支援

  • ・ロゴマークの使用許可
  • ・経済産業省HPでの選抜拠点紹介
  • ・選抜拠点間ネットワーク会議
  • ・海外展開支援、国内広報支援

経済産業省各種支援等との連携強化

  • ・成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)
  • ・産学融合拠点創出支援事業(J-NEXUS)
  • ・その他大学等向け予算事業での加点等
  • ・大学の知財活用アクションプラン(特許庁・INPIT)
  •  該当支援メニューの斡旋等

その他の支援

  • ・予算事業紹介、規制緩和等政府施策への担当部署等への接続
  • ・視察候補として優先的な選定
  • ・経済産業省が作成する施策説明資料等への積極的な取組事例紹介
  • ・経済産業省等の施策に対する優先的な提言機会の提供

審査・選抜

地域オープンイノベーション拠点選抜制度の審査・選抜は以下の通りです。

項目

内容

審査項目

  • ・ビジョン・目的・戦略・計画
  • ・研究者や支援スタッフの体制、人材育成、財政基盤、施設・設備、契約・セキュリティ体制、
  • ・イノベーション・マネジメントシステム
  • ・イノベーション創出のアウトプット、アウトカム

選抜類型

  • ・国際展開型:海外及び国内グローバル企業等との産学連携活動をし、

       海外展開を目指している拠点

  • ・地域貢献型:地域の課題解決や地域経済の振興等を目指し、

       地域企業との産学連携活動を積極的に行っている拠点

産学連携補助金の概要や種類、上限額を解説しました

産学連携補助金について知りたい方向けに、産学連携補助金の概要や産学連携補助金の種類の例を解説しました。

産学連携補助金に関する種類は、以下の通りです。

  • 共同講座創造支援事業費補助金
  • 産学連携推進事業費補助金(地域の中核大学の産学融合拠点の整備)
  • 成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)
  • 地域オープンイノベーション拠点選抜制度

本記事で紹介した内容をもとに、産学連携推進事業費補助金の申請を検討してみましょう。