【2023年度】50歳以上の雇用で利用できる助成金は?種類や詳細を解説!

【2023年度】50歳以上の雇用で利用できる助成金は?種類や詳細を解説!

50歳以上の労働者を雇用して助成金を利用したいが、どの助成金を選ぶべきか分からず、お困りではないでしょうか。

本記事では50歳以上の労働者を雇用する際に利用できる助成金や、その詳細を解説します。自社に合う助成金を選び、申請につなげていきましょう。

目次
  1. 1. 50歳以上の雇用で利用できる助成金の種類
  2. 2. 65歳超雇用推進助成金【高年齢者無期雇用転換コース】|50歳以上定年前が対象
    1. 2-1. 支給額
    2. 2-2. 受給要件
    3. 2-3. 対象事業主
    4. 2-4. 申請方法
    5. 2-5. 申請期間
  3. 3. 中途採用等支援助成金【中途採用拡大コース】|45歳以上の採用で助成額増加
    1. 3-1. 助成額
    2. 3-2. 対象労働者
    3. 3-3. 支給要件
    4. 3-4. 申請方法
    5. 3-5. 申請期間
  4. 4. 労働移動支援助成金【早期雇入れ支援コース】|再就職援助計画などの対象者雇用
    1. 4-1. 助成額
    2. 4-2. 対象労働者
    3. 4-3. 支給要件
    4. 4-4. 申請方法
    5. 4-5. 申請期間
  5. 5. 50歳以上の雇用で利用できる助成金について解説しました

50歳以上の雇用で利用できる助成金の種類

50歳以上の雇用で利用できる助成金は3つありますが、要件に違いがあるため、条件にあったものを選ぶことが大切です。具体的には以下のように考えるとよいでしょう。

  • 有期契約労働者を無期雇用労働者にしたい場合:65歳超雇用推進助成金【高年齢者無期雇用転換コース】
  • 45歳以上の中途採用を増やしたい場合:中途採用等支援助成金【中途採用拡大コース】
  • 再就職援助計画などの対象者を雇用したい場合:労働移動支援助成金【早期雇入れ支援コース】

それぞれの助成金の詳細について、次で解説します。

関連記事:高齢者の雇用に活用できる助成金一覧|受給要件や助成額などを紹介

65歳超雇用推進助成金【高年齢者無期雇用転換コース】|50歳以上定年前が対象

65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が実施する助成金です。50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用労働者に転換させた事業者を対象としています。

参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構|65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)

支給額

支給額は対象労働者1人につき48万円(中小企業事業主以外の場合は38万円)です。1支給申請年度1適用事業所あたり10人が上限として設定されています。

受給要件

65歳超雇用推進助成金【高年齢者無期雇用転換コース】の受給要件は以下の両方を満たすこと
です。

  1. 無期雇用転換計画の認定
  2. 無期雇用転換計画の実施

無期雇用転換計画とは、有期契約労働者を無期雇用労働者に転換するための計画です。この計画を作成しJEEDの理事長から認定を受ける必要があります

計画が認定されたら、その計画を基に有期契約労働者を無期雇用労働者への転換を実施します。

ただし、高齢者の雇用について別の補助金を利用した場合、対象外となるため注意が必要です。

対象事業主

対象となる事業主は以下のすべてを満たす事業主です。

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 助成金の審査に必要な書類の整備や保管がされていること
  • 行われた場合、審査に協力できること
  • 高齢者等の雇用の安定等に関する法律(高齢法)に違反する規定がないこと、また規定違反により改善勧告を受けていないこと

また、無期雇用転換計画書の申請日から6ヶ月前から前日までの期間に以下のことをしていないことも要件です。

なお、中小企業事業主は資本金と従業員数が一定数以下の企業が該当します。業種ごとに設定される数字が異なり、基準となる資本金・出資額、常時使用する労働者の数は以下の通り。

  • 小売業:資本または出資額5,000万円以下、または常時使用する労働者数が50人以下
  • サービス業:資本または出資額5,000万円以下、または常時使用する労働者数が100人以下
  • 卸売業:資本または出資額1億円以下、または常時使用する労働者数が100人以下
  • 製造業・その他:資本または出資額3億円以下、または常時使用する労働者数が100人以下

受給要件ごとにも条件があるため、詳細は以下の資料をご確認ください。

参考:高年齢者無期雇用転換コース 支給申請の手引き(令和5年4月28日時点)(デジタルブック)

申請方法

申請はJEEDの各都道府県支部が窓口です。申請書類は窓口への持ち込みか郵送で送付します。必要書類は以下の通り。

  • 無期雇用転換計画書
  • 登記事項証明書などの写し
  • 定年または継続雇用制度が確認できる労働協約や就業規則の写し
  • 無期雇用転換制度が確認できる規定の写し
  • 雇用保険適用事業所設置届事業主控えの写しまたは雇用保険事業主各種変更届事業主控えの写し
  • 支給要件確認申立書
  • 高齢者雇用管理に関する措置を確認する書類
  • 提出書類チェックリスト

ただし、企業の状況によって必要書類が増えるため、詳細は末尾の資料をご確認ください。

郵送の場合は簡易書留など配達記録が残る形で送付し、締切前に申請書類が窓口に届いている必要があります

また申請書を提出したら、JEED事務所から申請内容の確認のため、現況確認が行われることがありますので注意しましょう。

参考:高年齢者無期雇用転換コース 支給申請の手引き(令和5年4月28日時点)(デジタルブック)

申請期間

申請期間は受給要件の1と2で期間が変わります。

受給要件1については、申請期間は対象となる高齢者雇用についての計画実施から、6ヶ月前の日から3ヶ月前の日までです。

受給要件2については、計画を実施し体制を転換してから、6ヶ月分の賃金を支給した日の翌日から起算し、2ヶ月以内です。

中途採用等支援助成金【中途採用拡大コース】|45歳以上の採用で助成額増加

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)は厚生労働省が実施し、中途採用者の雇用管理制度を整備して中途採用の拡大を目指す事業主の支援を目的としています。

中途採用拡大コースは45歳以上の中途採用率を増やすことで、助成額が増額します。

参考:厚生労働省|中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)

助成額

中途採用等支援助成金の助成額は以下の通りです。

 

助成額

中途採用率の拡大

50万円

45歳以上の中途採用率の拡大

100万円

対象労働者

対象労働者は以下のすべてを満たす労働者です。

  • 中途採用で採用されている
  • 雇用保険で、一般被保険者または高年齢被保険者として雇用されている
  • 雇用期間の定めが設けられていない
  • 雇い入れ日の前から1年間、申請事業主と密接な事業主に雇用されていない
  • 雇い入れ時点での年齢が45歳以上である

支給要件

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の場合、中途採用計画を作成し労働局に届け出た上で、中途採用計画期間に以下の取組をすべて実施する必要があります。

  1. 計画期間中に2人以上の対象労働者を雇い入れる
  2. 計画期間中の中途採用率を、計画期間前の3年間と比較して20ポイント以上向上させる
  3. 計画期間中の45歳以上の中途採用率を、計画期間前3年間と比較して10ポイント以上向上させること
  4. 上記に該当する45歳以上の労働者全員の賃金を前職と比べて5%以上上昇させる

なお、中途採用率の計算方法などの詳細は、以下を参考にしてください。

参考:厚生労働省|中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)をご活用ください。(令和5年4月1日時点版)

申請方法

中途採用等支援助成金【中途採用拡大コース】では、計画作成時と支給要件作成時の2段階での申請が必要です。

1段階目の申請は助成対象となる労働者を雇用する前に、中途採用計画書を作成し、労働局に提出します。必要書類は以下の通りです。

  • 中途採用計画書
  • 中途採用者に適用される雇用管理制度が確認できる書類
  • 中途採用率算定対象一覧(計画期間前)

2段階目の申請は支給要件を達成後に申請が可能で、必要書類は以下の通りです。

  • 支給申請書
  • 中途採用率算定対象者一覧
  • 支給対象者雇用状況等申立書
  • 中途採用者に適用される雇用管理制度が確認できる書類
    (中途採用計画時に提出している場合は不要)
  • 支給対象者の雇い入れ日と雇用期間の定めがない労働者として雇用されていることがわかる書類
    (雇用契約書など)
  • 支給対象者の雇い入れ日から支給申請日までに支払われた賃金が、
    手当ごとに区分された賃金台帳
  • 支給対象者の雇い入れ日の属する月の出勤簿など
  • 45 歳以上支給対象者の雇入れ前事業所において支払われた賃金が確認できる書類
    (本人の同意が必要)

ただし、会社の規模や状況によって、必要書類が変わるため詳細はこちらで最新の内容をご確認ください。

申請期間

申請期間

画像引用:厚生労働省|中途採用等支援助成金ガイドブック-中途採用拡大コース-

申請期間は中途採用計画の実施日を基準に決められ、中途採用計画作成時と支給要件作成時の2段階での申請が必要です。

中途採用計画書の提出締切は、中途採用計画の開始日の前日の6ヶ月前から中途採用計画の開始日の前日までです。

また支給申請の締切は、中途採用計画期間の終了日の翌日から起算して6ヶ月を経過する日の翌日から2ヶ月以内です。

例えば中途採用計画期間の終了日が8月31日だった場合、6ヶ月後である2月1日から3月31日までが申請できる期間になります。

労働移動支援助成金【早期雇入れ支援コース】|再就職援助計画などの対象者雇用

労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)は、厚生労働省が実施し、再就職援助計画などの対象者を早期に雇用する事業主を支援する助成金です。

参考:厚生労働省|労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)

助成額

労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の助成額は、通常の場合と優遇助成の場合で助成額が変わります。それぞれについての説明は次の見出しで解説します。

 

助成額

賃金上昇加算

通常

30万円

20万円

優遇助成

40万円

賃金上昇加算の要件を満たした場合は、助成額に+20万円が上乗せされます。

また、対象労働者に対して、雇い入れ日から6ヶ月以内に訓練を開始した場合には以下の助成額が適用されます。

 

OFF-JT

OJT

 

賃金助成

訓練経費助成

(実費相当額) 

 

通常

900円/時

実費相当額

上限30万円

800円/時

優遇助成

※は賃金上昇加算に該当する場合

1,000円/時

※1,100円/時

実費相当額

上限40万円

※上限50万円

900円/時

※1,000円/時

対象労働者

労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の支給対象者となる労働者は、以下すべての条件を満たす必要があります

  • 「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者
  • 以前雇用されていた会社への復帰の見込みがないこと

「再就職援助計画」の対象者とは、30人以上の離職者を生じさせる事業規模の縮小により、離職した事業者です。「求職活動支援書」の対象は、45歳以上65歳未満で事業主都合の解雇などにより、退職を余儀なくされた労働者です。

対象となる労働者は「再就職援助計画」または「求職活動支援書」のいずれかの書類を所持しているため、該当書類の有無を確認しましょう。

支給要件

労働移動支援助成金【早期雇入れ支援コース】の支給要件は、以下すべてを満たすことです。

  • 支給対象者を離職日の翌日から3か月以内に期間の定めのない労働者として雇用する
  • 支給対象者を一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れること

ただし支給決定日までに支給対象者を雇用しなくなった場合には対象となりません。

優遇助成の要件は、一定の成長性が認められる事業所の事業主が、「再就職援助計画対象労働者証明書」に「特例対象者」として雇用した場合です。

賃金上昇加算の要件は、以下の要件をすべて満たす場合です。

  • 再就職援助計画の対象労働者
  • 雇い入れ前の賃金から雇い入れ後6ヶ月間の各月の賃金を5%以上上昇させた場合

申請方法

労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の申請は、申請期限より前に必要書類を準備し、管轄の労働局にて職業訓練計画の認定を受ける必要があります。

必要書類は以下の通りです。

  • 支給申請書
  • 支給要件確認申立書
  • 対象労働者雇用状況等申立書
  • 再就職援助計画対象労働者証明書または求職活動支援書の写し
  • 雇い入れ日と期間の定めのない労働契約を締結する労働者として雇用されていることが分かる書類(雇用契約書など)
  • 支給対象者に支払われた賃金が、手当ごとに区分された賃金台帳または船員報酬支払簿の写し

ただし、優遇助成を受ける場合など要件によって書類が増えるため、事前に必要書類の確認が必要です。各種要件の詳細確認や、必要書類のダウンロードは以下から行えます。

参考:厚生労働省|労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)

申請期間

労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の申請期限は、支給基準日(雇入れ日から起算して6ヶ月経過した日)の翌日から起算して2ヶ月以内です。

ただし人材育成支援計画を実施し、かつ職業訓練計画の終了した日が支給基準日以降の場合は締切が変わります。この場合、支給申請の期限が職業訓練計画が終了した日の翌日から起算して2ヶ月以内です。

50歳以上の雇用で利用できる助成金について解説しました

本記事では50歳以上の雇用で利用できる助成金を3種類解説しました。

利用できる助成金は対象となる労働者の要件等に違いがあるため、雇用条件や対象者を明確にして、自社の状況に合わせた助成金選びを行いましょう。