電気代の補助金はいつまで?補助金制度から節電方法まで解説
上がり続ける電気代、ガス代。コスト増に頭を悩ませている事業主も多いのではないでしょうか。現在、政府は消費者や事業者の負担を軽減するために電気代・ガス代に対して補助金政策を実施しています。
しかし、いつまで補助金は出るのか、どの程度補助されるのかは事業計画のためにも知っておきたいところです。本記事では、電気代の補助金制度についてや、電気代の節約術についても紹介します。
電気代・ガス代の補助金はいつまで?
電気代・ガス代の補助金は、2024年5月使用分までの予定です。ただし、補助率が100%出るのは2024年4月使用分まで。2024年5月使用分は50%の補助率になると想定されています。電気代・ガス代補助は2023年1月使用分(2月検針分)から始まっており、当初は2023年9月使用分までと決められていました。しかし、物価が高騰していることを受けて補助が継続されているのが現状です。
電気・ガス価格激変緩和対策事業とは
電気・ガス価格激変緩和対策事業とは、エネルギー価格の高騰による家庭や企業への負担を軽減するための制度です。電気・都市ガスの小売事業者を通して利用料から値引きを行います。
どういう制度なのか、その詳細を見ていきましょう。
電気代補助金:1kWhごとに「3.5円」お得
適用期間 |
電気(低圧) |
電気(高圧) |
2024年1月使用分(2月検針分)から 2024年4月使用分(5月検針分)まで |
3.5円 |
1.8円 |
2024年5月使用分(6月検針分) |
1.8円 |
0.9円 |
電気代補助金は1kWhごとに1.8〜3.5円が割引かれます。低圧は一般家庭用、高圧は使用量の多いオフィスビルや商業施設などが対象です。また、2024年5月分に関しては、補助率が縮小されて、0.9〜1.8円の割引きになってしまいます。
都市ガス代補助金:1㎥あたり「15円」お得
適用期間 |
都市ガス |
2024年1月使用分(2月検針分)から 2024年4月使用分(5月検針分)まで |
15円 |
2024年5月使用分(6月検針分) |
7.5円 |
都市ガス代補助金は、1㎥あたり15円が割引かれます。都市ガス代は一般家庭も企業も差がなく、一律の補助額です。2024年5月使用分については、電気代と同様に補助率が縮小されて7.5円の割引きとなります。
申請手続きは不要
電気・ガス価格激変緩和対策事業では、一般の消費者が補助金の申請をする必要はありません。本事業では、助成対象は小売電気事業者およびガス小売事業者であり、一般消費者は申請手続きなしで恩恵に預かれるためです。つまり、電気・ガス価格激変緩和対策事業に申請済みの小売電気事業者およびガス小売事業者と契約さえしていれば、電気代・ガス代の割引きを受けられます。
なぜ電気料金は値上がっているのか
では、なぜ電気料金は値上がりを続けているのでしょうか。以下の要因が考えられます。
ウクライナ情勢&円安&脱炭素
まず、ウクライナ情勢が悪化したことが挙げられます。これにより、原油や天然ガスなどの燃料の供給に大きな影響が出ました。当事国の1つであるロシアは原油および天然ガスの世界的な輸出国であるためです。とくに日本は、原油や天然ガスをロシアからの輸入に頼っており、影響は避けられませんでした。
また、為替が円安傾向で仕入れ価格が跳ね上がったことも大きな要因の1つでしょう。円が安くなると輸入価格は上がってしまうため、同じ量の原油や天然ガスを輸入するのにもより多くのコストが発生するようになりました。
さらに、世界的に脱炭素の動きが加速しており、石炭や石油よりもCO2排出が少ない天然ガスへの切り替えが進んでいます。しかし、天然ガスは元から希少なエネルギー源であるため、世界的に供給が追いついていない状況です。そのため、天然ガスの価格が高騰して電気料金の値上げに繋がってしまっています。
電力会社の値上げ申請
原油や天然ガスの価格が上がると、電力会社の発電事業に影響が出ます。発電は、原油や天然ガスなどを燃やして行われます。そのため、燃料となるエネルギー資源が高騰すれば、発電価格が上昇して消費者に跳ね返ってきます。
多くの電気料金プランには「燃料費調整額」という項目があり、発電コストの一部を利用者が負担することになっています。各電力会社は、発電エネルギーコストが上昇したことで「燃料費調整額」を値上げせざるを得ない状況です。
しかし、電気代の値上げは国内へのインパクトが大きく、政府も値上げに慎重です。そのため、2023年からは電力会社と政府で交渉が持たれ、値上げ幅の調整が行われました。
補助金で電気代はいくら安くなる?
補助金によって電気代はいくら安くなるでしょうか。ここでは、具体的な例を見ていきます。
電気代の値引き額シミュレーション
引用元:電気・ガス価格激変緩和対策事業
<低圧の場合>
値引き額=(値引き単価3.5円 / kWh)×(月々の使用量(kWh)) |
<高圧の場合>
値引き額=(値引き単価1.8円 / kWh)×(月々の使用量(kWh)) |
電気代の値引き額は、月々の使用量に対して値引き単価を掛けた金額です。たとえば、低圧の家庭が1か月の電気使用量が200kWhの場合、値引き額は以下になります。
3.5円 × 200kWh = 700円
1か月にどれだけ使ったかは、電力会社からの請求書に記載されているのでご確認ください。
ガス代の値引き額シミュレーション
引用元:電気・ガス価格激変緩和対策事業
ガス代も、電気代と同様に1か月の使用量に対して値引き単価を掛けて値引き額を算出します。
値引き額=(値引き単価15円 / ㎥)×(月々の使用量(㎥)) |
たとえば、1か月の使用量が40㎥の場合は以下の金額が請求から値引かれます。
40㎥ × 15円 = 600円
1か月にどれだけ使ったかは、ガス会社からの請求書で確認できます。
補助対象の電気・ガス事業者の確認方法
以下に対象事業者の一部を記載します。リストにない業者も多数ありますので、より詳細な情報を確認したい場合は資源エネルギー庁のホームページで検索可能です。
小売電気事業者 |
北海道電力株式会社 |
東北電力株式会社 |
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東京電力エナジーパートナー株式会社 |
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中部電力ミライズ株式会社 |
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北陸電力株式会社 |
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関西電力株式会社 |
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中国電力株式会社 |
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四国電力株式会社 |
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九州電力株式会社 |
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沖縄電力株式会社 |
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一般送配電事業者 |
北海道電力ネットワーク株式会社 |
東北電力ネットワーク株式会社 |
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東京電力パワーグリッド株式会社 |
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中部電力パワーグリッド株式会社 |
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北陸電力送配電株式会社 |
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関西電力送配電株式会社 |
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中国電力ネットワーク株式会社 |
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四国電力送配電株式会社 |
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九州電力送配電株式会社 |
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沖縄電力株式会社 |
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ガス小売事業者 |
東邦瓦斯株式会社 |
一般ガス導管事業者 |
東京ガスネットワーク株式会社 |
大阪ガスネットワーク株式会社 |
電気代を節約する方法
最後に、電気代を節約する方法も紹介します。普段から電気を使わないように工夫すればかなりのコスト削減に繋がりますのでしっかりおさえておきましょう。
空調設備で節電
オフィスのエアコンは、温度調整を適切にすることで電気代を節約できます。夏は28度、冬は20度を目安に設定するのがおすすめです。冷房の場合は設定温度を1度上げる、暖房の場合は温度を1度下げる、これだけで約10%の節電効果が期待できます。
また、エアコンのフィルター清掃をこまめにするのもおすすめ。フィルターにホコリが溜まったままでは、空調効率が15~20%も違います。2週間に1度は掃除することで効率よくエアコンを利用できるでしょう。
また、古いエアコンを使っている場合は買い換えも検討してみてください。最近のエアコンは省エネ性能が高く、少ない電力で効率的に空調できます。15年以上古いものと比べると、消費電力が倍違うこともあります。
照明器具の節電
空調の他には照明器具の節電で、電気代を抑える方法もあります。照明器具で工夫をしても大した効果が期待できないと思うかも知れませんが、照明器具の工夫で年間300万円節電できたケースもあります。
オフィス内で不要な照明はこまめに消すのが基本です。しかし、あまりに暗くしすぎて業務効率が落ちないように注意しましょう。
ほかには、水銀灯をLED照明に切り替えるのも有効。50本の水銀灯とLED照明を1年間稼働させた場合の電気代は、水銀灯が約200万円なのに対してLED照明は約50万円です。差額は150万円、75%もの節電効果があることがわかります。さらに、LED照明は寿命が非常に長いため、買い替えの頻度も大幅に減らすことができます。
太陽光発電の導入
ソーラーパネルを設置して太陽光発電を導入すれば、電気代を大幅に節約できます。太陽光発電は、日中の太陽光を利用して発電するため、初期費用さえクリアすれば無料で電気が利用できます。すべての電力を賄うことは難しいですが、太陽光発電であればCO2排出量も減らせるため脱酸素の取り組みとしてアピールできるでしょう。
電気代の補助金について解説しました
エネルギー資源の高騰によって、電気代は上がり続けています。政府からは補助が出ていますが、今後の展開も読めない状況では、少しでもコストを抑えていきたいところです。本記事を参考に、電気代を節約しながら事業を継続できる方法を検討してみてください。