HP(ホームページ)制作にIT導入補助金は使える?申請条件を紹介

HP(ホームページ)制作にIT導入補助金は使える?申請条件を紹介

会社のホームページを作成したいけれど予算が高額なため、IT導入補助金が使えるか知りたい企業の担当者もいるのではないでしょうか。IT導入補助金は条件次第でホームページ制作に利用できます

本記事では、Webサイトの制作に使える条件や申請時の注意点などを紹介します。本記事を読むと、どうすればIT導入補助金をホームページ制作に使えるか把握することが可能です。

目次
  1. 1. IT導入補助金とは
    1. 1-1. 補助対象
    2. 1-2. 補助対象者
    3. 1-3. 補助対象経費
    4. 1-4. 補助対象外経費
    5. 1-5. 補助対象のITツールと分類
  2. 2. HP(ホームページ)制作に使えるIT導入補助金は2種類
    1. 2-1. 通常枠
    2. 2-2. デジタル化基盤導入枠
  3. 3. HP(ホームページ)制作でIT導入補助金を申請する際の注意点
    1. 3-1. 申請しても採択されるとは限らない
    2. 3-2. リニューアルは条件次第で認められる
    3. 3-3. IT導入支援事業者のみ申請できる
    4. 3-4. 実績報告後に補助金が支給される
  4. 4. HP(ホームページ)制作に使えるIT導入補助金の申請フロー・手続き
  5. 5. IT導入補助金以外でHP(ホームページ)制作に活用できる補助金
    1. 5-1. 小規模事業者持続化補助金
    2. 5-2. 事業再構築補助金
    3. 5-3. 地方自治体の補助金
  6. 6. HP(ホームページ)制作のIT導入補助金【まとめ】

IT導入補助金とは

IT導入補助金は、ITツールを導入する中小企業や小規模事業者を補助する制度です。ここからは、IT導入補助金の概要を紹介していきます。

補助対象

まず補助対象からみていきましょう。

通常枠

通常枠の要件は、以下のとおりです。

種類

A類型

B類型

補助額

5万~150万円未満

150万~450万円以下

補助率

1/2以内

プロセス数

1以上

(共P-01~各業種 P-06の中から)

4以上

(共P-01~汎 P-07の中から)

ITツール要件

(目的)

類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、

労働生産性の向上に資するITツールであること。

賃上げ目標

加点

必須

補助対象

ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費

引用:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金2023年

プロセス(業務の工程・方法)は以下になります。A類型とB類型で対象プロセスが異なるので注意しましょう。

 

種別

Pコード

プロセス名

業務プロセス

共通プロセス

共P-01

顧客対応・販売支援

共P-02

決済・債権債務・資金回収管理

共P-03

調達・供給・在庫・物流

共P-04

会計・財務・経営

共P-05

総務・人事・給与・労務・

教育訓練・法務・情シス

業種特化型プロセス

各業種P-06

業種固有プロセス

汎用プロセス

汎P-07

汎用・自動化・分析ツール

(業種・業務が限定されないが、

生産性の向上への寄与が認められる

業務プロセスに付随しない

専用のソフトウェア)

引用:IT導入補助金2023 公募要領

セキュリティ対策推進枠

IT導入補助金のセキュリティ対策推進枠の要件は、以下のとおりです。

種類

セキュリティ対策推進枠

補助額

5万円~100万円

補助率

1/2以内

機能要件

独立行政法人情報処理推進機構が公表する

「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に

掲載されているいずれかのサービス

補助対象

サービス利用料(最大2年分)

引用:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金2023年

デジタル化基盤導入類型

デジタル化基盤導入類型の要件は、以下になります。

種類

デジタル化基盤導入類型

補助額

(下限なし)~350万円

〜50万円以下部分

50万円超~350万円部分

機能要件

会計・受発注・決済・

ECのうち1機能以上

会計・受発注・決済・

ECのうち2機能以上

補助率

3/4以内

2/3以内

対象ソフトウェア

会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフト

賃上げ目標

なし

補助対象

ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・

導入関連費

ハードウェア購入費

PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機 :

補助率1/2以内、補助上限額10万円

レジ・券売機等:補助率1/2以内、補助上限額20万円

引用:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金2023年

デジタル化基盤導入類型は、導入するITツールの機能が絞られています。

複数社連携IT導入類型

複数社連携IT導入類型の要件は、以下のとおりです。

種類

複数社連携IT導入類型

補助額

デジタル化基盤導入類型の

要件に属する経費

デジタル化基盤導入類型の

要件に属さない

複数社類型特有の経費

(1)基盤導入経費

(2)消費動向等分析経費

(3)代表事業者が

参画事業者を

とりまとめるために

要する事務費、

外部専門家謝金・旅費

(下限なし)~350万円

50万円×

グループ構成員数

((1)+(2))×10%に

補助率2/3を乗じた額

もしくは

200万円の

いずれか低い方

~50万円以下部分

50万円超~

350万円部分

機能要件

会計・受発注

・決済・

ECのうち1機能以上

会計・受発注

・決済・

ECのうち2機能以上

なし

補助率

3/4以内

2/3以内

2/3以内

2/3以内

補助上限額

3,000万円

200万円

対象ソフトウェア

会計ソフト、

受発注ソフト、

決済ソフト、

ECソフト

各種システム※2

なし

賃上げ目標

なし

補助対象

ソフトウェア購入費・

クラウド利用料

(最大2年分)・

導入関連費

ソフトウェア購入費・

クラウド利用料

(1年分)・

導入関連費

PC・

タブレットハードウェア

購入費用

(補助率1/2以内、

補助上限額10万円)

AIカメラ・ビーコン・

デジタルサイネージ等

引用:一般社団法人 サービスデザイン推進協議会 IT導入補助金2023年

商流一括インボイス対応類型

商流一括インボイス対応類型の要件は、以下のとおりです。

種類

商流一括インボイス対応類型

補助額

ITツール

 

(下限なし)~350万円

機能要件

インボイス制度に対応をした受発注の機能を有しているものであり、

かつ取引関係における発注側の事業者としてITツールを導入する者が、

当該取引関係における受注側の事業者に対してアカウントを無償で発行し、

利用させることのできる機能を有するもの

補助率

中小企業・小規模事業者等:2/3以内

その他の事業者等:1/2以内

対象ソフトウェア

インボイス制度に対応をした受発注の機能を有している、

クラウド型ソフトウェア

賃上げ目標

なし

補助対象

クラウド利用料(最大2年分)

引用:IT導入補助金2023 デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)

補助対象者

IT導入補助金の補助対象者は、中小企業と小規模事業者です。

中小企業の定義は以下になり、資本金と従業員数のいずれかを満たしていれば補助対象になります。

業種・組織形態

資本金

従業員(常勤)

製造業、建設業、運輸業

3億円

300人

卸売業

1億円

100人

サービス業(ソフトウエア業、

情報処理サービス業、旅館業を除く)

5,000万円

100人

小売業

5,000万円

50人

ゴム製品製造業

(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業

並びに工業用ベルト製造業を除く)

3億円

900人

ソフトウエア業又は情報処理サービス業

3億円

300人

旅館業

5,000万円

200人

その他の業種(上記以外)

3億円

300人

医療法人、社会福祉法人、学校法人

-

300人

商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所

-

100人

中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される

中小企業団体

-

主たる業種に記載の

従業員規模

特別の法律によって設立された組合またはその連合会

-

主たる業種に記載の

従業員規模

財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益)

-

主たる業種に記載の

従業員規模

特定非営利活動法人

-

主たる業種に記載の

従業員規模

引用:IT導入補助金2023 事業概要

また小規模事業者の定義は、以下のとおりです。

業種分類

従業員(常勤)

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)

5人以下

サービス業のうち宿泊業・娯楽業

20人以下

製造業、その他

20人以下

引用:IT導入補助金2023 事業概要

補助対象経費

IT導入補助金の補助対象になる経費は、以下になります。

  • ソフトウェア購入費
  • クラウド利用料
  • 導入関連費
  • ハードウェア購入費(デジタル化基盤導入枠のみ)

利用する補助枠によって対象経費が異なるので注意しましょう。

補助対象外経費

IT導入補助金は全てのITツールが経費になるわけではありません。

以下のように補助対象外の経費もあります。

  • 補助事業者の顧客が実質負担する費用がITツール代金に含まれるもの
  • ITツールの利用料が交付申請時に金額が定められないもの
  • 対外的に無料で提供されているもの
  • リース・レンタル契約のITツール(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く) 
  • 中古品
  • 交付決定前に購入したITツール
  • 交通費、宿泊費
  • 補助金申請、報告に係る申請代行費
  • 公租公課(消費税)
  • その他、本事業の目的・趣旨から適切ではないと中小企業庁及び中小機構並びに事務局が判断するもの

IT導入補助金を利用する際は、対象になる経費を確認した上で申請手続きやITツールの導入を進めましょう

引用:IT導入補助金2023 公募要領

補助対象のITツールと分類

IT導入補助金の補助対象になるITツールは、大きく分けて「ソフトウェア」「オプション」「役務」の3種類に分類されます。

主な分類は以下のとおりです。

大分類I ソフトウェア

カテゴリー1

ソフトウェア

大分類II オプション

カテゴリー2

拡張機能

カテゴリー3

データ連携ツール

カテゴリー4

セキュリティ

大分類III 役務

カテゴリー5

導入コンサルティング

カテゴリー6

導入設定・マニュアル作成・導入研修

カテゴリー7

保守サポート

引用:IT導入補助金2023 公募要領

HP(ホームページ)制作に使えるIT導入補助金は2種類

IT導入補助金はITツールを導入する際に利用できる制度です。ITツールを導入しない単なるホームページ制作だけでは、補助対象として認められません

しかし、売上や業務改善などにつながるITツールを導入するホームページ制作であれば、申請が認められる可能性があります。

IT導入補助金の中で「通常枠」「デジタル化基盤導入枠」がホームページ制作に利用できます。

通常枠

IT導入補助金の通常枠では、ITツールを組み込むホームページ制作が対象です。顧客対応や決済などの業務プロセスのあるホームページを制作する場合は、補助対象になる可能性があります。

主な業務プロセスは、以下のとおりです。

  • 決済ツール
  • CRM(顧客関係管理ツール)
  • 予約管理システム
  • 営業データ分析ツール
  • 労務管理システム
  • カスタマーサポート機能 など

上記のツールを導入して売上や業務改善などにつなげられる見込みがあると、IT導入補助金の補助対象になります。

デジタル化基盤導入枠

デジタル化基盤導入枠では、EC、会計、受発注、決済いずれかの機能が搭載されるホームページが補助対象です。通常枠には含まれていないECサイトの制作が補助対象になります。

例えば、以下のような業務プロセスが対象です。

  • 受発注システム
  • ECサイト構築ツール
  • 経費精算システム など

また、デジタル化基盤導入枠ではソフトウェアの他にハードウェアも補助対象になります。

HP(ホームページ)制作でIT導入補助金を申請する際の注意点

HP(ホームページ)制作でIT導入補助金を申請する際の注意点

HP制作でIT導入補助金を申請する際は、注意しなければならないことがあります。トラブルを回避するために、注意点を把握しましょう。

申請しても採択されるとは限らない

IT導入補助金に限りませんが、補助対象の条件を満たしていても、必ず採択されるわけではありません。補助金にはあらかじめ与えられた予算があるからです。応募枠に対する応募数によっては、採択率が異なります。

自社で申請するのが不安なら、申請をサポートしてもらえる会社に相談することがおすすめです。

リニューアルは条件次第で認められる

IT導入補助金は、単なるホームページのリニューアルには使えませんリニューアル時にITツールを導入すると、追加費用分が補助対象になる可能性があります。ホームページのリニューアルにIT導入補助金を使いたいなら、条件を確認してみましょう。

IT導入支援事業者のみ申請できる

IT導入補助金は、IT導入支援事業者の事務局に登録されている事業者のみが申請できます。ホームページ制作でIT導入補助金を受けるなら、登録事業者に相談する必要があります。

一般社団法人サービスデザイン推進協議会の公式サイトでIT導入支援事業者を確認してみてください。

実績報告後に補助金が支給される

補助金は実績報告書を提出しないと補助金が支給されません後払いになるため、事業開始前に資金を確保してから事業を開始しましょう。

HP(ホームページ)制作に使えるIT導入補助金の申請フロー・手続き

ホームページ制作にIT導入補助金を使う際の申請フローと手続きは、以下のとおりです。

  1. IT導入支援事業者に相談する
  2. 交付申請書を作成し提出する
  3. 採択後にITツールを発注する
  4. 導入後、事業実績報告をする
  5. 補助金が交付される

申請フローや手続きの流れを把握していると、スムーズに申請を行えます。

IT導入補助金以外でHP(ホームページ)制作に活用できる補助金

ホームページ制作に活用できる補助金は、IT導入補助金の他にもあります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓などにより、生産性向上や持続的な発展に取り組む際に経費の一部を補助する制度です。Webサイト関連では、販路開拓をするためのWebサイトやECサイトなどの構築、更新、改修、開発、運用が補助対象の経費になります。

対象事業者

小規模事業者

対象事業

  • ・商品販売のためのウェブサイト作成や更新 
  • ・インターネットを介したDMの発送 
  • ・インターネット広告 
  • ・バナー広告の実施 
  • ・効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策 
  • ・商品販売のための動画作成 
  • ・システム開発に係る経費
  •  (インターネットを活用するシステム、
  •  スマートフォン用のアプリケーション、
  •  業務効率化のためのソフトウェア、システム構築など) 
  • ・SNSに係る経費

補助率

補助上限:

50万円(通常枠)

200万円(賃金引上げ枠、卒業枠、後継者育成枠、創業枠)

補助率:2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業主は3/4)

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、コロナ禍やコロナ後の社会変化に対応するために、新分野展開、事業転換など思い切った事業再構築に取り組む事業主を支援する制度です。

対象事業者

日本国内に本社を有する中小企業者等及び中堅企業等

対象事業

広告宣伝

販売促進 など

補助率

【成長枠】

補助上限:100万〜7,000万円

補助率:中小企業1/2、中堅企業1/3

 

【グリーン成長枠(エントリー)】

補助上限:

中小企業100万~8,000万円

中堅企業100万〜1億円

補助率:中小企業1/2、中堅企業1/3

 

【グリーン成長枠(スタンダード)】

補助上限:

中小企業者100円~1億円

中堅企業100万円~1.5億円

補助率:中小企業1/2、中堅企業1/3

 

【卒業促進枠】

補助上限:成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる

補助率:中小企業1/2、中堅企業1/3

 

【大規模賃金引上促進枠】

補助上限:100万~3,000万円

補助率:中小企業1/2、中堅企業1/3

 

【産業構造転換枠】

補助上限:100万~7,000万円

補助率:中小企業2/3、中堅企業1/2

 

【最低賃金枠】

補助上限:100万~1,500万円

補助率:中小企業3/4、中堅企業2/3

 

【物価高騰対策・回復再生応援枠】

補助上限:100万~3,000万円

補助率:中小企業2/3、中堅企業1/2

 

【サプライチェーン強靭化枠】

補助上限:1,000万円~5億円

補助率:中小企業1/2、中堅企業1/3

地方自治体の補助金

東京都の自治体には、以下のようなホームページ制作の補助金・助成金があります。

練馬区

ホームページ作成費補助金

補助対象経費の1/2

(限度額5万円)

江東区

ホームページ作成費補助

補助対象経費の1/2以内

(上限10万円)

中央区

ECサイト活用補助金

補助対象経費の10/10

(限度額6万円)

足立区

ホームページ作成・更新補助金

補助対象経費の1/2

(上限10万円)

杉並区

ホームページ等作成助成

補助対象経費の2/3

(限度額20万円)

上記は東京都のみですが、都道府県の自治体にはホームページ制作の補助金・助成金があるので探してみてください。

HP(ホームページ)制作のIT導入補助金【まとめ】

ここまでIT導入補助金の概要やホームページ制作に使う方法などを解説しました。ITツールを導入するホームページ制作であれば、IT導入補助金を利用できる可能性があります。

また、IT導入補助金以外にも、Webサイト構築に使える補助金・助成金が提されています。ホームページ制作に本記事をお役立てください。