【2023年度最新】出生時両立支援コースとは?申請手順や必要書類を解説

【2023年度最新】出生時両立支援コースとは?申請手順や必要書類を解説

出生時両立支援コースとは両立支援等助成金のコースの1つで、子育てパパ支援助成金ともよばれています。

本記事では出生時両立支援コースの申請手順や、必要書類について解説します。出生時両立支援コースの内容を理解し、漏れのないよう申請を行いましょう

目次
  1. 1. 出生時両立支援コースとは
    1. 1-1. 対象事業者
    2. 1-2. 要件
  2. 2. 出生時両立支援コース第1種(男性労働者の育児休業取得等)
    1. 2-1. 要件
    2. 2-2. 支給額
    3. 2-3. 申請スケジュール
    4. 2-4. 必要書類
  3. 3. 出生時両立支援コース第2種(育児休業取得率上昇)
    1. 3-1. 要件
    2. 3-2. 支給額
    3. 3-3. 申請スケジュール
    4. 3-4. 必要書類
  4. 4. 両立支援等助成金(出生時両立支援コース)について解説しました

出生時両立支援コースとは

出生時両立支援コースは、厚生労働省が実施する両立支援等助成金のコースの1つです。両立支援等助成金の目的は職業生活と家庭生活の両立支援で、出生時両立支援コース以外に介護離職防止支援コースと育児休業等支援コースがあります。

出生時両立支援コースは子育てパパ支援助成金ともよばれ、男性労働者が育児休業を取得しやすい環境をつくり、育児休業を取得を促した事業主を支援する助成金です。第1種と第2種に分けられ、大まかな違いは以下の通りです。

  • 第1種:男性が育児休業取得するための環境を整備する
  • 第2種:男性の育児休業取得率を向上させる

関連記事:介護離職防止支援コースの概要と種類、助成額をわかりやすく解説育児や介護をサポートする企業が対象の両立支援等補助金とは?

対象事業者

対象となる事業者は中小企業事業主です。具体的には業種ごとに、以下の要件のどちらかが該当する場合に対象となります。

  • 飲食業・飲食店の場合:資本または出資額5,000万円以下、または常時使用する労働者数が50人以下
  • サービス業:資本または出資額5,000万円以下、または常時使用する労働者数が100人以下
  • 卸売業:資本または出資額1億円以下、または常時使用する労働者数が100人以下
  • その他:資本または出資額3億円以下、または常時使用する労働者数が100人以下

要件

出生時両立支援コースで共通する要件は以下の通りです。

  • 育児・介護休業法に規定される育児休業制度や育児のための短時間勤務制度ついて、対象労働者の休業前に労働協約や就業規則で規定している
  • 育児・介護休業法の水準を満たしている(支給申請時点での法律の適用基準を満たしている)
  • 次世代育成支援対策推進法に基づいて、行動計画を策定し労働局に届けていること
  • 上記の一般事業主行動計画が申請時点で有効であり、労働者に対して周知していること
  • 対象となる男性労働者が育児休業開始日から申請日まで、雇用保険被保険者として雇用されている

参考:厚生労働省・都道府県労働局|2023年度 両立支援等助成金のご案内両立支援等助成金

出生時両立支援コース第1種(男性労働者の育児休業取得等)

出生時両立支援コース第1種は、男性労働者が育児休業を取得しやすい環境を整え、実際に育児休業を取得した男性労働者が生じた中小企業事業主に対して支援を行うコースです。

参考:両立支援等助成金 (1) 出生時両立支援コース

要件

出生時両立支援コース第1種は上記の共通要件に加え、以下をすべて満たすことが要件となっています。

  • 育児・介護休業法に定める雇用環境整備の措置を複数行っている
  • 育児休業取得者の業務を代替する労働者の、業務見直しに係る規定等を策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしている
  • 男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得する

引用元:2023年度 両立支援等助成金のご案内

育児休業取得者の業務を代替するため、新たに労働者の雇入をする場合、代替要員加算が受けられます。代替要員加算の要件を満たすことで、助成金の支給額が増額します。

また2023年より情報公表加算の制度が新設されました。情報公表加算は以下に提示する3つの情報を、厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」で公表した場合に加算されます。

  • 雇用する男性労働者の育児休業等の取得割合
  • 雇用する女性労働者の育児休業の取得割合
  • 雇用する労働者(男女別)の育児休業の平均取得日数

支給額

出生時両立支援コース第1種の支給額は以下の通りです。代替要員加算の要件を満たす場合、通常の支給額である20万円に加算されます。なお、同一事業者の申請は1回限りしかできません。

通常

20万円

代替要員加算

20万円

代替要員3人以上の場合

45万円

情報公表加算

2万円

代替要因加算や情報公開加算は、条件を満たしている場合に通常の金額に上乗せして加算されます。

例えば、1名の代替要員加算を満たした場合は通常20万円+20万円、情報公表加算は通常20万円+2万円が最終的な支給額です。

申請スケジュール

出生時両立支援コース第1種の申請期限は、申請に関わる労働者の育児休業終了日の翌日から2ヶ月以内です。

第1種の対象となる男性労働者が育児休暇を連続5日取得した場合、連続5日の休業が終了してから2ヶ月が申請期間となります。

例えば、5月11日に育児休暇を取得し6月11日に終了した場合、6月12日から2ヶ月後である8月11日までが締切となります。

また、育児休業を分割して取得し、連続5日を1つ目の育児休暇で取得した場合は、1つ目の育児休暇終了日の翌日から2ヶ月以内が締切です。

例えば、5月11日に育児休暇を取得し6月11日に終了し、その後7月11日から9月10日まで取得した場合、6月12日から2ヶ月後である8月11日までが締切となります。

必要書類

出生時両立支援コース第1種の必要書類は以下の通りです。

  1. 支給申請書
  2. 支給要件確認申立書
  3. 育児介護休業規程、就業規則、労働協約など
  4. 育児・介護休業法第22条第1項に規定する雇用環境整備の措置を2つ以上実施している事実と実施日が確認できる書類
  5. 労使で合意された育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しにかかる規定など
  6. 対象の男性労働者の育児休業申出書
  7. 対象の男性労働者の出勤簿またはタイムカード
  8. 対象の男性労働者の賃金台帳
  9. 対象の男性労働者の雇用期間の定めの有無、育児休業期間の所定労働時間や所定労働日又は所定労働日数が確認できる書類(就業規則・シフト表など)
  10. 対象の男性労働者に育児休業に関わる子がいることや子の出生日が確認できる書類(母子手帳など)
  11. 次世代法に基づく一般事業主行動計画策定届の写し

代替要員加算を申請する場合は以下の書類も必要です。

  1. 代替要員加算の支給申請書
  2. 代替要員の育児休業期間の所定労働時間や所定労働日又は所定労働日数が確認できる書類(就業規則・シフト表など)
  3. 代替要員の出勤簿またはタイムカード
  4. 代替要員が新たに雇い入れられた時期、または派遣された時期がわかる書類(労働条件通知書・辞令など)

提出先は申請事業主の本社所在地にある労働局雇用環境・均等部(室)です。

出生時両立支援コース第2種(育児休業取得率上昇)

出生時両立支援コース第2種(育児休業取得率上昇)は男性の育児休暇取得率を上昇させられた場合に受けられる助成金です。第2種は第1種を取得していることが条件となっているため、第2種のみの申請はできません

参考:両立支援等助成金 (1) 出生時両立支援コース

要件

出生時両立支援コース第2種の要件は共通要件に加え、以下を全て満たすことです。

  • 第1種の助成金を受給している
  • 育児介護休業法で定められた雇用環境整備を複数実施している
  • 育児休業取得者の業務を代替する労働者に関して規定を策定し、業務体制を整備する
  • 第1種申請後の育児休業を取得した男性労働者が第1種の対象者以外に2名以上いる
  • 後述する育児休業取得率の条件を満たす

引用元:2023年度 両立支援等助成金のご案内

育児休暇取得率の要件は以下のどちらかを満たすことで、1と2のどちらを満たせているかで助成金の金額が変わります

  1. 第1種申請後3年以内に、男性労働者の育児休業取得率が30%以上上昇している
  2. 第1種受給年度に育休対象の男性が5人未満かつ育児休業取得率70%以上の場合に、次の3年以内に2年連続70%以上となる

なお、育児休業取得率は、前年度の比率ではなく、前年度の割合に加算して計算します。例えば、育児休業の取得率が前年度で20%だった場合、育児休業率が50%になっている場合が該当します。

支給額

出生時両立支援コース第2種の支給額は、第1種受給後に育児休業取得率30%上昇までにかかった期間によって以下のように異なります。

  • 1年以内:60万円
  • 2年以内:40万円
  • 3年以内」20万円

なお2年・3年以内については、以下の要件を満たす場合にも該当します。

第1種申請時事業年度における、雇用保険の被保険者として雇用する男性労働者のうち

当該事業年度において配偶者が出産したものの数が5人未満であって、かつ男性労働者の育児休業取得率が70%以上である場合に、第1種申請時事業年度の翌事業年度(翌々事業年度)及び翌々事業年度(3事業年度後)の2か年連続して70%以上となった場合

引用:両立支援等助成金 (1) 出生時両立支援コース

※()内は3年以内の要件です。

申請スケジュール

出生時両立支援コース第2種の申請期限は、申請に関わる年度の翌年度の開始日から6ヶ月以内です。

例えば事業年度の開始が4月1日で、第1種の取得を2019年度、第2種の利用条件を2021年で満たした場合で考えてみましょう。

この場合は、第1種の取得を申請した2019年の翌年である2020年の4月1日から起算され、締切は2022年の9月30日です。

必要書類

出生時両立支援コース第2種の必要書類は以下の通りです。

  1. 支給申請書
  2. 支給要件確認申立書
  3. 労働協約・就業規則・労使協定(育児休業制度のための短時間勤務制度の内容が確認できる部分)
  4. 労使で合意された育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しにかかる規定など
  5. 男性労働者の育児休業取得率が上がったことが分かる書類
  6. 対象となる男性労働者の育児休業申出書・休業したことの確認書類
  7. 次世代法に基づく一般事業主行動計画策定届

提出先は申請事業主の本社所在地にある労働局雇用環境・均等部(室)です。

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)について解説しました

本記事では両立支援等助成金の1コースである、出生時両立支援コースについて解説しました。出生時両立支援コースは男性の育児休暇取得のための環境整備や、育児休暇の取得率が向上した際に利用できる助成金です。

出生時両立支援コースの要件はいくつかあるため、制度を整える前に要件などを確認し、問題がないよう進めましょう。