事業再構築補助金の採択後の流れを徹底解説!補助金を受取る方法も紹介

事業再構築補助金の採択後の流れを徹底解説!補助金を受取る方法も紹介

事業再構築補助金の採択後の流れがわからず、気になる方も多いでしょう。採択から受領までの手続きで、不備や差し戻しはあるのか、補助金受領までの期間はどれくらいか。やるべきことがわかっていれば、不安を減らすことが可能です。

本記事では、事業再構築補助金の採択・交付申請・実績報告・受領の流れを解説します。

目次
  1. 1. 事業再構築補助金は採択されたあとの手続きが重要
  2. 2. 採択後は補助金を受け取るまでに必要な手続きを実施していく
    1. 2-1. 採択結果の確認
    2. 2-2. 交付申請を実施する
    3. 2-3. 交付決定通知書を受領する
    4. 2-4. 補助事業の開始
    5. 2-5. 事務局から状況報告の指示があれば応じる
    6. 2-6. 実績報告書を補助事業完了後30日以内に提出する
    7. 2-7. 実績報告書の内容に基づいて確定検査が実施される
    8. 2-8. 補助金の額の確定        
    9. 2-9. 精算払の請求
    10. 2-10. 補助金を受け取る
  3. 3. 補助金を受領したら事業計画終了まで報告を継続する
    1. 3-1. 事業完了後の5年間は事業化状況と知的財産権の報告を実施する
    2. 3-2. 取得財産を5年間管理する
  4. 4. 事業再構築補助金に採択されるためにやるべきこと
    1. 4-1. 必要書類を集めて期限内に申請する
    2. 4-2. 誰でも伝わるようにわかりやすく事業計画書を作成する
    3. 4-3. 新型コロナウィルスによる影響を記載する
  5. 5. 過去の採択事例
    1. 5-1. 飲料・飼料製造(事業再編)「株式会社北岡本店」
    2. 5-2. 製造業(事業転換)「株式会社SGIC」
    3. 5-3. 食品販売小売業「有限会社ベアーズ」
  6. 6. 【まとめ】事業再構築補助金の採択後の流れを知り不備なく受領しよう

事業再構築補助金は採択されたあとの手続きが重要

事業再構築補助金が採択されたことで、すぐに補助金を受け取れるわけではありません。むしろ採択以降の手続きが重要です。採択から補助金を受け取るまでには、交付申請や実績報告といった手続きや報告義務が残されています。

採択されたからといって安心し、採択後の手続きをなおざりにしていると、補助金の交付決定が遅れ、補助金の受領が遅れてしまいます。また、補助事業が実施期間内に終了しなければ、補助金の交付が受けられなくなることも。

さらに、事業再構築補助金を受け取って終わりでもありません。受領したあとも事業運営と財産を管理し、必要に応じて報告する必要があり、報告義務を怠ると、補助金交付取り消しの可能性もあります。

苦労して得た採択を無駄にせず、確実に補助金を事業に活用するためにも、採択後の手続きはしっかり押さえておきましょう。

採択後は補助金を受け取るまでに必要な手続きを実施していく

事業再構築補助金の採択後の流れを徹底解説!補助金を受取る方法も紹介        _5

補助金申請の採択から、補助金を受領するまでには上記の流れで手続きを行います。

採択後に事業計画の変更が生じる場合には、上記のほかに変更手続きが必要です。次の項から行程を解説します。

採択結果の確認

事業再構築補助金申請の採択結果は、申請締め切りから2~3ヵ月後を目処に発表されます。採択結果は「GビズID」に登録したメールアドレスに通知されるほか、発表日以降は事業再構築補助金のポータルサイトからも確認できます。

採択結果の確認が遅れると、補助事業に取り組める実施期間が短くなることもあるため、申請締め切り2ヵ月あたりからは、ポータルサイトや着信メールを頻繁に確認しましょう。

採択後に補助金を辞退する場合

もし採択後にやむを得ず補助金を辞退したい場合は、事務局へ辞退の申請をします。辞退の申請は、補助金申請と同様に補助金申請サイト「jグランツにログインして行う必要があります。

マイページから事業再構築補助金の受付番号、辞退の理由を記載します。注意点は、一度辞退の申請をすると取り消しができないため、操作を間違えないよう入力しましょう。事業再構築補助金の公式サイトにある「jグランツ入力ガイド」をダウンロードし、公募回のマニュアルを参照するようおすすめします。

複数の事業者が連携して申請している事業の場合は、「補助事業の手引き」内の採択辞退の書類(参考様式1-1「代表申請及び連携申請の連携事業者」)PDFファイル58ページを参考にしてください。

採択前に補助対象経費を支払う場合

採択前に補助対象経費を支払いたい場合には「事前着手申請」という制度を利用します。

事業再構築補助金は原則、採択後に支払う経費を補助対象としているため、採択前に補助対象経費を支払っても、補助が受けられません。しかし少しでも早く事業に着手したい人に向け、申請すれば早期に補助を受けられるよう、事前着手申請制度が設けられました。

事前着手申請では、令和3年(2021年)2月15日以降に購入・発注した経費までさかのぼって補助金の申請が可能になります。

事前着手申請は交付決定日までに手続きをする必要があるため、早期に補助事業を開始したい場合は計画的に準備をしましょう。

交付申請を実施する

補助金申請の採択を確認できたら、「交付申請」を行います。

交付申請もjグランツから手続きが可能で、jグランツを使えば申請自体は様式に基づく書類の必要はありません。ほかに用意すべき書類は以下のとおりです。

  • 経費明細表
  • 個人事業主の場合:直近の確定申告書(第一表)
    ※応募時に直近の確定申告書等を提出していれば不要
  • 決算書・青色申告決算書 / 収支内訳書(白色申告)
    ※応募時に直近の決算書等を提出していれば不要
  •  見積依頼書および見積書
    ※見積金額合計が50万円(税抜)以上の場合は相見積書が必要
  • 建物費、機械装置・システム構築費の追加書類
  • 「取得財産に係る誓約書」(参考様式21)
  • その他:別途補助金交付候補者の採択発表時に事務局から提出を求められた書類

交付申請の手続きについて詳細を知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

関連記事:事業再構築補助金の交付申請の必要書類から申請方法まで徹底解説!

交付申請時に計画変更する場合

交付申請時に計画変更がある場合は、変更内容と変更理由を記載した書類の用意が必要となります。

変更する内容ごとに必要書類などが異なるため、手続きの確認が必要です。補助事業の実施場所や購入項目などの変更は「交付申請書別紙1」にて変更可能。代表者、社名、本社所在地などの事業情報変更には別途届が必要になる場合もあります。

ただし、補助事業の根幹である事業計画や成果目標、事業の趣旨や目標などは、変更できない可能性があり、事務局に問い合わせが必要です。

交付決定通知書を受領する

交付申請書が事務局に届いてから30日ほどで、交付の可否が決定されます。jグランツのマイページに交付決定通知が届いたら、申請者は晴れて補助金の「補助事業者」となります。

補助事業は「様式第2 交付決定通知書」の右上に記載されている交付決定日から開始できます。交付決定日以前の事業は、事前着手申請を行っている場合を除いて補助対象外となるため注意が必要です。

もし、交付決定後に補助金を辞退する場合には、交付決定通知を受けた日から10日以内に、jグランツで事務局に辞退の申請をする必要があります。

補助事業の開始

交付決定を受領し補助事業を開始したら、補助事業者は、補助事業実施期間内で機材の納品、検収、経費の支払いといった補助事業の全プロセスを完了させなければなりません。

補助事業実施期間には、「交付決定日~12ヵ月以内・ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14ヵ月後の日まで」などの縛りがあるため、交付申請が遅れるほど実施期間が短くなってしまいます。補助金申請枠により補助事業実施期間が異なるため、以下に記載します。

申請枠

補助事業実施期間

成長枠

産業構造転換枠

最低賃金枠

物価高騰対策・回復再生応援枠

交付決定日~12ヵ月以内

※ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14ヵ月後の日まで

グリーン成長枠

交付決定日~14ヵ月以内

※ただし、補助金交付候補者の採択発表日から16ヵ月後の日まで

卒業促進枠

大規模賃金引上促進枠

交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで

参考:事業再構築補助金 公募要領

補助事業実施期間内に全事業を完了させるためには、機材の納期や工事の工期などを考慮したスケジュールを作成することが必要です。

投資設備の納期が間に合わない場合

投資設備の納期が、補助事業完了期日に間に合わない場合は、事務局あてに理由を添え、補助事業完了期日の延期を申し出る必要があります。

納期が遅れる原因が事業者の責任でない場合は、およそ3ヵ月の補助事業完了期限日の延長が認められます。延期の手続きもjグランツから行い、補助金公式サイト参考様式集から「様式第4事故報告書」をダウンロードして記入・提出しましょう。

補助事業実施期間に計画変更する場合

補助事業実施期間に計画の変更が必要になった場合は、jグランツから事務局に申請する必要があります。

計画変更の申請に必要な書類である「補助事業計画変更(等)承認申請書 別紙(新旧対比表)」(様式第3-1)をダウンロードし、jグランツに添付、申請します。

そのほか、変更内容ごとに以下の書類が必要です。

変更内容

必要な書類の様式

経費配分等の変更及び

主な資産の変更の場合

  •  「補助事業計画変更(等)承認申請書 別紙
  • (新旧対比表)」<様式第3-1>
  •  見積書及び相見積書(条件は、
  • 交付申請と同条件)

建物費にかかる変更及び

取得する主な資産の変更

 

  • 「補助事業計画変更(等)承認申請書 別紙(新旧対比表)」
  • <様式第3-1>
  •  見積書及び相見積書(条件は、交付申請と同条件)

補助事業の計画の変更の場合

  • 「補助事業計画変更(等)承認申請書
  • 別紙(新旧対比表)」<様式第3-1>

補助事業実施体制の変更

  • 「補助事業計画変更(等)承認申請書
  •  別紙(新旧対比表)」<様式第3-1>
  • 連携先事業者の承認

補助事業実施場所の変更

  • 「補助事業計画変更(等)承認申請書
  • 別紙(新旧対比表)」<様式第3-1>

書類の作成には、公式サイトの「よくあるご質問」や「jグランツ入力ガイド」も参照するとよいでしょう。

事務局から状況報告の指示があれば応じる

事務局から状況報告の指示があった場合は、「状況報告書」を提出します。

補助金公式サイトから「様式第5 状況報告書」をダウンロード、jグランツで以下の内容を記載し、提出します。

  • 補助事業の遂行状況
  • 補助対象経費の区分別収支
  • スケジュール遅延の有無と理由 など

ただし、事務局から状況報告の指示があっても、次の場合は状況報告書の提出は不要で、実績報告書にて事業の状況報告を行います。

  • すでに補助事業が終了している場合
  • 実績報告書の作成に着手している場合
  • およそ1ヵ月以内に補助事業を終了し実績報告書提出の予定がある場合

実績報告書を補助事業完了後30日以内に提出する

補助事業がすべて完了したら、事業完了日から30日以内、もしくは補助事業完了期限日までに「実績報告書」を提出します。ここでいう補助事業の完了とは、交付申請書に記載した事業計画が支払いまですべて完了した状態です。

実績報告書は公式サイト様式集から「様式第6」と「様式第6別紙1~別紙4」をダウンロードし記入、必要書類と一緒に事務局に提出します。

必要書類は以下のとおりです。

補助対象経費の区分

必要な書類

すべての補助対象区分

  • 出納帳のコピー
    ※補助事業に要した経費の出納状況記載部分
  •  通帳のコピー
    ※補助事業に要した経費の出金および、金融機関名、支店名、
  • 種別、口座番号、口座名義がわかる部分

建物費

  • 見積依頼書(仕様書)
  • 見積書
  • 相見積書
    ※1者のみの場合は業者選定理由書
    ※交付決定・計画変更時と内容に変更がなければ不要
  • 契約書
    ※発注書または注文書と、請書または注文確認書でも代用可
  • 重要事項説明書(新築の場合)
  • 納品書または引渡書または完了報告書
  • 検収書(注1)
  • 完了後の写真(注2)
    ※単価50万円以上(税抜き)の物件等の写真
  • 工事完了後の図面
    ※工事前と変更ない場合は交付決定時のもの
  • 工事完了後の工事費内訳書または明細書
    ※契約時、完了時を問わず最終の費用内訳
  • 請求書
  • 代金支払済みを示す証票
    ※銀行の振込金受領書または支払証明書など。
  • ネット銀行は代金支払済みを示す取引記録等の画面のコピー
  • 領収書(存在する場合)
  • 預り金元帳<参考様式19>(注3)
  • 源泉所得税の納付書のコピー(注3)

上記以外にも必要に応じ提出を求める場合あり

建物費(一時移転経費)

  • 一時移転先に移転していることが確認できる写真
  • 退去したことが確認できる証憑
    ※一時移転先の賃料を計上している場合
    ※退去日の確認ができる、退去届、
  • 退去確認書、解約通知書の提出が必要
  • 移送先、発送先のリスト(任意の様式)
    ※一時移転先・事業実施場所の移転費を計上している場合

機械装置・システム構築費

  • 見積依頼書(仕様書)
    ※相見積書がある場合は相見積書の見積依頼書も提出
  • 見積書
  • 相見積書
    ※1者のみの場合は「業者選定理由書」
    ※交付決定・計画変更時と内容に
  • 変更がない場合、本見積書のみで可
  • 契約書
    ※発注書または注文書と、請書または注文確認書でも代用可
  • 納品書または引渡書または完了報告書
  • 検収書(注1)
  • 設置後の写真、および製造番号の
  • 記載があるものは製造番号がわかる部分の写真
  • システム構築の場合のシステム等の
  • トップ画面スクリーンショット画像(注2)
    ※単価50万円以上(税抜き)の物件等(財産)についての写真
  • 請求書
  • 代金支払済みを示す証票
  • 領収書(存在する場合)
  • 預り金元帳<参考様式19>(注3)
  • 源泉所得税の納付書のコピー(注3)

技術導入費

  • 見積書
  • 契約書
    ※知的財産権等を所有する他者から取得
  • (実施権の取得を含む)する場合
    ※発注書または注文書と、請書または注文確認書でも代用可
  • 指導契約書<参考様式5>
    ※知的財産権等の導入の際に専門家と技術指導を契約する場合
  • 専門家業務報告書<参考様式11>
    ※知的財産権等の導入の際に専門家と技術指導を契約する場合
  • 請求書
  • 代金支払済みを示す証票
  • 領収書(存在する場合)
  • 預り金元帳<参考様式19>(注3)
  • 源泉所得税の納付書のコピー(注3)

専門家経費

  • 見積書
  • 相見積書
    ※謝金単価が基準以下の場合は見積書・相見積書不要
    ※交付決定・計画変更時と内容に
  • 変更がない場合、本見積書のみで可
  • 専門家就任承諾書<参考様式10>
  • 専門家業務報告書<参考様式11>
    ※謝金がなく旅費を支給する場合も必要
  • 旅費明細書<参考様式13>
    ※旅費を支給する場合
  • 宿泊先の領収書
  • 航空券、切符領収書等の旅費の証明となる書類
  • 請求書
  • 代金支払済みを示す証票
  • 領収書(存在する場合)
  • 預り金元帳<参考様式19>(注3)
  • 源泉所得税の納付書のコピー(注3)

運搬費

  • 見積書
  • 移送先、発送先のリスト(任意の様式)
  • 請求書
  • 代金支払済みを示す証票
  • 領収書(存在する場合)
  • 預り金元帳<参考様式19>(注3)
  • 源泉所得税の納付書のコピー(注3)

クラウドサービス利用費

  • 見積書
  • 契約書(発注書または注文書と、請書または注文確認書でも代用可)
  • 請求書
  • 代金支払済みを示す証票
  • 領収書(存在する場合)
  • ログイン後の登録者情報の画面のスクリーンショット
  • 開発したアプリケーション等があれば
  • トップページのスクリーンショット(注2)
  • 預り金元帳<参考様式19>(注3)
  • 源泉所得税の納付書のコピー(注3)

外注費

  • ・見積書
  • ・契約書
    ※発注書または注文書と、請書または注文確認書でも代用可
    ※契約書は事業委託契約書<参考様式9>で作成でも可
  • ・納品後の加工品等の写真(注2)
    ※設計費単体を計上している場合は納品された図面
    ※単価50万円以上(税抜き)の物件等(財産)についての写真
  • 納品書または引渡書
  • 検収書
    ※納品書・検収書の代替として事業完了通知書
  • <参考様式9の様式2>の提出でも可
  • 請求書
  • 代金支払済みを示す証票
  • 領収書(存在する場合)
  • 預り金元帳<参考様式19>
  • 源泉所得税の納付書のコピー

知的財産権等関連経費

  • 見積書
  • 契約書
  • 公的機関の書類
    ※補助事業期間内に出願手続きを完了したことがわかるもの
  • 請求書
  • 代金支払済みを示す証票
  • 領収書(存在する場合)
  • 預り金元帳<参考様式19>(注3)
  • 源泉所得税の納付書のコピー(注3)

広告宣伝・販売促進費

  • 見積書
  • 契約書
    ※発注書または注文書と、請書または注文確認書でも代用可
  • 納品書または完了報告書
  • 検収書(注1)
  • 請求書
  • 代金支払済みを示す証票
  • 領収書(存在する場合)
  • 補助対象物件受払簿<参考様式4>
    ※ただし、対象物件を「配布物」として使用する場合
    ※「消耗品」「配布物」として使用した場合は、
  • 事業実施期間内で実際に使用した数量分のみ補助対象
  • 看板・サイン作成の場合は当該看板等の写真(注2)
    ※単価50万円以上(税抜き)の物件等(財産)の写真
  • HP等作成の場合はスクリーンショット(注2)
    ※単価50万円以上(税抜き)
  • の物件等(財産)について写真を提出
  • 預り金元帳<参考様式19>(注3)
  • 源泉所得税の納付書のコピー(注3)

研修費

  • 見積書
  • 申込書
  • 契約書(存在する場合)
  • 請求書
  • 代金支払済みを示す証票
  • 領収書(存在する場合)
  • 研修終了が確認できる書類
    ※受講確認書、終了証、参加証明書等
  • 預り金元帳<参考様式19>(注3)
  • 源泉所得税の納付書のコピー(注3)

(注1)納品書等のコピーに「検収」と手書きし「検収年月日」「立合者氏名」をサインしコピーしても可

(注2)画像データ用台紙<参考様式17>に貼りつけPDF化

(注3)「預り金元帳」「源泉所得税の納品書のコピー」は個人事業主と取引し源泉徴収を行った場合のみ必要

実績報告時には必要書類が多く、ルールが細かいために差し戻しも発生しやすいため、準備できる物から計画的に整えていきましょう。補助事業完了期限日までに「実績報告書」が提出されない場合は、補助金の支払いがされないため、注意が必要です。

実績報告書の手続き詳細を知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

関連記事:事業再構築補助金の実績報告書について解説。必要な書類や作成方法など要チェック!

実地検査が必要な場合 

実績報告書の提出後に、必要に応じて事務局が「実地検査」を行う場合があります。補助金を活用した機材や建物などが、提出した事業計画どおりに整備され機能しているかを確認するためです。

実地検査の対象は以下の内容です。

  • 成果および処分制限財産(補助対象の財産)の活用状況
  • 経理処理方法を含む補助金の使途内容
  • 事業化時期・計画の内容・規模、収益見通し など

事務局による実地検査で、違反行為や経費の不適切な使途などが判明すると、補助金の返還や事業者名の公表が行われる場合があります。補助金の返還命令が下った場合は従わなければなりません。

実績報告書の内容に基づいて確定検査が実施される

実績報告書提出後、事務局では実績報告書と添付書類の内容を確認し、補助金額を確定する「確定検査」を行います。確定検査では、建物や改修などの詳細・機械設備などの入手と支払・補助事業の成果などの書類確認と、必要に応じて事業実施場所の訪問を行います。

補助対象期間内に、契約から支払までを完了した経費の使用実績と使途について、適正かどうかを検査し、補助金額の確定(交付決定額の全額もしくは一部など)を行うものです。

補助金の額の確定        

確定検査の結果、採択した事業計画と実績にかい離がなく、補助金の使用実績と使途などに問題がなければ、補助金額が確定します。「補助金確定通知書(様式第8)」が事務局より通知として届くため、jグランツのマイページを確認しましょう。

精算払の請求

補助金確定通知書を受領したら、補助金の清算手続きに入ります。

具体的には公式サイトの「交付規定・様式集」から「補助金精算払請求書(様式第9-2)」をダウンロードして作成し、精算払の請求を行います。入力には「補助金清算払請求額」「補助金交付決定額」「補助金確定額」などの情報が必要です。

請求手続きで「概算払請求書」を受理されたら、補助金の振込が決定します。補助金は確定したら入金するのでなく、清算払請求をしないと振り込まれないため、実績報告書が受理されたら速やかに清算払請求書を提出しましょう。

補助金を受け取る

精算払請求書を提出し、承認されると2週間から2ヶ月ほどで事務局より補助金が振込まれます。

補助金申請からの流れを振り返ると、例えば最低賃金枠で6月に申請して8月に採択、9月に交付決定の場合、補助事業完了期限日は翌年9月までです。それから実績報告書を提出・承認、清算払請求書を提出して、最終的に補助金が入金されるのは10~12月頃となるイメージです。

事業再構築補助金の申請から振込までは時間がかかるため、事業再構築補助金を利用する人は、振込までのおおよそのスケジュールを押さえて計画的に事業活動をしましょう。

補助金を受領したら事業計画終了まで報告を継続する

事業再構築補助金の採択後の流れを徹底解説!補助金を受取る方法も紹介        _4

事業再構築補助金は受領したら終わりではありません。事業計画どおりに事業が軌道に乗っているか、事務局へ進捗報告をする必要があるのです。

もし計画どおりに事業を継続できなかったり、取得した財産を処分しなければならなかったりしたときの手続きも含め、次の項から解説します。

事業完了後の5年間は事業化状況と知的財産権の報告を実施する

補助事業完了が属する年度を含め、5年間6回の「事業化状況等報告」と「知的財産権報告」が必要です。

報告の際に、各年度の損益計算書、貸借対照表、労働者名簿、製造原価報告書、販売費および一般管理費明細書などを提出する必要があります。大規模賃金引上げ枠のみ、賃金台帳も必要です。

報告のフォーマットは補助金公式サイトの「事業化状況報告システム操作マニュアル」で確認しておきましょう。事業化報告を怠ると、補助金の返還を求められることになるため、定められた期限までに報告しましょう。

事業を継続できなくなった場合の対応

事業再構築補助金制度で補助金を受領したものの、事業を継続できなくなった場合には、事務局へ報告が必要です。

手続きは、補助金公式サイトの様式集から「様式 第14-1 補助事業完了後の事業計画の中止(廃止)届出書」を作成・提出します。

業する場合には、「廃止届」を提出後に、処分制限期間内の取得財産について「財産処分承認申請」の申請が必要です。事業中止の届出申請をした場合でも、事業化状況報告の提出が必要です。

取得財産を5年間管理する

事業再構築補助金の補助対象経費で得た資産や財産は、補助事業完了後も管理して、補助金の目的に従い運用していく必要があります。

補助事業者は、補助金で取得した財産(設備、建物など)を補助事業完了日の年度終了後から5年間管理しなければなりません。もし財産を処分する必要が生じた場合は、次項で解説する報告と手続きが必要です。

取得した財産を処分する場合

補助事業で取得した50万以上の資産や財産を、処分制限期間内(減価償却期間内)に処分するときは、書類を事務局に提出して承認を得る必要があります。

まず公式サイト内様式集から「様式第12-1 財産処分承認申請書」をダウンロード、作成して提出。次に「様式第12-2財産処分承認通知書」を提出し、事務局より承認を得る流れです。

補助金で取得した、建物や設備など50万円以上の財産には「処分制限」がある点に注意が必要です。もし承認を得ずに財産を売却したり廃棄したりした場合は、交付決定が取り消される可能性もあるため、処分を行う際には事前申請を忘れず行いましょう。50万円未満の財産についても、前項のとおり5年間の管理が必要です。

事業再構築補助金に採択されるためにやるべきこと

事業再構築補助金の採択後の流れを徹底解説!補助金を受取る方法も紹介        _1

必要書類を集めて期限内に申請する

事業再構築補助金の申請が採択されるためには、必要書類を正しく集め、不備なく申請することがポイントです。

事業再構築補助金の申請不採択のうち、約10%が書類不備によるといわれています。書類の収集・作成では間違いのないよう、慎重に対処しましょう。

以下に、要件を満たさなかった申請のよくある事例を紹介します。

  • 売上高等減少要件に必要な、月別売上高を証明する書類の添付がない
  • 売上高減少として挙げた年月とは別の日付の書類が添付されている
  • 「認定経営革新等支援機関による確認書」 に記載された法人名と申請者が異なる
  • 経済産業省「ミラサポplus」からの「事業財務情報」の添付がない
  • 添付された書類にパスワードがかかっている、あるいはファイルが破損している

誰でも伝わるようにわかりやすく事業計画書を作成する

補助金の申請が採択されるためには、事業計画書を業種の専門以外の人にも伝わるよう、分かりやすく作成することも重要です。

なぜなら審査官が事業や業種の知識があるとは限らないためです。事業計画書に専門用語や専門的な表現が多すぎると、審査官が理解できず、説明を求められる可能性もあります。新規事業の可能性を的確に伝え、採択の可能性を上げるためにも、わかりやすい事業計画書の作成を心がけましょう。

作成の仕方がわからないときは、補助金公式サイトの「事業計画書作成ガイドブック」を参考にするのも1つの方法です。

新型コロナウィルスによる影響を記載する

補助金申請が採択されるためには、コロナ禍で事業が受けた影響と、新規事業で窮状脱却を図る旨を明記することが大切です。

事業再構築補助金は、コロナ禍によって影響を受けた事業者を、支援するために設けられた補助金制度です。そのため事業計画書には、コロナ禍によって経営状況が悪化し、新規事業で緊急に経営を立て直す必要があると記載するほうが、採択されやすくなります。

過去の採択事例

最後に、過去に事業再構築補助金に採択された事業の事例を3つ紹介します。3社は自社の強みや市場での立ち位置を把握し、事業計画に盛り込み採択されているので、ぜひ自社申請の参考にしてください。

飲料・飼料製造(事業再編)「株式会社北岡本店」

事業再構築補助金の採択後の流れを徹底解説!補助金を受取る方法も紹介        _2

画像引用:北岡本店

明治元年(1868年)創業の老舗酒造「株式会社北岡本店」では、新分野展開を実施する通常枠で申請、採択されています。

もともと顧客に居酒屋などの料飲店・卸業者が多く、コロナ禍で主要な販路である居酒屋チェーンの売上が大きく落ち込んだことにより、業績が大きく落ち込みました。

そこで自社の強みである商品企画・開発力を活かし、乳酸菌発酵飲料・乳酸菌原液などの開発と販売に着手。同時にブランド力とリキュール製品の独自性と実績を活かし、果肉たっぷりの果実リキュールを小売市場へ投入しました。

質感が売りの果実リキュールは大手メーカーにとってはロット数が少なく、地域の酒蔵にとってはリソース不足で開発困難な、二ッチ市場となることが予想されています。さらに事業計画では、乳酸菌製品の新たな市場開拓により、5年後には2億7千万円の販売が可能で、事業化後すぐに同社売上高の10%以上を見込めるとのことです。

製造業(事業転換)「株式会社SGIC」

事業再構築補助金の採択後の流れを徹底解説!補助金を受取る方法も紹介        _6

画像引用:株式会社 SGIC

国内外屈指のプレス技術を誇る「株式会社SGIC」は、グリーン成長枠で事業再構築補助金に採択されています。

プラスチック・紙パルプ製造機械を製造・販売している同社は、コロナ禍のオンライン化によるペーパーレス化にともない、製紙需要が減少。もともと売り切りフロー型ビジネスモデルであることに加え、コロナ禍と戦争による部品不足も窮状に拍車をかけました。

そこで政府のグリーン成長戦略と、各企業のエコ意識向上に則り、自社技術でリサイクル性の良い素材の生産が可能と判断。技術力でグローバル二ッチトップ企業との呼び名の高い同社は、製紙業のリソースを、リサイクル炭素繊維を使った軽量高品質シートの受託製造へと振り替えています。

同社のグリーン成長戦略のポイントは、長年培った技術を活用し、炭素繊維の廃材を有効活用・再生することにより、排出されるCO2の削減および生産コスト削減に寄与できる点です。

高品質・構成の素材の製造により同社は、補助事業終了後には付加価値額が年率平均5.0%以上の増加を達成できる見込みとのことです。

食品販売小売業「有限会社ベアーズ」

事業再構築補助金の採択後の流れを徹底解説!補助金を受取る方法も紹介        _3

画像引用:コミュニティマーケット ベアーズ〈BEARS〉/千葉県木更津市

飲食店向けの酒類卸、オーガニック食品と酒類の小売店運営「有限会社ベアーズ」は、特別枠で事業再構築補助金に採択されています。身体に優しい焼酎や雑穀の量り売りと、無農薬・無添加食品が健康志向の女性に人気です。

同社の強みは商品開発力で、砂糖不使用のリキュール開発をはじめ、オリジナルの梅酒は全国大会でグランプリを受賞した実績もあります。

しかしコロナ禍で飲食店向けの売上が大きく減少。 そこで同社は卸売事業の譲渡を決定し、利益率の高い自社製造の酒類と、オーガニック食品販売の小売業に事業をシフトすることに決定しました。店舗をブルワリー併設の自然派食品店にリニューアルし、リキュール製造後のフルーツや無農薬大麦を原料とした、自然派ビールの開発・販売にも注力します。

同社では補助事業で設備投資を行い、補助事業終了後5年目で小売り事業の売上比率を68.8%に拡大する計画です。店内のワークショップでビール造り体験を実施し、ファン獲得につなげるなど、オーガニックをキーワードにしたコミュニティづくりを目指しています。

【まとめ】事業再構築補助金の採択後の流れを知り不備なく受領しよう

事業再構築補助金を採択されても、採択後にも交付申請や実績報告など重要な手続きがあり、補助金を確実に受け取れるわけではありません。

さらに補助金を受け取って終わりではなく、事業化状況報告や知的財産権の報告などがあるため、受領後も取得財産の管理が求められます。

補助金の申請から受領後まで、多数の手続きや報告が必要ですが、不備を防いで確実に補助金を新規事業に投入し、事業を軌道に乗せましょう。