BCP対策に使える補助金・助成金とは?支給額や支給要件も解説

BCP対策に使える補助金・助成金とは?支給額や支給要件も解説

「緊急事態が起こっても事業を継続できるようにBCP対策を講じたい」とお考えですか?BCPには社内規定の策定や設備の導入などでお金がかかります。

そこでおすすめなのが補助金や助成金の活用です。本記事を読めば、BCP対策にかかる費用を軽減する制度を知って検討・活用できるようになります。ぜひご活用ください。

目次
  1. 1. BCPとは
    1. 1-1. BCPの策定が求められる背景
  2. 2. BCP対策を導入する際に活用できる補助金・助成金
    1. 2-1. 東京都:BCP実践促進助成金
    2. 2-2. 東京都江戸川区:BCPの策定にかかる助成金
    3. 2-3. 新潟県長岡市:BCP・事業承継・経営改善補助金
    4. 2-4. 静岡県焼津市:BCP策定支援事業補助金
  3. 3. BCP対策の導入を後押しする国の制度
    1. 3-1. 中小企業庁:事業継続力強化計画認定制度
  4. 4. BCP対策に活用できる補助金・助成金を紹介しました

BCPとは

BCP(Business Continuity Planning = 事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合、事業資産の損害を最小限に抑え、事業を継続あるいは早期復旧するための計画です。計画には、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法や手段などを取り決めておくことが含まれます。

BCPは、一般的な防災対策とは目的が異なります。防災対策が「人名を守ること」が目的なのに対して、BCPは「事業継続」のための対策です。

BCPを策定して適切に運用すれば、緊急事態に陥っても事業活動を停止することなく、顧客にサービスを届けられるでしょう。仮に事業が停止してしまったとしても、早期復旧すれば顧客の信用は維持されます。

BCPの策定が求められる背景

BCPが注目されはじめたのは、2001年のアメリカ同時多発テロがきっかけといわれています。とくに日本では、台風、地震、火山噴火などの自然災害によって事業が継続できなくなる可能性が常につきまといます。

事実、2011年の東日本大震災では、震災関連の倒産が相次ぎました。近年では新型コロナウイルスの感染拡大、ロシアのウクライナ侵攻なども発生していることから、事業継続について考えた事業主も多いのではないでしょうか。

帝国データバンクの調査では、BCPを策定している企業は全体のわずか17.7%にとどまります。サイバーセキュリティへの意識が高い企業は多いですが、トラブル対応で顧客からの信用を維持するという点では、BCPも万が一の備えとして重要といえるでしょう。

BCP対策を導入する際に活用できる補助金・助成金

制度

概要

支給額

(補助率)

申請期間

東京都:

BCP実践促進助成金

策定したBCPを実践するために

必要となる基本的な

物品・設備などの

導入に要する経費の一部を助成

1,500万円

(中小企業1/2、

小規模事業者2/3)

【6月募集】 

2023年6/12~14 

【10月募集】

 2023年10/10~12

【1月募集】 

2024年1/10~12

東京都江戸川区:

CPの策定にかかる助成金

中小事業者が

BCPの策定に

かかる経費を助成

20万円

(1/2)

通年で受け付け

新潟県長岡市:

BCP・事業承継・

経営改善補助金

BCPや事業承継計画、

経営改善計画策定経費の

一部を助成

30万円

(1/2)

先着順で随時

静岡県焼津市:

BCP策定支援事業補助金

BCP策定支援に

必要な経費を助成

8万円

(4/5)

事業開始日

または

2023年3/1の

いずれか早い日

BCP対策に活用できる補助金・助成金をまとめました。以下でそれぞれの詳細を説明するので参考にしてください。

東京都:BCP実践促進助成金

概要

BCP実践促進助成金は、BCPに必要となる物品・設備などの導入に必要な経費の一部を助成する制度です。

支給額・補助対象経費

支給額上限(助成率)

1,500万円(中小企業1/2、小規模事業者2/3)

補助対象経費

策定されたBCPを実践するために必要な

設備・物品の購入、設置に係る費用

支給要件

以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。

  • 平成29年度以降に公益財団法人東京都中小企業振興公社総合支援課が実施する「BCP策定支援事業(BCP策定講座・BCP策定コンサルティング)」による支援を受け、受講内容を踏まえたBCPであること
  • 中小企業強靱化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受け、その内容に基づいて作成したBCPであること
  • 平成28年度以前の東京都または公益財団法人東京都中小企業振興公社総合支援課が実施したBCP策定支援事業等の活用により策定したBCPであること

申請の流れ

申請の流れは以下のとおり。

  1. 講座の受講等
  2. 申請エントリー
  3. 申請

エントリーの前にBCP策定支援事業または「事業継続力強化計画」の認定を受ける必要がある点に注意してください。BCP策定支援事業とは、東京都中小企業振興公社が主催するBCP策定を支援する様々な事業のこと。BCP策定講座・BCP策定コンサルティングなどを受けられます。

申請方法

以下の書類をすべて揃えた上で申請エントリーをしてください。

  • 助成金交付申請書
  • 直近1期分の確定申告書
  • 履歴事項全部証明書
  • 納税証明書
  • 積算根拠書類(見積書)
  • 助成対象の仕様がわかる書類(提出が無い場合助成対象外)
  • 会社案内
  • BCP(写し)
  • 保管・設置(使用)場所関連書類
  • 発注先の会社案内
  • 営業に必要な許認可証(写し)
  • BCP の認定要件の証明に係る書類
  • 工程表・設計図書類
  • 建物所有者の承諾書
  • 小規模事業者に該当することの確認書(小規模事業者の場合)
  • 小規模事業者を証する書類(小規模事業者の場合)
  • 導入設備・製品リスト
  • 別途公社が指定する書類

申請エントリー期間

6月募集 

2023年6月12日~14日 17時

10月募集 

2023年10月10日~12日 17時

1月募集 

2024年1月10日~12日 17時

東京都江戸川区:BCPの策定にかかる助成金

概要

中小事業者がBCPの策定にかかる経費を助成する制度です。

支給額・補助対象経費

支給額上限(助成率)

20万円(1/2)

補助対象経費

・コンサルタントによる指導に要する費用

・内部研修の実施に係る講師派遣等の費用

・外部研修の参加費用

支給要件

以下のすべての要件を満たしている必要があります。

  • 中小企業者であること
  • 江戸川区内に本社を有する区内事業所であること
  • 前年度の法人住民税及び法人事業税を完納していること

申請の流れ

申請の流れは以下のとおり。

  1. 申請書類を作成
  2. 江戸川区に申請書類を提出

申請方法

以下の書類をすべて揃えた上で受付窓口に持参してください。

  • 助成金交付申請書
  • 事業所概要
  • 事業計画書

申請期間

とくに期限はありません。通年で受け付けています。

新潟県長岡市:BCP・事業承継・経営改善補助金

概要

事業継続力の強化を目指し、BCPや事業承継計画、経営改善計画策定経費の一部を助成する制度です。

支給額・補助対象経費

支給額上限

(助成率)

・BCP策定:30万円(1/2)

・事業承継計画策定:30万円(2/3)

・特例承継計画策定・M&Aへの取組:50万円(2/3)

・早期経営改善計画策定:5万円(1/2)

・経営改善計画策定:20万円(1/2)

補助対象経費

・税理士や金融機関の支援機関への業務委託料

・BCP策定に関する研修の受講料、または

研修を実施する際の講師謝金

・その他の補助対象事業に関連する経費

支給要件

長岡市内に事務所を持つ中小企業者

申請の流れ

申請の流れは以下のとおり。

  1. 申請書類を作成
  2. 長岡市産業支援課に申請書類を提出

申請方法

以下の書類をすべて揃えた上で受付窓口に持参してください。

  • 補助金交付申請書
  • 会社案内・パンフレット

申請期間

先着順で随時

静岡県焼津市:BCP策定支援事業補助金

※2023年5月現在募集がありません。
※本記事では2022年度の情報をもとに記載していますが、最新情報については公式サイトをご確認ください。

概要

焼津市内の中小企業者などに対してBCP策定支援に必要な経費を補助する制度です。

支給額・補助対象経費

支給額上限(助成率)

8万円(4/5)

補助対象経費

補助対象事業に要する経費のうち、講師謝金、

講師旅費に要する費用

支給要件

  • 中小企業者、中小企業等協同組合または水産業協同組合であること
  • 事業所または事務所が焼津市内にあること

申請の流れ

申請の流れは以下のとおり。

  1. 申請書類を作成
  2. 焼津市商工課窓口に申請書類を提出

申請方法

以下の書類をすべて揃えた上で受付窓口に持参してください。

  • 交付申請書
  • 事業計画書
  • 市税納入状況調査に対する同意書
  • 収支予算書

申請期間

事業開始日または2023年3月1日のいずれか早い日

BCP対策の導入を後押しする国の制度

BCP導入は国からもサポートを受けられます。国の制度ならどの企業でも利用できるので検討しやすいでしょう。中小企業庁では「事業継続力強化計画認定制度」が用意されていて、認定を受けることで融資や税制措置、補助金の優先採択などの恩恵を受けられるようになります。

中小企業庁:事業継続力強化計画認定制度

制度概要

中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を、経済産業大臣が「事業継続力強化計画」として認定する制度です。

認定を受けるメリット

認定を受けた中小企業は、税制措置や金融支援、補助金の加点などの支援策を受けられます。具体的には以下の支援策が挙げられます。

  • 低利融資、信用保証枠の拡大等の金融支援
  • 防災・減災設備に対する税制措置
  • 補助金(ものづくり補助金等)の優先採択
  • 連携をいただける企業や地方自治体等からの支援措置
  • 中小企業庁HPでの認定を受けた企業の公表

適用対象者

中小企業者

制度活用の流れ

申請の流れは以下のとおり。

  1. 制度内容の確認(金融支援、税制措置を受ける場合には、関係機関(日本政策金融公庫、信用保証協会等)の審査が必要)
  2. 計画の策定
  3. 計画の申請・認定(「単独型」の場合は「事業継続力強化計画電子申請システム」から申請、「連携型」の場合は経済産業局に申請書を提出)

※自社のみの場合は「単独型」、複数事業者間で連携して計画する場合は「連携型」

計画の申請方法

以下の書類をすべて揃えた上で経済産業局に認定を申請してください。

  • 申請書(原本)
  • チェックシート
  • BCP等の参考書類がある場合は、その書類
  • 返信用封筒(A4の認定書を折らずに返送可能なもの)
  • 連携者に大企業がいれば、当該企業の同意書
  • 既に連携企業間での協定書が有る場合は協定書の写し

申請期間

とくに期限はありません。通年で受け付けています。

BCP対策に活用できる補助金・助成金を紹介しました

BCP対策は、企業活動を継続するためには必要なものです。自然災害やテロなどはいつ起こるかわからないからこそ、平時に対策を講じておくことが重要でしょう。

BCP対策は国や地方自治体からも補助金を受けられるため、本記事を参考にしながらBCPの策定を検討してみてください。