メンタルヘルス対策に活用できる助成金の概要と申請方法を紹介!

メンタルヘルス対策に活用できる助成金の概要と申請方法を紹介!

従業員のメンタルヘルス対策の費用にお悩みではないでしょうか?この記事では職場のメンタルヘルス対策に使える助成金について紹介します。従業員の心の健康を守り、満足度や生産性をアップするために、ぜひご活用ください。

目次
  1. 1. 各事業者には今、メンタルヘルス対策についての正しい理解が求められている
  2. 2. メンタルヘルス対策の重要性
    1. 2-1. 職場の生産性向上に役立つ
    2. 2-2. ミスによる品質低下を防ぐ
  3. 3. メンタルヘルス関連の助成金を一気見(令和5年度)
    1. 3-1. 心の健康づくり計画助成金
    2. 3-2. 職場環境改善計画助成金
    3. 3-3. 小規模事業場産業医活動助成金
    4. 3-4. ストレスチェック助成金
    5. 3-5. 団体経由産業保健活動推進助成金
  4. 4. メンタルヘルス対策の方法
    1. 4-1. メンタルヘルス対策の進め方
    2. 4-2. メンタル不調の発見と対応
  5. 5. メンタルヘルス対策に活用できる助成金の概要と申請方法について解説しました

各事業者には今、メンタルヘルス対策についての正しい理解が求められている

これまでも、企業にとって従業員のメンタルヘルスの問題に向き合うことは、職場の環境を整えるために必要なことでした。しかし最近はとくにその傾向が顕著になってきています。

平成26年6月に成立した改正労働安全衛生法により、従業員50人以上の企業は年に1回ストレスチェックを実施することが事業者の義務となりました。(50人未満の事業場においては、令和5年5月現在のところ努力義務とされています。)働く人のメンタルヘルス問題は今や、企業単位の問題だけではなく、社会全体で取り組むべき問題になっているのです。

各事業者には、適切なメンタルヘルス対策について理解し、必要な施策を実行しなければなりま
せん。

メンタルヘルス対策の重要性

メンタルヘルス対策の重要性

メンタルヘルス対策が企業にとってどのように重要なのか、2つのポイントを解説します。

職場の生産性向上に役立つ

メンタルヘルス対策を行うと、従業員は心の健康を保ち意欲的に働けるようになるため、生産性の向上に役立ちます。また早期にメンタルケアを行えれば、精神的な不調による休職や退職を防げるため、人員不足のリスクを抑えることが可能です。

ミスによる品質低下を防ぐ

精神的な不調は集中力を低下させてミスを招くため、製品不良につながる可能性を高めてしまいます。ミスが重なると信頼を損ねて、企業価値を下げる結果になるため事前の対策が重要です。

メンタルヘルス関連の助成金を一気見(令和5年度)

メンタルヘルス関連の助成金を一気見(令和5年度)

メンタルヘルス関連の補助金についてそれぞれ解説していきます。

心の健康づくり計画助成金

※令和4年11月9日以降、新規受付を停止しています。

事業者がメンタルヘルス対策促進員の支援を受けて「心の健康づくり計画」と呼ばれる従業員の精神面における健康を守るメンタルヘルスケアの円滑な取り組みに必要とされている施策を策定しました。この計画に基づき対策を実施した場合に、費用の助成を受けられます。

助成金額は法人、1事業主当たり「一律10万円」です。

職場環境改善計画助成金

※令和4年11月9日以降、新規受付を停止しています。

ストレスチェック(質問表に従業員が回答して結果からストレス度を分析するもの)を実施した事業者が、助成金を受け取れる制度です。支給対象は業種の違いによって「事業場コース」「建設現場コース」の2つに分かれています。

助成金額は10万円で、支給要件は以下の通りです。

  • ストレスチェックの実施
  • 専門家(産業医、コンサルタントなど)と契約し評価、指導を受ける
  • 専門家の指導に基づき改善を実施する
  • 専門家に改善の実施が認められる

小規模事業場産業医活動助成金

※令和4年11月9日以降、新規受付を停止しています。

労働者数50人未満の企業が産業医と契約して健康相談や職場の巡視といった活動を実施した場合に助成金を受けられる制度です。

支給を受けるために必要な活動や助成金額は以下の通りです。

名称

企業が実施する内容

助成金額

産業医コース

産業医と健康相談や職場の

巡視といった活動の契約を締結する

6か月ごとに10万円

(支給は2回まで)

保健師コース

保健師と健康相談や職場の

巡視といった活動の契約を締結する

6か月ごとに10万円

(支給は2回まで)

直接健康相談コース

産業医や保健師に対し従業員が

直接相談できる仕組みの契約を締結する

6か月ごとに10万円

(支給は2回まで)

3つのコースで6か月間継続して契約するごとに一律10万円が支給されます。

12か月継続して3つのコースを契約すると最大60万円の支給が受けられます。

ストレスチェック助成金

※令和4年11月9日以降、新規受付を停止しています。

従業員数50人未満の企業が医師と契約してストレスチェックに関わる活動を実施した際に、費用の助成を受けられる制度です。事業者が医師と契約を締結し従業員との面談、事業者への指導といった施策を行う体制が整備されていることが要件です。

助成金額は以下の通り。

  • ストレスチェックの実施費用(年1回のストレスチェック、1従業員につき500円)
  • ストレスチェックに関わる医師の活動費用(1事業場あたり1回の活動につき21,500円、
    3回まで)

※ストレスチェックに関わる医師の活動内容とは、ストレスチェック実施後の面接指導や、面接指導の結果について事業主に意見陳述をすることなどを指します。

団体経由産業保健活動推進助成金

以下に紹介する事業主団体や労災保険の特別加入団体を通じて、中小企業のストレスチェックや医師の保健指導といった産業保健活動に助成金が支給される制度です。

これまで紹介してきた企業に直接支給される助成金とは違い、対象の団体のうちいずれかを通じて支給されます。

支給対象となる団体は以下の通りです。

名称

説明

事業主団体等

3人以上の事業主が傘下にいる団体又は共同事業主で、

事業主団体等が労働者災害補償保険の適用事業主であること、

中小企業事業主の占める割合が構成事業主等全体の2/1を超えていることなど、

一定の要件を満たす団体のこと。

例)事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会、企業組合、

協業組合、商工組合、商工組合連合会、都道府県中小企業団体中央会、

全国中小企業団体中央会、商店街振興組合、商店街振興組合連合会、

商工会議所、日本商工会議所、都道府県商工会連合会、全国商工会連合会、

生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会、

一般社団法人、般財団法人、共同事業者のこと

労災保険の特別加入団体

1人親方のような事業主でありながら

労働者として働く人が加入する労災保険の組合のこと

団体については、さらに細かい条件もありますので、くわしくは以下を参考にしてみてください。

関連記事:https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpojoseikin/R5/org_josei_tebiki_R5.pdf

助成金額は以下の通りです。

項目

内容

補助割合

助成対象となる産業保健サービスに対してサービス費用の実費の4/5

上限額

100万円(1つの事業者団体等又は特別加入団体あたり)

申請上限

1団体につき年1回

支給対象となる産業保健活動は以下の通りです。

  • 医師、歯科医師による健康診断結果への意見聴取
  • 医師、保健師による保健指導
  • 医師による面接指導・意見聴取
  • 医師、保健師、看護師等による健康相談対応
  • 医師、保健師、看護師、社会保険労務士等による治療と仕事の両立支援
  • 医師、保健師、看護師等による職場環境改善支援
  • 医師、保健師、看護師等による健康教育研修、事業者と管理者向けの産業保健に関する周知啓発

交付申請期間は以下の通りです。

予算の上限に達した場合、交付申請の受付が終了するため早めに申請を行いましょう。

 第一次締切:令和5年5月31日(水)18時

 第二次締切:令和5年7月31日(月)18 時 ※第一次締切後に受付を再開した場合

 最終締切 :令和5年9月29日(金)18時

くわしい内容は以下のサイトを参考にしてみてください。

関連記事:https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpojoseikin/R5/org_josei_tebiki_R5.pdf

メンタルヘルス対策の方法

メンタルヘルス対策の方法

メンタルヘルス対策の進め方や、問題が実際に発生した場合にどのように対応するべきか解説していきます。

メンタルヘルス対策の進め方

厚生労働省の指針によると、メンタルヘルス対策は以下の4つのケアを中心に行うように勧められています

  • セルフケア(労働者自らのケア、事業者はこれを支援する)
  • ラインによるケア(管理監督者によるケア、部下の健康管理や職場環境等の改善など)
  • 産業保健スタッフ等によるケア(産業医や人事労務管理担当者などによるケア)
  • 事業場外資源によるケア(公的な機関の行う研修、精神科医やEAPを活用した専門的なケア)

事業者は管理監督者や産業医などと連携を取りながら、上記のメンタルヘルス対策を行うことが求められています。またケアを受ける従業員を含めた全員が研修や教育を受けて、メンタルヘルスに対する知識を向上させることも重要です。

メンタル不調の発見と対応

従業員のメンタルに不調が発生した際に、事業主はどのような対応を行えばよいのか以下にまとめました。

  • 従業員が自発的に相談できる環境をつくる
  • 職場環境の把握と医療機関への受診を促す
  • 家族が支援しやすい体制づくり

事業者は従業員が自発的に相談できるような環境づくりを行う必要があります。外部からでは見つけにくいメンタルの不調を、当事者から伝えてもらうことで対応が早くなります。またストレスチェックも不調を抱えた従業員の早期発見の手がかりとなるため、活用しましょう。

また、管理監督者を通じて不調に陥った従業員の状態や職場環境の把握を行い、従業員の状態に応じて産業保健スタッフへの相談や外部の医療機関を受診を行うように促すことも求められます。

事業者から従業員の家族へ事業所のメンタルヘルス窓口の存在や基礎知識を提供して、当事者をサポートしやすい多方面から相談が受けられる体制を整えましょう

メンタルヘルス対策に活用できる助成金の概要と申請方法について解説しました

事業者にとって従業員のメンタルヘルスを守ることは義務です。

メンタルヘルス対策費用の捻出が難しい企業でも、助成金を活用すれば実施することが可能です。

ぜひこの記事を参考に、メンタルヘルス対策に取り組んでみてください。