小規模事業者持続化補助金の創業枠とは|要件・補助上限・補助率などを紹介

小規模事業者持続化補助金の創業枠とは|要件・補助上限・補助率などを紹介

創業から3年以内の企業を経営しており、小規模事業者持続化補助金の創業枠の利用を検討している方もいるでしょう。

本記事では小規模事業者持続化補助金の創業枠の要件や補助上限額などを紹介します。創業枠の申請に本記事をお役立てください。

目次
  1. 1. 小規模事業者持続化補助金の創業枠とは
    1. 1-1. 対象者
    2. 1-2. 申請要件
    3. 1-3. 補助上限額・補助率
    4. 1-4. 申請に必要な書類
    5. 1-5. 補助対象の経費
  2. 2. 創業枠を含む小規模事業者持続化補助金の申請手続きの流れ
    1. 2-1. 1.申請の準備をする
    2. 2-2. 2.申請手続きをする
    3. 2-3. 3.補助事業を実施する
    4. 2-4. 4.実績報告書を提出する
    5. 2-5. 5.事業効果報告をする
  3. 3. 【まとめ】小規模事業者持続化補助金の創業枠を紹介しました

小規模事業者持続化補助金の創業枠とは

小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)は、小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する制度です。申請できる枠は全部で5枠あり、その中でも創業枠は創業3年以内の事業者を対象にしています。特定創業支援等事業による支援を受けて創業した小規模事業者に対して、補助上限額が200万円に引き上げられます。

本見出しの内容については、以下の資料を参照しています。

小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック

小規模事業者持続化補助金<一般型> 第13回公募 公募要領

対象者

創業枠に限りませんが、小規模事業者持続化補助金の対象者は、以下に該当する法人・個人事業主・特定非営利活動法人です。

項目

内容

対象者

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数5人以下
  • 宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数20人以下
  • 製造業その他:常時使用する従業員の数20人以下

要件

以下全ての要件を満たすこと

  • 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または
  • 間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
  • 直近過去3年分各年または
  • 各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
  • 持続化補助金(一般型、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠)
  • で採択を受けて、補助事業を実施した場合、
  • 各事業の交付規程で定める
  • 「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を、
  • 原則本補助金の申請までに受領された
  • (事務局から指摘のあった不備が解消した状態)ものであること
  • 「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者ではないこと

※常時使用する従業員は、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含まれません

上記の要件を満たすことで、創業枠を申請できる対象者になります。

申請要件

創業枠の申請要件は、以下2つに該当する事業者です。

・産業競争力強化法に基づく「認定市区町村」または

「認定市区町村」と連携した「認定連携創業支援等事業者」が実施した

「特定創業支援等事業」による支援を公募締切時から起算して過去3か年の間に受けた事業者

・過去3か年の間に開業した事業者

開業した事業者の要件は、以下のように法人と個人事業主で異なります。

開業した事業者

要件

法人の場合

法人の代表者(1〜3)が、特定創業支援等事業による支援を受けた者である

(代表者以外の役員や従業員等が直接支援を受けた場合は対象外)

 

  1. 会社設立の場合:代表取締役又は代表社員
  2. 企業組合・協業組合の場合:代表役員
  3. 士業法人の場合:代表社員

個人事業主の場合

個人事業主本人が特定創業支援等事業による支援を受けた者である

(家族専従者や後継予定者等が直接支援を受けた場合は対象外)

特定創業支援等事業による支援を受けた地域以外で創業した場合も、創業枠の申請対象となります。特定創業支援等事業による支援を受けた事業者は、創業枠の申請を検討しましょう。

補助上限額・補助率

小規模事業者持続化補助金の創業枠の補助上限額・補助率は以下のとおりです。

  • 補助上限額:200万円
  • 補助率:経費の2/3

創業枠は補助上限額が50万円の通常枠より申請できる金額が増えるので、補助事業で導入できる経費の選択肢が拡大するでしょう。

また小規模事業者持続化補助金は、インボイス特例として免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者に補助上限額が50万円上乗せされます。インボイス特例を申請することで、200万円だった創業枠の補助上限額が最大250万円に増加します。

申請に必要な書類

小規模事業者持続化補助金の創業枠を申請する際に必要な書類は以下のとおりです。

項目

書類名

全申請者が必要な書類

小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書

※電子申請の場合は不要

経営計画書兼補助事業計画書(様式2)

補助事業計画書(様式3)

事業支援計画書(様式4)

補助金交付申請書(様式5)

※郵送の申請の場合は必要

宣誓・同意書(様式6)

電子媒体(様式1、様式2、様式3、様式5、様式6、様式7、様式8、様式9)

※郵送の申請の場合は必要

貸借対照表および損益計算書(直近1期分)

※法人のみ必要

株主名簿

※該当者のみ

※法人のみ必要

直近の確定申告書【第一表及び第二表及び収支内訳書(1・2面)

または所得税青色申告決算書(1~4面)】(

税務署受付印のあるもの)または開業届(税務署受付印のあるもの)

※個人事業主のみ必要

貸借対照表および活動計算書(直近1期分)

※NPOのみ必要

現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書

(申請書の提出日から3ヶ月以内の日付のもの)

※NPOのみ必要

法人税確定申告書(直近1期分)

※NPOのみ必要

創業枠の申請に

必要な書類

「認定市区町村」または「認定市区町村」と

連携した「認定連携創業支援等事業者」

が実施した「特定創業支援等事業」による支援を受けたことの証明書

現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書

(申請書の提出日から3ヶ月以内の日付のもの)

※法人とNPOのみ必要

開業届(税務署受付印のあるもの)

※個人事業主のみ必要

提出書類は法人・個人事業主・NPOごとに異なるので、必要な書類を確認の上準備しましょう。

補助対象の経費

小規模事業者持続化補助金の補助対象の経費は、以下のように細かく定められています。

補助対象の経費

活用例

1.機械装置等費

補助事業に必要な製造装置の購入

2.広報費

新サービス紹介のチラシ作成・配布、看板の設置

3.ウェブサイト関連費

WebサイトやECサイト等の開発、構築、更新、改修、運用に係る経費

4.展示会等出展費

展示会・商談会の出展料

5.旅費

販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)を行うための旅費

6.開発費

新商品の試作品開発に伴う経費

7.資料購入費

補助事業に関する資料・図書

8.雑役務費

補助事業のために臨時的に雇用したアルバイト・派遣社員費用

9.借料

機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)

10.設備処分費

新サービスを行うためのスペース確保を目的とした設備処分

11.委託・外注費

店舗改装など自社では実施困難な業務を

第三者に依頼した場合の費用(契約必須)

なおウェブサイト関連費は単独で申請できないため、他の経費と一緒に申請してください。

小規模事業者持続化補助金は、補助事業のみに使える経費が対象になります。パソコンや文房具などのように汎用性が高く目的外に使用できる経費は、補助対象外になるので注意が必要です。

また小規模事業者持続化補助金の補助対象になる経費は、交付決定日から補助事業実施期限までに発注・支払いが完了したものです。交付決定前に発注したものや、実施期限後に支払いをしたものは補助対象外になります。

創業枠を含む小規模事業者持続化補助金の申請手続きの流れ

小規模事業者持続化補助金の創業枠とは|要件・補助上限・補助率などを紹介_1

スムーズに小規模事業者持続化補助金の申請を進められるように、手続きの流れを把握しましょう。

1.申請の準備をする

まずは、創業枠の申請をするための書類を準備します。全申請者の提出が必要な書類に加えて、創業枠の追加書類もあるので、申請に何が必要なのか確認しましょう。必要な書類については、こちらをご確認ください。

小規模事業者持続化補助金には審査があり、評価の高い順に採択されます。そのため以下の審査ポイントや加点項目を意識しながら書類を準備し、採択率を上げられるように工夫しましょう。

項目

概要

審査ポイント

  • 自社の経営状況を適切に把握し、
  • 自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか
  •  
  • 経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか
  •  
  • 経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場
  • (商圏)の特性を踏まえているか
  •  
  • 補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって
  • 実現可能性が高いものとなっているか
  •  
  • 補助事業計画は、経営計画の今後の方針・
  • 目標を達成するために必要かつ有効なものか
  •  
  • 補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか
  •  
  • 補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか
  •  
  • 補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか
  •  
  • 事業費の計上・積算が正確・明確で、
  • 真に必要な金額が計上されているか

加点項目

重点政策加点

赤字賃上げ加点

賃金引上げ枠に申請する事業者のうち、

赤字である事業者に対して加点

事業環境変化加点

ウクライナ情勢や原油価格、

LPガス価格等の高騰による

影響を受けている事業者に対して加点

東日本大震災加点

福島第一原子力発電所の影響を受け、

避難指示等の対象となった

地域の事業者及び

被害を受けた水産加工業者等に対して加点

くるみん・

えるぼし加点

次世代育成支援対策推進法

(次世代法)に基づく

「くるみん認定」を受けている事業者、

もしくは女性の職業生活における

活躍の推進に関する法律

(女性活躍推進法)

に基づく「えるぼし認定」

を受けている事業者に対して加点

政策加点

パワーアップ型加点

【地域資源型】

地域資源等を活用し、

良いモノ・サービスを高く提供し、

付加価値向上を図るため、

地域外への販売や新規事業の

たち上げを行う計画に加点

 

【地域コミュニティ型】

地域の課題解決や暮らしの実需に応える

サービスを提供する小規模事業者による、

地域内の需要喚起を

目的とした取組等を行う計画に加点

経営力向上計画加点

中小企業等経営強化法に基づく

「経営力向上計画」

の認定を受けている事業者に対して加点

事業承継加点

代表者の年齢が

満60歳以上の事業者で、かつ、

後継者候補が補助事業を

中心になって行う場合に加点

過疎地域加点

過疎地域の持続的発展の支援に

関する特別措置法に

定める過疎地域に所在し、

地域経済の持続的発展に

つながる取り組みを

行う事業者に対して加点

一般事業主

行動計画策定加点

従業員100人以下の事業者で

「女性の活躍推進企業データベース」

に女性活躍推進法に基づく

一般事業主行動計画を

公表している事業者、

もしくは従業員

100人以下の事業者で

「両立支援のひろば」に次世代法に基づく

一般事業主行動計画を公表している

事業者に対して加点

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック

2.申請手続きをする

小規模事業者持続化補助金の申請手続きは「電子申請」と「郵送」の2種類です。

電子申請を行う際は、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。アカウントの取得には数週間かかるので、書類の申請締切日に間に合うように早めにアカウントを作成しましょう。アカウントの取得は、GビズIDの公式サイトから行ってください。

なお小規模事業者持続化補助金の書類の申請先は、商工会・商工会議所地区ごとに異なります。小規模事業者持続化補助金ガイドブックを確認の上、提出先を間違えないようにしましょう。

3.補助事業を実施する

補助事業の採択が決定した後は、申請した事業計画に沿って事業を実施します。各回で約7ヶ月程度の補助事業実施期間が設けられており、期限までに事業を完了させる必要があります。万が一期限までに事業が完了できないと、補助金が支給されないので注意しましょう。

4.実績報告書を提出する

補助事業の完了後は、実績報告書の提出が必要です。実績報告書とは、補助事業の実施内容と経費内容をまとめたものです。補助事業の終了日から起算して30日を経過した日または最終提出期限のいずれか早い日までに、忘れず実績報告書を提出しましょう。

5.事業効果報告をする

小規模事業者持続化補助金は実績報告書の提出だけでなく、事業効果報告も行う必要があります。補助事業の完了から1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」を文書で提出しなければなりません。事業効果等状況報告期間終了日の翌日から30日以内に、事業効果報告を行ってください。

【まとめ】小規模事業者持続化補助金の創業枠を紹介しました

ここまで、小規模事業者持続化補助金の創業枠について紹介しました。創業枠は創業から3年以内の小規模事業者を支援する制度です。通常枠よりも補助上限額が増加するので、申請できる経費の選択肢が増加します。創業枠を申請したい方は、本記事を参考にしてみてください。