省エネ設備の導入に活用できる補助金は?対象者や補助額などを解説

省エネ設備の導入に活用できる補助金は?対象者や補助額などを解説

省エネ設備の導入にまつわる補助金で代表的なものは、「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」。ほかにも各自治体で主催しているものもあります。

この記事では、「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」や自治体の補助金制度について解説します。

最後まで読めば、省エネ設備の導入にまつわる補助金について把握し、申請対象であれば申請しやすくなります。

目次
  1. 1. 省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
    1. 1-1. A 先進事業
    2. 1-2. B オーダーメイド型事業
    3. 1-3. C 指定設備導入事業
    4. 1-4. D エネルギー需要最適化対策事業
  2. 2. 自治体が実施している補助金制度
  3. 3. 省エネ設備の導入にまつわる補助金について解説しました

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金は、事業者の省エネ設備への入れ替えを促進するため、「先進設備・システム」、「オーダーメイド型設備」の導入を支援する補助金

事業区分が以下のA~Dまで分かれていて、いずれか一つ申請することもできれば、以下のように組み合わせて複数申請することもできます。

  • A、B、Dは単独、または組み合わせで利用できる
  • Cは単独、またはDとの組み合わせでのみ利用できる
  • A、BとCを組み合わせて利用したい場合は、補助金ごとに申請する
 

概要

補助額

A 先進事業

高い技術力や省エネ性能があり、

先進的な省エネ設備へと更新する省エネ投資に対して、

重点的に支援

上限額:15億円/年度

(20億円/年度)

下限額:100万円/年度

B オーダーメイド型

事業

機械設計又は事業者の使用目的に合わせて設計・

製造する設備に対して支援

上限額:15億円/年度

(20億円/年度)

下限額:100万円/年度

C 指定設備導入

事業

SII※があらかじめ定めた

エネルギー消費効率の基準を満たし、

SIIが補助対象設備として登録した指定設備へ

更新する事業を支援

上限額:1億円/事業全体

下限額:30万円/事業全体

D エネルギー需要

最適化対策事業

Cに加えて、SIIに登録されたEMSを用いて、

省エネルギー化を促進する事業を支援

上限額:1億円/事業全体

下限額:100万円/事業全体

※SII:一般社団法人環境共創イニシアチブ

一般社団法人環境共創イニシアチブ「事業概要パンフレット」

画像引用:一般社団法人環境共創イニシアチブ「事業概要パンフレット」

令和4年度補正予算省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領

画像引用:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和4年度補正予算省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領」

A 先進事業

A 先進事業とは、高い技術力や省エネ性能があり、先進的な省エネ設備へと更新する省エネ投資に対して、重点的に支援をするもの

補助対象設備は以下の通りです。

  • 水素ボイラ
  • バイオマスボイラ
  • 高効率工業炉
  • ドレン回収装置
  • ガスエンジン発電システム
  • 地中熱回収型空調システム
  • 気化冷却装置等

金額

補助対象経費は以下の通りです。

  • 設備費
  • 設計費
  • 工事費

補助率と補助金限度額は以下の通りです。

対象事業

内容

補助率

  • 中小企業者等:2/3以内
  • 大企業、その他:1/2以内

補助金限度額

()内は非化石

  • 上限額:15億円/年度(20億円/年度)
  • 下限額:100万円/年度

対象条件

対象となる設備・システムに条件があるので注意が必要。具体的には、先進設備・システムへ更新することが条件です。先進設備・システムとは、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)が設置した外部審査委員会で審査・採択されたものを指します。

また、申請単位で原油換算量ベースにおいて以下いずれかの要件を満たすことも条件

  • 省エネ率+非化石割合増加率:30%以上
  • 省エネ量+非化石使用量:1,000kl以上
  • エネルギー消費原単位改善率:15%以上

その他の申請要件は以下の通りです。

  • 投資回収年数が5年以上
  • 省エネ法に基づき作成した中長期計画等に記載されている事業
  • 経費当たり計画省エネルギー量が補助対象経費1千万円当たり1kl以上の事業
  • 導入した補助対象設備の1年間のエネルギー使用量と省エネルギー効果を報告可能
  • トップランナー制度対象機器を導入する場合はトップランナー基準を満たす機器

申請に必要な書類

申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 交付申請書
  • 補助事業計画変更承認申請書
  • 補助事業事故報告書
  • 補助事業実績報告書
  • 精算(概算)払請求書
  • 補助事業年度末実績報告書
  • 成果報告書
  • その他SIIが指示する手続き

申請者は、SIIホームページにてアカウント登録し、電子メールで補助事業ポータルのアカウント情報(ユーザ名等)を取得します。

アカウントを用いて補助事業ポータルにログインし、必要事項を入力して申請書類を作成のうえ、全ての申請書類を「一般社団法人環境共創イニシアチブ」宛てに郵送

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領

画像引用:令和4年度補正予算「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領」

令和4年度補正予算省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領

画像引用:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和4年度補正予算省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領」

申請期間

申請期間は以下の通りです。

項目

内容

公募期間

2023年5月25日(木)~ 6月30日(金)

交付決定

2023年8月上旬(予定)

事業期間

交付決定日から2024年1月31日(水)まで

B オーダーメイド型事業

オーダーメイド型事業とは、機械設計又は事業者の使用目的に合わせて設計・製造する設備に対して支援するものです。

想定設備は以下のとおりです。

  • フルオーダー品
  • カスタマイズ品
  • 生産設備等を組み合わせた製造ライン
  • 自動化装置等を組み合わせた製造ライン

金額

補助対象経費は以下の通り。

  • 設備費
  • 設計費
  • 工事費

補助率と補助金限度額は以下の通りです。

対象事業

内容

補助率

  • 中小企業者等:1/2以内
  • 大企業、その他:1/3以内

補助金限度額

()内は非化石

  • 上限額:15億円/年度(20億円/年度)
  • 下限額:100万円/年度

対象条件

設備要件は以下の通りです。

  • 既存設備・システムの置き換え、又は製造プロセスの改善等の改修を行い、その設備自体が省エネルギーに寄与する設備
  • EMS※を新設する場合は、SIIが指定する機能要件を満たすこと
  • 更新前後で使用用途が同じ
  • 兼用設備・将来用設備・予備設備等ではないこと
  • 中古品でないこと
  • その他法令に定められた安全上の基準等を満たしている設備

※EMS:エネルギー消費状況の把握を自動化するシステム

EMSを新設する場合の要件は以下の通りです。

  • エネルギーの計測
  • 見える化
  • 接続機器の制御
  • 制御ログの保存

ほかにも省エネルギー効果の要件があり、具体的には以下の通りです

  • 計画省エネルギー率が10%以上
  • 計画省エネルギー量が700kl以上
  • 計画エネルギー消費原単位の改善率が7%以上

申請に必要な書類

申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 交付申請書
  • 補助事業計画変更承認申請書
  • 補助事業事故報告書
  • 補助事業実績報告書
  • 精算(概算)払請求書
  • 補助事業年度末実績報告書
  • 成果報告書
  • その他SIIが指示する手続き

申請者は、SIIホームページにてアカウント登録し、電子メールで補助事業ポータルのアカウント情報(ユーザ名等)を取得します。

アカウントを用いて補助事業ポータルにログインし、必要事項を入力して申請書類を作成のうえ、全ての申請書類を「一般社団法人環境共創イニシアチブ」宛てに郵送

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領

画像引用:令和4年度補正予算「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領」

令和4年度補正予算省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領

画像引用:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和4年度補正予算省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領」

申請期間

申請期間は以下の通りです。

項目

内容

公募期間

2023年5月25日(木)~ 6月30日(金)

交付決定

2023年8月上旬(予定)

事業期間

交付決定日から2024年1月31日(水)まで

C 指定設備導入事業

C 指定設備導入事業とは、SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率の基準を満たし、SIIが補助対象設備として登録した指定設備へ更新する事業です。単独、又はEMS機器を組み合わせて省エネ計画を立てます。

EMS機器とはエネルギー消費状況の把握を自動化するシステムをいいます。

指定設備は以下の通りです。

  • 高効率空調
  • 産業ヒートポンプ
  • 業務用給湯器
  • 高性能ボイラ
  • 高効率コージェネレーション
  • 低炭素工業炉
  • 変圧器
  • 冷凍冷蔵設備
  • 産業用モータ
  • 制御機能付き
  • LED照明器具
  • 工作機械
  • プラスチック加工機械
  • プレス機械
  • 印刷機械

金額

補助対象経費は設備費です。

補助率と補助金限度額は以下の通り。

項目

内容

補助率

中小企業者等:1/3以内

大企業、その他:1/3以内

補助金限度額

上限額:1億円/事業全体

下限額:30万円/事業全体

対象条件

省エネルギー効果の要件は、上述したように、SIIがあらかじめ定めたエネルギー消費効率等の基準を満たす設備を導入すること。

その他の設備要件は以下の通りです。

  • 工場・事業場で、現在使用している設備を本事業で定められた補助対象設備に更新
  • 既設の設備を更新する場合は対象
  • 既存設備を補助対象設備へ更新して省エネルギー化を図ること
  • 更新前後で使用用途が同じ
  • 兼用設備、将来用設備又は予備設備等ではないこと
  • 中古品でないこと
  • その他法令に定められた安全上の基準等を満たしている設備

申請に必要な書類

申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 交付申請書
  • 補助事業計画変更承認申請書
  • 補助事業事故報告書
  • 補助事業実績報告書
  • 精算(概算)払請求書
  • 補助事業年度末実績報告書
  • 成果報告書
  • その他SIIが指示する手続き

申請者は、SIIホームページにてアカウント登録し、電子メールで補助事業ポータルのアカウント情報(ユーザ名等)を取得します。

アカウントを用いて補助事業ポータルにログインし、必要事項を入力して申請書類を作成のうえ、全ての申請書類を「一般社団法人環境共創イニシアチブ」宛てに郵送

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領

画像引用:令和4年度補正予算「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領」

令和4年度補正予算省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領

画像引用:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和4年度補正予算省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領」

申請期間

申請期間は以下の通りです。

項目

内容

公募期間

  • 2023年5月25日(木)~ 6月30日(金)

交付決定

  • 2023年8月上旬(予定)

事業期間

  • 交付決定日から2024年1月31日(水)まで

D エネルギー需要最適化対策事業

エネルギー需要最適化対策事業Cに加えて、SIIに登録されたEMSを用いて、省エネルギー化を促進する事業。SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約します。

金額

補助対象経費は以下の通りです。

  • 設備費
  • 設計費
  • 工事費

補助率と補助金限度額は以下の通り。

項目

内容

補助率

  • 中小企業者等:1/2以内
  • 大企業、その他:1/3以内

補助金限度額

  • 上限額:1億円/事業全体
  • 下限額:100万円/事業全体

対象条件

省エネルギー効果の要件は、「EMSの制御効果と省エネルギー診断等による運用改善効果」により、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を達成すること。

その他の申請要件は以下の通りです。

  • 投資回収年数が5年以上
  • 省エネ法に基づき作成した中長期計画等に記載されている「C 指定設備」または「D EMS機器」を導入する事業
  • 経費当たり計画省エネルギー量が補助対象経費
  • 1千万円当たり1kl以上の事業
  • 導入した補助対象設備の1年間のエネルギー使用量と省エネルギー効果を報告可能

申請に必要な書類

申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 交付申請書
  • 補助事業計画変更承認申請書
  • 補助事業事故報告書
  • 補助事業実績報告書
  • 精算(概算)払請求書
  • 補助事業年度末実績報告書
  • 成果報告書
  • その他SIIが指示する手続き

申請者は、SIIホームページにてアカウント登録し、電子メールで補助事業ポータルのアカウント情報(ユーザ名等)を取得します。

アカウントを用いて補助事業ポータルにログインし、必要事項を入力して申請書類を作成のうえ、全ての申請書類を「一般社団法人環境共創イニシアチブ」宛てに郵送

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領

画像引用:令和4年度補正予算「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領」

令和4年度補正予算省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領

画像引用:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和4年度補正予算省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金公募要領」

申請期間

申請期間は以下の通りです。

項目

内容

公募期間

  • 2023年5月25日(木)~ 6月30日(金)

交付決定

  • 2023年8月上旬(予定)

事業期間

  • 交付決定日から2024年1月31日(水)まで

自治体が実施している補助金制度

自治体が実施している補助金制度は以下の通りです。

補助金名

概要

対象地域

補助金額

ゼロエミッション化に向けた

省エネ設備導入・

運用改善支援事業

中小企業等の

更なる省エネルギー化を推進するため、

省エネ設備の導入と

運用改善費用の一部を助成

東京都

省エネ診断を受診:

・助成対象経費の2/3

(助成上限額2,500万円)

・助成対象経費の3/4

(助成上限額5,000万円)

※事業所全体のCO2排出量の

 削減見込みが50%以上

 かつエネルギー消費量の

 削減見込みが50%以上の要件を満たす

 省エネ設備の導入の場合

・事業者が計画を作成:

 助成対象経費の2/3

(助成上限額1,000万円)

中小規模事業者

省エネルギー設備

導入支援補助金

省エネルギー設備の導入(更新)をする

中小規模事業者に対して、

設備導入経費の一部を補助

神奈川県

補助対象経費の額に1/3を乗じた額

(上限500万円)

※「かながわ再エネ電力利用認定事業者」

 である場合は、上限600万円

中小企業等

省エネ設備導入促進

事業費補助金

県内中小企業に対し、

脱炭素経営への転換を促進するため、

省CO2性の高い設備の導入を支援

静岡県

通常枠:1/3以内

(上限200万円、下限20万円)

特別枠:2/3以内

(上限600万円、下限20万円)

豊田市省エネ設備

導入支援補助金

市内の中小企業が、

既設設備を省エネ設備に更新する費用の一部を補助

愛知県

豊田市

補助対象設備の1/3

(備考)上限500万円

省エネルギー設備

導入支援事業

「ゼロカーボン北海道」の実現に向けて、

省エネルギーの促進を図るため、

高い省エネルギー効果が期待できる

設備の導入に対して、予算の範囲内で補助

北海道

補助率:1/2

限度額:

法人:500万円

複数事業者による共同体:

1,00万円

省エネ設備の導入にまつわる補助金について解説しました

省エネ設備の導入にまつわる補助金について知りたい方向けに、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金や自治体が実施している補助金制度について解説しました。

省エネルギー投資促進に向けた支援補助金は、以下の通りです。

  • A 先進事業
  • B オーダーメイド型事業
  • C 指定設備導入事業
  • D エネルギー需要最適化対策事業

本記事で紹介した内容をもとに、条件が合う場合、申請を検討してみましょう。