システム開発に活用できる補助金|採択率を高めるポイント・注意点

システム開発に活用できる補助金|採択率を高めるポイント・注意点

システム開発を検討している企業の中には、補助金を活用して費用負担を軽減したいと考えている方もいるのではないでしょうか?

本記事では、システム開発に活用できる代表的な補助金や採択率を高めるポイントなどを紹介します。ぜひ補助金の選定にお役立てください。

目次
  1. 1. システム開発に活用できる補助金一覧
    1. 1-1. ものづくり補助金
    2. 1-2. 事業再構築補助金
    3. 1-3. IT導入補助金
    4. 1-4. 小規模事業者持続化補助金
  2. 2. システム開発の補助金の採択率を高めるポイント
    1. 2-1. 必要書類を漏れなく用意する
    2. 2-2. 不採択の要因を把握する
    3. 2-3. 同業種の例を把握する
    4. 2-4. 補助金申請代行を利用する
  3. 3. システム開発に補助金を活用する際の注意点
    1. 3-1. 補助金の支給は後払いになる
    2. 3-2. 補助金の支給は期間内の経費のみが対象になる
  4. 4. システム開発に補助金を使う際の流れ
  5. 5. 【まとめ】システム開発の補助金を紹介しました

システム開発に活用できる補助金一覧

まずシステム開発に活用できる補助金を見ていきましょう。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善に取り組む中小企業または小規模事業者の支援を目的にしている補助金です。

対象者

ものづくり補助金の主な対象者は、以下のような小規模事業者と中小企業になります。

【小規模事業者】

業種

従業員数

商業・サービス業

5人以下

サービス業(宿泊業・娯楽業)

20人以下

製造業・その他

20人以下

【中小企業】

業種

資本金または従業員数

製造業

資本3億円以下または従業員300人以下

卸売業

資本1億円以下または従業員100人以下

サービス業

資本5,000万円以下または従業員100人以下

小売業

資本5,000万円以下または従業員50人以下

ソフトウェア業

資本3億円以下または従業員300人以下

旅館業

資本5,000万円以下または従業員200人以下

その他の業種

資本3億円以下または従業員300人以下

補助金額・補助率

ものづくり補助金の補助金額と補助率は以下のとおりです。

申請枠

補助額

補助率

省力化(オーダーメイド)枠

100万円~8,000万円

中小企業

補助金額が1,500万円まで:経費の1/2

補助金額が1,500万円を超える部分:1/3

 

小規模企業者・小規模事業者

補助金額が1,500万円まで:経費の2/3

補助金額が1,500万円を超える部分:1/3

通常枠

100万~1,250万円

1/2

※小規模事業者または再生事業者:2/3

回復型賃上げ・雇用拡大枠

100万~1,250万円

2/3

デジタル枠

100万~1,250万円

2/3

グリーン枠

100万~4,000万円

2/3

グローバル市場開拓枠

100万~3,000万円

1/2

※小規模事業者または再生事業者:2/3

対象経費

ものづくり補助金の主な対象経費は以下になります。

  • 機械装置・システム構築費
  • 運搬費
  • 技術導入費
  • 外注費
  • 専門家経費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 海外旅費(グローバル市場開拓枠のみ)
  • 通訳・翻訳費(グローバル市場開拓枠のうち海外市場開拓のみ)
  • 広告宣伝・販売促進費(グローバル市場開拓枠のうち海外市場開拓のみ)

補助金の支給を受けるには設備投資が必要になります。そのため単価50万円(税抜き)以上の機械装置等の導入を行いましょう。

申請方法

ものづくり補助金の申請は、電子申請システムのみで受付をしています。申請にはgBizIDプライムのアカウントが必要になるので登録をしてください。

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することを目的にした補助金です。新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換など事業再構築に意欲がある中小企業等を支援しています。

対象者

対象事業者は以下のような中小企業および中堅企業です。

業種

資本金または従業員数

製造業

資本3億円以下または従業員300人以下

卸売業

資本1億円以下または従業員100人以下

サービス業

資本5,000万円以下または従業員100人以下

小売業

資本5,000万円以下または従業員50人以下

ソフトウェア業

資本3億円以下または従業員300人以下

旅館業

資本5,000万円以下または従業員200人以下

その他の業種

資本3億円以下または従業員300人以下

【中堅企業】

上記の中小企業以外で、資本金10億円未満の会社

補助金額・補助率

事業再構築補助金の補助金額・補助率は以下のとおりです。

申請枠

補助額

補助率

成長枠

100万~7,000万円

中小企業:経費の1/2

 (大規模な賃上げを実施する場合:2/3)

中堅企業:1/2

 (大規模な賃上げ実施する場合:1/2)

グリーン成長枠

100万~1.5億円

中小企業:1/2

 (大規模な賃上げを実施する場合:2/3)

中堅企業:1/3

 (大規模な賃上げ実施する場合:1/2)

卒業促進枠

成長枠・グリーン成長枠の

補助金額上限に準じる

中小企業者:1/2

中堅企業:1/3

大規模賃金引上促進枠

100万~3,000万円

中小企業者:1/2

中堅企業:1/3

産業構造転換枠

100万~7,000万円

中小企業者:2/3

中堅企業:1/2

最低賃金枠

100万~1,500万円

中小企業者:3/4

中堅企業:2/3

物価高騰対策・

回復再生応援枠

100万~3,000万円

中小企業者:2/3

中堅企業:1/2

対象経費

事業再構築補助金の主な対象経費は以下になります。

  • 建物費
  • 機械装置・ システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費
  • 研修費
  • 廃業費

事業再構築補助金は、中小企業等が将来にわたって持続的に競争力強化を図る取り組みを支援することを目的にしています。そのため、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資をすることが必要です。

申請方法

事業再構築補助金の申請は、電子申請システムのみで受付をしています。申請にはgBizIDプライムのアカウントが必要になるので、未取得の方は登録をしてください。

IT導入補助金

IT導入補助金は、ITツールの導入をして生産性向上や事業拡大に取り組む中小企業や小規模事業者を支援する補助金です。申請には、IT導入補助金事務局に登録されている「IT導入支援事業者」と連携する必要があります。さらに、本事業で導入するITツールも登録されているものでなければなりません。

対象者

IT導入補助金の対象者は、以下のような事業者です。

【小規模事業者】

業種

従業員数

商業・サービス業

5人以下

サービス業(宿泊業・娯楽業)

20人以下

製造業・その他

20人以下

【中小企業】

業種

資本金または従業員数

製造業

資本3億円以下または従業員300人以下

卸売業

資本1億円以下または従業員100人以下

サービス業

資本5,000万円以下または従業員100人以下

小売業

資本5,000万円以下または従業員50人以下

ソフトウェア業

資本3億円以下または従業員300人以下

旅館業

資本5,000万円以下または従業員200人以下

その他の業種

資本3億円以下または従業員300人以下

補助金額・補助率

IT導入補助金の補助金額と補助率は以下になります。

申請枠

補助額

補助率

通常枠(A類型)

5万円~150万円未満

経費の1/2以内

通常枠(B類型)

150万円~450万円以下

1/2以内

セキュリティ対策推進枠

5万円~100万円

1/2以内

デジタル化基盤導入枠

(デジタル化基盤導入類型)

(下限なし)~50万円

3/4以内

50万円超~350万円

2/3以内

〜10万円(PC・タブレット)

1/2以内

〜20万円(レジ・券売機)

1/2以内

対象経費

IT導入補助金の対象経費は、申請する枠ごとに異なります。

通常枠(A・B類型)

・ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)

・機能拡張やデータ連携ツールなど

・導入コンサルティングや設定・導入研修など

・保守サポート

セキュリティ対策推進枠

・ソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)

・ハードウェア関連費

・導入関連費

デジタル化基盤導入枠

(デジタル化基盤導入類型)

・ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)

・機能拡張やデータ連携ツールなど

・導入コンサルティングや設定・導入研修など

・保守サポート

・PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機

・POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機

申請方法

IT導入補助金の申請方法は、他の補助金と同様に電子申請システムを利用します。

申請する際には、以下のアカウント取得やチェックの実施が必要です。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や業務効率化などの取り組みを支援している補助金です。Webサイトやチラシの制作費、機械装置の購入など幅広い経費が対象になっているので企業の様々な用途に活用できます。

対象者

小規模事業者持続化補助金の対象者は、以下の小規模事業者です。

業種

従業員数

商業・サービス業

5人以下

サービス業(宿泊業・娯楽業)

20人以下

製造業・その他

20人以下

補助金額・補助率

小規模事業者持続化補助金の補助金額と補助率は以下になります。

申請枠

補助上限額

補助率

通常枠

50万円

経費の2/3

賃金引上げ枠

200万円

2/3(赤字事業者は3/4)

卒業枠

200万円

2/3

後継者支援枠

200万円

2/3

創業枠

200万円

2/3

対象経費

小規模事業者持続化補助金の対象経費は以下のとおりです。

  • 機械装置等費
  • 広報費
  • Webサイト関連費
  • 展示会等出展費
  • 旅費
  • 新商品開発費
  • 資料購入費
  • 雑役務費
  • 借料
  • 設備処分費
  • 委託・外注費

上記のように様々な経費に補助金を活用できます。

申請方法

小規模事業者持続化補助金の申請方法は電子申請もしくは郵送になります。ただし、本補助金は商工会議所の支援を受けながら申請しなければなりません。利用を検討している際は、管轄の商工会議所に問い合わせをしてみましょう。

システム開発の補助金の採択率を高めるポイント

システム開発に活用できる補助金|採択率を高めるポイント・注意点_1

続いて、システム開発の補助金の採択率を高めるポイントを紹介します。

必要書類を漏れなく用意する

申請する補助金によって必要な書類が異なるので、公募要領を確認しましょう。書類に漏れや不備があると、審査すら受けられないので注意が必要です。

申請書の中でも特に重要なのが事業計画書です。事業計画書には、自社の課題、強み、市場分析、目標などの情報を適切に盛り込みましょう。このように公募要領を確認した上で、漏れや不備がないようにしてください。

不採択の要因を把握する

補助金は審査が必要なので、申請したからといって必ずしも採択されるとは限りません。そのため、申請前にどのような不採択要因があるのか把握することが大切です。

例えば以下のような失敗要因が挙げられます。

  • 要項を理解していない
  • 具体性が不足している
  • 過大投資になっている
  • 事業計画書のデータに根拠がない
  • 需要が不明確である

このような不採択の要因がわかれば対策を取りやすくなるため、採択率を高められます。

同業種の例を把握する

補助金の採択率を高めるためには、すでに採択された同業種の事例を把握することも大切です。どのような申請内容が採択されているか把握して、申請書類を用意すると採択率が高まります。補助金によっては採択例が公開されているケースがあるので、確認してみてください。

補助金申請代行を利用する

補助金の申請には専門知識が必要になったり、書類の準備に労力がかかったりします。自社のみで対応するのが不安なら、補助金の申請代行を利用することも1つの方法です。専門家の視点でアドバイスをもらえるので、適切な準備ができ、採択率が高まるでしょう。

システム開発に補助金を活用する際の注意点

システム開発に活用できる補助金|採択率を高めるポイント・注意点_2

続いて、システム開発に補助金を活用する際の注意点を紹介します。

補助金の支給は後払いになる

補助金は基本的に対象事業が完了して報告をした後、事業者のもとへ支給されます。そのため、事業にかかる経費は事業者側で先に支払いをしなければなりません。もし事業資金に不安があるなら、資金繰りが必要になります。

補助金の支給は期間内の経費のみが対象になる

各補助金は事業の実施期間が定められており、支給対象になるのは、期間内に実施した事業のみです。期間外に行った事業の経費は対象外になることに注意しましょう。

システム開発に補助金を使う際の流れ

システム開発に補助金を使う際の主な流れは以下のとおりです。

  1. 補助金の公募
  2. 申請書の作成
  3. 書類審査・面接
  4. 補助金採択の決定
  5. 補助金事業を開始
  6. 事業の完了報告
  7. 補助金の交付

補助金の公募はそれぞれの事務局のホームページでされますが、数週間〜1ヶ月程度になっていることがほとんどです。長い期間募集されることは少ないので、申請漏れを防ぐためにこまめにチェックしましょう。

また、補助金を申請してから交付されるまでに約1年程度はかかります。申請する補助金によっては1年以上かかるケースもあります。

【まとめ】システム開発の補助金を紹介しました

ここまでにシステム開発に活用できる補助金について紹介しました。システム開発には主に4つの補助金が活用でき、それぞれで支援される内容が異なります。補助金の申請をする際は、自社に最適なものを選定しましょう。ぜひこの記事を参考にして、補助金の申請を行ってみてください。