大規模成長投資補助金とは?概要や対象者、スケジュール等を徹底解説
大規模成長投資補助金の概要を確認したいものの、公式サイトから必要な情報を探すことに苦労していませんか?
本記事では、大規模成長投資補助金の概要や対象者、スケジュールなどを解説します。自社が申請対象に当てはまるかわかり、大規模成長投資補助金を申請するか検討するための知識が把握できるので、ぜひご覧ください。
※2024年4月時点の情報です。補助金の申請にあたっては最新の情報を調べてください。
大規模成長投資補助金とは?
画像引用元:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 特設サイト
大規模成長投資補助金の正式名称は「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」で、令和5年度の補正予算案において新設が決まった補助金です。まずは概要を確認し、どのような補助金なのか理解を深めましょう。
事業目的
大規模成長投資補助金の事業目的は、中堅・中小企業が人手不足等の課題に対応して成長するため大規模投資を促進し、地方における持続的な賃上げを実現することです。予算総額は令和8年度までの国庫債務負担を含めて3,000億円と、大規模であることが特徴的な補助金です。
補助上限額と補助率
大規模成長投資補助金の補助上限額と補助率は以下の通りです。
- 補助上限額:50億円
- 補助率:1/3以内
投資規模は10億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)が対象です。
補助対象となる取り組みの例
大規模成長投資補助金では、以下のような取り組みを対象としています。
- 工場や倉庫、販売拠点などの新設や増築
- 最先端の機械や省力化できる設備の導入
- ソフトウェアの購入や情報システムの構築(大規模な設備投資)
「拠点を増やして事業拡大につなげたい」「最新の設備を導入して生産性をあげたい」「賃上げによって従業員のモチベーションを向上させたい」という中堅・中小企業が対象です。
大規模成長投資補助金の対象者・要件
大規模成長投資補助金の対象者・要件は上の画像の通りです。自社が対象になるか判断するために、それぞれ理解しておきましょう。
要件を満たす中堅・中小企業
大規模成長投資補助金の対象者は、常時使用する従業員の数が2,000人以下の会社または個人等です。加えて、日本国内に本社および事業場所を有することが条件となります。
会社・個人以外の法人であっても、政策目的に沿った補助事業であり、その補助事業が収益事業に関する内容である場合は補助対象者になり得ます。詳細は公募要領に記載があるため、確認しておきましょう。公募要領は中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 特設サイトから確認できます。
また、一定の要件を満たす場合は、中堅・中小企業を中心とした共同申請(コンソーシアム形式)も補助対象です。共同申請では、投資額5億円以上の対象事業者を1者以上含む10者以下の共同体が対象になります。
投資額が10億円以上である
大規模成長投資補助金では、補助事業の投資額が10億円以上である必要があります。専門家経費・外注費を除く金額であることも押さえておきましょう。また、共同申請の場合はコンソーシアムを組む事業者の合算で10億円以上 (外注費・専門家経費除く)が要件です。
賃上げ要件を達成する
大規模成長投資補助金では、賃上げ要件を満たす必要があります。具体的には、補助事業終了後3年間の1人当たり給与支給総額の年平均上昇率が、事業実施場所の都道府県の直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上であることが賃上げ要件として設定されています。
申請時に基準率以上の目標を掲げ、従業員等に表明の上、達成しなければなりません。年平均上昇率目標の計算式は、以下の通りです。
年平均上昇率目標 ={( A / B )^ C } – 1 ≧ 基準率
A:最終年度の1人当たり給与支給総額 B:基準年度の1人当たり給与支給総額 C:1/3 |
たとえば補助事業実施場所が石川県の場合、年平均上昇率は石川県の基準率である3.0%以上を達成する必要があります。
画像引用元:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 概要資料
また、補助金の申請時に掲げた賃上げ目標を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求められる点にも注意が必要です(天災などの場合は除く)。
なお、共同申請の場合は、すべての参加事業者が基準率以上の賃上げを達成することが要件となります。
大規模成長投資補助金の対象経費
大規模成長投資補助金の対象経費は、上の画像の通りです。補助対象経費は、事業拡大につながる事業資産への相応の規模の投資を含むものであり、事業の対象として明確に区分できるものである必要があります。
建物費
建物費は、建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費が対象です。また、単価100万円(税抜き)以上のものに限ります。具体的には以下の通りです。
専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫、 事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設、増築、改修、中古建物の取得に要する経費 |
機械装置費
機械装置費は、機械装置、工具、器具の購入、制作、借用に要する経費や、それらと一体で行う改良・修繕、据付けまたは運搬に要する経費が対象です。また、単価100万円(税抜き)以上のものに限ります。
ソフトウェア費
ソフトウェア費は、専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用、クラウドサービス利用に要する経費や、それらと一体で行う改良・修繕に要する経費が対象です。また補助対象となるソフトウェア等は、単価100万円(税抜き)以上のものに限ります。
外注費
外注費は、加工や設計、検査等の一部を外注(請負・委託)する場合の経費が対象です。なお外注費と後述する専門家経費の合計額は、建物費・機械装置費・ソフトウェア費の合計額未満である必要があります。
専門家経費
専門家経費は、本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費が対象です。ただし、1日5万円(税抜き)が上限となります。
そのほか、補助対象外となる経費や注意事項については、公募要領を参考にしてください。
大規模成長投資補助金の流れ・スケジュール
画像引用元:中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 特設サイト
1次公募における、大規模成長投資補助金のスケジュールは上の画像の通りです。2024年4月時点での目安であり、今後変更になる可能性があるので最新の情報は公式サイトから確認してください。
公募申請は電子申請システムから行い、申請書類の作成・提出が求められます。審査は、事務局審査と有識者審査の2つです。
採択が発表されたら、交付申請を行い交付決定を経て、補助事業を開始します。実施状況確認後、補助額の確定、補助金の交付へと進み、事業化、賃金引上げ状況等の報告を行うという流れです。なお、補助事業期間は、交付決定日から最長で2026年12月末までです。
また、1次公募の終了後は、2次公募を予定しています。
大規模成長投資補助金で押さえておきたい注意点
最後に、大規模成長投資補助金の注意点を解説しますので、確認しておきましょう。
みなし大企業は対象外
大規模成長投資補助金の対象者は要件を満たす中堅・中小企業であり、以下いずれかに該当する者は、みなし大企業として補助対象外になります。なお、大企業とは、常時使用する従業員数が2,000人超の事業者を指しています。
- 発行済株式の総数又は出資金額の2分の1以上が同一の大企業(外国法人含む。)の所有に属している法人
- 発行済株式の総数又は出資金額の3分の2以上が複数の大企業(外国法人含む。)の所有に属している法人
- 大企業(外国法人含む。)の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている法人
- 発行済株式の総数又は出資金額の総額が1〜3に該当する法人の所有に属している法人
- 1〜3に該当する法人の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている法人
みなし大企業に該当しないか、確認しておきましょう。
採択前の事業は対象外
大規模成長投資補助金では、交付決定より前に契約(発注含む)を行った経費は補助対象外となります。そのため、採択後であっても、交付決定前までに契約(発注含む)している経費については補助対象外となるので注意が必要です。
書面審査とプレゼンテーション審査がある
大規模成長投資補助金では、成長投資計画書等の書面審査に加えて、申請者(経営者等)によるプレゼンテーション審査がある点が特徴的です。審査基準は以下の5つが設定されています。
- 経営力
- 先進性・成長性
- 地域への波及効果
- 大規模投資・費用対効果
- 実現可能性
審査基準の詳細は公募要領に記載があるため、申請を行う場合は確認しておきましょう。
なお、公式サイトでは「よくある質問一覧」という資料が用意されています。ここまで読んで疑問が残る点がある方は、確認してみることをおすすめします。
【まとめ】大規模成長投資補助金について紹介しました
大規模成長投資補助金の概要や対象者、スケジュールなどを解説しました。大規模成長投資補助金についてまとめると、以下の通りです。
- 中堅・中小企業の地方における持続的な賃上げの実現を目的とした補助金
- 補助上限額は50億円、補助率は1/3以内
- 投資額10億円以上で、要件を満たす中堅・中小企業が対象
- 賃上げ要件を達成する必要がある
- 対象経費は建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費
大規模成長投資補助金の申請を検討している方は、本記事の内容をお役立てください。