【令和5年最新版】産業雇用安定助成金とは?活用メリットや申請方法を解説

【最新版】産業雇用安定助成金とは?活用メリットや申請方法を解説

新型コロナウイルスの影響などで雇用や人件費にお悩みの企業や担当者も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、産業雇用安定助成金をご紹介します。同助成金の特徴や活用メリットをはじめ、各コース、申請方法まで詳しく解説しています。

目次
  1. 1. 産業雇用安定助成金とは?
    1. 1-1. 産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)の仕組み
    2. 1-2. 出向元・出向先・従業員の3者にメリットがある
  2. 2. 産業雇用安定助成金の対象や助成金額
    1. 2-1. 対象者
    2. 2-2. 助成率と助成額
    3. 2-3. 出向期間は1ヶ月〜2年まで
  3. 3. 産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)の申請方法
    1. 3-1. 申請フロー
    2. 3-2. 必要書類
    3. 3-3. 申請期間
  4. 4. スキルアップ支援コースの内容
  5. 5. 事業再構築コースの内容
  6. 6. 【まとめ】産業雇用安定助成金は自社・従業員ともに経済的なメリットが大きい

産業雇用安定助成金とは?

産業雇用安定助成金は、新型コロナウイルスの影響で事業の撤退や縮小などをせざるを得なくなった企業に対する助成金です。厚生労働省が主導で行っています。

本助成金には以下の3つのコースがあります。

  1. 雇用維持支援コース
  2. スキルアップ支援コース
  3. 事業再構築支援コース

本記事では主に「雇用維持支援コース」について詳しく解説します。

産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)の仕組み

雇用維持支援コースは、主に在籍型出向(今の会社に在籍しながら新たな会社と契約を結ぶこと)によって、従業員の雇用を維持する場合に助成を受けられる制度です。

出向元(従業員を送り出す企業)・出向先(従業員を受け入れる企業)の両者に対して、賃金や経費など出向関連費を助成します。

出向元・出向先・従業員の3者にメリットがある

出向元・出向先・従業員の3者にメリットがある

画像引用:在籍出向支援 | 厚生労働省

雇用維持支援コースは、出向元・出向先・従業員の3者にメリットがあります。自社を出向元とした場合のメリットは以下の通りです。

対象者

メリット

出向元(自社)

人件費を削減できる

従業員の在籍を維持できるため人材を確保しやすい

出向先(受け入れ企業)

人手不足の解消に繋がる

新たな知識やスキルを持った人材を雇用できる

従業員

収入が安定する

新たな知識やスキルを習得できる

さまざまな業界で人手不足が叫ばれている昨今。同コースでは「人材確保」において、出向元・出向先双方にとってメリットが大きいです。出向先は、新たに従業員を受け入れることで企業全体の活性化が期待できるでしょう。従業員にとっても、新たな環境で働くことでモチベーションが向上するメリットがあります。

産業雇用安定助成金の対象や助成金額

産業雇用安定助成金の対象や助成金額を見ていきましょう。対象となる事業主や助成率・上限額、対象となる費用について解説します。

対象者

本助成金の対象者は「出向元企業」「出向先企業」「従業員」の3者。主に申請を行うのは出向元企業ですが、出向先企業にも提出書類があります。双方で結ぶ契約書をはじめ派遣先管理台帳、就業規則などの書類が必要です。詳しくは後述します。

助成率と助成額

続いて、助成金額を見てみましょう。助成金額は「出向初期費用助成」「出向運営経費助成」「出向復帰後訓練助成」の3つに分類されます。

1. 出向初期費用助成

 

助成金額

加算額

出向元・出向先

1人10万円(定額)

1人5万円(定額)

対象者は出向元企業と出向先企業です。出向者の受け入れにあたっての規則や書類などの整備費用や教育訓練、機器・備品などの購入費用が助成されます。

2. 出向運営経費助成

 

助成率

(中小企業)

助成率

(中小企業以外)

上限額

出向元が従業員の解雇などを

行っていない場合

9/10

3/4

1人12,000円/1日あたり

出向元が従業員の解雇などを

行っている場合

4/5

2/3

企業グループ内出向の場合

2/3

1/2

出向元企業と出向先企業のいずれも対象となります。賃金や教育訓練、その他労務関連費などが助成されます。

3. 出向復帰後訓練助成

 

経費助成

賃金助成

出向元

実費(上限30万円)

1人900円(時給)

※上限600時間

出向から戻ってきた従業員に対して、出向先で得たスキルや経験を活かすための訓練を行った場合に、賃金や経費が一部助成されます。対象は出向元企業のみです。

出向期間は1ヶ月〜2年まで

産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)には、従業員の出向期間が1ヶ月〜2年と定められています。これまでは最長で1年でしたが、2022年10月より「最長2年」に延長されました。同期間内に従業員が出向した場合にのみ、助成金が支給されます。

産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)の申請方法

産業雇用安定助成金の申請方法をご紹介します。申請フローと必要書類、申請期間について解説しているので、申請を検討されている方はご確認ください。

申請フロー

まずは産業雇用安定助成金の申請フローを見ていきましょう。申請は基本的に「出向元企業」が行います

  1. 出向先の選定
  2. 出向元企業と出向先企業で契約を結ぶ
  3. 出向予定者(従業員)の同意を得る
  4. 労働組合との協定を結ぶ
  5. 出向計画書を提出する
  6. 出向の実施
  7. 助成金の支給申請を行う
  8. 助成金の入金

申請にあたっては、出向元・出向先・従業員の3者すべての同意が必要です。出向元と出向先の契約ならびに従業員の同意を得られたら、出向元と出向先が共同事業主として「出向計画書」を作成し、各都道府県の労働局またはハローワークへ提出します。出向実施後は、支給申請の内容に基づいて助成金が入金されます。

必要書類

産業雇用安定助成金の申請にあたって、以下の書類が必要となります。

  • 出向計画書(出向元・出向先両方)
  • 出向先事業所別調書
  • 出向初期経費に係る計画届(出向先)
  • 事業所の事業活動の状況に関する申出書(出向元・出向先両方)
  • 出向に係る本人同意書(従業員の同意)
  • 出向協定に関する書類
  • 事業所の状況に関する書類
  • 出向契約に関する書類 

上記の書類以外にも、労働局が定める書類を求められる場合があるので、管轄内の労働局へお問い合わせください。書類について詳しい内容は、厚生労働省の産業雇用安定助成金ガイドブックに記載されています。

申請期間

現在、産業雇用安定助成金は募集を行っていますが、申請期限については記載されていません。期限について知りたい方は、都道府県の労働局やハローワークにお問い合わせください。厚生労働省では、専用のコールセンターも設けています。

【参考】「産業雇用安定助成金」のお問い合わせ対応をコールセンターで開始します | 厚生労働省

スキルアップ支援コースの内容

スキルアップ支援コースは、2022年12月に創設された産業雇用安定助成金の一種です。従業員のスキルアップを目的に在籍型出向を行った企業(出向元)に対して、従業員の賃金を一部負担します。従業員の復帰後の賃金を5%以上上昇させた出向元企業が対象です。

 

助成率

上限額

中小企業

2/3

1人8,355円/1日あたり

※1事業所1年間1,000万円まで

中小企業以外

1/2

スキルアップ支援コースについての詳細は、厚生労働省による公式ページをご参考ください。

事業再構築コースの内容

事業再構築コースは、新型コロナウイルスの流行などで事業の撤退や縮小せざるを得なくなった事業主が事業を再構築する際に助成を受けられます。主に事業再構築時の人材確保に関する費用が助成されます。中小企業庁が行う「事業再構築補助金」の交付決定を受けている事業主または労働者が対象です。

 

助成率

助成対象期間

中小企業

280万円/1人あたり

1年

中小企業以外

200万円/1人あたり

上記でお伝えした内容以外にも条件があるので、詳しくは厚生労働省による公式ページをご参照ください。

【まとめ】産業雇用安定助成金は自社・従業員ともに経済的なメリットが大きい

産業雇用安定助成金は、自社や転職先企業、従業員の3者にメリットのある助成金です。自社から他社に転職する場合も助成を受けられるため、雇用維持が難しい場合でも、従業員の経済的な負担を抑えることができます。雇用や人件費にお悩みの企業は、ぜひ同助成金を活用なさってください。