製造業におすすめの補助金を紹介!目的別で詳しく解説
製造業が対象となる補助金にはさまざまな制度がありますが、自社が当てはまるものがわからずお困りではないでしょうか。
本記事では、製造業の事業者が申請できる補助金・助成金の概要、申請時のポイントを解説。適切な枠に応募し、自社の成長につながる支援を受けられます。
補助金・助成金とは
助成金、補助金は、国が推進する政策に賛同した事業者を支援するために交付されるお金です。政策ごとにさまざまな分野で募集されています。「融資」などとは異なり返済の義務が生じません。そのため、自社の事業が交付の対象となれば、事業を継続するための大きな支えとなるでしょう。
経済産業省の管轄下である「補助金」は、税金を財源に最大で数億という多額の補助金もあります。しかし、各回で定められた公募期間内に応募し、審査を通過しなければいけません。
厚生労働省が管轄する「助成金」は、雇用保険料が財源となっており、条件が満たされていれば交付されます。それぞれの違いを把握し、自社に合った補助金・助成金に申請しましょう。
販路開拓に関する補助金
販路開拓に関する助成金には、以下のものが用意されています。
補助金 |
概要 |
補助額・補助率 |
事業再構築補助金 |
コロナ禍で業績が低下した企業の新分野展開や 再構築を支援する補助金。 |
補助額上限: 50万~1.5億円 (申請枠により異なる) |
小規模事業者持続化補助金 一般型 |
小規模事業者の販路開拓や業務効率化に向けた 取り組みを支援する補助金。 |
補助額上限: 50~200万(申請枠により異なる) 補助率:2/3 (賃金引き上げ枠のみ例外有) |
ここからは、それぞれの助成金について詳しく解説します。
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」とは、新型コロナウイルスの影響で業績の低下に陥った企業等が、新分野展開や業種転換などの事業再構築を行う際の費用を支援する制度です。製造業における採択事例も数多くあり、第10回の公募では、全体の24.6%にあたる事業者が採択されました。
事業採択補助金には、以下の申請枠があります。
- 成長枠
- グリーン成長枠
- 卒業促進枠
- 大規模賃金引上促進枠
- 産業構造転換枠
- 物価高騰対策・回復再生応援枠
- 最低賃金枠
- サプライチェーン強靱化枠
枠によって補助率・補助額は異なり、補助上限額は500万円〜1.5億円と幅広いです。対象者は主に中小企業、中堅企業が該当します。
小規模事業者持続化補助金 一般型
「小規模事業者持続化補助金 」とは、小規模事業者を対象に販路開拓や業務効率化に取り組むための資金を一部支援する補助金です。申請には商工会議所・商工会が発行する事業支援計画書が必要とされます。
小規模事業者助成金の補助上限額は通常枠で50万円で、その他以下の枠は200万円です。
- 賃金引上げ枠
- 卒業枠
- 後継者支援枠
- 創業枠
補助率は2/3ですが、賃金引上げ枠のうち赤字事業者は3/4となります。
人材育成・雇用に関する助成金
以下は、人材育成・雇用に関する助成金です。
助成金 |
概要 |
助成額・補助率 |
業務改善助成金 |
生産性向上のための設備投資を行うとともに、 事業場内最低賃金を一定以上引き上げた場合の費用を 支援する助成金。 |
上限額:30万~600万円 |
キャリアアップ助成金 |
非正規雇用労働者がキャリアアップするための 取り組みを促進する助成金。 |
正社員化コース:1人あたり28.5万~90万円 |
働き方改革推進支援助成金 |
時間外労働の上限規制を受け、生産性向上や 休暇取得の促進に取り組む事業者に向けた助成金。 |
上限額:15万~160万円(引き上げ率・人数に準ずる) |
特定求職者雇用開発助成金 |
高年齢や障害などで就職が困難な者を継続して 労働者として雇用する事業主に対し支給される助成金。 |
上限額:60万円(高齢者、母子家庭の母に該当する場合) |
中途採用等支援助成金 |
中途採用者の雇用管理制度を整備した上、 中途採用の拡大を図る事業主に対する助成金。 |
助成額:50万~100万円 |
人材確保等支援助成金 (外国人労働者就労環境整備助成コース) |
外国人特有の事情に配慮した就労環境を整備し、 外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して 経費の一部を助成する。 |
上限額:57万円または72万円 補助率:1/2または2/3 |
業務改善助成金
「業務改善助成金」とは、生産性向上に値する設備投資を行った上に、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に費用の一部を支援してもらえる助成金です。生産性向上に値する設備投資は、機械設備や人材育成、コンサルティングの導入などが該当します。
対象者となるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 中小企業・小規模事業者であること
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
- 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
また、事業場内最低賃金の引き上げ額や助成上限額は、以下のコースごとに定められています。
コース区分(引き上げ金額) |
助成上限額(人数に応じ異なる) |
30円コース |
30万~130万円 |
45円コース |
45万~180万円 |
60円コース |
60万~300万円 |
90円コース |
90万~600万円 |
助成金額は、生産性向上に資する設備投資等にかかった費用に一定の助成率をかけた金額と助成上限額とを比較し、いずれか安い方の金額になります。
キャリアアップ助成金
「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用の労働者が企業内でキャリアアップすることを促進するための助成金です。正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主が対象となります。以下のような、さまざまなコースが用意されています。
支援枠 |
コース名 |
概要 |
正社員化 支援 |
正社員化コース |
有期雇用労働者等を正社員化 |
障害者正社員化コース |
障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換 |
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処遇改善 支援 |
賃金規定等改定コース |
有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し3%以上増額 |
賃金規定等共通化コース |
有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用 |
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賞与・退職金制度導入コース |
有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度を導入し支給または積立てを実施 |
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短時間労働者労働時間延長コース |
有期雇用労働者等の週所定労働時間を延長し、社会保険を適用 |
|
社会保険適用時処遇改善コース |
有期雇用労働者等に新たに社会保険を適用させるとともに、労働者の収入を増加させる |
支給額は企業規模・コースによって異なります。正社員化コースで、場合に応じ1人あたり28.5万~90万円までの金額が支給されます。
働き方改革推進支援助成金
「働き方改革推進支援助成金」は、時間外労働が上限規制された中で生産性向上・時間外労働・休暇取得の促進に取り組む中小企業に向けた助成金です。助成金の対象となる事業主は、以下の通りに定められています。
- 労働者災害補償保険の適用事業主であること。
- 交付申請時点で、「成果目標」1から3の設定に向けた条件を満たしていること。
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
- 常時使用する労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が3億円以下の建設業。
また助成金は、取り組みに必要となった経費の一部が「成果目標」の達成状況に応じて支給されます。支給されるのは、1から3の上限額および賃金加算額の合計額、対象経費の合計額×補助率3/4のいずれか低い額です。
〈成果目標〉
- 全ての対象事業場において、令和5年度又は令和6年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、又は月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行うこと
- 全ての対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること
- 全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること
※上記の成果目標に加えて、対象事業で指定する労働者の時間当たりの賃金額の引上げを3%以上行うことを成果目標に加えることが可能。
特定求職者雇用開発助成金
「特定求職者雇用開発助成金」は高年齢者や障害者などの就職が特に困難な者を、継続して雇用する労働者等として雇う事業主に対して支給される助成金です。労働者は、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇用します。
対象となる労働者は、以下のように定められています。
- 高年齢者(60歳以上)
- 母子家庭の母、父子家庭の父(児童扶養手当を受けている者)
- 身体・知的障害者
- 重度障害者等
労働時間や対象者の事情により変動しますが、中小企業の場合は60万円〜240万円が支給されます。
中途採用等支援助成金
「中途採用等支援助成金」は、中途採用者の雇用管理制度を整備し、中途採用の拡大を図る事業主に対して助成が支給される制度です。助成額は以下のように分かれています。
|
助成概要 |
助成額 |
中途採用の拡大 |
中途採用率を20ポイント以上上昇させた事業主に対する助成 |
50万円 |
45歳以上の中途採用率の拡大 |
以下のすべてを満たす事業主に対する助成
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100万円 |
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
「人材確保等支援助成金」は魅力ある職場づくりに向け、労働環境の向上等を図る事業者等に対して助成をする制度です。外国人労働者就労環境整備助成コースは、外国人特有の事情に配慮した労働環境を整備し、職場定着に取り組む事業者に対して助成されます。
就労環境整備措置として、1および2の措置に加え、3~5のいずれかを新たに導入し実施する必要があります。
- 雇用労務責任者の選任
- 就業規則等の社内規程の多言語化
- 苦情・相談体制の整備
- 一時帰国のための休暇制度の整備
- 社内マニュアル・標識類等の多言語化
補助率は支給対象経費の1/2で、補助上限額は57万円です。 賃金要件を満たした場合は、補助率2/3で上限額が72万円に上がります。
特許等に関する補助金
製造業の事業者にとって、特許を運用する場合に多くの費用を必要とすることもあるでしょう。特許等に関する補助金には以下の制度があります。
補助金 |
概要 |
補助額・補助率 |
海外知財訴訟費用保険に対する補助 |
海外での知財係争に巻き込まれた際の保険料を一部補助する制度。 |
補助率:1/2 (2年目以降は1/3) |
国際出願促進交付金 |
特許協力条約(PCT)の規定に基づき、手数料の対象者毎に定められた割合に相当する額を交付する制度。 |
補助率:手数料の1/2、2/3または3/4 |
中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金 |
海外で取得した特許・商標等の侵害を受けた場合、対応を実施する費用を一部助成する制度 |
補助上限:400万~500万円 補助率:2/3 |
ここからは、特許等に関するそれぞれの補助金について解説します。
海外知財訴訟費用保険に対する補助
「海外知財訴訟費用保険に対する補助」は、知的財産侵害を理由とする係争に対応するための費用に向けた保険の掛け金を、一部補助する制度です。中国をはじめとした海外での知財係争に巻き込まれると、多額の費用を用意することができず、事業撤退や会社の存続の危機に追い込まれることがあります。そのようなリスクに備え、補助金の利用が可能です。
支払われる主な保険料は、弁護士報酬や鑑定費用、その他通訳費用などが対象で、補助率は1/2 (2年目以降は1/3)です。対象条件は以下のように定められています。
- 海外知財訴訟費用保険に応募資格を有する者
- 中小企業基本法で定める中小企業であり、かつみなし大企業ではない者"
国際出願促進交付金
「国際出願促進交付金」は、特許協力条約(PCT)の規定に基づく手数料で、対象者毎に定められた割合に相当する額を交付する制度です。中小企業等の国際的な知的財産戦略を支援し、国際的な特許出願手続を簡易化することが目的とされています。
対象者は、以下のように分類されています。
- 1/2交付の対象者:中小企業、組合、NPO法人、研究開発型中小企業、大学、試験研究機関等
- 2/3交付の対象者:小規模企業 3/4交付の対象者は福島復興再生特別措置法の認定福島復興再生計画に基づいて事業を行う中小企業等
- 3/4交付の対象者:福島復興再生特別措置法の認定福島復興再生計画に基づいて事業を行う中小企業等
中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金
中小企業の海外での適時適切な権利行使を促進するため、海外で取得した特許・商標等の侵害を受け、侵害調査・調査結果に基づく対応を実施する費用を一部助成する制度です。例えば製造業において、模倣品は事業の存続にマイナスの影響を与えます。そのような事象に対応するために以下の支援枠があり、それぞれで補助率・補助上限額は異なります。
- 海外で見つけた模倣品の対策支援
- 冒認商標を取り消すための費用支援
- 海外で外国企業から警告を受けた場合の係争費用支援
ここからは、それぞれの支援枠について解説します。
海外で見つけた模倣品の対策支援
模倣品の支援対策として、以下にかかる経費が対象となります。
- 模倣品の製造元や流通経路等を把握するための侵害調査
- 調査結果に基づく模倣品業者に対する警告文作成、行政摘発、取り締り
- 調査結果に基づく税関登録、関税差止請求等、模倣品が販売されているウェブサイトの削除申請
- 代理人費用(調査会社など)
補助率は2/3、補助上限額は400万円です。対象者の条件は以下の通りに定められています。
- 「中小企業者」または「中小企業者で構成されるグループ」(構成員のうち中小企業者が 2/3 以上を占める者)ただし、みなし大企業を除く。
- 「地域団体商標」の模倣被害については、商工会議所、商工会、NPO法人等が対象。
- 対象の国において、特許、実用新案、意匠、商標の権利を保有していること。
- 対象の国において、権利侵害の可能性を示す証拠があること。
冒認商標を取り消すための費用支援
冒認商標を取り消すための費用支援は、以下の経費が対象になります。
- 冒認商標を取り消すための、異議申立、無効審判請求、取消審判請求に要する費用
- 1 に要する弁護士、弁理士等の代理人費用(和解金・損害賠償金は含まず)。
補助率は2/3、補助上限額は500万円です。対象者の条件は以下の通りに定められています。
- 「中小企業者」又は「中小企業者で構成されるグループ」(構成員のうち中小企業者が 2/3 以上を占める者)ただし、みなし大企業を除く。
- 「地域団体商標」に関する係争については、商工会議所、商工会、NPO法人等が対象。
- 取り消そうとする冒認商標と同一又は類似の商標権を日本国で保有していること
海外で外国企業から警告を受けた場合の係争費用支援
係争費用支援は、損害賠償・和解金を除く経費が対象です。補助率は2/3、補助上限額は500万円です。対象者の条件は以下のように定められています。
- 「中小企業者」又は「中小企業者で構成されるグループ」(構成員のうち中小企業者が 2/3 以上を占める者)ただし、みなし大企業を除く。
- 「地域団体商標」に関する係争については、商工会議所、商工会、NPO法人等が対象。
- 対象国で係争に関連する産業財産権を保有、もしくはその実施権を得ていること。ただし、下記1.2.の冒認出願による係争の場合は、係争に関連する産業財産権を日本国で保有していること。
- 海外において、外国企業から以下の1から3の理由により権利侵害を指摘され、「警告状」を受けたり、「訴訟」を提起される等の係争に巻き込まれている中小企業。
1.冒認出願等により現地の産業財産権を現地企業に先取されている。
2.現地の産業財産権を保有しつつも、事業を実施していない企業から権利行使されている。
3.無審査によって取得できる現地の産業財産権が現地企業との間で並存している。
IT導入・DX推進に関する補助金
IT導入・DX推進に関する補助金には、以下の制度があります。
補助金 |
概要 |
補助額・補助率 |
IT導入補助金 |
企業の業務効率化やセキュリティ対策のためのITツール導入を支援する補助金 |
補助額:5万~450万 補助率:1/2~3/4 |
地域経済政策推進事業費補助金 |
DXの推進を支援し、地域企業の生産性向上を図る |
上限額:1,000万~3,200万円 補助率:1/2~10/10 |
ここからは、それぞれの補助金について解説します。
IT導入補助金
IT導入補助金は、企業が業務効率を向上するためのITツールを導入や、セキュリティ対策を実施するための費用を支給する補助金です。支給対象者は中小企業とされています。
導入の目的に応じ、4つの申請枠が用意されています。
申請枠 |
補助対象経費区分 |
補助率・補助額 |
通常枠「A類型」
|
ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費
|
補助率:1/2以内:上限額・下限額:5万円~150万円未満 |
通常枠「B類型」 |
ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費 |
補助率:1/2以内:上限額・下上限額:150万円~450万円以下 |
セキュリティ対策推進枠 |
サービス利用料(最大2年分) |
補助率:1/2以内:上限額・下限額:5万円~100万円 |
デジタル化基盤導入枠 「デジタル化基盤導入類型」 |
ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費 |
補助率:3/4の場合、(下限なし)~50万円以下、2/3の場合50万円超~350万円 |
地域経済政策推進事業費補助金
「地域経済政策推進事業費補助金」には「地域DX支援活動型」、「地域デジタルイノベーション実証型」の2つの型があります。
地域DX支援活動型は、地域企業・産学官金の関係者が一体となり、DXの支援活動を促進して地域企業の生産性を向上させることが目的です。DXを実現させるために必要な経営・デジタルに関する専門的知見、ノウハウを補完するための支援活動に必要な費用が補助されます。対象者は「自ら補助事業を実施するとともに本事業において運営管理、構成員相互の調整、財産管理等の事業管理等を行う代表機関」です。
地域デジタルイノベーション実証型は、地域の特性や強みとデジタル技術をかけあわせた新たなビジネスモデルの構築に向けた実証に必要な費用を補助する制度です。地域企業の生産性を向上させるという点では、地域DX支援活動型と同じ目的といえます。対象者は「実証事業及び補助事業全体の運営管理等を行う実証企業群」です。
DXを推進した事業に取り組む製造業の事業者におすすめの補助金制度です。それぞれの申請型の補助率・補助額は以下のように定められています。
申請型 |
補助率・補助額 |
地域DX支援活動型
|
補助率:100% 上限額:3200万円 |
地域デジタルイノベーション実証型 |
補助率:中小企業者 2/3、非中小企業者 1/2 上限額:中小企業者 1,300万円 非中小企業者 1,000万円 |
その他補助金・助成金
製造業が受けられる、その他の補助金・助成金は以下の通りです。
補助金 |
概要 |
補助額・補助率 |
ものづくり補助金 |
制度の変更等に対応するためのサービス革新・業務プロセス改善などの費用を補助する制度。 |
上限:750万円〜8000万円 補助率:1/2または2/3 |
「食文化ストーリー」創出・発信モデル事業 |
特色ある食文化の継承や振興に取り組む地域等に対し支援する。 |
上限:500万~1000万 |
クリーンエネルギー自動車導入促進補助金 |
環境に配慮した車を購入する事業者に補助金を支給する制度。 |
上限:45万~230万 (条件付きの場合は変わる) |
皮革産業振興対策事業費補助金 |
日本の皮革関連産業の発展及び競争力強化、産地の活性化を促すための補助金。 |
下限:50万円 補助率:1/2以内 |
ここから、それぞれの補助金について解説します。
ものづくり補助金
「ものづくり補助金」は、相次ぐ制度の変更等に対応するためのサービス革新・業務プロセス改善など生産性の向上に必要な費用を補助する制度です。上限額は事業内容や従業員数により750万円〜8000万円で、補助率は1/2または2/3に設定されています。支給対象者は、主に中小企業者です。製造業でも採択された事例が多くあります。
「食文化ストーリー」創出・発信モデル事業
「「食文化ストーリー」創出・発信モデル事業」は、「食文化ストーリー」の構築や発信などを支援し文化振興や地域活性化を目指す事業です。特色ある食文化の継承や振興に取り組む地域等に対し、文化的価値を伝える支援をします。補助の対象となるには、有識者検討会の開催や文献・実地調査などの調査研究事業に必ず取り組まなければいけません。
令和5年度の募集案内によると、補助額は以下のように定められています・
・事業開始年度は上限1000万円
・事業を継続して行う場合、2年目の補助上限額は500万円。(事業の継続は2年までとする)
クリーンエネルギー自動車導入促進補助金
「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」とは、環境に配慮した車を購入する事業者に補助金を支給する制度です。電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)などが該当します。対象者は、対象車を購入する個人、法人、地方公共団体です。製品の出荷に使用する場合などの自動車の購入に利用できるでしょう。
車別で補助上限額が異なります。
車別 |
補助上限 |
EV |
65万円 |
小型・軽EV |
45万円 |
PHEV |
45万円 |
FCV |
230万円 |
超小型モビリティ |
定額25万円(個人)、定額35万円(サービスユース) |
ミニカー |
定額20万円(個人)、定額30万円(サービスユース) |
以下の条件を満たす場合は、補助額が変わります。
- 車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる給電機能がある車両
- 外部給電器やV2H 充放電設備を経由して電力を取り出すことができる車両(外部給電機能としてのV2X対応)
- 省エネ法トップランナー制度の2030年度燃費基準の対象となる車両(型式指定自動車)
皮革産業振興対策事業費補助金
「皮革産業振興対策事業費補助金」は日本の皮革関連産業の発展及び競争力強化、産地の活性化を促すことを目的とした制度です。対象者は、皮革・皮革製品関連の産地を有する地方公共団体とされています。補助率は1/2以内で、補助金申請下限額は50万円です。
補助金・助成金を申請する際のポイント
補助金・助成金は、申請すればすぐ受け取れるとは限りません。以下では、補助金・助成金を申請する際のポイントについて解説します。
審査に通るための準備をする
条件を満たしていた場合でも、審査に通らなければ補助金や助成金の支給を受けることはできません。特に、申請書類として提出する事業計画書は、採択の可否を判断する基準とされる重要な書類です。審査を通過するために、合理的で説得力のある事業計画を策定する必要があります。公募要領で指定された内容を網羅できるよう記載しましょう。
また、書類の不備も不採択となる原因になるため、提出の際には記載漏れやミス、添付忘れが無いかなども確認しておくことが不可欠です。
税金も考慮する
補助金や助成金は、法人税の課税対象です。中には高額な補助金もあるため、追加で納める税金が高額になってしまう場合もあります。課税額を把握していないと急に大きな出費をすることになるため、税金を考慮した上で申請が必要です。申請を検討している補助金は、課税上の取り扱いを確認しておきましょう。
受け取るタイミングの確認をする
補助金や助成金は、一般的に対象の事業が終わった後に支給されます。採択後にすぐ受け取れるつもりで設備投資や人材の採用を行うと、資金不足に陥ってしまうリスクがあるでしょう。そのため、資金にはある程度余裕を持った上で申請しなければいけません。支給されるタイミングは把握し、資金の確保や計画的に投資することが必要です。
受け取り後に報告内容の確認をする
補助金や助成金を受け取ったあとは、事業が終わり次第、報告が義務付けられていることがほとんどです。そのため、報告内容を確認し、期限内に漏れのない報告をしなければいけません。報告内容に不備があったり、報告漏れがあったりすると、補助金の支給が取り消しされてしまうこともあります。
補助金の支給が取り消された場合、受け取れるはずだった金額が台無しになり、大きな痛手となってしまいます。報告する内容をよく確認しておき、スムーズに補助金を運用しましょう。
【まとめ】製造業に利用できる補助金を紹介しました
製造業に利用できる補助金や助成金は、人材育成・雇用に関するものから特許や知的財産の係争に対応する支援までさまざまな制度があります。自社の今後の展望に合わせた適切な補助金を受けることで、事業の新分野展開や再構築につなげることが可能です。
補助金や助成金を申請する際は、事業計画の準備や補助金を受け取るまでの資金の確保をする必要があります。スムーズに事業を実施できるよう、申請の準備は計画的に行いましょう。