起業・開業資金に使える助成金の種類や申請方法・注意点を解説
開業を予定しているにもかかわらず、資金が十分ではないとお悩みではありませんか?
起業・開業資金に使える助成金の利用により資金不足を補えます。この記事では、開業資金として助成金を申請するまでの流れや開業資金として申請できる補助金・助成金などについて解説します。
ただし、あくまでも2023年3月時点の情報です。詳細は厚生労働省のWebサイトを参照してください。
最後まで読めば、開業資金に関わる助成金の内容を理解し、助成金と補助金の申し込みで開業のハードルを下げることが可能です。
開業資金として申請できる助成金はある
開業資金や開業のための備品購入で使える助成金があります。助成金の場合は返済もないため使いやすいのが特徴です。
補助金と助成金の違い
補助金と助成金の違いは以下の通り。経済産業省も助成金を管轄していますが、主な助成金は研究開発関連です。開業資金として申請できる助成金は厚生労働省がメインだと覚えておきましょう。
助成金は要件を満たし書類を提出すると受給可能。一方、補助金は事業計画書を提出し審査を通過しないと受給できないため、注意が必要です。また、補助金の公募期間は短いため申請書類を準備する前に終わることもあります。
項目 |
助成金 |
補助金 |
管轄 |
厚生労働省・ 経済産業省 |
経済産業省・ 地方自治体 |
目的 |
雇用関係・ 研究開発 |
公益性がある 事務・事業 |
難易度 |
低い |
高い |
財源 |
雇用保険料 |
税金 |
申請期間 |
通年 |
短い |
事例 |
|
|
▼関連記事
助成金と補助金の違いについては、「助成金とは?補助金との違いや支給条件、申請方法を一覧で解説」をあわせてご覧ください。
融資との違い
融資とは金融機関からの借り入れのことです。返済しなければならないものの短時間で現金が手に入ります。例えば日本政策金融公庫の場合2週間~2ケ月、ビジネスローンだと即日です。一方助成金は返済不要で受給に時間がかかるのが特徴。申請する場合、助成金はすぐに支給されないため、その間立て替えをする必要があります。
2つの違いは以下の通りです。
項目 |
助成金 |
融資 |
支払い機関 |
厚生労働省・地方自治体 |
銀行・日本政策金融公庫・地方自治体 |
支払い |
後払い |
即支払い |
返済 |
不要 |
必要 |
利息 |
なし |
あり |
使途 |
自由ではない |
自由 |
開業資金の相場
開業資金の相場は平均1,000万円程度です。日本政策金融公庫は2022年11月に「2022年度新規開業実態調査」を発表。調査によると、開業時にかかった費用は、250万〜500万円未満の割合が4割以上と最も多くなっています。250万円未満で開業する割合は増加傾向に。この結果から、250万円未満で開業する人が多いとわかります。
画像引用:日本政策金融公庫
また、資金調達の平均金額は1,274万円で、融資と自己資金の2つだけで全体の全体の90.5%になることがわかります。
運転資金の準備が必要な点に注意
開業には目安として3か月分の運転資金が必要です。事業計画がしっかりしていると、資金繰りに困ることは少なくなるでしょう。
開業すると仕入・経費などの支払いが発生します。売上後に発生するため、事業の運転資金における準備が求められます。
運転資金は、売掛金の回収サイト(商品販売後に決済される期限)に影響を受けます。決済される期間が短期であれば、運転資金を減らすことも可能です。
しかし、回収サイトが長いと見込まれた場合、6か月分の運転資金を作っておく必要があります。
開業資金として助成金を申請するまでの流れ
開業資金として助成金を申請するまでの流れは以下の通りです。
1.助成金を探す
条件に合った助成金を探します。助成金は要件を満たしていれば、支給される確率が高い特徴があります。
助成金の受給には、該当機関に申請を行う必要があります。書類の提出が必要になるため、早めに準備しておきましょう。
また、助成金の募集時期は種類によって異なります。地方自治体が支援する創業補助金については補助金幹事で検索し、申請可能な時期をしっかりチェックしておきましょう。
場合によっては助成金だけではなく補助金にも目を向けておくといいでしょう。
2.申請書類を提出する
申請したい助成金・補助金に必要な書類を提出しましょう。必要な書類は助成金・補助金によって異なります。
助成金を申請する場合の共通書類は以下の通り。
共通書類 |
内容 |
被保険者資格取得の届け出 |
|
支給要件申立書 |
|
支払方法・受取人住所届 |
|
3.採択後に計画を実行する
採択後に計画を実行に移します。対象経費の領収書や請求書などの証拠書類を保管しておきましょう。計画変更の際は計画変更申請の手続きが必要。
必要な証拠書類は以下の通り。
- 実績報告書
- 経費エビデンス(領収書など)
- 請求書
4.申請書類を提出して受給する
期間終了後に申請書類を提出し助成金を受給します。申請書類を提出すると、以下のように審査が行われます。
- 計画通りに本当に実行したのか
- 労働基準法に違反していないか
- 不正受給をしていないか
また、支給決定から実際の振り込みまでにはタイムラグがあります。そのため、費用は先払いになるため、注意が必要です。
申請書類の確認が終わると、助成金額が確定し支給されます。
開業資金として申請できる補助金・助成金
開業資金として申請できる補助金・助成金について解説します。
事業関連の補助金
事業関連の補助金は以下の通りです。
制度名 |
概要 |
小規模事業者持続化補助金 |
|
ものづくり補助金 |
|
事業再構築補助金 |
|
IT導入補助金 |
|
厚生労働省系
厚生労働省系の助成金は以下の通りです。
制度名 |
概要 |
雇用調整助成金 |
|
両立支援等助成金 |
|
人材開発支援助成金 |
|
人材確保等支援助成金 |
|
キャリアアップ助成金 |
|
▼関連記事
創業補助金については、「創業補助金とは?活用するメリットやデメリット、申請手順を解説」をあわせてご覧ください。
▼関連記事
人材確保等支援助成金については、「人材確保等支援助成金とは?対象資格や助成金額をわかりやすく解説」をあわせてご覧ください。
自治体独自のもの
自治体独自の補助金・助成金があります。J-Net21では、地方自治体が募集している補助金や助成金を検索可能。
代表的な例は以下の通りです。
制度名 |
概要 |
創業助成事業(東京) |
|
大阪起業家 グローイングアップ事業 (大阪) |
|
その他
開業資金を調達するには以下の機関も利用できます。
制度名 |
概要 |
日本政策金融公庫 |
|
金融機関 |
|
クラウドファンディング |
|
ビジネスローン |
|
友人や親類からの借り入れ |
|
開業資金として助成金を申請する際の注意点
開業資金として助成金を申請する際の注意点について解説します。
申請までに手間や時間がかかる
事業計画書の作成や期限内の提出などで手間も時間もかかります。通常、申請から受給できるまでの期間は約1〜2カ月ですが、1年近くかかる助成金もあるため、応募前に確認が必須です。
書類不備や、要件を満たしていない場合は申請が通らず、不支給となってしまいます。
不正受給が発覚すると、不正受給額の2割相当額を返還請求されるだけではなく、5年間の不支給措置となるため注意が必要です。
審査を通過するには、以下の専門家のアドバイスを受ける方法もあります。
- 税理士
- 中小企業診断士
- 経営コンサルタント
- 社会保険労務士
- 行政書士
公募期間が決まっているものがある
公募期間が長いとはいわれるものの、年齢や従業員数などの条件がある場合もあるため、期限には注意しておきましょう。その他例えば、キャリアアップ助成金では中小企業の範囲は以下の通りです。
資本金の額・出資の総額 |
労働者数 |
|
小売業(飲食店を含む) |
5,000万円以下 |
50人以下 |
サービス業 |
5,000万円以下 |
100人以下 |
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
その他の業種 |
3億円以下 |
300人以下 |
また、人材開発支援助成金の特定訓練コースは「35歳未満の若年労働者」や「15歳以上45歳未満の労働者」を条件にしています。
申請する場合、厚生労働省のWebサイトで要件を確認しておきましょう。
後払いであるため一時的な負担がいる
助成金は、採択されてもすぐにお金が支給されるわけではないため、注意が必要です。最初から助成金を当てにするのはリスクが高いでしょう。
また、以下のように所定の手続きと書類の準備も必要なため、受給には時間がかかります。
- 事業を実施
- 報告書を作成・提出
- OKが出て受給
上述したように申請から受給できるまで時間がかかるため、資金調達が必要になります。急ぎの場合は、助成金以外の方法も視野に入れましょう。
起業・開業資金に使える助成金の種類や申請方法を解説しました
開業資金に使える助成金について知りたい方向けに、開業資金として助成金を申請するまでの流れや開業資金として申請できる補助金・助成金などを解説しました。
開業資金として助成金を申請するまでの流れは以下の通りです。
- 助成金を探す
- 申請書類を提出する
- 採択後に計画を実行する
- 申請書類を提出して受給する
本記事で紹介した内容をもとに、開業資金に使える助成金の申請を検討してみましょう。