職場適応援助者(ジョブコーチ)とは?支援・研修内容や助成金を紹介

職場適応援助者(ジョブコーチ)とは?支援・研修内容や助成金を紹介

障害者雇用を進めていきたい企業の担当者の中には、社員に職場適応援助者の業務を行ってもらいたい方もいるのではないでしょうか。職場適応援助者の業務を行うには、研修を受講することが必須です。本記事では、職場適応援助者の概要や研修内容などを紹介します。この記事を読むと、職場適応援助者の支援を行うために必要なことがわかります。

目次
  1. 1. 職場適応援助者(ジョブコーチ)とは
    1. 1-1. 支援内容
    2. 1-2. 支援の対象者
    3. 1-3. 支援期間
  2. 2. 職場適応援助者(ジョブコーチ)の種類
    1. 2-1. 配置型ジョブコーチ
    2. 2-2. 訪問型ジョブコーチ
    3. 2-3. 企業在籍型ジョブコーチ
  3. 3. 職場適応援助者(ジョブコーチ)として支援を行うなら研修が必須
  4. 4. 職場適応援助者(ジョブコーチ)に関する助成金制度
    1. 4-1. 訪問型職場適応援助者助成金
    2. 4-2. 企業在籍型職場適応援助者助成金
  5. 5. 職場適応援助者(ジョブコーチ)【まとめ】

職場適応援助者(ジョブコーチ)とは

職場適応援助者は、障害者の職場適応に課題がある場合に、ジョブコーチが障害特性を踏まえて支援します。障害者が職場に定着して長期的に働いてもらえるように、障害者と事業者の両方にサポートを行うことが特徴です。

支援内容

職場適応援助者は、対象の障害者が仕事を遂行し、職場に馴染めるように具体的な目標を定めます。そして、支援計画に沿ってサポートを実施していくことが支援内容です。

具体的な支援内容として、障害者には職務遂行やコミュニケーションなどの支援、事業者には障害特性を考慮した雇用管理などの支援をします。

支援の対象者

職場適応援助者の支援対象者は、ジョブコーチによる職場での支援が必要な障害者(求職者または在職者)と障害者を雇用する事業者の両方です。

事業者

事業者への支援は「事業主(管理監督者・人事担当者)」と「上司・同僚」に分けられます。

事業主(管理監督者・人事担当者)

障害者特性に配慮した雇用管理の支援

配置・職務内容の設定支援

上司・同僚

障害を理解する社内啓発

障害者との関わり方の助言

指導方法の助言

障害者

障害者への支援は「障害者(本人)」と「家族」に分けられます。

障害者(本人)

業務遂行の支援

職場内コミュニケーションの支援

体調や生活リズムの管理支援

家族

安定した職業生活をするための家族の関わり方に関する助言

支援期間

職場適応援助者による全体の支援期間は、約1〜8ヶ月です。(標準は2〜4ヶ月)  

支援期間は主に以下の3つに分けられます。

  • 集中支援(課題分析と改善を図る):週3~4日訪問 
  • 移行支援(ノウハウ伝授や育成などを行って、支援主体を職場に移行):週1〜2日訪問
  • フォローアップ:数週間~数ヶ月に1度訪問 

障害者や事業者の状況に応じて、支援期間は変わってきます。

職場適応援助者(ジョブコーチ)の種類

ここからは、職場適応援助者の種類について紹介するので参考にしてみてください。

配置型ジョブコーチ

配置型ジョブコーチは、地域障害者職業センターに配置されるジョブコーチのことです。就職などの困難性が高い障害者を重点的に支援します。

場合によっては、訪問型ジョブコーチや企業在籍型ジョブコーチと連携するケースがあり、支援に必要な助言や援助を行います。

訪問型ジョブコーチ

訪問型ジョブコーチは、障害者の就労支援を行う社会福祉法人などに雇用されるジョブコーチです。所属する機関や、地域障害者職業センターから依頼があった際に支援を行います。

訪問型ジョブコーチになれるのは、高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する研修または、厚生労働大臣が定める研修を修了した人のみです。必要な経験や能力を持っている人が支援を担当します。

企業在籍型ジョブコーチ

企業在籍型ジョブコーチは、障害者を雇用する企業が直接雇用するジョブコーチです。訪問型ジョブコーチと同様に、職場適応援助者養成研修を修了した人が支援を担当します。

職場適応援助者(ジョブコーチ)として支援を行うなら研修が必須

職場適応援助者の業務を行うには、ジョブコーチになる予定の人が研修を受講しなければなりません。訪問型ジョブコーチになるなら「訪問型職場適応援助者養成研修」で、企業型ジョブコーチは「企業在籍型職場適応援助者養成研修」を受けることになります。

研修内容には、職場適応援助者に必要なスキルを取得するための座学研修・演習や、ケーススタディを中心とした実技研修があります。

カリキュラムの一例は、以下のとおりです。

  • ジョブコーチの役割
  • 作業指導の方法
  • 障害特性と職業上の課題
  • 支援計画に関する理解
  • ケーススタディ
  • 職場実習 など

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が主体で行う研修は、受講料が無料です。民間の研修機関を利用する場合は、有料になるので注意しましょう。

職場適応援助者(ジョブコーチ)に関する助成金制度

職場適応援助者による支援を実施する事業主は、助成金を受け取れます。ここからは、職場適応援助者に関する助成金制度を紹介します。

訪問型職場適応援助者助成金

障害者が容易に業務を遂行できるように、訪問型職場適応援助者による援助を行う事業主を対象にした助成金です。

支給額は以下のとおりです。

  • 1日の支援時間の合計が4時間未満:1日あたり8,000円
    (精神障害者を支援する場合、3時間未満の日は、1日あたり8,000円)
  • 1日の支援時間の合計が4時間以上:1日あたり16,000円
    (精神障害者を支援する場合、3時間以上の日は、1日あたり16,000円)

支援時間には移動時間も含まれています。

企業在籍型職場適応援助者助成金

雇用する支援対象の障害者に必要な援助をする企業型職場適応援助者を配置する事業主が対象の助成金です。

支給額は以下のとおりです。

対象労働者

支給月額(1人あたり月額)

障害の種別

雇用形態

精神障害者

短時間労働者

以外の者

中小企業

事業主

12万円

中小企業

事業主以外

9万円

短時間労働者

6万円

5万円

精神障害者

以外

短時間労働者

以外の者

8万円

6万円

短時間労働者

4万円

3万円

※短時間労働者とは、同一事業所で雇用されている通常の労働者の所定労働時間よりも短く、週20時間以上、30時間未満の労働者を指します。

職場適応援助者(ジョブコーチ)【まとめ】

ここまで、職場適応援助者の概要を解説しました。

職場適応援助者による支援は、職場適応や定着に課題を抱えている障害者と、雇用先の事業主に対して支援を行います。支援を実施した事業主には助成金が支払われます。

雇用する障害者がジョブコーチを利用する場合、事業主も対応が必要になります。障害者が長期的に働ける環境を整備しましょう。