従業員の育児休業に使える助成金とは?概要や支給額、支給要件を解説

従業員の育児休業に使える助成金とは?概要や支給額、支給要件を解説

育児休業で助成金の利用を検討しているものの、どのような助成金があるか分からずお困りではないでしょうか。

本記事では、育児休業で利用できる助成金の概要や、支給額、支給要件、申請方法、申請期間について解説します。この記事を読めば、育児休業を導入する際に、どの助成金が利用できるか、判断できるでしょう。

目次
  1. 1. 育児休業とは
    1. 1-1. 育児休業の定義
    2. 1-2. 育児休業の対象労働者
    3. 1-3. 育児休業の期間
    4. 1-4. 育児休暇との違い
  2. 2. 社員の育児休業に助成金を使うメリット
    1. 2-1. 助成金は返済不要
    2. 2-2. 助成金を取得する過程で社内制度が整う
    3. 2-3. 人材確保にも活用できる
  3. 3. 従業員の育児休業に使える助成金・給付金
    1. 3-1. 厚生労働省:両立支援等助成金(出生時両立支援コース)
    2. 3-2. 厚生労働省:両立支援等助成金(育児休業等支援コース)
    3. 3-3. 東京都:働くパパママ育休取得応援奨励金
  4. 4. 育児休業にまつわる助成金について説明しました

育児休業とは

育児休業とは何か、法律上の定義や対象労働者や期間について知っておくことで、育児休業に向けた取り組みがスムーズに進められます。

ここでは、育児休業の定義や対象労働者、期間について説明します。

育児休業の定義

育児休業は、子どもを育てる従業員が会社に申し出ることで取得できる休業。特別養子縁組を含む子どもが1歳になるま、休業を取得できます。

労働基準法でも、出産前6週間出産後8週間の産休が定められていますが、育児介護休業法では、産後の休業まで認めていることが違いです。

育児休業の対象労働者

育児休業の対象は、1歳に満たない子を養育する男女労働者。期間を定めて雇用される労働者の場合は、子が1歳6ヶ月に達する日までに、労働契約の期間が満了することが明らかではない労働者であれば適用されます。

ただし、短期間の労働者は対象となりません

育児休業の期間

育児休業の期間は、原則として子が出生した日から子が1歳に達する日までです。

具体的には、1歳に達する時点で以下の条件のすべてに該当していることが条件

  • 育児休業に関わる子どもが1歳に到達する時点で労働者本人か、配偶者のどちらかが育児休業をしている場合
  • 1歳を超えても休業の必要性が認められる場合
  • 1歳6ヶ月までの育児休業をしたことがない場合

ただし、保育所に入所できないなど、一定の条件を満たした場合に、1歳6ヶ月や2歳までの育児休業が認められます。

育児休暇との違い

育児休暇は育児介護休業法で定められ、育児を目的に利用できる休暇制度です。育児休暇は会社で努力義務とされており、必須ではないことが大きな違いです。そのため、会社の規定で育児休暇について記載がない場合には、利用できません。

育児休暇の内容について、以下の点については、会社の裁量で決定できます。

  • 育児休暇を分割できるかどうか
  • 有給か無給か
  • 有期契約労働者を対象にするかどうか

社員の育児休業に助成金を使うメリット

社員の育児休業を進める際には、助成金を使うことで以下のメリットがあります。

社員の育児休業に助成金を使うメリット

助成金は返済不要

助成金は返済不要であり、申請する助成金の申請要件さえ満たせば、支給を受けられる可能性があります。

助成金の使用用途も定められていないため、ある程度自由に利用可能です。

助成金を取得する過程で社内制度が整う

助成金を取得する過程で、社内制度が整えられます。助成金の利用には、受給の要件があり、社内制度に関わるものも多いためです。

また、助成金申請のためには、給与や勤怠に対する書類も必要となることが多く、これらの体制を整える上でも助成金は利用できるでしょう。

助成金によっては、対象労働者に連続3ヶ月以上の育児休暇を付与するなど、様々な要件があるため、取得を通じて社内整備につながります。

人材確保にも活用できる

育児休業に関わる助成金は、人材確保にも活用可能です。育児休業に関わる制度を整えることで、社員の定着を図れます。

また、育児休業を取得する社員の代わりに人材を確保した場合にも、利用できる助成金があります。両立支援等助成金の育児休業等支援コース(代替要因確保時)であれば、育児休業に関わる助成金を人材確保に利用可能です。

従業員の育児休業に使える助成金・給付金

 

両立支援等助成金

(出生時両立支援コース)

両立支援等助成金

(育児休業等支援コース)

働くパパママ

育休取得応援奨励金

担当機関

厚生労働省

厚生労働省

東京しごと財団

対象

中小企業

「育休復帰支援プラン」

に取り組む企業全般

中小企業

内容

男性労働者が育児休業を

取得しやすい雇用環境や、

業務体制の整備を支援

「育休復帰支援プラン」の

策定と実施をした企業を支援

育児休業中の

従業員の就業継続を

支援

補助額

第1種:20万円

第2種:20〜60万円

育休取得時や

職場復帰時に

それぞれ28.5万円

(上限2回)

【パパコース】

最大300万円

【ママコース】

125万円

【パパと協力!

ママコース】

100万円

対象経費

自由

自由

自由

それぞれ要件や利用できる内容に違いがあるため、自社の目的にあわせて利用を検討することが大切。それぞれの概要、支給額、要件、申請期間について解説します。

厚生労働省:両立支援等助成金(出生時両立支援コース)

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、子育てパパ支援助成金ともよばれ、厚生労働省が実施する助成金。概要、支給額、支給要件、申請方法、申請期間について解説します。

概要

両立支援等助成金の出生時両立支援コースは、中小企業を対象に、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境や、業務体制の整備を支援する助成金です。

男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得した場合、男性の育児休業取得率が上昇した場合が対象となります。両立支援等助成金は2種類あり、男性労働者の育児休業取得が対象の第1種と、取得率上昇が対象の第2種の2つです。

対象経費

両立支援等助成金の出生時両立支援コースは、使用用途について特に限定されていません。支給要件を満たしていれば、自由に利用できます。

支給額

支給額は第1種で20万円と代替要員加算で20万円、第2種は第1種の受給後、育児取得率の上昇が見られる場合に、そのパーセンテージに応じて支給します。

代替要員とは、育児休業取得者の業務を代替するために新たな雇入をすることです。

第1種

20万円

(代替要員加算で20万円)

(代替要員3人以上の場合は45万円)

第2種

第1種受給後、育児休業取得率が

・1年以内に30%上昇した場合は60万円(生産性要件を満たした場合:75万円)

・2年以内に30%上昇した場合は40万円(生産性要件を満たした場合:65万円)

・3年以内に30%上昇した場合は20万円(生産性要件を満たした場合:35万円)

生産性要件とは、生産性に関わる要件を数値化したもので、一定水準以上ある場合に適用されます。

生産性要件は以下の式で算出します。

生産性要件

また、生産性要件を満たす基準は以下の通りです。

生産性要件を満たす基準

支給要件

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)は、男性労働者の育児休業取得に関する第1種と、取得率上昇に関する第2種の2つがあります。

第1種の場合の要件は以下の通りです。

1. 育児介護休業法で定められた、雇用環境整備を3の育児休業開始日の前日までに行ってい
   ること
2. 3の育児休業開始日の前日までに、育児休業取得者の業務を代替する労働者に関して規定を策定し、業務体制を整備すること
3. 男性労働者が、子どもが生まれて8週間以内に、連続5日以上の育児休業を取得すること
4. 3の育児休業開始前に、育児休業制度について、就業規則や労働協約に定めていること
5. 次世代育成支援対策推進法に基づいて、行動計画を策定し労働局に届けていること
6. 対象の労働者を育児休業の開始日から支給申請日までの間、継続して雇用していること

引用元:2022 両立支援等助成金パンフレット

第2種の要件は以下の通りです。

・第1種の助成金を受給していること
・育児介護休業法で定められた雇用環境整備を複数実施していること
・育児休業取得者の業務を代替する労働者に関して規定を策定し、業務体制を整備すること
・第1種申請後3年以内に、男性労働者の育児休業取得率が、30%以上上昇していること
・第1種申請後の育児休業を取得した男性労働者が第1種の対象者以外に2名以上いること

引用元:2022 両立支援等助成金パンフレット

上記の性質上、第2種の申請は第1種を申請していない場合には、申請できません

申請方法

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)第1種と2種の申請は、必要書類を集め、本社が所在している都道府県の労働局雇用環境・均等部に申請します。

必要書類については、以下資料p11以降をご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/001059583.pdf

申請期間

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)第1種の申請期限は、申請に関わる育児休業終了日の翌日から2ヶ月以内。第1種の対象となる男性労働者が育児休暇を連続5日取得した場合、連続5日の休業が終了してから2ヶ月が申請期間となります。

第2種の申請期限は申請に関わる年度の翌年度の開始日から6ヶ月以内です。例えば第2種の利用条件を第1種取得から2年で達成した場合には、その翌年度から起算されます。

厚生労働省:両立支援等助成金(育児休業等支援コース)

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)は、厚生労働省が実施する助成金。概要、支給額、支給要件、申請方法、申請期間について解説します。    

概要

両立支援等助成金の育児休業等支援コースは「育休復帰支援プラン」を策定し、育児休業の円滑な取得・職場復帰の取り組みを行った場合などに、助成する助成制度です。

対象経費

両立支援等助成金の育児休業等支援コースは、使用用途について特に限定されていません。支給要件を満たしていれば、自由に利用できます。

支給額

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の支給額は、育休取得時や職場復帰時にそれぞれ28.5万円が2回まで支給されます。生産性要件を満たす場合には、それぞれ36万円です。

業務代替支援として新規雇用をする際には、1年度10人(5年間まで)、1人あたり47.5万円まで支給されます。また、生産性要件を満たした場合には、60万円です。

支給要件

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の支給要件は育休取得時や職場復帰時など、取得コースによって異なります

育休取得時の要件としては以下の通りです。

  • 育休復帰支援プランに、労働者の育児休暇の取得や職場復帰を支援するという方針を記載し、従業員に周知している
  • 育児休業取得予定者と面談などを実施し、所定の「面談シート」に記載した上で、育休復帰支援プランを作成すること
  • 育休支援プランを基に、業務引き継ぎをしていること
  • 対象労働者が連続3ヶ月以上の育児休業を取得したこと
  • 育児休業制度を対象労働者の休業開始前に、就業規則などに記載していること
  • 次世代育成支援対策推進法に基づいた一般事業主行動計画を策定し、労働局に提出していること
  • 対象労働者を育児休業開始時点で、雇用保険の被保険者として雇用していること

なお指定する面談シートは以下からダウンロードが可能です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html

申請方法

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の申請方法は、育休取得時や職場復帰時など、コースによって異なります。

育休取得時の申請の流れは以下の通りです。

  • 就業規則で育児休暇の規定と周知
  • プラン作成の面談
  • プラン作成
  • プランに基づく引き継ぎ
  • 連続3ヶ月以上の育児休業の取得
  • 必要書類を準備し、労働局雇用環境・均等部で申請(あるいは郵送でも可)

具体的なタイミングや内容は期日があるため、事前に確認しておきましょう。

また、必要書類については、以下からご確認ください。https://www.mhlw.go.jp/content/001059588.pdf

申請期間

両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の申請期限は、育休取得のタイミングや、育休の期間によって変わります。育児休業の開始日から、3ヶ月を経過する日の翌日から2ヶ月以内です。

ただし、産後休業から連続して育児休暇を取得する場合には、産後休業日から3ヶ月を経過する日の翌日から2ヶ月以内に申請します。

東京都:働くパパママ育休取得応援奨励金

働くパパママ育休取得応援奨励金は、東京しごと財団が東京都と連携して支給する奨励金です。働くパパママ育休取得応援奨励金の概要、支給額、支給要件、申請方法、申請期間について解説します。

概要

働くパパママ育休取得応援奨励金は、育児休業中の従業員の就業継続や男性従業員の育休を応援する企業に対して支給する奨励金です。

  • 働くママコース
  • 働くパパコース
  • パパと協力!ママコース

以上の3つに分けられます。

対象経費

働くパパママ育休取得応援奨励金は、使用用途について特に限定されていません。支給要件を満たしていれば、自由に利用できます。

支給額

働くパパママ育休取得応援奨励金の支給額は、パパコースで最大300万円、ママコースで125万円、パパと協力!ママコースで100万円です。

支給要件

働くパパママ育休取得応援奨励金の支給要件は3コースでそれぞれ異なります。

働くママコース

働くママコースの場合の主要な要件は以下の通りです。

  • 都内に事業所があり、常時雇用する従業員が2名以上300人以下であること
  • 都内在住で常時雇用する従業員を2名以上かつ6ヶ月以上雇用している
  • 1年以上の育児休業から職場復帰し、3ヶ月以上継続雇用されている都内在勤の女性従業員がいること
  • 復帰するまでに、復帰支援面談を1回以上し、定期的に復帰に向けた社内情報・資料提供を行ったこと
  • 育児介護休業法に定めている取り組み以上の制度を就業規則に定めていること
  • 過去に重大な法令違反がないこと
  • 都税の未納がないこと
働くパパコース
  • 対象従業員が男性であること
  • 都内に事業所があること
  • 都内在住で常時雇用する従業員を2名以上かつ6ヶ月以上雇用している
  • 15日以上の育児休暇を取得していること
  • 育児休業を取得しやすい雇用環境整備をしていること
  • 子どもが2歳になるまでに育児休業を終了していること
  • 過去に重大な法令違反がないこと
  • 都税の未納がないこと
パパと協力!ママコース
  • 都内に事業所があり、常時雇用する従業員が2名以上300人以下であること
  • 都内在住で常時雇用する従業員を2名以上かつ6ヶ月以上雇用している
  • 対象従業員が6ヶ月以上1年未満の育児休暇を取得している
  • 対象従業員の育児休暇が、2022年4月1日~2023年3月31日の間に終了している
  • 対象従業員が育児休暇終了後、現職に復帰していること
  • 過去に重大な法令違反がないこと
  • 対象従業員の子どもの父親が2022年4月1日以降に合計30日以上の育児休業を取得していること
  • 都税の未納がないこと

申請方法

働くパパママ育休取得応援奨励金の申請は、募集要項に必要事項を記載し、東京しごと財団に郵送にて提出します。

書類の書式は(公財)東京しごと財団雇用環境整備課ホームページからダウンロード可能です。
https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/boshu/papamamayoukou.html

申請期間

働くパパママ育休取得応援奨励金の申請期間は、コースごとに変わります。

パパコース・ママコースが申請できるタイミングは原職復帰から3ヶ月経過後かつ、復帰から2ヶ月以内です。申請期間は2023年3月31日までとなっています。

パパと協力!ママコースが申請できるタイミングは、原職復帰から3ヶ月経過後かつ、復帰から2ヶ月以内です。申請期間は、2023年8月31日までとなっています。

育児休業にまつわる助成金について説明しました

本記事では、育児休業にまつわる助成金について紹介しました。育児休業に関わる助成金は返済不要であることに加え、社内制度を整える上でも役立ちます。

そのため、従業員の育児休業制度を導入する際には、助成金の利用をあわせて考えることがおすすめです。