キャリアアップ助成金【正社員化コース】とは?助成金額や手続きの流れについて解説

キャリアアップ助成金【正社員化コース】とは?助成金額や手続きの流れについて解説

非正規雇用の労働者を正社員にする場合、助成金を申請できるのをご存じですか?

キャリアアップ助成金【正社員化コース】により、事業主は助成金を受給できます。この記事では、キャリアアップ助成金【正社員化コース】に関する概要や手続きの流れなどについて解説

最後まで読めば、キャリアアップ助成金正社員化コースの内容を理解し、助成金の申し込みを検討できます。

目次
  1. 1. キャリアアップ助成金【正社員化コース】とは
  2. 2. キャリアアップ助成金【正社員化コース】の対象従業員
  3. 3. キャリアアップ助成金【正社員化コース】の対象事業主
  4. 4. キャリアアップ助成金【正社員化コース】の助成金額
  5. 5. キャリアアップ助成金における正社員化コースの手続きの流れ
  6. 6. キャリアアップ助成金【正社員化コース】の注意点
    1. 6-1. キャリアアップ計画書を確実に遂行する必要がある
    2. 6-2. 支給申請は給与の支払い後になる
    3. 6-3. 就業規則に転換規定を明文化する
    4. 6-4. 労務管理を厳守する
  7. 7. キャリアアップ助成金【正社員化コース】の審査は厳しい?
  8. 8. キャリアアップ助成金【正社員化コース】の概要や手続きについて解説しました

キャリアアップ助成金【正社員化コース】とは

キャリアアップ助成金【正社員化コース】とは、非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換、直接雇用した場合に、事業主に助成する制度です。

助成を受ける事業者は、天災その他の事情がある場合を除き、実施日の前日までにキャリアアップ計画書を策定し提出する必要があります。

キャリアアップ計画書に記載する内容は下記の通り。

キャリアアップ計画の項目

内容

キャリアアップ計画期間

  • ・3年以上5年以内のキャリアアップ計画期間

計画期間中に講じる措置

  • ・計画期間中に必要な措置の項目に「○」

対象者

  • ・対象労働者を記載

(例)<正社員化コース>営業部門に

 配属後3年を経過した有期雇用労働者

目標

  • ・目標が記載

(例)<正社員化コース>対象者のうち、

 5名程度の正規雇用への転換を図る

目標を達成するための措置

  • ・目標が具体的に記載

(例)<正社員化コース>開発に関する知識・技能を

 習得後に、正規雇用への転換につなげる

キャリアアップ計画全体の流れ

  • ・計画全体の流れを記載

(例)<正社員化コース>有期雇用労働者を昇格試験等の

 結果により評価し、正規雇用への転換を図る

関連記事:社内研修に使える助成金については、「社内研修に使える助成金とは?活用のメリット・デメリットや助成金一覧を紹介」をあわせてご覧ください。

キャリアアップ助成金【正社員化コース】の対象従業員

対象従業員に関して必要な9つの条件は以下の通りです。

  • 非正規雇用労働者である
     ・有期雇用労働者である(半年以上)
     ・無期雇用労働者である(半年以上)
     ・派遣先に常駐している非正規雇用労働者である(半年以上)
     ・有期実習型訓練を修了した有期雇用労働者である
     ・新型コロナウイルスの影響を受け派遣先に常駐している非正規労働者である
      (2か月~半年間)
  • 正規雇用労働者予定の非正規雇用労働者ではない
  • 事業主関連の親会社などに所属の正規雇用労働者や役員ではない
  • 事業主や取締役の親族ではない(3親等以内)
  • 障害者支援施設の利用者以外である
  • 支給申請日に退職していない
  • 定年退職者ではない

キャリアアップ助成金【正社員化コース】の対象事業主

キャリアアップ助成金【正社員化コース】の対象事業主

画像引用:キャリアアップ助成金パンフレット

対象事業主に必要な14の条件は以下の通りです。

  • 制度を継続している事業主
  • 正社員への転換制度を就業規則等に規定
  • 非正規雇用労働者→正規雇用労働者に転換
  • 対象労働者に転換後半年分の賃金を支払っていること
  • 賃金が以前より3%以上増額(転換後、半年間)
  • 対象労働者以外に正規雇用労働者を雇用(多様な正社員への転換)
  • 雇用保険に加入
  • 社会保険に加入
  • 対象労働者の会社都合退職無し(転換日の前日から半年~1年を経過する日まで)
  • 労働者本人の同意があること
  • 転換日に特定受給資格離職者の数が雇用保険被保険者数の6%未満(転換日の前日から半年~1年を経過する日までの間)
  • 母子家庭や父子家庭の非正規雇用労働者を転換
  • 勤務地限定正社員制度・職務限定正社員制度・短時間正社員制度を新たに規定(加算の適用を受ける場合)
  • 生産性要件を満たした場合

キャリアアップ助成金【正社員化コース】の助成金額

加算措置を含め、支給額の概要は下記の通りです。

項目

助成金額

支給額

(1)有期 → 正規:

   57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)/人

(2)無期 → 正規:

   28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)/人

加算措置

  • ・派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用:

   28万5,000円<36万円>(大企業も同額)


  • ・対象者が母子家庭または父子家庭:

       (1)95,000円<12万円>/人

       (2)47,500円<60,000円> /人

   (大企業も同額)


  • ・人材開発支援助成金の特定の訓練修了後に正規雇用労働者へ転換:

       (1)95,000円<12万円>/人

       (2)47,500円<60,000円> /人

       (大企業も同額)


  • ・有期雇用労働者等を「勤務地限定・職務限定・短時間正社員」の雇用区分に転換:

        95,000円<12万円>(71,250円<90,000円>)/事業所

※< >は生産性が向上した場合の金額、( )内は大企業の金額

キャリアアップ助成金における正社員化コースの手続きの流れ

キャリアアップ助成金における正社員化コースの手続きの流れ

画像引用:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

キャリアアップ計画の作成・提出から審査、支給決定までの手続きの流れについて解説します。

(1)キャリアアップ計画書の作成・提出

まず「キャリアアップ計画書」の作成が必要。最寄りの労働局に提出し、認定後、直接雇用を実施する前日までに提出します。

キャリアアップ助成金の申請期間は以下の通りです。

  • 正規雇用転換日:キャリアアップ計画期間内
  • 申請期間:正規雇用転換後半年分の賃金支払日翌日から2か月以内

申請書類は以下の通り。

項目

書類

申請書類

  • ・キャリアアップ助成金支給申請書

  • ・正社員化コース内訳

  • ・正社員化コース対象労働者詳細4

  • ・支給要件確認申立書

  • ・支払方法・受取人住所届

添付書類

  • ・管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書(写)

  • ・転換前後の就業規則または労働協約等(写)

  • ・対象労働者の転換前後の雇用契約書または労働条件通知書等(写)

  • ・対象労働者の転換前後の賃金台帳等(写)及び賃金3%以上増額に係る計算書

  • ・対象労働者の転換前後の出勤簿またはタイムカード等(写)

(2)就業規則に転換制度を規定

最寄りの労働基準監督署に改定後の就業規則の届け出が必要です。転換制度を規定している場合でも、以下の規定は必須です。

  • 試験等の手続き
  • 対象者の要件
  • 転換実施時期

(3)正規雇用への転換・直接雇用の実施

雇用契約書や労働条件通知書を対象労働者に交付し、労働条件・待遇も変える必要があります。

(4)転換後半年分の賃金の支払い

転換後半年間の賃金を転換前半年間の賃金と比べて3%以上増額する必要があります。

(5)支給申請

転換後半年分の賃金※を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請する必要があります。

※残業代等を含む

支給申請

画像引用:キャリアアップ助成金パンフレット

(6)審査

審査後に支給決定されます。

キャリアアップ助成金【正社員化コース】の注意点

キャリアアップ助成金【正社員化コース】の注意点

キャリアアップ助成金【正社員化コース】の注意点について解説します。

キャリアアップ計画書を確実に遂行する必要がある

支給を受けるためには、キャリアアップ計画書の策定、認定、実施の順番に行うなど、確実に遂行する必要があります。

キャリアアップ計画は、3年以上5年以内。そのため、期間内の実施が義務付けられています。

計画を変更する場合、期間満了前に変更届を出す必要があります。しかし期間が過ぎた場合、延長は不可能となるため、注意が必要です。

支給申請は給与の支払い後になる

正社員化コースの支給申請は、以下を完了し支払いが終わった後にする必要があります。

  • 就業規則を作成
  • 労働者を正社員などへ転換
  • 半年分の給与を支払い済み

全てが終わった後に支給申請をするため、間違っていた際にやり直しができない為、注意が必要です。

就業規則に転換規定を明文化する

就業規則に転換規定を明文化する

画像引用:キャリアアップ助成金パンフレット

就業規則に正社員への転換規定を記載しないと、申請を却下されてしまいます。非正規雇用契約から正規雇用契約への転換について就業規則への記載が必要

すでに転換制度があっても、助成金の支給要件を満たすように明文化し、就業規則に追加する必要があります。

転換制度には以下の情報は必須。

  • 転換対象となる労働者の要件
  • 転換に必要な手続き
  • 転換の実施時期

ただし、転換制度に以下のような制限があると支給されないでしょう。必要なのは制限ではなく基準です。

  • 45歳未満
  • 勤続8年以内

また、賃金額や賞与が正社員とパート・アルバイトでは異なる点も記載する必要があります。

労務管理を厳守する

支給にあたっては、対象労働者の労務上の法定帳簿を厳しくチェックされることから、労務管理の厳守が必要

チェックされる書類は下記の通りです。

  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 出勤簿
  • 雇用契約書
  • 就業規則

また、審査過程でチェックされる項目は下記の点。

  • 書類に整合性があるか
  • 時間外・休日などの諸手当が支給されているか
  • 賃金の計算方法は正しいか
  • 労働基準法に違反していないか

支給要件を満たすためにも日頃から労務管理を厳守するのが重要です。

キャリアアップ助成金【正社員化コース】の審査は厳しい?

キャリアアップ助成金【正社員化コース】の審査は、書類審査を中心に細かくチェックされます。要件を満たさないと審査を通過できません。

特に気をつけるべき点は下記の通り。

  • 就業規則を改定していない
  • 就業規則に非正規雇用労働者と正規雇用労働者の違いが明記されていない
  • 転換前半年間の賃金より3%以上増額が守られていない
  • 諸手当の算定方法を就業規則に記載していない
  • 対象労働者が転換時に定年年齢まで1年未満である
  • 月額給与(基本給+諸手当)が減額されている
  • 対象労働者が雇用保険・社会保険に未加入である
  • 支給決定時に雇用保険被保険者が0名である
  • 転換日の前後半年間に対象労働者が会社都合退職をしていた

賃金3%以上増額に含められない手当は以下の通りです。

含められない手当

手当の例

実費補填

  • ・通勤手当

  • ・住宅手当

  • ・燃料手当

  • ・工具手当

  • ・食事手当

変動するもの

  • ・歩合給

  • ・精皆勤手当

  • ・休日手当

  • ・時間外労働手当

賞与

  • ・ボーナス

賃金3%の増額とみなされないのは以下の場合です。

  • 残業代を減らしている場合
  • 残業代を含む賃金を3%以上増額していない場合

支給対象外の事例は以下の通りです。

転換前:基本給20万円、固定残業代6万円【合計26万円】

転換後:基本給22万円、固定残業代4万円【合計26万円】

また申請した労働者が審査を通過しなかった場合、同一労働者については再申請できないため注意が必要です。

ただし年間20名まで申請できるため、違う労働者については申請すると助成金を支給される可能性があります。

(例)A氏、B氏について申請したところ賃金3%以上の増額がなかったため不支給

転換後の賃金を5%増額にし、C氏を申請したところ支給

上記の例の場合、申請を却下されたA氏、B氏について再度申請すると不正受給となります。

審査を通過するためには、キャリアアップ計画書の作成後、最寄りのハローワークに確認してもらいましょう

キャリアアップ助成金パンフレット

画像引用:キャリアアップ助成金パンフレット

キャリアアップ助成金パンフレット

画像引用:キャリアアップ助成金パンフレット

キャリアアップ助成金【正社員化コース】の概要や手続きについて解説しました

キャリアアップ助成金について知りたい方向けに、キャリアアップ助成金における正社員化コースの概要や手続きの流れなどを解説しました。

キャリアアップ助成金【正社員化コース】の注意点は下記の通りです。

  • キャリアアップ計画書を確実に遂行する必要がある
  • 支給申請は給与の支払い後になる
  • 労務管理を厳守する

本記事で紹介した内容をもとに、キャリアアップ助成金【正社員化コース】の申請を検討してみましょう。