事業再構築補助金は個人事業主でも申請できる?採択のポイントを解説!

事業再構築補助金は個人事業主でも申請できる?採択のポイントを解説!

個人事業主の中には、事業再構築補助金が申請可能か知りたい方もいるのではないでしょうか。この記事では、事業再構築補助金の概要や個人事業主が適用となる申請枠・条件・手順などについて解説します。

最後まで読めば、事業再構築補助金の採択ポイントが分かり、補助金の申請を検討できます。

目次
  1. 1. 事業再構築補助金とは
  2. 2. 事業再構築補助金は個人事業主でも申請可能
  3. 3. 個人事業主が適用となる申請枠
    1. 3-1. 成長枠
    2. 3-2. グリーン成長枠
    3. 3-3. 卒業促進枠
    4. 3-4. 産業構造転換枠
    5. 3-5. 最低賃金枠
    6. 3-6. 物価高騰対策・回復再生応援枠
  4. 4. 事業再構築補助金の要件
    1. 4-1. 売り上げが減少していること
    2. 4-2. 資本金が10億円未満の事業であること
    3. 4-3. 事業再構築指針に該当していること
  5. 5. 事業再構築補助金の採択率
  6. 6. 事業再構築補助金申請時に必要な書類
  7. 7. 事業再構築補助金の申請手順
    1. 7-1. GbizIDの取得・ミラサポplusの会員登録
    2. 7-2. 必要書類の作成
    3. 7-3. 電子申請
  8. 8. 【最新】事業再構築補助金の公募スケジュール
  9. 9. 事業再構築補助金でよくある不採択理由
    1. 9-1. 財務状況の証明不備
    2. 9-2. 事業の実施体制が整っていない
    3. 9-3. 受信通知の不備(白色申告者)
  10. 10. 事業再構築補助金を個人事業主が申請する方法を紹介しました

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、新型コロナの影響を受け、以下の取組を行い事業再構築を図る中小企業や中堅企業等の挑戦を支援するものです。

  • 新市場進出
  • 事業・業種転換
  • 事業再編
  • 国内回帰

補助対象経費は以下の通りです。

  • 建物費
  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 研修費
  • 廃業費

事業再構築補助金には8つの枠があり、それぞれの補助上限額と補助率は以下の通りです。

補助上限額

補助率

成長枠

  • ・従業員数20人以下:

 100万円~2,000万円

  • ・従業員数21~50人:

 100万円~4,000万円

  • ・従業員数51~100人:

 100万円~5,000万円

  • ・従業員数101人以上:

 100万円~7,000万円

中小企業者等:補助対象事業経費の1/2

(大規模な賃上げを行う場合2/3)

中堅企業等:1/3

(大規模な賃上げを行う場合1/2)

グリーン成長枠

(エントリー)

中小企業者等:

  •  ・従業員数20人以下:

  100万円~4,000万円

  •  ・従業員数21~50人:

  100万円~6,000万円

  •  ・従業員数51人以上:

  100万円~8,000万円

中堅企業等:100万円~1億円

中小企業者等:1/2

中堅企業等:1/3

グリーン成長枠

(スタンダード)

中小企業者等:100万円~1億円

中堅企業等:100万円~1.5億円

中小企業者等:1/2

中堅企業等:1/3

卒業促進枠

成長枠・グリーン成長枠の

補助金額上限に準じる

中小企業者等:1/2

中堅企業等:1/3

大規模賃金

引上促進枠

100万円~3,000万円

中小企業者等:1/2

中堅企業等:1/3

産業構造転換枠

  • ・従業員数20人以下:

 100万円~2,000万円

  • ・従業員数21~50人:

 100万円~4,000万円

  • ・従業員数51~100人:

 100万円~5,000万円

  • ・従業員数101人以上:

 100万円~7,000万円

※廃業を伴う場合は、

廃業費を最大2,000万円上乗せ

中小企業者等:2/3

中堅企業等:1/2

最低賃金枠

  • ・従業員数5人以下:

 100万円~500万円

  • ・従業員数6~20人:

 100万円~1,000万円

  • ・従業員数21人以上:

 100万円~1,500万円

中小企業者等:3/4

中堅企業等:2/3

 

物価高騰対策・

回復再生応援枠

  • ・従業員数5人以下:

 100万円~1,000万円

  • ・従業員数6~20人:

 100万円~1,500万円

  • ・従業員21~50人:

 100万円~2,000万円

  • ・従業員51人以上:

 100万円~3,000万円

中小企業者等:2/3

中堅企業等:1/2

事業再構築補助金は個人事業主でも申請可能

個人事業主でも事業再構築補助金は申請可能です。具体的な条件は下記の通り。ただし、個人事業主で申請可能な枠は決まっています。

事業再構築補助金は個人事業主でも申請できる?採択のポイントを解説!_1

画像引用:事業再構築補助金 公募要領

個人事業主が適用となる申請枠

事業再構築補助金は個人事業主でも申請できる?採択のポイントを解説!_5

個人事業主が適用となる以下の申請枠について解説します適用となる枠は短期間で変わるため注意してください。

最新情報は下記をチェックください

中小機構 事業再構築補助金 https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

成長枠

成長枠は成長分野への事業再構築を図る中小企業等(個人事業主も含む)を支援するものです。補助上限額・補助率・補助事業実施期間は以下の通りです。

補助上限額

補助率

補助事業

実施期間

  • ・従業員数20人以下:

 100万円~2,000万円

  • ・従業員数21~50人:

 100万円~4,000万円

  • ・従業員数51~100人:

 100万円~5,000万円

  • ・従業員数101人以上:

 100万円~7,000万円

中小企業者等(個人事業主も含む):1/2

(大規模な賃上げを行う場合2/3)

中堅企業等:1/3

(大規模な賃上げを行う場合1/2)

交付決定日~12か月以内

グリーン成長枠

グリーン成長枠は研究開発や技術開発、人材育成を行い、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に対する取組を行う中小企業等(個人事業主も含む)を支援するもので、エントリー枠とスタンダード枠があります。

エントリー枠は要件を緩和するために後から設置された枠です。補助上限額・補助率・補助事業実施期間はそれぞれ以下の通り。

要件

補助上限額

補助率

補助事業

実施期間

エントリー

 

 

  • ・1年以上の
  •  研究開発・
  •  技術開発
  • ・従業員の
  •  5%以上に
  •  対する年間
  •  20時間以上の
  •  人材育成
  • ・付加価値額の
  •  向上要件:
  •  年率平均
  •  4.0%以上増加

中小企業者等:

  •  ・従業員数20人以下:

  100万円~4,000万円

  •  ・従業員数21~50人:

  100万円~6,000万円

  •  ・従業員数51人以上:

  100万円~8,000万円

中堅企業等:

100万円~1億円

中小企業者等

(個人事業主も

 含む):1/2

中堅企業等:1/3

交付決定日~

14か月以内

スタンダード

 

 

 

  • ・2年以上の
  •  研究開発・
  •  技術開発
  • ・従業員の
  •  10%以上に
  •  対する年間
  •  20時間以上の
  •  人材育成
  • ・付加価値額の
  •  向上要件:
  •  年率平均
  •  5.0%以上増加

中小企業者等:

100万円~1億円

中堅企業等:

100万円~1.5億円

中小企業者等:1/2

中堅企業等:1/3

卒業促進枠

卒業促進枠とは、成長枠・グリーン成長枠で、中小企業(個人事業主も含む)から中堅企業へと成長する事業者に上乗せ支援するものです。補助対象経費は、成長枠・グリーン成長枠の補助対象経費に準じます。補助上限額・補助率・補助事業実施期間は以下の通りです。

補助上限額

補助率

補助事業

実施期間

成長枠・グリーン成長枠の

補助金額上限に準じる

中小企業者等

(個人事業主も含む):1/2

中堅企業等:1/3

交付決定日~成長枠・

グリーン成長枠の

事業計画期間終了まで

産業構造転換枠

産業構造転換枠とは、産業構造転換が必要な業種・業態の中小企業等(個人事業主も含む)が取り組む事業再構築を支援するものです。補助上限額・補助率・補助事業実施期間は以下の通りです。

補助上限額

補助率

補助事業

実施期間

  • ・従業員数20人以下:

 100万円~2,000万円

  • ・従業員数21~50人:

 100万円~4,000万円

  • ・従業員数51~100人:

 100万円~5,000万円

  • ・従業員数101人以上:

 100万円~7,000万円

※廃業を伴う場合は、

廃業費を最大2,000万円上乗せ

中小企業者等

(個人事業主も含む):2/3

中堅企業等:1/2

交付決定日~12か月以内

最低賃金枠

最低賃金枠とは、最低賃金引上げの影響により、原資の確保が困難な中小企業等(個人事業主も含む)の事業再構築を支援するものです。補助上限額・補助率・補助事業実施期間は以下の通りです。

補助上限額

補助率

補助事業

実施期間

  • ・従業員数5人以下:

 100万円~500万円

  • ・従業員数6~20人:

 100万円~1,000万円

  • ・従業員数21人以上:

 100万円~1,500万円

中小企業者等

(個人事業主も含む):3/4

中堅企業等:2/3

 

交付決定日~12か月以内

物価高騰対策・回復再生応援枠

物価高騰対策・回復再生応援枠とは、原油価格や物価高騰等の影響により状況が困難な中小企業等(個人事業主も含む)の事業再構築を支援するものです。補助上限額・補助率・補助事業実施期間は以下の通りです。

補助上限額

補助率

補助事業

実施期間

  • ・従業員数5人以下:

 100万円~1,000万円

  • ・従業員数6~20人:

 100万円~1,500万円

  • ・従業員21~50人:

 100万円~2,000万円

  • ・従業員51人以上:

 100万円~3,000万円

中小企業者等

(個人事業主も含む):2/3

中堅企業等:1/2

交付決定日~12か月以内

事業再構築補助金の要件

事業再構築補助金は個人事業主でも申請できる?採択のポイントを解説!_6

売り上げが減少していること

補助金が支給される要件は、コロナの影響で売上が減っている企業であること。

補助金を受けるには、2020年4月以降の半年間の中で、3か月の売上がコロナ前(2019年もしくは2020年1〜3月)より1割以上下がっていることが必要です。

3か月は連続していなくても構いません。例えば「5月、6月、8月」でも大丈夫です。

また、同じ期間の3か月の付加価値(営業利益+人件費+減価償却費)が15%以上下がっていれば、補助金の対象になります。

資本金が10億円未満の事業であること

事業再構築補助金を受給できるのは、以下の要件を満たす中小企業(個人事業主も含む)や中堅企業です。

  • 資本金の額又は出資の総額が10億円未満の法人
  • 資本金の額が定められていない場合、常勤の従業員数が2,000人以下

また、常勤従業員には下記の従業員は該当しません。

  • 日雇い労働者
  • 4か月以内の季節労働者
  • 使用期間中の従業員

事業再構築指針に該当していること

事業再構築補助金を受けるには、以下のいずれかに取り組む必要があります。

取組の種類

内容

新市場進出

  • ・新しい製品・商品・サービスの提供や提供方法の変更で
  •  売上高が総売上高の10%以上(付加価値額:15%以上)
  • ・新たな市場に進出

事業転換

  • ・新しい製品・商品・サービスの提供で新市場に進出
  • ・業種が中分類レベルで変化

業種転換

  • ・新しい製品・商品・サービスの提供で新市場に進出
  • ・業種が大分類レベルで変化

事業再編

補助事業開始後に組織再編を行い、以下のいずれかを実施

  • ・新市場進出
  • ・事業転換
  • ・業種転換

国内回帰

海外での製造製品について国内生産拠点を整備

事業再構築補助金の採択率

第6〜9回における事業再構築補助金の採択率は以下の通りです表からわかるように応募者の約半数が落ちています。採択率を上げるには、審査官の加点が付くように、良質な事業計画書を作成するのが重要です。

公募回

採択率

第9回

45.6%

第8回

51.3%

第7回

51.2%

第6回

50.0%

事業再構築補助金申請時に必要な書類

補助金申請時に必要な書類は以下の通り。応募枠によっては、追加書類必要です。申請する場合、公式サイトの公募要領を確認し、必要な書類を用意します

  • 事業計画書
  • 直近の確定申告書
  • 青色申告書/白色申告書
  • 認定支援機関の確認書(3,000万円超の補助金希望では金融機関の確認書も必要)
  • 従業員数を示す書類
  • 加点に必要な書類
  • ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報
  • 売上高減少に関する書類

さらに、個人事業主が売上高等減少要件を満たすには、必要な書類を添付する必要があります。売上高減少について、必要な書類は以下の通りです。

売上高減少の要件

必要書類

任意の3か月で決算が

確定していない月がある場合

  • ・決算が確定した年度の確定申告書第一表の控え
  • ・決算が確定した年度の申告決算書の控え
  • ・それぞれの月間売上が確認できる書類
  • ・e-Taxで申告している場合:受信通知

任意の3か月すべての決算が

確定している場合

  • ・それぞれの年度の確定申告書第一表の控え
  • ・それぞれの申告決算書の控え
  • ・それぞれの月間売上が確認できる書類
  • ・e-Taxで申告している場合:受信通知

事業再構築補助金の申請手順

事業再構築補助金は個人事業主でも申請できる?採択のポイントを解説!_4

GbizIDの取得・ミラサポplusの会員登録

事業再構築補助金は電子申請システムでのみ受け付け可能。申請には、GbizIDの取得が必要です。補助金の電子申請を行えるポータルサイトである「ミラサポplus」の会員登録も必要になります。2つのIDについて紐づけが必要なため、最初にGbizIDの取得から行いましょう。

必要書類の作成

質の高い事業計画書を作成するためにも、余裕をもって準備するのが重要です。特に重要なのは事業計画書。応募枠と以下の事業再構築の種類に沿った事業計画書の作成が必要です。事業計画書を作成する場合、図表や写真等を用いると、より審査に通りやすくなります。

  • 新市場進出
  • 事業転換
  • 業種転換
  • 事業再編
  • 国内回帰

また、補助事業の実施により、どのように既存事業と差別化できるかを具体的に盛り込む必要があります。

さらに、以下のように将来の展望に関する記載も求められます。

  • ユーザーやマーケット
  • 市場規模
  • 成果の優位性・収益性
  • 課題・リスク・解決方法
  • 事業により取得する主な資産
  • 成果の事業化見込み
  • 収益計画

電子申請

ミラサポplusから電子申請をします。事業者の情報などを入力するとともに、必要書類を添付し提出すれば電子申請は完了です。

事業再構築補助金は個人事業主でも申請できる?採択のポイントを解説!_2

画像引用:ミラサポplusの会員登録マニュアル

【最新】事業再構築補助金の公募スケジュール

事業再構築補助金の第11回の公募スケジュールは以下の通りです締切日は時間厳守となっているため、注意が必要です。

項目

日付

公募開始

令和5年8月10日(木)

申請受付

調整中

応募締切

令和5年10月6日(金)18:00まで(厳守)

事業再構築補助金でよくある不採択理由

事業再構築補助金は個人事業主でも申請できる?採択のポイントを解説!_3

よくある不採択となる理由について解説します

財務状況の証明不備

事業再構築補助金における以下の枠に関する申請には、売上高減少の証明が必要です。

  • 物価高騰対策・回復再生応援枠
  • 最低賃金枠

審査に通るには、上述したように売上高減少の要件を満たす書類の提出が必要です。

また青色申告と白色申告の場合、用意する書類と算出方法が異なります。

確定申告の種類

必要書類

青色申告

  • ・申告決算書の2枚目を提出
  • ・2019年~2021年と2022年1月~の決算書が必要
  • ・決算期をまたいだ場合、3~4期分の決算書が必要

白色申告

  • ・決算書類の中に月別の売上高を記載する欄なし
  • ・以下の書類について用意が必要
  •   ・売上台帳
  •   ・確定申告の基礎となる書類

事業の実施体制が整っていない

従業員を雇えず、事業を実施する体制が整っていないと採択されません。個人事業主は事業規模が小さいため、既存の事業に時間と労力を取られ、事業再構築を十分に実施できない場合があります。事業再構築の体制を証明できないと採択は難しいでしょう。

受信通知の不備(白色申告者)

白色申告者は受信通知の代わりに納税証明書を添付する必要があります。事業再構築補助金をe-Taxで申告すると、受信通知が必要です。青色申告の場合、受信通知を「メール詳細」で受け取ります。一方白色申告の場合、メール詳細ではなく、例えば「令和3年分申告書等送付表」といった書類が届きます。

しかし、事業再構築補助金公募要領では「e-Taxの受信通知がない場合は納税証明書が必要」と記載されているのです。確実に審査に通るためには納税証明書を添付した方がいいでしょう。

事業再構築補助金を個人事業主が申請する方法を紹介しました

個人事業主でも申請できる事業再構築補助金について知りたい方向けに、事業再構築補助金の概要や個人事業主が適用となる申請枠・条件・手順を解説しました。

個人事業主が適用となる申請枠は以下の通りです。

  • 成長枠
  • グリーン成長枠
  • 卒業促進枠
  • 産業構造転換枠
  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠


本記事で紹介した内容をもとに、事業再構築補助金の申請を検討しましょう。