テレワークで助成金は受け取れる?制度の種類やメリットを解説

テレワークで助成金は受け取れる?制度の種類やメリットを解説

テレワークを考えていても、セキュリティ対策やテレワークできる労働環境の構築、資金の確保が難しくなかなか一歩を踏み切れないとお悩みではありませんか? 

この記事では、テレワーク勤務でも活用できる助成金・補助金やテレワーク助成金を活用するメリットについて解説します。

最後まで読めば、テレワークに関する助成金について把握し、補助金を詳しく調べることが可能
です。

目次
  1. 1. テレワーク勤務でも活用できる助成金・補助金
    1. 1-1. 人材確保等支援助成金(テレワークコース)
    2. 1-2. IT導入補助金
    3. 1-3. テレワーク促進助成金
  2. 2. テレワーク助成金を活用するメリット
    1. 2-1. 事業の活性化が期待できる
    2. 2-2. 人材や労働力の確保ができる
    3. 2-3. コスト削減が期待できる
  3. 3. テレワークで助成金の種類やメリットを解説しました

テレワーク勤務でも活用できる助成金・補助金

テレワーク勤務でも活用できる助成金・補助金は、コロナの影響で始まった制度であり、落ち着いた現在は残っている制度は多くありません。活用できる助成金・補助金について解説します。

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

人材確保等支援助成金(テレワークコース)とは、テレワークの導入・実施により、労働者の人材確保や雇用管理改善などによって効果をあげた中小企業事業主を助成するものです。

受給要件

受給要件は以下の通りです。

審査

内容

機器等導入助成

  • ・テレワーク実施計画を作成し、管轄の労働局に提出後、認定を受ける
  • ・機器等導入助成の支給申請日までに、テレワークに関する制度を就業規則で整備する
  • ・テレワーク実施計画を実施する
  • ・評価期間に1回以上、対象労働者全員がテレワークを実施する
  • ・評価期間、対象労働者が週平均1回以上テレワークを実施する
  • ・労働者がテレワークを実施しやすい職場風土作りの取組を行う事業主である

目標達成助成

  • ・テレワークをした結果、評価時離職率が、計画時離職率以下である
  • ・評価時離職率が30%以下である
  • ・評価期間初日から1年後から3か月間に1回以上テレワークを行った労働者数が、
  •  評価期間初日から1年後、対象事業所の労働者数に、計画時における労働者全体に
  •  占めるテレワーク実施対象労働者の割合を掛け合わせた人数以上である

賃金要件

  • ・評価期間の開始日から1年以内に、
  •  賃金を5%以上増加させている事業主である

受給額

受給額は以下の通りです。

項目

内容

対象経費

  • ・就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
  • ・外部専門家によるコンサルティング
  • ・テレワーク用通信機器等の導入・運用
  • ・労務管理担当者に対する研修
  • ・労働者に対する研修

機器等導入助成

  • ・1企業あたり、支給対象となる経費の30%
  • ・以下のいずれか低い方の金額が上限
    •   ・100万円/企業
    •   ・テレワーク実施対象労働者:20万円/人

目標達成助成

  • ・1企業あたり、支給対象となる経費の20%

(賃金要件を満たす場合35%)

  • ・以下のいずれか低い方の金額が上限
    •   ・100万円/企業
    •   ・テレワーク実施対象労働者:20万円/人

申請期間

実施予定日について最も早い日に関する1か月前の前日、又は評価期間開始予定日について1か月前の前日、いずれか早い日までにテレワーク実施計画書を最寄りの労働局に提出します。

テレワークの実施予定日は以下の通りです。

テレワーク実施

の取り組み

実施予定日

就業規則等の作成・変更

  • ・就業規則等の納品予定日

外部専門家による

コンサルティング

  • ・コンサルティングの実施予定日

テレワーク用通信機器等

の導入・運用

  • ・テレワーク用通信機器の納品予定日

※サテライトオフィス、テレワーク用サービス利用の場合、利用開始予定日

労務管理担当者に対する研修

  • ・研修の実施予定日

労働者に対する研修

  • ・研修の実施予定日

必要書類

必要書類は以下の通りです。

  • ・支給申請書
  • ・テレワークを実施した労働者名簿
  • ・テレワークの実施状況、助成要件の達成状況が分かる資料
  • ・タイムカード
  • ・GPSによる位置情報等を記録できる機器のログ情報、始業・終業メール等
  • ・雇用保険一般被保険者については離職証明書(写)
  • ・雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(事業主通知用)
  • ・支給要件確認申立書
  • ・その他管轄労働局長が必要と認める書類
  • ・就業規則(賃金要件を満たした場合の額の適用を希望する場合)
  • ・振込口座が確認できる書類

申請手続きの流れ

申請手続きの流れ

画像引用:テレワークコース リーフレット

(1)テレワーク実施計画の作成・提出

提出期限までに、管轄する労働局にテレワーク実施計画を提出します。

(2)テレワークの実施

支給申請日までに、機器を納品し支払を終えることが必要です。計画認定日から半年までの期間内において、事業主が連続する3か月間を評価期間(機器等導入助成)として設定し、テレワークを実施します。

(3)支給申請

計画認定日から起算して7か月以内に、労働局へ支給申請書を提出します。就業規則等で新たにテレワークに関する制度の規定が必要です。支給対象経費の30%が助成されます。

(4)テレワークの実施

評価期間の初日から1年後から評価期間(目標達成助成)となる3か月間、テレワークを実施し
ます。

(5)支給申請

評価期間(目標達成助成)の終了日の翌日から1か月後までに、労働局へ支給申請書を提出します。支給対象経費の20%が支給されますが、賃金要件を満たした場合35%が支給されます。

IT導入補助金

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツール導入に活用できる制度です。補助金には3種類あります。

・通常枠(A・B類型):業務効率化・売上アップなど経営力の向上・強化
・セキュリティ対策推進枠:サイバー攻撃によるリスクや生産性向上を阻害するリスクの低減
・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型):企業間取引のデジタル化を推進

受給要件

補助対象者は以下のような中小企業と小規模事業者です。

【中小企業】

【中小企業】

画像引用:IT導入補助金2023

【小規模事業者】

【小規模事業者】

画像引用:IT導入補助金2023

受給額

受給額は以下の通りです。

項目

内容

対象経費

  • ・ソフトウェア購入費
  • ・クラウド利用料
  • ・導入関連費
  • ・ハードウェア購入費(デジタル化基盤導入枠)

補助率

  • ・通常枠(A・B類型):1/2以内
  • ・セキュリティ対策推進枠:1/2以内
  • ・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型):3/4以内(50万円以下)

上限枠・下限枠

  • ・通常枠:A類型:5万円~150万円未満
    •      B類型:150万円~450万円以下
  • ・セキュリティ対策推進枠:5万円~100万円
  • ・デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型):50万円超~350万円

申請期間

2023年5月時点の申請期間は以下の通りです。

申請枠

申請回

締切日

交付決定日

通常枠

2次締切分

2023年6月2日(金)

17:00(予定)

2023年7月11日(火)(予定)

セキュリティ

対策推進枠

2次締切分

2023年6月2日(金)

17:00(予定)

2023年7月11日(火)(予定)

デジタル化基盤

導入類型

3次締切分

2023年6月2日(金)

17:00(予定)

2023年7月11日(火)(予定)

複数社連携

IT導入類型

1次締切分

2023年5月31日(水)

17:00

2023年7月上旬予定

必要書類

必要書類は以下の通りです。

項目

内容

法人

  • ・履歴事項全部証明書
  • ・納税証明書

個人事業主

  • ・運転免許証(有効期限内のもの)、
  •  運転経歴証明書または住民票(発行から3ヶ月以内のもの)
  • ・納税証明書
  • ・税務署が受領した直近分の確定申告書の控え

申請手続きの流れ

申請手続きの流れ

画像引用:IT導入補助金2023

(1)IT導入補助金の理解を深める

公式サイトや公募要領を読み、IT導入補助金の理解を深めます

(2)ITツールとIT導入支援事業者の選定

ITツールを選定したら、IT導入支援事業者(ITツールの提案や事業計画の策定をサポートしてくれる共同事業者)を選定。IT導入補助金を活用するには、IT導入支援事業者との共同申請が必要です。

(3)各種アカウント取得やチェックの実施

以下3つの作業をする必要があります。

項目

内容

「gBizIDプライム」

アカウントの取得

  • ・認証システムgBizIDにおける法人代表者もしくは
  •  個人事業主用のアカウント

「SECURITY ACTION」の実施

  • ・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施

「みらデジ」の

「経営チェック」の実施

  • ・会社のデジタル化をサポートするポータルサイト

(4)交付申請

IT導入支援事業者から招待を受ける「申請マイページ」から交付申請をします。

(5)ITツールの発注・契約・支払い

「交付決定」を受けたら、ITツールの発注・契約・支払い等へと進みます。

(6)事業実績の報告

補助事業が完了したら、申請マイページより、ITツールの発注・契約・支払い等を行ったことがわかる証憑を提出します。

(7)補助金交付手続き

事業実績報告が完了し補助金額が確定します。「申請マイページ」から補助額を確認後、補助金が交付されます。

(8)事業実施効果報告

補助金が交付されたら、申請マイページから必要情報を入力。IT導入支援事業者の確認後、期限内に事業実施効果報告を行います。

関連記事:IT導入補助金とは?対象者や補助額、申請方法を解説【注意点も】

テレワーク促進助成金

テレワーク促進助成金

テレワーク促進助成金とは、公益財団法人東京しごと財団が従業員数2〜999人以下の都内中小企業についてテレワークの定着・促進を支援する制度です。テレワーク促進助成金には一般コースと非正規社員拡充コースの2つがあります。

項目

内容

一般コース

  • ・常時雇用する労働者を対象に、
  •  テレワーク機器・ソフトウェア等のテレワーク環境整備に係る経費の助成

非正規社員拡充コース

  • ・非正規社員へのテレワーク拡充に関するテレワーク機器・ソフトウェア等の
  •  テレワーク環境整備に係る経費の助成

本記事では一般コースについて解説します。

受給要件

受給要件は以下の通りです。

  • ・都内に本社又は事業所を置く中堅・中小企業(労働者が2人以上999人以下)
  • ・都が実施するテレワーク東京ルール実践企業宣言制度に登録し、「テレワーク推進
     リーダー設置」表示のある宣言書がウェブサイト上で発行(実績報告時まで)
  • ・都税の未納付がないこと
  • ・過去5年間に重大な法令違反がないこと
  • ・従業員の賃金が、地域の最低賃金額を上回っていること
  • ・時間外労働の割増賃金に違反していないこと
  • ・就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っていることなど

受給額

助成対象経費は以下の通りです。

  • ・モバイル端末等機器整備費用
  • ・システム機器等の設置・設定費用
  • ・システム機器等の保守委託等の業務委託料
  • ・機器リース・レンタル料
  • ・テレワーク業務関連ソフト利用料
  • ・システム導入時運用サポート費用

受給額は以下の通りです。

事業者の規模(常時雇用する労働者数)

助成金の上限

助成率

30人以上999人以下

250万円

1/2

2人以上30人未満

150万円

2/3

申請期間

申請期間は以下の通りで、郵送のみで申請できます。

令和5年5月8日(月)~令和6年1月31日(水)

予算の範囲を超える申請がある場合、申請受付期間内でも受付を終了することがあります。応募する場合、早めに申請しておきましょう。なお、2つのコースを同時に申請することはできないため、注意が必要です。

必要書類

必要書類は以下の通りです。

  • ・事業計画書兼支給申請書
  • ・事業所一覧
  • ・誓約書
  • ・雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)
  • ・就業規則(本則)
  • ・会社案内又は会社概要(ホームページの写し等)
  • ・商業・法人登記簿謄本
  • ・個人事業の開業・廃業等届出書(個人事業主の場合のみ)
  • ・住民票記載事項証明書(個人事業主の場合のみ)
  • ・水道光熱費の請求書又は領収書、賃貸借契約書等
  • ・法人都民税及び法人事業税の納税証明書
  • ・個人事業税の納税証明書(個人事業主の場合のみ)
  • ・テレワーク環境構築図
  • ・見積書
  • ・導入製品等の資料

申請手続きの流れ

申請手続きの流れ

画像引用:テレワーク促進助成金<一般コース>募集要項

(1)助成金申請に際し、全ての要件を満たしているか確認する

(2)計画を立てたのち、必要な書類を揃え、申請書類を作成して郵送にて提出する

(3)財団の審査を経て、支給決定通知を郵送にて受領する

(4)事業実施期間(支給決定日から4か月以内)に発注・購入・契約・納品・委託作業を完了しテレワーク勤務を6回以上実施する※支払は原則口座振込で行う

(5)助成対象事業者名義による支払の完了後、実績報告書類一式を郵送にて提出する(支給決定日から5か月以内)

(6)財団の審査を経て、助成額の確定通知を郵送にて受領する

(7)助成金請求書兼口座振替依頼書を郵送にて提出する

(8)財団より助成金の振込

テレワーク助成金を活用するメリット

テレワーク助成金を活用するメリットについて解説します。

事業の活性化が期待できる

テレワーク助成金を活用すると生産性向上が期待できます。助成金・補助金を受けることで予算をかけた活性化案の実行が可能です。

テレワークを導入すると、商談件数を増やせるというメリットがあります。テレワークでは、通勤時間や移動時間が省けるため、より多くの顧客とコンタクトを取ることが可能です。その結果成約率の向上にもつなげられます。

人材や労働力の確保ができる

助成金・補助金を活用して採用や教育に予算をかけることが可能です。働く環境が整うため従業員のモチベーションも上がります。従業員は自宅や好きな場所で働くことで、通勤時間やストレスを削減し、仕事と私生活のバランスを調整できます。自分のペースやスタイルで働けるため、創造性や能力を発揮することが可能です。

また、テレワークは人材確保や育成でも役立ちます。地域や時間にとらわれずに働けるため、多様な人材を採用しやすくなります。

コスト削減が期待できる

助成金・補助金を活用するとコスト削減につながります。通勤費や出張費などの交通費の削減だけではなく、オフィスの賃料や光熱費などの固定費の削減も可能です。

そのため、テレワークを積極的に導入しやすくなります。

テレワークで助成金の種類やメリットを解説しました

テレワーク助成金について知りたい方向けに、テレワーク勤務でも活用できる助成金・補助金やテレワーク助成金を活用するメリットを解説しました。

テレワーク助成金を活用するメリットは、以下の通りです。

  • ・事業の活性化が期待できる
  • ・人材や労働力の確保ができる
  • ・コスト削減が期待できる

本記事で紹介した内容をもとに、テレワーク助成金の申請を検討してみましょう。