職場定着支援助成金を徹底解説!2023年現在は人材確保等支援助成金を利用?

【2018年廃止済】職場定着支援助成金を徹底解説

従業員定着のため、魅力ある職場づくりに活用できる職場定着支援助成金

しかし、同じような補助金・助成金も多く、

  • 利用するメリット・デメリットは?
  • 人材確保等支援助成金とは何が違うの?

と迷われている方も多いでしょう。

本記事では職場定着支援助成金のわかりにくい部分についてお答えします。ぜひご活用ください。

目次
  1. 1. 職場定着支援助成金は廃止された?コースの種類と変遷
    1. 1-1. 人材確保等支援助成金で廃止・新設されたコース
  2. 2. 職場定着支援助成金(人材確保等支援助成金)とは?
  3. 3. 助成額に影響が出る「生産性要件」がカギ
  4. 4. 職場定着支援助成金(人材確保等支援助成金)を活用するメリット
    1. 4-1. 助成金だから返済義務がない
    2. 4-2. 従業員の離職率を下げられる
    3. 4-3. より良い人材を雇用できる
  5. 5. 職場定着支援助成金の注意点
    1. 5-1. 1度は自己資金でまかなわなくてはいけない
    2. 5-2. 支給までの手間がかかる
  6. 6. 職場定着支援助成金(人材確保等支援助成金)について紹介しました

職場定着支援助成金は廃止された?コースの種類と変遷

職場定着支援助成金の種類と変遷

もともと職場定着支援助成金には4つのコースが存在しましたが、2018年4月から人材確保等支援助成金に統合されており、職場定着支援助成金そのものが無くなっています

また「保育労働者雇用管理制度助成コース」と「介護労働者雇用管理制度助成コース」は「介護・保育労働者雇用管理制度助成コース」に統合された後、2021年に廃止されています。

たとえば、健康保険で助成金を受けたい場合、従来は「職場定着支援助成金」の雇用管理制度助成コースに申請していました。しかし、2023年現在では「人材確保等支援助成金」の雇用管理制度助成コースに申請することになっています。

人材確保等支援助成金で廃止・新設されたコース

人材確保等支援助成金で廃止されたコースもあります。職場定着支援助成金のコースと似た名前のコースもあるため混乱を招く一因となっています。

人材確保等支援助成金で廃止・新設されたコース

「雇用管理制度助成コース(建設分野)」は2022年4月に「建設キャリアアップシステム等普及促進コース」として生まれ変わっています。

最終的な人材確保等支援助成金のコースは以下のとおり(2023年3月現在)。

人材確保等支援助成金のコース

いくつか廃止されたコースはあるものの、人材確保等支援助成金は職場定着支援助成金よりも幅広い分野をカバーしている制度といえます。とくに、人材不足が叫ばれている介護・建設分野や外国人労働者のための環境整備、テレワーク対応で活用できるのが大きな特徴です。

▼関連記事
人材確保等支援助成金の各コースの詳細や申請方法については、「人材確保等支援助成金とは?対象資格や助成金額をわかりやすく解説」をあわせてご覧ください。

職場定着支援助成金(人材確保等支援助成金)とは?

もともと職場定着支援助成金は、職場環境を整えることで人材が定着しやすくする取り組みを支援するための制度でした。

目的は従業員の離職率を低下させ、長期的な雇用環境を生み出すこと。そのため、人事評価や待遇改善をした企業には最大72万円、介護職の負担軽減を目的とした機器導入をした企業には費用の最大35%(上限150万円)が支給されます。

前述したとおり職場定着支援助成金は人材確保等支援助成金に統合されていますが、その多くが引き継がれているため、同様の支援が期待できます。

助成額に影響が出る「生産性要件」がカギ

職場定着支援助成金(人材確保等支援助成金)は、生産性要件を達成すると受け取れる助成金額がアップするルールがあります。そのため、生産性要件を達成することが助成金を最大限に活かすカギとなります。

生産性要件とは、従業員の生産性を評価するための指標のこと。生産性は以下の式で算出されます。

生産性の算出方法

事業計画の実施で生産性が改善されれば「生産性要件を達成」となります。条件は以下のとおりです。

生産性要件

職場定着支援助成金(人材確保等支援助成金)を活用するメリット

助成金だから返済義務がない

通常の融資とは異なり、助成金は返済義務がありません。事業コストを圧縮できるのは大きなメリット。

なぜ返済義務がないのかというと、助成金や補助金は企業と従業員が毎月支払っている雇用保険料の一部から拠出されているためです。ほかにも国税や地方税が財源のものもあります。

企業が助成金制度を利用できるのは正当な権利であり、助成金を受け取っても返済する必要はないのです。

従業員の離職率を下げられる

従業員の離職率を下げることは、企業の安定成長につながります。従業員は、定着することで本来のパフォーマンスを発揮しやすくなるからです。たとえば、新しく従業員を雇い入れた場合、高いパフォーマンスをすぐに発揮するのは簡単なことではありません。かならず教育や研修が必要です。

せっかく従業員を育ててもすぐに辞めてしまえば、企業の生産性が上がらないのは当然といえます。そのため、助成金で職場環境を整え、従業員を定着させることができれば大きなメリットになるでしょう。

より良い人材を雇用できる

従業員が働きやすい環境を整えれば、自然とよい人材を雇用しやすくなります。職場定着支援助成金(人材確保等支援助成金)は従業員が働きやすく、定着しやすい環境作りを支援する制度。つまり裏を返せば、求職者にとっても魅力的な職場として見てもらえるということです。

有能な人材は、よりよい待遇や職場環境を求めるもの。自社が彼らの候補に入れば、効率的に人材を雇用できるチャンスが広がるでしょう。人事部門がよい人材を集められないという課題も改善が期待できます。

職場定着支援助成金の注意点

職場定着支援助成金の注意点

1度は自己資金でまかなわなくてはいけない

一般的に補助金制度は、事業計画を立てて実行し、計画が完了した後に補助金が支給されます。そのため、1度は自己資金で事業を実施・完了させなくてはいけません。事業を実施する資金がないという理由で助成金を受けたいと考えているのであれば、ほかの方法で資金を工面する必要があります。

また、事業完了と同時に補助金が支給されるわけではないという点も注意が必要。事業が完了したら「支給申請」を行い、事業が正しく実施されたか「完了検査」が入ります。すべてをクリアしてようやく支給となるため、資金計画は余裕をもって立てましょう

支給までの手間がかかる

助成金を受給するには複雑なプロセスをすべて通過しなくてはいけず、非常に手間がかかります。助成金の条件に合致する雇用管理制度の計画に始まり、計画の承認、新しい機器の導入、人員の補充、さらには制度を浸透させるための従業員教育も必要です。

また、支給条件を達成したことを証明するためのデータを収集し、報告書としてまとめなくてはいけません。助成金の申請から計画の実施、最終的に助成金を受け取るまでは多くの手続きと時間を要することは覚悟しておくべきでしょう。

職場定着支援助成金(人材確保等支援助成金)について紹介しました

本記事では、職場定着支援助成金(人材確保等支援助成金)について、メリット・デメリットや変遷の経緯を解説しました。

従業員の離職率を改善するには、大幅な改革が求められます。しかし、制度改革や設備へ投資するには資金が必要。 助成金制度を上手く利用すれば費用を抑えながら職場環境を改善できるでしょう。職場定着支援助成金は統合・廃止によって正確な情報が見つけにくい状況です。現行制度は「人材確保等支援助成金」であることを認識し、自社で活用できる制度がないかを検討してみてください。