地方再生中小企業創業支援助成金とは?現行制度の詳細を解説
地方で起業を考えた場合「自己資金が少ない」「人を雇う余裕がない」と悩んでいる方は多いでしょう。
地方再生中小企業創業助成金を利用すると、創業に関する経費や労働者の雇い入れについて助成を受けることが可能です。この記事では、地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)の概要や申請の流れなどについて解説します。
最後まで読めば、地方再生中小企業創業の助成金の内容を理解し、申し込みの検討がしやすくなり
ます。
地方再生中小企業創業支援助成金とは?
地方再生中小企業創業支援助成金は、平成25年5月で廃止され、現在は地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)に統合されました。
同助成金は、地域再生事業を行う法人や個人事業を開業し、創業に関する経費や労働者の雇入れについて助成する制度。雇用保険加入者を2人以上雇用するのが条件です。
助成金には以下の2種類があります。
種類 |
内容 |
第1種 |
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第2種 |
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地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)の概要
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)は、以下のような雇用情勢の厳しい地域で、事業所の設置・整備に伴い地域の求職者を雇用した事業主を助成する制度です。
対象事業者・労働者
画像引用:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
対象事業者・労働者の要件は以下の通りです。
対象事業者・労働者 |
内容 |
対象事業者 |
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労働者 |
|
対象労働者の数え方は以下の通りです。
画像引用:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
対象地域
下記対象地域に事業所を設置・整備し、地域に居住する求職者を雇用保険に加入させ雇用した場合、経費と増加した人数に応じて一定の金額を助成します。ただし、事業所非該当施設の経費や雇用に関しては助成の対象外です。
- ・同意雇用開発促進地域(求職者数に比べて雇用機会が著しく不足している地域)
- ・過疎等雇用改善地域(若年層・壮年層の流出が著しい地域)
- ・特定有人国境離島等地域
それぞれの対象地域は変わることがあります。詳細は厚生労働省のページをご覧ください。
助成の対象経費と助成額
内容を審査した後、事業所の経費と雇用により増加した労働者数に応じて助成する仕組みです。1年ごとに3回支給されます。
画像引用:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
対象経費は以下の通りです。
種類 |
内容 |
工事 (不動産) |
・20万円以上の事業所や店舗などの新・増設工事費用 ・建築工事とこの建築工事に付随する土地造成 ・設計監理基 ・礎工事 ・外構工事 ・電気工事 ・各種設備工事 ・内装工事など ・20万円以上の賃借した事業所や店舗の内装工事費用 |
購入 (不動産) |
・支払額が20万円以上の不動産購入費用 |
購入 (動産) |
・支払額が20万円以上の動産購入費用 ・機械 ・装置 ・工具 ・器具 ・備品 ・車両 ・船舶 ・航空機 ・運搬器具など ・購入に伴う運搬費用、取付費用 |
賃借 (不動産) |
・20万円以上の事務所や店舗などの賃借費用 ・事業に必要な車を購入した場合の駐車場 |
賃借 (動産) |
・20万円以上の動産に関する賃借またはリース費用 ・賃借またはリースに伴う運搬費用・取付費用 |
支給要件
支給要件は1回目と2回目・3回目で異なります。それぞれについて解説します。
1回目
1回目の支給要件は事業主の要件と同じ内容になります。
- ・雇用保険適用事業主である
-
- ・労働者を事業主の都合により解雇していない
- ・特定受給資格者(解雇などにより時間的余裕なく退職した人)である
離職者の数が3人以上かつ事業所の雇用保険加入者の6%以上ではない - ・助成金について不正受給をしていない
- ・労働保険料を滞納していない
- ・風俗営業ではない
- ・高年齢者就業確保措置を講じている
- ・労働関係帳簿類と会計関係帳簿類を提出できる
- ・暴力団と関わりがない
- ・地域の雇用構造の改善に資する
1回目で必要な提出書類は後述する完了届と添付書類です。
また、工事・購入・賃借された不動産・動産の確認や雇い入れた労働者の確認などを行うため、支給決定前に以下のように実地調査があります。
実地調査 |
内容 |
設置・整備について |
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帳簿などの確認 |
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雇い入れの確認 |
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2回目・3回目
画像引用:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
完了日の1年後の日を「第2回支給基準日」、完了日の2年後の日を「第3回支給基準日」とします。支給基準日の翌日から2か月以内に支給申請を行う必要があります。
第2回、第3回に添付する書類は以下の通りです。
- ・事業所の証明
- ・対象労働者の就業証明
- ・生産性要件の証明
2回目以降の支給申請を行うための要件は以下の通りです。
- ・支給基準日の雇用保険加入者数が、完了日における雇用保険加入者以上である
- ・支給基準日において、対象労働者数が維持されている
- ・支給基準日において、対象労働者数の1/2以上、
かつ4人以上の対象労働者と対象労働者の補充者が離職していない
画像引用:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
画像引用:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
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地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)の申請の
流れ
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)の申請の流れについて解説します。
画像引用:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
計画書の提出
画像引用:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
計画書と合わせて事業所状況等申立書、会社パンフレットなどの事業所概要がわかる書類を労働局の所轄に提出する必要があります。
計画書の提出日から完了日までしか対象期間にはなりません。内容変更があった場合は計画書変更届の提出が必須です。
計画の実行
計画書に沿った施策を実行。実行にあたり、以下の2点をクリアする必要があります。
- ・指定地域居住の求職者3名(創業時は2名)以上の雇用
- ・雇用拡大のために事業所の設置と整備に300万円以上使用
この間に発生した請求書や納品書は保存しておきます。
完了届の提出
事業所の設置・整備、対象労働者を雇用後、完了届を管轄労働局長に提出します。
内容 |
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計画日から18か月以内に事業 所の設置・整備、対象労働者 の雇い入れが完了した場合 |
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計画日から18か月が 経過している場合 |
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完了届(第1回支給申請書)に添付する書類は以下の通りです。
- ・事業所設置の証明
- ・対象労働者の証明
- ・設置・設備費用の証明
- ・中小企業事業主の証明
- ・創業の証明(創業の場合は提出)
- ・生産性要件の証明
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)を活用する際の注意点
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)を活用する際の注意点について解説します。
経費総額が300万円以上必要
対象経費が総額300万円以下は助成対象から外れます。
認められない経費は以下の通りです。
種類 |
内容 |
工事 (不動産) |
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購入 (不動産) |
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購入 (動産) |
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賃借 (不動産) |
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賃借 (動産) |
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1回20万円以上の支払いが発生した経費のみが対象
対象経費であっても1回20万円以上の経費でなければ認められません。動産の場合は1点の支払額が対象です。
種類 |
費用に含められない例 |
工事 |
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不動産購入 |
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動産購入 |
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不動産の賃借 |
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動産の賃借 |
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地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)以外の創業時に使える補助金・助成金
創業補助金は、創業に必要な費用の一部を地方自治体が補助する制度です。創業補助金の利用によって、開業資金を抑えられ、起業をしやすくなります。抑えた分を予備資金に回すと不測の事態に備えることも可能です。
創業補助金は返済不要。しかし、受給後に一定の期間内に収益が向上すると返済する必要があり
ます。
創業補助金は、申請が通過した直後ではなく半年以上経過してから支給されます。そのため、最初は資金の準備が必要です。
▼関連記事 創業補助金については、「創業補助金とは?活用するメリットやデメリット、 申請手順を解説」をあわせてご覧ください。 |
地方再生中小企業創業助成金 まとめ
地方再生中小企業創業支援助成金について知りたい方向けに、地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)の概要や申請の流れなどを解説しました。
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)を活用する際の注意点は以下の通りです。
- ・経費総額が300万円以上必要
- ・1回20万円以上の支払いが発生した経費のみが対象
本記事で紹介した内容をもとに、地方再生中小企業創業助成金の申請を検討してみましょう。