ものづくり補助金の申請書類は?申請の流れや記載時のポイントも解説
新サービスの開発や試作品開発などに向けて、ものづくり補助金の利用を検討しているが、どのような申請書が必要になるか知りたい企業の担当者もいるでしょう。スムーズに手続きを進めるためには、ものづくり補助金の申請書を把握することが大切です。
本記事では、ものづくり補助金の申請書類や記載時のポイントなどを解説します。本記事を読むと、ものづくり補助金の申請をスムーズに行えるようになります。ぜひ参考にしてみてください。
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者などが革新的サービス・試作品開発・生産プロセスの改善に取り組み、生産性向上を実現するための設備投資を支援する制度です。
ものづくり補助金を申請するための基本要件は、以下のとおりです。
- 事業計画期間で給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる
- 事業計画期間で、補助事業を実施する事業場内の最低賃金を、毎年地域別の最低賃金の+30円以上の水準にする
- 事業計画期間で事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる
上記の要件を全て満たす3〜5年の事業計画を策定する必要があります。
また補助金額は、申請する枠によって異なります。
通常枠 |
従業員数5人以下:100万~750万円 6人~20人:100万~1,000万円 21人以上 :100万~1,250万円 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 |
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デジタル枠 |
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グリーン枠 |
【エントリー類型】 従業員数5人以下:100万~750万円 6人~20人:100万~1,000万円 21人以上 :100万~1,250万円 【スタンダード類型】 従業員数5人以下:750万~1,000万円 6人~20人:1,000万~1,500万円 21人以上 :1,250万~2,000万円 【アドバンス類型】 従業員数5人以下:1,000万~2,000万円 6人~20人:1,500万~3,000万円 21人以上 :2,000万4,000万円 |
グローバル市場開拓枠 |
100万〜3,000万円 |
ものづくり補助金では、以下のような経費が補助対象です。
- 機械装置
- システム構築費
- 運搬費
- 技術導入費
- 外注費
- 専門家費
- クラウドサービス利用費 など
関連記事:ものづくり補助金の内容を解説!対象となる事業者の要件と金額とは
ものづくり補助金の申請で提出する書類
ものづくり補助金を申請する際は、様々な書類を提出する必要があります。採択率を高めるために、各書類の内容を把握しましょう。
事業計画書
事業計画書には、どのような計画で革新的サービスや試作品開発などの事業に取り組み、設備投資をするのかを記載します。申請書類の中で最も重要なものであり、合計10ページ以内での作成が推奨されています。
事業計画書に記載する内容は、以下のとおりです。
補助事業の具体的取組内容 |
自社の取り組み内容、目的 補助事業で設備投資をする必要性 課題解決に不可欠な工程ごとの開発内容や材料、導入機器 スケジュール など |
将来の展望 |
補助事業に取り組むことで、どのような効果が得られるか 市場分析、市場調査の結果、他社との優位性 など |
事業計画における 付加価値額等の算出根拠 |
事業計画書の付加価値額、経常利益、給与支給総額などを算出して根拠を説明 |
事業計画書を作成する際は、表を使用して見やすくしたり、数値を使って客観的な内容にしたりしましょう。補助事業に取り組む内容や価値をアピールしやすくなります。
また、事業計画書に見積書などの入手価格の妥当性を証明できる書類の提出は不要です。見積書などの補助対象経費に該当する書類が添付されていると、採択後にスムーズな交付決定の手続きを進めることが可能です。
事業計画書は時間をかけて具体的な内容を記載しましょう。
補助経費に関する誓約書
助成金は同一の目的での併用が不可です。
補助経費の誓約書は対象経費が他の助成金と重複がないこと、公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬などと重複がない事業であることを誓約するための書類です。書類には、生年月日・申請者名・応募回を記載して提出します。
賃金引上げ計画の誓約書
賃金引き上げ計画の誓約書には、給与支給総額、伸び率、事業場内の最低賃金、目標賃金を明記する必要があります。ものづくり補助金は、賃金の引き上げが要件に含まれているからです。
以下の要件を把握した上で、要件を満たす内容の賃金引き上げ計画の誓約書を提出しましょう。
- 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加する
- 毎年地域別の最低賃金を+30円以上の水準にする
決算書等
ものづくり補助金の申請には、直近2年間の決算書の提出が必要です。
決算書として認められるのは、以下の書類です。
- 貸借対照表
- 損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)
- 製造原価報告書
- 販売管理費明細
- 個別注記表
設立から2年に満たない法人の場合は、1期分の決算書を提出します。個人事業主の場合は、確定申告書等を提出することになります。
従業員数の確認資料
ものづくり補助金では、法人と個人それぞれで従業員数を証明する確認資料の提出が必要です。
- 法人の場合:法人事業概況説明書の写し
- 個人事業主の場合:所得税青色申告決算書または、所得税白色申告収支内訳書の写し
スムーズに書類を提出できるように、用意しておきましょう。
労働者名簿
従業員数の確認資料によっては、労働者名簿の提出が必要になります。
労働者名簿を提出する場合は以下のとおりです。
- 応募申請時の従業員数が21名以上
- 従業員数の確認資料における期末の従業員数が20名以下
書類を用意する際の様式に定めはありませんが、以下の項目を記載します。
- 事業者名
- 従業員数
- 従業員氏名
- 生年月日(西暦)
- 雇入れ年月日(西暦)
- 従事する業務の種類
ものづくり補助金申請の加点を希望する際に必要な書類
ものづくり補助金の申請書類には、提出すると審査時に加点してもらえるものがあります。
- 成長性加点:経営革新計画承認書
- 政策加点:開業届または履歴事項全部証明書
- 災害等加点:(連携)事業継続力強化計画認定書
- 賃上げ加点: 特定適用事業所該当通知書
提出は必須ではありませんが、加点を希望する際は書類を提出しましょう。
ものづくり補助金の枠別に必要な追加書類
ものづくり補助金は応募する補助金枠に応じて、追加書類が必要になります。
- 再生事業者:応募申請時において再生事業者であることを証明する書類
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠に応募する事業者:課税所得の状況を示す確定申告書類
- グリーン枠に応募する事業者:炭素生産性向上計画および温室効果ガス排出削減の取組状況
- 大幅な賃上げを行う事業者:大幅な賃上げ計画書
- グローバル市場開拓枠に応募する事業者:海外事業の準備状況を示す書類
自社の申請内容を明確にして、追加書類が必要になるか確認してみてください。
ものづくり補助金の申請書類を記載する際のポイント
ここからは、ものづくり補助金の申請書の記載ポイントを紹介します。
審査項目を確認する
ものづくり補助金の公募要領には、審査項目が設定されているため、全てを満たすように記載する必要があります。
審査項目の一例は、以下のとおりです。
技術面 |
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事業化面 |
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政策面 |
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加点項目をチェックする
ものづくり補助金には加点項目が公開されています。加点項目をチェックして、必要な書類を用意することで採択される可能性が高まります。
取引先と協力する
ものづくり補助金は、見積書や完了報告書などの提出が必要です。自社のみで対応できないケースがあるため、取引先に相談して協力してもらいましょう。取引先との連携がスムーズになれば、申請を進めやすくなります。
専門家に相談する
ものづくり補助金の申請には多くの書類が必要です。初めての申請だと、何を用意すればよいのかわからず、迷うケースがあるでしょう。
その場合、専門家に相談しながら進めると、的確なアドバイスをもらえるため、スムーズに手続きを進められます。
ものづくり補助金の申請の流れ
ものづくり補助金の申請と採択後の流れを紹介します。
申請までの流れ
ものづくり補助金の申請までの流れは、以下のとおりです。
- 公募要件を確認する
- 申請書類の様式をダウンロードする
- 申請書類を提出する
- 採択通知を受ける
- 交付申請をする
申請に必要な書類は、ものづくり補助金総合サイトに掲載されているので、活用してみてください。
採択後の流れ
ものづくり補助金の申請が採択された後の流れは、以下のとおりです。
- 補助事業の実施・実績報告をする
- 確定検査後、交付額が確定する
- 補助金を請求する
- 補助金が支払われる
- 事業化状況や知的財産権等の報告をする
採択されても、申請時の事業計画書の条件を満たしていないと、補助金が支払われないことに注意しましょう。
ものづくり補助金の申請書類【まとめ】
ものづくり補助金は、革新的なサービス開発や試作品開発などに取り組む際の設備投資にかかる経費の一部を支援してもらえます。申請をするには、多くの書類を提出しなければなりません。
書類に不備があると申請が採択されず、補助金を受けられません。本記事を参考に、ものづくり補助金の申請書を用意して、手続きを進めてみてください。