女性活躍推進にまつわる助成金とは?概要や支給額、対象事業者を解説
女性活躍推進を進めるため、助成金導入を検討しているものの、どのようなものがあるかわからず、お困りではないでしょうか。
本記事では、女性活躍推進に関わる助成金の概要や支給額、対象事業者を紹介します。この記事を読めば、女性活躍推進に向けてどのような助成金を利用すればいいか、イメージできるようになるでしょう。
女性活躍推進にまつわる助成金が増えている背景
女性活躍推進にまつわる助成金が増えている背景として、2022年4月1日に改正された女性活躍推進法が施行されたことが背景にあります。
同法の施行により、各企業では、女性が活躍するための環境整備を進めるようになりました。それと同時に、自治体や公益財団法人が、助成金を設けています。
女性活躍推進にまつわる助成金
女性の活躍推進助成金 |
くるみん助成金 |
環境整備支援助成金 |
|
担当機関 |
東京しごと財団 |
内閣府 |
兵庫県勤労福祉協会ひょうご 仕事と生活センター |
対象 |
都内の事業者 |
くるみん 取得企業 |
兵庫県の事業者 |
内容 |
女性の新規採用・職域拡大を 目的とした設備等の整備支援 |
子ども・子育て支援 |
女性・高齢者などの 職域拡大などの支援 |
補助額/ 補助率 |
500万円/2/3 |
50万円/ 補助率の規定なし |
200万円/1/2 |
対象経費 |
女性用のトイレや更衣室、 休憩室、ロッカーなど |
育児休業育児休業や 子育てを支援時の 職員給与や、手当、 備品費 |
女性用トイレや更衣室、 手すりの設置 |
これらの補助金について、概要や支給額、対象事業者、申請期間について紹介します。
東京しごと財団:女性の活躍推進助成金
女性の活躍推進助成金は東京しごと財団が実施する助成金です。
概要
女性の活躍推進助成金は、女性の新規採用・職域拡大を目的として、設備等の整備を支援することを目的とした補助金。
この助成金は2016年より展開されており、2016〜17年度は「女性の活躍推進等職場環境整備助成金」、2018年度〜19年度は「テレワーク活用・働く女性応援助成金(女性の活躍推進事業)」という名称で実施されていました。
対象経費
女性の新規採用をする上で必要とされる、女性用のトイレや更衣室、休憩室、ロッカーなどが主な助成対象。
また、支給決定日以後、新たに取り組む事業(発注・契約・購入等含む)が対象となります。そのため、申請日時点で既に発注、契約、購入などをしている場合は申請できません。
支給額
女性の活躍推進助成金は助成率2/3、最大500万円が助成されます。
対象事業者
対象となる事業者は、都内で事業を営むこと、過去5年間に重大な法令違反がないことなど、11の要件全てを満たしている事業者です。
詳細な要件については、以下の資料をご確認ください。
https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/boshu/documents/04-zyosei_sikyuuyoukou.pdf
申請期間
女性の活躍推進助成金の申請期間は、2022年度の申請受付期間は2022年4月28日から、同12月23日でした。
2023年については2023年3月時点では公表されていません。2016年度より始まっているため、申請期間について発表がないか注目しておきましょう。
内閣府:くるみん助成金
くるみん助成金は内閣府が実施する助成金です。
概要
くるみん助成金は、中小企業子ども・子育て支援環境整備事業の一環として、くるみんの取得を要件に、子ども・子育て支援に積極的に取り組んでいる事業主を支援する助成金です。
くるみんは、「子育てサポート企業」として、一定の基準を満たした企業が厚生労働大臣の認定を受けられるという認定。
プラチナくるみんとは、くるみん認定を受けた企業の中から、より高水準な取り組みを行っている企業です。
またくるみんとプラチナくるみんには、それぞれ「くるみんプラス」と「プラチナくるみんプラス」があります。不妊治療に関する休暇制度など、不妊治療と仕事の両立に関する取り組みが一定以上の水準を満たす場合に、申請により取得可能です。
対象経費
労働者の職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な整備が対象。具体的には、育児休業や子育てを支援する際の、職員給与や、手当、備品費などが該当します。
支給額
くるみん助成金の支給額は50万円を上限に、審査により助成額が決定します。
くるみん認定企業の場合には、認定されたときの1度だけ利用できますが、プラチナくるみん認定企業の場合には、1年度ごとに1回助成を受けることが可能です。
ただし、くるみんプラスの場合は最低1年に1回次世代育成支援対策の実施状況の報告が必要になります。
対象事業者
対象事業主は、以下いずれかに該当する事業主です。
- くるみん認定・くるみんプラス認定企業
- プラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定企業
くるみん認定は前年度、または当年度までにくるみん認定を受けていることが条件。プラチナくるみん認定企業の場合には、前年度の3月31日時点で認定を受けていることが条件となります。
なお、くるみん認定を受けるためには、次世代育成支援対策推進法を基に、一般事業主行動計画の策定と実施、届出まで行うことが必要です。中小企業事業主(従業員数300人以下)であることも条件となります。
申請期間
2022年度の申請受付期間は、2022年6月1日から2023年2月15日まででした。次回以降の申請期間については、公表されていません。
兵庫県勤労福祉協会ひょうご仕事と生活センター:環境整備支援助成金
環境整備支援助成金は、兵庫県勤労福祉協会ひょうご仕事と生活センターが実施する助成金です。
概要
環境整備支援助成金は、以下の目的に該当する環境整備に取り組む中小企業事業主に対して助成する助成金制度です。
- 新たなワークスタイルの導入
- 女性・高齢者などの職域拡大
- その他職場環境改善
対象経費
環境整備支援助成金の具体的な支給対象は、以下の表の通りです。
目的 |
対象経費の例 |
新たなワークスタイルの導入 |
在宅勤務システムの導入にかかるパソコンやタブレットの 購入費、Wi-Fi設備導入費 |
女性や高齢者等の職域拡大 |
女性用トイレや更衣室、手すりの設置 |
その他の職場環境改善 |
職場コミュニケーションの活性化を目的とした休憩室の整備 |
支給額
環境整備支援助成金の支給額は、対象経費の1/2以内で上限は200万円です。
ただし、対象経費10万円未満の事業は対象外です。
対象事業者
対象となる事業者は以下の条件すべてを満たす企業です。
- 「ひょうご仕事と生活の調和推進企業宣言」の宣言企業であること
- 常時雇用する労働者が30企業全体で300人以下であること
- ワーク・ライフ・バランスの推進を目的として、対象事業を実施予定の兵庫県内の事業所であること
- 申請する助成対象経費について、国等の助成金等の支給を受けていないこと
- 過去3年間、労働関係法令に関する重大な違反をしていないこと
- 過去3年間、不正行為により、本来受けられない助成金等を受ける、または受けようとして、助成金等の不支給措置を取られていないこと
- 雇用保険の適用事業主であること
- 風営法第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業、または第11項に規定する接客業務受託営業のうち店舗型性風俗特殊営業から、委託を受けた事業主ではないこと
- 国、地方公共団体、独立行政法人、地方独立行政法人または、密接な関係のある公社等ではないこと
- 県税の滞納がないこと
- 暴力団またはその統制下の団体でないこと
- 本助成金の受給は、同一事業主で2件以内かつ200万円以内であること
引用元:環境整備支援助成金
なお、ひょうご仕事と生活の調和推進企業宣言とは、兵庫県で、従業員の仕事と生活の調和に取り組むという宣言です。この宣言に関して登録フォームで申請することで、企業は、勤労福祉協会ひょうご仕事と生活センターにて登録されます。
申請期間
環境整備支援助成金は期限が設けられておらず、いつでも助成金の申請ができます。
【参考】えるぼし認定制度を取得すると公共調達に有利
補助金や助成金ではありませんが、えるぼし認定制度を取得しておくと公共調達に有利になります。えるぼし認定制度は、女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況などが優良な企業に対して認定する制度。
行動計画の策定の届出をした企業のうち、一定の基準を満たしている企業が対象となります。
えるぼし認定制度を取得することで、認定マークを商品や広告、名刺、求人票などに使用可能です。それに加え、各府省庁が総合評価落札方式や企画競争による調達によって公共調達を実施する場合は、加点対象になります。
両立支援等助成金の女性活躍加速化コースは廃止
厚生労働省が実施する、両立支援等助成金の女性活躍加速化コースという助成金がありましたが、こちらは2021年度をもって廃止されました。
こちらの助成金は、女性活躍推進法に基づいた一般事業主行動計画の策定と公表を行った上で、そこで定めた数値目標を達成した中小企業事業主に助成金を助成する制度。
達成度に応じて、加速化Aコースと加速化Nコースに分けられていました。
女性活躍を推進することで会社がもらえる助成金について説明しました
本記事では、女性活躍推進に関わる助成金の概要や支給額、対象事業者を紹介しました。女性活躍推進にまつわる助成金は様々で、うまく利用することで、コストを抑えつつ、女性活躍のための環境を整えられます。