事業再構築補助金の回復再生応援枠とは?要件や必要書類を詳しく解説
事業再構築補助金の回復再生応援枠の申請を考えているものの、要件や必要書類がわからず悩んでいる事業者の方もいるかと思います。
本記事では、事業再構築補助金の「回復再生応援枠」について幅広く解説します。要件や補助率をはじめ必要書類、計画書の書き方、公募スケジュールまでお伝えしているので、自社の申請にお役立てください。
事業再構築補助金の回復再生応援枠とは?
回復再生応援枠は、事業再構築補助金の中でも、新型コロナウイルスの影響によって業績が厳しくなった企業や事業再生に取り組みたい企業に向けた申請枠です。
回復再生応援枠は採択率が50%以上で推移している
事業再構築補助金の中でも、回復再生応援枠は採択率が50%前後で推移しています。第8回公募では1,522件の応募に対して879件の採択件数(約58%)。第9回公募では、1,146件の応募に対して590件が採択されています(約51%)。
2023年に正式名称が「物価高騰対策・回復再生応援枠」に変更された
回復再生応援枠は、第9回公募までの「緊急対策枠」と統合し、2023年より「物価高騰対策・回復再生応援枠」に変更されました。枠の趣旨は変わらず、新型コロナウイルスや物価高騰などによって業績が厳しい企業に対して補助を行います。
物価高騰対策・回復再生応援枠の対象者や補助率
続いて、物価高騰対策・回復再生応援枠の対象者や要件、補助率を見ていきましょう。
対象者・要件
新型コロナによって業況が厳しい企業と、原油価格や物価高騰の影響を受けている企業が対象です。公式ページには、申請要件は以下のように記載されています。
①事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること 【事業再構築要件】
②事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。 【認定支援機関要件】
③補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加、 又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加する見込みの 事業計画を策定すること【付加価値額要件】
④以下(a)(b)のいずれかを満たすこと
(a)2022年1月以降の連続する6か月間のうち、 任意の3か月の合計売上高が対2019~2021年の同3か月の合計売上高と比較して 10%減少していること (当該要件を満たさない場合は、2022年1月以降の連続する6か月のうち、 任意の3か月の合計付加価値額が対2019~2021年の同3か月の 合計付加価値額と比較して15%以上減少していることでも可。) 【売上高等減少要件】
(b)再生事業者 (Ⅰ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中の者又は Ⅱ.中小企業活性化協議会等において再生計画を策定済かつ再生計画成立後3年以内の者) であること【再生要件】 |
上記の要件を満たす必要があります。1つ目の「事業再構築指針」については以下のページをご参考ください。なお2つ目の「認定支援機関」とは、金融機関や商工会議所、弁護士、税理士など国が認めている支援者のことです。
参考:事業再構築指針
補助上限額・補助率
物価高騰対策・回復再生応援枠の補助上限額や補助率は、従業員数によって異なります。補助率については、「中小企業」なのか「中堅企業」なのかで異なるので注意しましょう。
従業員数 |
補助上限額 |
補助率 |
5人以下 |
1,000万円 |
中小企業:2/3 中堅企業:1/2 |
6〜20人 |
1,500万円 |
|
21〜50人 |
2,000万円 |
|
51人以上 |
3,000万円 |
中小企業と中堅企業の違い
補助上限額や補助率は、「中小企業」か「中堅企業」かで異なります。それぞれの違いを見てみましょう。
中小企業の範囲
中小企業は、中小企業基本法にて業種や資本金、従業員数などの範囲が決まっています。以下の通りです。
業種 |
要件(いずれかに該当) |
製造業その他 |
資本金3億円以下の会社 従業員数300人以下の会社および個人 |
卸売業 |
資本金1億円以下の会社 従業員数100人以下の会社および個人 |
小売業 |
資本金5千万円以下の会社 従業員数50人以下の会社および個人 |
サービス業 |
資本金5千万円以下の会社 従業員数100人以下の会社および個人 |
参考:事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)
中堅企業の範囲
中堅企業は、上記でお伝えした中小企業の範囲に該当しない会社のうち「資本金10億円未満」の会社を指します。
物価高騰対策・回復再生応援枠の必要書類
事業再構築補助金は原則、電子申請です。書類をファイル化したり、画像を添付したりして提出します。物価高騰対策・回復再生応援枠ではどのような書類が必要なのか見ていきましょう。
事業計画書
事業再構築補助金を申請する目的や収支計画、実施スケジュールなどを記載する書類です。主な項目は「補助事業の具体的取組内容」「将来の展望」「本事業で取得する主な資産」「収支計画」の4つです。認定支援機関のサポート・確認を受けた上で、最終的には事業者が計画書を作成します。
認定経営革新等支援機関による確認書
事業計画書を作成する際にサポート・確認を受ける「認定経営革新等支援機関」の確認書です。補助金額が3,000万円を超える場合は、支援機関だけでなく金融機関による確認書も必要となります。
決算書
法人の場合は、直近1期分の決算書が必要となります。決算書が提出できない場合は、「事業計画及び収支予算等」の書類が必要です。
ミラサポplusで作成した事業財務情報
事業再構築補助金を申請する際は、「GビズIDプライム」のアカウントが必要です。GビズIDと紐づけられた「ミラサポplus」にログインし、「電子申請サポート」から「事業財務情報」を入力します。ミラサポplusの操作方法については以下を参照ください。
従業員数がわかる書類
従業員数がわかる書類が必要です。企業であれば「労働者名簿」がスタンダードでしょう。労働者名簿の写しをファイルにして添付しましょう。
収益事業を実施していることを証明する書類
以下の書類によって、実際に事業で収益を生み出していることを示します。
法人の場合
- 直近の確定申告書別表一の控え
- 法人事業概況説明書の控え
個人事業主
- 確定申告書別表一の控え
- 所得税青色申告決算書の控え(白色申告の場合は収支内訳書の控え)
売上減少または再生計画策定に関する書類
物価高騰対策・回復再生応援枠では、以下どちらかの書類を選択して提出します。
- 売上減少を示す書類(例:2022年1月以降の売上が2019〜2021年に比べて減少)
- 中小企業活性化協議会などによる確認書
必要書類についての詳しい内容は、事業再構築補助金の公募要領をご参考ください。
物価高騰対策・回復再生応援枠の事業計画書の書き方
事業計画書の書き方は、基本的には他の枠と同様です。事業再構築補助金の事業計画書には「審査」があり、審査に通るためには下記の項目について詳細に記載する必要があります。
- 補助事業の具体的取組内容
- 将来の展望
- 本事業で取得する主な資産
- 収益計画
物価高騰対策・回復再生応援枠では、上記に加えて、今もなお新型コロナの影響を受け続けている旨を明記する必要があります。事業計画書については次の記事で詳しく解説しているのでご参考ください。
関連記事:事業再構築補助金の事業計画書の書き方とは?項目や作成のコツを解説
物価高騰対策・回復再生応援枠の公募スケジュールは?
2023年9月現在、第11回の事業再構築補助金の公募が行われています。申請締切は10月6日です。物価高騰対策・回復再生応援枠も同スケジュールで募集されているので、検討されている方は忘れずに申請しましょう。
【まとめ】事業再構築補助金の回復再生応援枠を紹介しました
回復再生応援枠は、2023年から「物価高騰対策・回復再生応援枠」に変更となっています。新型コロナや物価高騰の影響を受け続けている企業は最大3,000万円の補助を受けられます。事業計画書の書き方なども他の枠とほとんど同じなので、公募要領を参考にしたり、支援機関のサポートを受けたりしながら、必要な書類を揃えましょう。