事業再構築補助金の実績報告書について解説。必要な書類や作成方法など要チェック!

事業再構築補助金の実績報告書について解説。必要な書類や作成方法など要チェック!

事業再構築補助金を受け取るために必須な実績報告書の作成方法で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、事業再構築補助金の実績報告書の作成方法や提出が必要になる書類、注意点を解説します。実績報告書を作成する際の参考にしてください。

目次
  1. 1. 事業再構築補助金の実績報告書とは
  2. 2. 事業再構築補助金の採択から受給までの流れ
  3. 3. 事業再構築補助金の実績報告に必要な申請書類
    1. 3-1. 補助対象経費の区分にかかわらず必要な証拠書類
    2. 3-2. 補助対象経費の区分ごとに必要な証拠書類
  4. 4. 事業再構築補助金の実績報告書の作り方
    1. 4-1. 証拠書類を日付順に並べる
    2. 4-2. 証拠書類にナンバリングする
    3. 4-3. 証拠書類をPDF化する
    4. 4-4. 様式に沿って書類を作成する
    5. 4-5. jGrantsで申請手続きを実施
    6. 4-6. 実地検査の要請があれば必ず対応する
  5. 5. 事業再構築補助金の実績報告書を作成するときの注意点
    1. 5-1. 中古品を購入した場合には3者以上の相見積書が必要
    2. 5-2. 建物または機械設備等を取得する場合、管理が不十分だと補助金対象外になる
    3. 5-3. 支払いで認められるのは原則銀行振込のみ
    4. 5-4. 見積書に詳細が確認できない項目があると補助金対象外
    5. 5-5. 経理証拠書類の原本がないと補助金対象外になる
    6. 5-6. 補助金額が1,000万円越えなら保険か共済へ加入義務が発生する
    7. 5-7. 証拠書類は原則5年保管か処分制限期間終了まで保管する
    8. 5-8. クレジットカードで支払うと追加書類が必要になる
    9. 5-9. 立替えた場合でも追加資料が必要になる
  6. 6. 【まとめ】事業再構築補助金の実績報告書について紹介しました

事業再構築補助金の実績報告書とは

事業再構築補助金の実績報告書とは、補助金の交付が決定された事業の実施結果を報告する書類のことです。実績報告書をもとにして補助金額を決定するので、補助金を受け取るために提出する必要があります。

実績報告書は、作成する際のルールが細かく定められているだけでなく、普段の取引では扱わない書類を添付して提出する必要がある書類です。そのため、必要書類の不足や記載ミスなどの理由で提出した書類の差し戻しが発生しがちです。

何度も差し戻しになってしまい再提出を繰り返すと、期限内に書類を提出できないおそれがあります。書類の提出が期限内に行われなかった場合、補助金の交付が取り消されることもあり得ますので、できる限り差し戻しが発生しないようにしましょう。

また、差し戻しをされたとしても、再提出をして間に合うように時間に余裕を持って提出することが大切です。

事業再構築補助金の採択から受給までの流れ

事業再構築補助金の採択から受給までの流れは、以下の通りです。

  1. 補助金交付候補者の採択通知
  2. 交付申請・審査・決定
  3. 補助事業実施
  4. 実績報告書提出
  5. 実地検査(必要に応じて)
  6. 確定通知書の受領
  7. 精算払請求
  8. 補助金振込
  9. 事業化状況報告

ただし、事前着手届出が受理をされている場合は、交付決定前であっても指定された期日以降に事業に着手できます。

実績報告の期限は「補助事業の完了日から30日」か「補助事業完了期限日」のうち早い方になるので注意してください。
提出した報告書が差し戻しになる場合も考えて、早めに提出するとよいでしょう。

事業再構築補助金の実績報告に必要な申請書類

事業再構築補助金の実績報告に必要な申請書類には、区分にかかわらず必要になる書類と区分によって必要になる書類があります。以下で詳細を説明していきます。

補助対象経費の区分にかかわらず必要な証拠書類

区分にかかわらず必要な書類は以下の2種類です。

  • 出納帳のコピー
  • 通帳のコピー

出納帳のコピーは、補助事業にかかわる経費の出納状況が記載されている部分を確認できるようにして提出しましょう。事業再構築補助金のWebサイトからダウンロードできる「参考様式19」を使用して提出することも可能です。

通帳のコピーは、補助事業にかかわった経費の出金が確認できる部分、金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義が確認できる状態のものを提出しましょう。

補助対象経費の区分ごとに必要な証拠書類

必要な書類は区分によって様々ですが、例として「機械装置・システム構築日」の区分で見ていきます。必要な書類は以下の通りです。

  • 見積依頼書(相見積書がある場合は、相見積をした見積依頼書も提出)
  • 見積書
  • 相見積書(相見積をしていない場合は、業者選定理由書を提出)

※交付決定(計画変更)時と内容に変更がない場合、本見積書のみの提出でも可能

  • 契約書(発注書または注文書と、請書または注文確認書でも代用可能)
  • 納品書または引渡書または完了報告書
  • 検収書(代替として、納品書などのコピーに「検収」「検収年月日」「立会者名」を追記したものでも可)
  • 設置後の写真(製造番号の記載があるものは、製造番号が明示されている部分の写真も提出)
  • システム構築の場合は、システムなどのトップ画面のスクリーンショット画像

(画像データ用台紙<参考様式17>に貼りつけてPDF化したもの)
※様式第7取得財産管理台帳に記載する単価50万円以上(税抜き)の物件など(財産)については写真を提出

  • 請求書
  • 代金支払済みを示す証票
    (銀行の振込金受領書または支払証明書など。ネット銀行の場合は、代金支払済みを示す取引記録などの画面のコピー)
  • 領収書(存在する場合)
  • 預り金元帳<参考様式19>(個人事業主と取引し源泉徴収を行った場合)
  • 源泉所得税の納付書のコピー(個人事業主と取引し源泉徴収を行った場合)

事業再構築補助金の実績報告書の作り方

事業再構築補助金の実績報告書は、電子申請システムによるインターネット上での受付のみとなっています。以下、順を追って報告書の作り方を解説していきます。

事業再構築補助金の実績報告書について解説。必要な書類や作成方法など要チェック!_1

証拠書類を日付順に並べる

最初に証拠書類を日付順に並べます。並べる順番は、見積依頼日→見積発行日→発注日→納品日(検収日)→請求日→支払日の順です。

発注日の同日以降に契約の締結がされているか、請求日の同日以降に支払いがされているかなどを確認しましょう。ただし、着手金や中間金の先払いが発生している場合は一部前後する場合があります。

証拠書類にナンバリングする

証拠書類が間違いなく日付順に並んでいることを確認したら、全ての証拠書類の右上に経費区別がわかるように番号を記入します。番号は手書きでも問題ありません。

例えば、建物を3棟建設した場合はそれぞれの書類「建-1」「建-2」「建-3」と記入、機械を2台導入した場合は「機-1」「機-2」のように記入します。経費を使ったもの1つに対して、見積書や発注書、注文請書、納品書などを1セットにしたものが同じ番号になるので間違えないように注意しましょう。

証拠書類をPDF化する

次に、ナンバリングした証拠書類ごとにPDF化します。ファイル名の付け方にルールがありますので、ファイル名を付ける際は気をつけましょう。

ファイル名は「R2で始まる受付番号_件名_証拠書類の内容」の形式です。例えば、機械を導入した場合は「R2xxxZxxxxx_機-1_見積書」「R2xxxZxxxxx_機-1_発注書」のように付けます。

上記のファイル名のルールにしたがって、全ての証拠書類をPDF化してください。1つのPDFファイルに複数の証拠資料をまとめて入れてしまうと、書類不備で差し戻しになるので注意してください。

様式に沿って書類を作成する

次に、様式に沿って書類を作成します。様式は、事業再構築補助金の公式Webサイトからダウンロード可能です。

事業再構築補助金公式Webサイト

実績報告書に使う様式は、電子申請システムにログインした状態でダウンロードしてください。報告書の作成に必要な様式は主に以下の通りです。

  • 補助事業実績報告書(様式第6)
  • 補助事業実績報告書(様式第6の別紙1)
  • 経費明細表(様式第6の別紙2)
  • 費目別支出明細書(様式第6の別紙3)
  • 取得財産等管理台帳(様式第7)

別紙1と別紙2は実績報告書を提出する際に必須です。また、別紙3は経費の区分ごとにシートが分かれているので、対象となる経費区分に対して入力してください。そのほか、クラウドサービスを利用した場合は、様式第6の別紙4もあわせて提出する必要があります。

jGrantsで申請手続きを実施

提出書類の準備ができたら、デジタル庁が運営する補助金の電子申請システム「jGrants」で申請手続きをします。郵送での提出は受け付けていませんので、JGrantsから申請してください。

jGrantsでは、24時間365日いつでも申請手続きができます。また、申請後はマイページから申請状況の確認が可能です。

パソコン、スマートフォン、タブレットに対応していますが、パソコンで利用する場合はGoogle ChromeやMozilla FirefoxなどのWebブラウザを使いましょう。Internet Explorerや、Microsoft edgeのInternet Explorerモードで使用するとエラーが発生することがあります。

実地検査の要請があれば必ず対応する

書類の提出後、検査官が事業の実施場所を訪問する「実地検査」が行われることがあります。実地調査は、jGrantsで提出した各証拠書類や取得した物件などが計画通りに整備されているか、機能するかを確認する作業です。実地調査が行われた場合は、速やかに確認作業が終わるように協力してください。

また、実地調査が行われる場合は原則として事前に連絡が来ます。実地調査の連絡が来た際は、確認作業をすみやかに行えるようにチェックされる箇所の確認をしておくとよいでしょう。

実地調査の結果が報告書の内容と相違がなければ審査に進みます。

事業再構築補助金の実績報告書を作成するときの注意点

事業再構築補助金の実績書を作成する際の注意点を解説します。ここで解説する注意点を知らずに報告書を作成した場合、不備で差し戻しになることもありますので、事前に確認しておきましょう。

注意点は以下の9つです。

  • 中古品を購入した場合には3者以上の相見積書が必要
  • 建物または機械設備等を取得する場合、管理が不十分だと補助金対象外になる
  • 支払いで認めらるのは原則銀行振込のみ
  • 見積書に詳細が確認できない項目があると補助金対象外
  • 経理証拠書類の原本がないと補助金対象外になる
  • 補助金額が1,000万円越えなら保険か共済へ加入義務が発生する
  • 証拠書類は原則5年保管するか処分制限期間終了まで保管する
  • クレジットカードで支払うと追加書類が必要になる
  • 立替えた場合でも追加資料が必要になる

中古品を購入した場合には3者以上の相見積書が必要

中古品を購入した場合には、中古市場での適正価格であることを証明する相見積書が必要になります。型式や年式が記載されていて、性能が同程度であることを確認できる3者以上の相見積書を用意しましょう。

相見積書は、有効期限が切れていると書類不備になってしまうため、見積期限が有効かどうかを確認してください。また、海外業者から見積書をもらった場合は、見積書を和訳したものの提出も必要になるので忘れずに用意しましょう。

「中古市場においてその価格設定の適正性が明確でない中古品」と判断されてしまうと補助対象外経費になります。3者以上の相見積書を用意できないような珍しい機械設備を購入予定の場合は、一般的に使われている機械で代替できないか検討してみてもよいでしょう。

建物または機械設備等を取得する場合、管理が不十分だと補助金対象外になる

建物や機械設備などを取得した場合は、補助事業者として適切に管理をする必要があります。管理の基準として「善良な管理者の注意をもって管理すること(いわゆる善管注意義務)」と定められています。その建物や機械設備を扱う職業にある人として一般的に要求される程度の注意を払いながら管理しましょう。

また、自社ですでに取得している在庫品を使用した場合や、承認を得ずに購入した場合、補助事業以外の目的で利用されている場合は、補助金の対象外になります。

そのほか、補助金を利用して購入した建物や機械設備を別の目的で使用することは認められていません。補助金の不正利用が発覚すると大きなトラブルに発展するおそれもあるので、購入した建物や機械設備は申請した用途の通りに使用してください。

支払いで認められるのは原則銀行振込のみ

支払いで認められるのは、原則として銀行振込のみです。やむを得ない事情があってクレジットカードで支払う場合は、事前に事務局に相談しましょう。クレジットカードによる支払いは、補助事業の期間中に引き落としができないと認められない点にも注意が必要です。

また、他取引の債権との相殺による支払いや、手形、小切手、仮想通貨、ファクタリング、補助事業の期間内に完了しない割賦による支払いは認められません。

見積書に詳細が確認できない項目があると補助金対象外

見積書で詳細を確認できない項目がある場合は、補助金の対象外になります。諸経費、会社経費、一般管理費、現場管理費、雑費などの項目は、詳細を確認できるようにしておきましょう。

そのほか、計画変更の承認を得ずに変更した箇所は補助対象外となることがあります。申請した内容から変更がある場合は、事前に計画変更の手続きをして承認を得ましょう。

また、以下に該当する項目も補助金の対象外となります。

  1. 事務所などにかかる家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
  2. フランチャイズ加盟料
  3. 電話代や切手代、インターネット利用料金などの通信費(クラウドサービス利用費に含まれる付帯経費を除く)
  4. 商品券などの金券
  5. 販売する商品の原材料費、文房具などの事務用品などの消耗品代、雑誌購読料、新聞代、書籍代、団体などの会費
  6. 飲食、娯楽、接待などの費用
  7. 不動産の購入費、株式の購入費、自動車など車両(事業所や作業所内のみで走行し、自動車登録番号がなく、公道を自走できないものを除く。)の購入費・修理費・車検費用
  8. 税務申告、決算書作成などのために税理士、公認会計士などに支払う費用及び訴訟などのための弁護士費用
  9. 国などが行う一定の事務にかかわる役務に対する手数料(登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付など)
  10. 収入印紙
  11. 振込など手数料(代引手数料を含む)及び両替手数料
  12. 公租公課(消費税や地方消費税額など)
  13. 各種保険料
  14. 借入金などの支払利息及び遅延損害金
  15. 事業計画書・申請書・報告書などの事務局に提出する書類作成・提出にかかわる費用
  16. 汎用性があり、目的外使用になり得るもの(事務用のパソコン・プリンタ・文書作成ソフトウェア・タブレット端末・スマートフォン、デジタル複合機・カメラ・書籍・家具など)の購入費
  17. 中古市場においてその価格設定の適正性が明確でない中古品の購入費(3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積書を取得している場合は除く)
  18. 事業にかかる自社の人件費、旅費
  19. 補助金交付決定日よりも前に発注、購入、契約、または補助事業終了後に納品、検収などを実施したもの(補助事業者が指定した補助事業実施場所に引き渡されないもの)
    ※ 事前着手届出が受理されている補助事業者は除く。
  20. 再生エネルギーの発電を行うための発電設備及び当該設備と一体不可分の附属設備
    (太陽光発電を行うためのソーラーパネルなど)
  21. 上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費

経理証拠書類の原本がないと補助金対象外になる

補助事業終了後の確定検査の際に、経理証拠書類の原本を確認できないと補助対象外になるおそれがあるので、証拠書類の原本はきちんと保管しておきましょう。

伝票類は、種別(費目)別に時系列順に整理し、保管してください。

経理書類は「費目別支出明細書」に記載するための管理番号をつけて保管しましょう。

補助金額が1,000万円越えなら保険か共済へ加入義務が発生する

補助金額の合計が1,000万円を越える場合は、単価50万円(税抜き)以上の建物・施設・設備を対象として、保険か共済へ加入する義務があります。また、加入する保険や共済は、中小企業の場合は付保割合30%以上、中堅企業の場合は付保割合40%以上のものでなければいけません。

保険や共済に加入した場合は、契約書や証券書のコピーなどの「加入している証拠となる書類(証憑)」を提出する必要があるので、忘れないようにしましょう。

証拠書類は原則5年保管か処分制限期間終了まで保管する

実績報告書の提出が終わっても、提出した年度以降の5年間は書類を保管する必要があります。事業計画が5年以下の場合であっても、証拠書類の保存期間は5年なので、誤って処分をしないように注意してください。

また、50万円(税抜き)以上の建物や機械装置などの財産や、効用の増加した財産は、処分制限期間が終了するまで管理する必要があります。処分制限期間は、減価償却資産の耐用年数などに関する省令が準用されます。事務局の承認を得ずに処分することがないように気をつけましょう。

クレジットカードで支払うと追加書類が必要になる

やむを得ない事情がある場合は事業再構築補助金の事務局の承認を得てクレジットカードによる支払いができますが、その際は追加書類が必要になります。

追加で必要になるのは主に以下の3種類です。

  • カード会社発行のクレジットカード利用明細書
  • 領収書(クレジットの利用が確認できるもの)
    領収書がない場合はカード利用控えを提出
  • カード利用金額引き落とし口座通帳の該当部分のコピー

クレジットカードでの支払いによって付与されたポイントがある場合は、補助対象経費から減算しなければいけません。何ポイント付与されたか、1ポイントはいくらに相当するかを示す証拠書類を提出してください。

立替えた場合でも追加資料が必要になる

会社の名義ではなく個人の名義で支払いをして立替えが発生した場合には、追加書類が必要になります。

提出する書類は以下の2つです。

  • 会社から個人に対して支払いが行われたことを確認できる通帳のコピー
  • 会社から個人の口座に対して振込みを行ったことを確認できる支払証明書

立替え件数が多くなると資料を用意する作業も煩雑になってしまうので、立替えを精算した時点で、支払いの証拠となるコピーや証明書を用意しておくとよいかもしれません。

【まとめ】事業再構築補助金の実績報告書について紹介しました

事業再構築補助金の実績報告書に必要な書類や作成方法、注意点を解説しました。実績報告書を提出しなければ事業再構築補助金を受け取れないため、非常に重要な書類です。

報告書に必要になる書類や注意点を事前に把握して、事業中に用意できるものは事業中に用意しておくことを心掛けると、余裕をもって報告書を作成できます。また、報告書は作成ルールが複雑なため、注意をしながら作成しても差し戻しが発生することがあります。差し戻しが発生しても期限内に提出できるように、できる限り早めに報告書を作成するとよいでしょう。