オンラインスキルアップ助成金とは?助成対象となる事業主や申請方法を解説
人材不足などを理由に「社内の生産性向上」が喫緊の課題となっている企業も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、オンラインスキルアップ助成金を徹底解説。助成金の特徴や補助金額、申請要件、申請フローまで詳しくお伝えします。
オンラインスキルアップ助成金とは?
オンラインスキルアップ助成金とは、中小企業による従業員のオンライン教育を助成する制度です。公益財団法人「東京しごと財団」が募集を行っています。eラーニング教材費やその関連費を助成することで、従業員の能力開発・向上を狙うことが目的です。
対象者
オンラインスキルアップ助成金の対象者は次の通りです。
- 従業員300人以下の中小企業
- 小規模事業者
- 協同組合や連合会などの団体
1. 従業員300人以下の中小企業
オンラインスキルアップ助成金では、業種や資本金、従業員数に応じて対象となる中小企業を分類しています。資本金と従業員数の「どちらか一方」に該当すれば助成対象となります。
業種 |
資本金 |
従業員数 |
小売・飲食業 |
5,000万円以下 |
50人以下 |
サービス業 |
100人以下 |
|
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
上記以外の業種 |
3億円以下 |
300人以下 |
なお公式の募集要項では、「みなし大企業は含まない」と明記されています。みなし大企業とは以下に該当する企業のことです。
・大企業が単独で発行済株式総数又は出資総額の2分の2以上を所有又は出資している。
・大企業が複数で発行済株式総数又は出資総額の3分の2以上を所有又は出資している。
・役員総数の2分の1以上を大企業の役員又は職員が兼務している。
・その他大企業が実質的に経営を支配する力を有していると考えられる。
【引用】令和5年度 オンラインスキルアップ助成金 募集要項
2. 小規模事業者
従業員数の少ない「小規模事業者」も助成対象となります。資本金は関係ありませんが、業種や従業員数ごとに分類されます。
業種 |
従業員数 |
小売・飲食業 |
5人以下 |
サービス業 |
|
卸売業 |
|
上記以外の業種 |
20人以下 |
個人事業主も「小規模事業者」に当たります。上記でお伝えした「中小企業の要件」と「みなし大企業ではないこと」に該当すれば申請可能です。
3. 協同組合や連合会などの団体
中小企業以外にも、協同組合や連合会などの団体も助成対象となります。たとえば以下のような団体です。
- 事業協同組合
- 信用協同組合
- 商工組合
- 一般社団法人
- 公益社団法人
上記以外にも対象となる団体があり、団体の体制や構成員などによって助成金の対象可否も異なります。詳しくは募集要項をご確認ください。
助成率と上限額
オンラインスキルアップ助成金の助成金額は以下の通りです。
対象者の区分 |
助成率 |
上限額 |
中小企業(団体を含む) |
1/2 |
20万円 |
小規模事業者 |
2/3 |
27万円 |
中小企業は半額、小規模事業者はそれ以上の助成を受けることができます。ただし1事業者につき1回のみの申請となるので要注意です。
助成対象となる経費
オンラインスキルアップ助成金の対象となる経費として、以下のものがあげられます。
- eラーニングの受講料(消費税は対象外)
- eラーニング実施に伴うID登録料
- eラーニング実施に伴う管理料
eラーニングは、1講座ごとの単発講座や、一定期間内に複数の講座を受けられる定額制の講座を受けられます。講座の申し込みなどで必要となるID登録料や、企業が従業員の受講状況を確認するための管理費なども助成対象です。
技能習得を目的としたeラーニングが対象
オンラインスキルアップ助成金は、全てのeラーニングが対象となる訳ではありません。あくまで、従業員の知識技能の習得・向上や資格取得などを目的としたeラーニングが対象となります。
その他にも、「受講履歴を確認できるサービスであること」「料金が公式ホームページやパンフレットで一般公開されていること」など、対象要件はいくつかあります。
eラーニングの内容に関する要件は、オンラインスキルアップ助成金の募集要項をご確認ください。
オンラインスキルアップ助成金の要件
続いて、オンラインスキルアップ助成金の要件をお伝えします。
申請要件
オンラインスキルアップ助成金の申請要件は以下の3つです。
- 東京都内に会社の本社または事業所があること
- eラーニングに関する費用が従業員負担でないこと
- 国や地方自治体から他の助成を受けていないこと
オンラインスキルアップ助成金は東京都内の企業限定の助成金です。助成金を申請する際は、全ての要件を満たしている必要があります。
受講者の要件
オンラインスキルアップ助成金は、会社に属する全ての従業員が対象となる訳ではありません。助成対象となる従業員の基準があるので、ここで押さえておきましょう。
- 非正規雇労働者を含む従業員(派遣労働者は対象外)
- 団体に属する企業のうち都内に本社や事業所がある企業の従業員(団体の場合)
- 勤務する事業所が東京都内にある者(個人の場合)
基本的に東京都内にオフィスを構えていて、従業員を正規雇用として雇っている企業は申請可能です。個人の場合も、勤務する企業が都内に拠点を構えている場合は対象となります。
オンラインスキルアップ助成金の申請方法
最後に、オンラインスキルアップ助成金の申請方法をご紹介します。申請フローや必要書類、申請期間について詳しく解説します。
申請フロー
オンラインスキルアップ助成金の申請は以下の流れで行います。
- 交付申請書の提出(★)
- 審査・交付決定通知が届く
- 訓練(eラーニング)の実施(★)
- 実績報告書の提出(★)
- 審査・助成金額の確定通知が届く
- 助成請求書の提出(★)
- 助成金が振り込まれる
申請者が行うのは「★」の部分です。流れに準じて必要書類を提出し、先方の審査を待ちます。
必要書類
助成金申請の必要書類として、以下のものがあげられます。上記の申請フローでご紹介した書類以外にも、いくつか書類が必要です。
- 交付申請書
- 訓練計画書
- 受講者名簿
- 受講案内
- 印鑑証明書
- 商業・法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 法人事業税・法人都民税の納税証明書(法人の場合)
- 個人事業勢及び個人都民税の納税証明書(個人の場合)
- 誓約書
- 会社案内または会社概要のわかるもの
- 組織図
- 雇用契約書・労働条件通知書などの写し
個人を含む小規模事業者の場合、上記に加えて以下も必要になります。
- 労働保険料等基礎賃金等の報告
- 確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表
- 労働保険概算・確定保険料申告書
必要書類についての詳しい内容は、東京しごと財団の募集要項をご覧ください。
申請期間
オンラインスキルアップ助成金の申請期間は、2023年4月1日〜2024年2月29日です。郵送のみの受付となっているのでご注意ください。
【まとめ】オンラインスキルアップ助成金を利用して社員教育の効率化を図ろう
オンラインスキルアップ助成金は、従業員数300人以下の中小企業から5人以下の小規模事業者、各種組合などを対象とした助成金です。条件は異なりますが幅広い業種業態に対応しており、助成率も1/2〜1/3と高い傾向にあります。社内教育の効率化・コストダウンを図りたい企業は、ぜひ活用なさってください。