業務改善助成金の対象事業者は?助成金の対象となる設備投資・経費も紹介!

業務改善助成金の対象事業者は?助成金の対象となる設備投資・経費も紹介!

賃上げや設備投資のために申請したいと考えているが、業務改善助成金の対象に自社は含まれるのか?

どんな設備投資・経費が対象になるのか?知りたい方に向け、業務改善助成金の対象事業者、助成金の対象となる設備投資・経費を紹介していきます。

目次
  1. 1. 業務改善助成金とは
  2. 2. 業務改善助成金の対象となる事業者
    1. 2-1. 業務改善助成金の対象となる常時雇用する労働者
    2. 2-2. 事業場単位での申請
  3. 3. 業務改善助成金の対象となる特例事業者
  4. 4. 業務改善助成金の対象となる設備投資
  5. 5. 業務改善助成金の助成対象経費とは
  6. 6. 業務改善助成金はいくら支給される?
    1. 6-1. 助成上限額と助成率
    2. 6-2. 業務改善助成金の計算方法
  7. 7. 業務改善助成金の申請期限について
  8. 8. 【まとめ】業務改善助成金の対象事業者や経費を紹介しました

業務改善助成金とは

業務改善助成金とは、生産性向上に寄与する設備投資、一定額以上の賃金引き上げを実施した事業者を対象に、設備投資にかかった費用の一部を支給する助成金制度です。対象の事業者が事業場内最低賃金を30円以上引き上げる計画、設備投資計画を立てて申請。承認 / 事業完了後に、賃上げ額、賃上げした労働者数に応じて設備投資費用の一部が支給されます。

業務改善助成金の詳細については以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:業務改善助成金とは|令和5年度の対象者・助成額・申請の流れを紹介

業務改善助成金の対象となる事業者

業務改善助成金の対象となる事業者は、以下の要件を満たす中小企業および小規模事業者です。過去に業務改善助成金を申請したことのある事業者も対象として認められます。

  • 要綱に定められた中小企業・小規模事業者
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がない

要綱に定められた中小企業・小規模事業者とは、以下のAもしくはBの要件を満たす事業者のこと。医療 / NPO法人など、資本金 / 出資額のない法人の場合は、常時使用する労働者数で業務改善助成金の対象か否かを判断します。

業種

A:資本金

または出資額

B:常時使用する

労働者数

小売業

小売業、飲食業など

5,000万円以下

50人以下

サービス業

物品賃貸業、宿泊業、医療・福祉、

複合サービス業など

5,000万円以下

100人以下

卸売業

卸売業

1億円以下

100人以下

その他業種

農業、林業、漁業、建設業、

製造業、運輸業、金融業など

3億円以下

300人以下

参考:厚生労働省

また、事業場内最低賃金とは、オフィス / 工場などの事業場内でもっとも低い賃金のこと。地域別最低賃金とは、国が毎年10月頃に改定する都道府県ごとの最低賃金のことです。地域別最低賃金を51円以上上回る事業場は業務改善助成金の対象外ですが、改定によって最低賃金の差額が50円以内に縮まれば申請できます

参考:厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧(令和5年度)

業務改善助成金の対象となる常時雇用する労働者

業務改善助成金の対象となる「常時使用する労働者」とは、中小企業法に準じた「解雇の予告を必要とする者」のこと。具体的には、以下の例外を除く労働者を「常時使用する労働者」としてカウントします。

  • 日々雇い入れられる者
  • 2か月以内の期間を定めて使用される者
  • 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
  • 試用期間の者

事業場単位での申請

以上の要件を満たす対象事業者は、オフィスや工場などの「事業場単位」で業務改善助成金を申請できます。たとえば、同一事業者が複数事業場を運営している場合、それぞれの事業場ごとの申請が必要。地域別最低賃金を51円以上上回る事業場を運営していても、差額が50円以下のそのほかの事業場は業務改善助成金の対象です。

業務改善助成金の対象事業者は?助成金の対象となる設備投資・経費も紹介!_1

画像出典:厚生労働省

業務改善助成金の対象となる特例事業者

業務改善助成金の対象事業者が、さらに以下の3つのいずれか1つの要件を満たすと、特例事業者としていくつかの特典を受けられます。

要件

概要

賃金要件

事業場内最低賃金が950円未満の事業者

生産量要件

新型コロナウイルスの影響で、

直近3か月の売上高 / 生産量などの月平均が前年、または前々年、

または3年前同期から15%以上減少している事業者

物価高騰等要件

物価高の影響で、申請前3か月の任意の1か月の利益率が、

前年同期から3%ポイント以上低下している事業者

たとえば、要件のいずれか1つを満たす特例事業者なら、最大600万円(通常の事業者は最大450万円)の助成金を受給可能。生産量要件もしくは物価高騰等要件を満たす特例事業者であれば、助成対象経費の拡大措置を受けられるため、通常の事業者では認められないPC / 周辺機器や自動車の導入も認められます。

業務改善助成金の対象となる設備投資

業務改善助成金の対象となる設備投資とは、生産性向上・労働能率の増進に役立つ以下のような設備投資等費用と定められています。

  • POSレジシステム / リフト付き特殊車両などの機械設備導入
  • 業務フロー見直しなどの経営コンサルティング
  • 人材育成・教育訓練

業務改善助成金の助成対象経費とは

上述したように、要件を満たす特例事業者であれば、業務改善助成金の助成対象経費拡大措置が受けられ、より幅広い設備投資が可能。対象となるのは「生産量要件」「物価高騰等要件」いずれかの要件を満たす特例事業者です。

助成対象経費の拡大

経費の例

生産性向上に寄与する設備投資等

・定員7名以上または車両本体価格200万円以下の

 乗用自動車 / 貨物自動車

・PC / モバイル機器などの端末と周辺機器の新規購入

関連する経費

広告宣伝費、汎用事務機器、事務室の拡大、机・椅子の増設など

ただし、関連する経費については「単独での購入」は認められません。また、設備投資等の費用よりも高額な経費も認められないため注意が必要です。

業務改善助成金はいくら支給される?

業務改善助成金の対象となる事業者や、対象となる設備投資は理解できた。では、業務改善助成金はいくら支給されるのか?知りたい方に向け、支給額の計算方法を簡単に解説しておきましょう。業務改善助成金の支給額は、選択した賃上げコース区分に応じた上限額、または設備投資費用と助成率によって決まります。

助成上限額と助成率

業務改善助成金の上限額は、選択したコース区分、賃金を引き上げる労働者数、事業場規模に応じて決まります。また、事業内最低賃金によって助成率も変動します。

コース区分

事業場内最低賃金の

引き上げ額

賃金を引き上げる

労働者数

助成金上限額

事業場規模

30人以上

事業場規模

30人未満

30円コース

30円以上

(※は特例事業者のみ)

1人

30万円

60万円

2〜3人

50万円

90万円

4〜6人

70万円

100万円

7人以上

100万円

120万円

10人以上 ※

120万円

130万円

45円コース

45円以上

(※は特例事業者のみ)

1人

45万円

80万円

2〜3人

70万円

110万円

4〜6人

100万円

140万円

7人以上

150万円

160万円

10人以上 ※

180万円

180万円

60円コース

60円以上

(※は特例事業者のみ)

1人

60万円

110万円

2〜3人

90万円

160万円

4〜6人

150万円

190万円

7人以上

230万円

230万円

10人以上 ※

300万円

300万円

90円コース

90円以上

(※は特例事業者のみ)

1人

90万円

170万円

2〜3人

150万円

240万円

4〜6人

270万円

290万円

7人以上

450万円

450万円

10人以上 ※

600万円

600万円

参考:厚生労働省

事業場内最低賃金

助成率

生産性要件を満たした事業者の助成率

900円未満

9/10

 

900円以上950円未満

4/5

9/10

950円以上

3/4

4/5

参考:厚生労働省

業務改善助成金の計算方法

業務改善助成金の支給額計算方法は「設備投資した金額 × 助成率」または「助成上限額」のどちらか低い方です。以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

  • 事業場内最低賃金890円の特例事業者(事業場規模40人、助成率9/10)
  • 10人の労働者を890円から980円へ賃上げ(90円コース、上限額600万円)
  • 600万円の設備投資

このケースでは「設備投資した金額 × 助成率(600万円 × 9/10 = 540万円)」「助成上限額は600万円」となるため、支給される業務改善助成金は540万円です。

業務改善助成金の支給金額については以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:業務改善助成金はいくらもらえる?助成金の上限額・助成率・計算方法を解説!

業務改善助成金の申請期限について

令和5年度(2023年度)の業務改善助成金は、2024年3月31日まで期限が延長されたため、まだ申請していない事業者の方でも間に合います。この場合、設備投資を含む事業完了期限を2024年4月1日〜2025年2月28日の間で設定可能。ただし、すでに従業員の賃上げを実施してしまっている場合は申請できません。

業務改善助成金の対象事業者は?助成金の対象となる設備投資・経費も紹介!_2

画像出典:厚生労働省

業務改善助成金の申請方法・手順については以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:業務改善助成金の申請方法・手続きの流れ・概要を解説!

【まとめ】業務改善助成金の対象事業者や経費を紹介しました

賃上げや設備投資のために申請したいと考えているが、業務改善助成金の対象に自社は含まれるのか?どんな設備投資・経費が対象になるのか?知りたい方に向け、業務改善助成金の対象事業者、助成金の対象となる設備投資・経費を紹介してきました。

2024年2月時点で正式は発表はないものの、令和6年度の業務改善助成金も実施される公算です。延長された期限に間に合わないが、業務改善助成金には興味があるという方は続報をお待ちください。