助成金申請は代行できる?選び方や料金相場・注意点を解説
助成金の申請をしたくて自治体のサイトなどを見たものの、難しくて自分ではできそうにないとお悩みではありませんか?
おすすめの代行会社がわかれば、助成金の申請もスムーズにできます。この記事では、助成金申請代行を依頼するメリット・デメリットや助成金申請代行の流れなどについて解説。
最後まで読めば、助成金の申請代行に関する内容を理解でき、代行を依頼するか判断できます。
助成金申請代行ができるのは社労士のみ
助成金申請代行ができるのは社労士のみ。社会保険労務士法第27条では下記のように定義しています。
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。
引用:e-GOV
上記のように、法律で助成金申請代行ができるのは社労士のみとされているため、社労士以外の業者に依頼すると不正受給になってしまいます。
不正受給になると以下の罰則があります。
- 助成金の全額返還
- 不正受給額の2割相当額を返還請求
- 5%の延滞金
- 企業名の公開
- 5年間の不支給措置
また、社労士の中でも助成金申請に強い社労士でないと申請が通らない可能性があります。
補助金は申請代行に資格がいらない
補助金は資格が必要ないため、金融機関や弁護士でも申請可能。補助金と助成金の違いは以下の通りです。
項目 |
助成金 |
補助金 |
管轄 |
厚生労働省・ 経済産業省 |
経済産業省・ 地方自治体 |
目的 |
雇用関係・ 研究開発 |
公益性がある 事務・事業 |
依頼できる申請代行 |
|
|
難易度 |
低い |
高い |
財源 |
雇用保険料 |
税金 |
申請期間 |
通年 |
短い |
事例 |
|
|
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人材確保等支援助成金については、「人材確保等支援助成金とは?対象資格や助成金額をわかりやすく解説」をあわせてご覧ください。
助成金申請代行を依頼するメリット
助成金申請代行を依頼するメリットについて解説します。
書類の不備が少なくなる
助成金申請代行を依頼すると、社労士は助成金の資料を作り慣れているため、不備が少なくなります。
助成金の申請には、労働基準法に則った以下の書類が必要です。
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 出勤簿
- 就業規則(助成金による)
助成金申請代行を依頼すると、申請前に書類をチェックしてもらうことが可能。労働局やハローワークの方針も把握できます。
記載不備があると申請できないため、自信がなければ社労士に依頼するのがおすすめです。
手間がかからない
書類作成は複雑で時間も手間もかかります。手間をかけたくない、社内リソースがない場合は社労士への依頼が有効。
助成金の申請は以下の手順で行うため、手間と時間がかかります。
- 申請書類を提出
- 採択後に計画を実行
- 報告書を作成・提出
- OKが出て受給
募集要項も複雑なため、本業と並行して準備するのは困難です。助成金申請代行を依頼する方が作業負担を減らせるでしょう。
経営相談が受けられる
助成金申請に使う資料は経営に係るものであるため、一緒にアドバイスを受けることが可能。助成金についても情報を得られるメリットがあります。
助成金申請代行を利用すると、自社がどの助成金を使えるのか教えてもらうことが可能。自社が選ぶ助成金より有利なものを申請できる可能性があります。
また、契約を結んでいる助成金申請代行の場合、新規事業で利用できる補助金をあらかじめ教えてもらえます。助成金を利用しながらの資金繰りも可能です。
助成金申請代行を依頼するデメリット
助成金申請代行を依頼するデメリットは、着手金や依頼料で費用がかかること。
申請は以下のように多くの工程があるため、人件費がかかります。
- 助成金の調査
- 要件の勉強
- 申請書・提出資料の作成
- 行政機関への提出
- 行政機関職員への説明(不足分)
- 審査時に行政機関に問合せ
- 不足分の資料提出
また、助成金の実績がない社労士に依頼すると申請がうまくいかない可能性もあります。採択が通らない場合でも、相談料や着手金を請求されるため、注意が必要です。採択率を上げるには実績が多い助成金申請代行に依頼する方がいいでしょう。
助成金申請代行の費用相場
助成金申請代行の一般的な費用相場は以下の通りです。
項目 |
費用相場 |
着手金 |
2~5万円 |
成功報酬 |
助成金額の10~30% |
着手金無料の場合は成功報酬が高いこともあるため注意が必要です。顧問契約をしている場合少し安くなる可能性もあります。社労士によって異なるため、一度問い合わせてみましょう。
なお、社労士への成功報酬に関する支払いは助成金受給後です。
▼関連記事
健康診断で活用できる助成金については、「【2023年(令和5年)】健康診断で活用できる助成金を徹底解説」をあわせてご覧ください。
助成金申請代行を依頼する際の注意点
助成金申請代行を依頼する際の注意点について解説します。
報酬や実績を確認する
支払う報酬額や実績の有無について確認が重要。助成金申請代行専門会社なら、実績は豊富です。社労士は、相談のみは無料ですが、申請手続きを行い受給となった場合に社労士が助成金の1〜2割を報酬として得るのが一般的。
理由をつけて、助成金から報酬を多めに取ろうとするところがあるため、注意が必要になります。また、大前提として申請代行が得意かどうかの確認が必要です。
社労士は得意分野がそれぞれ異なります。また助成金は制度変更が多いため、助成金が得意な社労士を選ぶのがおすすめです。
得意な社労士の場合、申請書類を通過できるようなコツについてアドバイスをしてくれます。また、併給可能な助成金などの有利な情報も得ることが可能。
社労士に依頼する場合、最初に無料相談を利用できます。
悪質業者に注意する
免許を持っていない社労士や不当に高額な請求をしてくるコンサルティング会社など、悪質業者もあるため注意が必要。相談者が申請要件を満たさない場合、虚偽の書類で申請させようとします。
違法業者にそそのかされて、申請すると不正受給となってしまいます。不正受給をすると、詐欺罪に当たるだけではなく、企業名も公表されてしまうでしょう。
報酬や実績を確認し、本物の社労士であるかどうかのチェックをおすすめします。
サポートの範囲を確認する
依頼する場合はサポート範囲を確認しておく必要があります。申請のみなのか、別料金でも実施報告までお願いできるか確認したほうがいいでしょう。
助成金申請代行における確認事項は以下の通りです。
- 初回相談の予約がしやすいか
- 自社に合った助成金の提案をしてくれるか
- 事業体制のアドバイスをしてくれるか
- コミュニケーションが丁寧か
- 着手金が必要か
料金が相場よりも安い業者は希望通りのサービスを受けられない可能性もあります。相場よりも低すぎる場合、なぜ安いのかを確認し、助成金申請代行を見極めることが重要です。
助成金申請代行の流れ
助成金申請代行の流れについて解説します。
申請する助成金を選ぶ
申請できる助成金を探すところから始まります。社労士と一緒に探すとすぐに見つかることも。助成金には様々な申請要件があり、種類によって異なります。
助成金・補助金は補助金幹事で検索することができます。条件によって、支給額が変わるため応募要件は確認しておきましょう。
例えば、キャリアアップ助成金の中小企業に関する定義は以下の通りです。
資本金の額・出資の総額 |
労働者数 |
|
小売業(飲食店を含む) |
5,000万円以下 |
50人以下 |
サービス業 |
5,000万円以下 |
100人以下 |
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
その他の業種 |
3億円以下 |
300人以下 |
申請代行ができる社労士を選ぶ
申請代行には資格を持った社労士が必要です。申請する時点で申請代行する社労士が決まっていなければ、助成金が決まった後にでも社労士を探します。
すぐに見つからない可能性もあるため、事前に探しておく方がいいでしょう。申請代行する社労士を選ぶ場合、資金調達に強い社労士がおすすめ。社労士を抱えている税理士事務所や弁護士事務所であれば依頼も可能です。
上述したように違法業者に依頼するとペナルティを科せられます。助成金代行ができるのは、資格を持った社労士だけと法律で定められているからです。しかし、厚生労働省からの業務委託と伝え、申請をすすめる業者もいるため、注意が必要です。
ヒアリングや申請書作成のサポートを受ける
社労士によるヒアリングや申請書類作成のサポートを受けます。申請書類作成まで依頼する場合もヒアリングの時間を確保します。
助成金は、申請要件をクリアするために、事業計画書を作成する必要があります。社労士のアドバイスを受けながら要件を満たすように書類を作成します。申請書は複雑ですが、社労士のサポートを受けると書類作成もスムーズに行くでしょう。
申請手続きを行う
提出時に必要な書類がそろっているかを確認して提出。社労士に依頼しておくと、チェックまで請け負ってくれる可能性があります。
支給申請が1度だけではなく、場合によっては複数回支給申請ができる場合も。
助成金は事業が開始してから支給申請まで、2カ月以内と制限を設けているものもあるため、注意が必要です。
採択・受給が終了するまでサポートを受ける
採択後は事業に取り掛かることになるため、サポートを受けるといいでしょう。
助成金は採択されてもすぐに支給されず、支給申請してから審査後に支給決定されます。
支給申請の書類を作成する場合も、社労士への相談により審査に通りやすくなります。書類の不備があると不支給となってしまうため、助成金が支給されるまでサポートを受けるのがおすすめです。
助成金の申請代行を依頼できる社労士事務所
助成金の申請代行を依頼できる社労士事務所について解説。
社会保険労務士法人かぜよみ
画像引用:社会保険労務士法人かぜよみ
「社会保険労務士法人かぜよみ」は、8名の社労士を抱え、300件超の助成金に関する支給実績がある社労士事務所です。様々な得意分野を持った社労士がいるため、中小企業から大企業まで、様々な業種に対応しています。
「社会保険労務士法人かぜよみ」は、以下に関する助成金申請業務について代行。
- 申請書類作成
- 助成金に必要な規定作成
- 事前届出書類の作成・提出
項目 |
費用 |
初回訪問相談 |
無料 |
着手金 |
50,000円 |
報酬 |
助成金受給額の30%(顧問契約の場合:20%) |
JNEXT社会保険労務士法人
「JNEXT社会保険労務士法人」は、経営者の視点を持ったコンサルタントが、人事労務制度について提案し、運用サポートをする社労士事務所。助成金コンサルを含む助成金申請代行を行っています。
労務顧問契約を前提に助成金対応をオプションで提供。
項目 |
費用 |
労務顧問料 |
15,000円/月~(契約期間:12か月~) |
手続代行オプション |
労務顧問報酬 +(従業員数 × 1,000円) |
助成金申請代行の選び方や料金相場を解説しました
助成金申請代行について知りたい方向けに、助成金申請代行を依頼するメリット・デメリットや助成金申請代行の流れなどを解説しました。
助成金申請代行の流れは以下の通りです。
- 申請する助成金を選ぶ
- 申請代行ができる社労士を選ぶ
- ヒアリングや申請書作成のサポートを受ける
- 申請手続きを行う
- 採択・受給が終了するまでサポートを受ける
本記事で紹介した内容をもとに、助成金申請代行への依頼を検討してみましょう。