ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介

設備投資にものづくり補助金を活用しようと調べ始めたものの、自社が補助の対象となる企業なのかわからず、お悩みの方もいるかと思います。

そこで本記事ではものづくり補助金の補助対象となる事業者の業種と事業者形態、経費について解説し、手続き方法と採択のポイント・事例も紹介します。

目次
  1. 1. ものづくり補助金は中小企業・小規模事業者のための支援制度
    1. 1-1. 補助対象事業者
    2. 1-2. 補助対象外事業者
    3. 1-3. 基本要件
  2. 2. ものづくり補助金の補助対象経費
    1. 2-1. 補助対象経費
    2. 2-2. 補助対象外経費
  3. 3. ものづくり補助金の申請枠と補助額・補助率
    1. 3-1. 省力化(オーダーメイド)枠
    2. 3-2. 製品・サービス高付加価値化枠
    3. 3-3. グローバル枠
  4. 4. ものづくり補助金の申請手続き
    1. 4-1. 申請の流れとスケジュール
    2. 4-2. 必要な書類
  5. 5. ものづくり補助金に採択されるためのポイント
    1. 5-1. 審査項目と加点項目を押さえる
    2. 5-2. 公式サイトの「活用イメージ」「成果事例」を参考にする
  6. 6. ものづくり補助金を設備投資に活用した採択事例
    1. 6-1. パロンド(​Parond:技術サービス業・他に分類されないもの)
    2. 6-2. 株式会社アクト・ノード(情報サービス業)
    3. 6-3. 有限会社礎(その他の生活関連サービス業)
    4. 6-4. 株式会社厳選(飲食料品小売業)
    5. 6-5. 有限会社オハラ(飲食店)
  7. 7. 設備投資に使える他の補助金・助成金制度
    1. 7-1. 小規模事業者持続化補助金
    2. 7-2. 事業再構築補助金
    3. 7-3. IT導入補助金
    4. 7-4. 業務改善助成金
    5. 7-5. 事業承継・引継ぎ補助金(経営革新枠)
    6. 7-6. 自治体の支援制度
  8. 8. 【まとめ】ものづくり補助金の対象企業について解説しました

ものづくり補助金は中小企業・小規模事業者のための支援制度

ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介_9

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者による「革新的な製品・サービスの開発」「生産プロセスの省力化」に対し、設備投資・システム構築費用を支援する制度です。

働き方改革・被用者保険の適用拡大・賃上げ・インボイス導入と対峙する中小企業と小規模事業者が、生産性向上と持続的賃上げを実現できるよう図る狙いがあります。

ものづくり補助金は小規模設備投資でも利用できるため、スモールビジネス事業者にとっても使いやすく、個人事業主でも申請できることが特徴。補助上限額が750万円~8,000万円と高いことや、他の制度で補助対象外とされる既存事業が、要件を満たせば補助対象となる点も魅力です。

補助対象事業者

ものづくり補助金は、所定の要件と基準を満たすすべての業種が補助対象で、個人事業主も申請が可能です。補助対象となる事業者の規模・形態は以下のとおりで、1つずつ解説します。

  1. 中小企業者(組合関連以外)
  2. 中小企業者(組合・法人関連)
  3. 小規模企業者・小規模事業者(個人事業主含む)
  4. 特定事業者の一部
  5. 特定非営利活動法人
  6. 社会福祉法人

A.中小企業者(組合関連以外)

組合以外の中小企業者で補助対象となる事業者規模は、業種により以下のように定められています。

業種

資本金

常勤従業員数

製造業、建設業、運輸業、旅行業

3億円

300人

卸売業

1億円

100人

サービス業

(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)

5,000万円

100人

小売業

5,000万円

50人

ゴム製品製造業

(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業
 並びに工業用ベルト製造業を除く)

3億円

900人

ソフトウェア業または情報処理サービス業

3億円

300人

旅館業

5,000万円

200人

その他の業種(上記以外)

3億円

300人

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

B.中小企業者(組合・法人関連)

中小企業者(組合関連以外)で補助対象となるのは、以下の組合に属している事業者です。

  • 企業組合
  • 協業組合
  • 事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会
  • 商工組合、商工組合連合会
  • 商店街振興組合、商店街振興組合連合会
  • 水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会
  • 生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
  • 酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会
  • 内航海運組合、内航海運組合連合会
  • 技術研究組合(直接または間接の構成員の3分の2以上がAに該当するもの、企業組合、協業組合であるもの)

C.小規模企業者・小規模事業者

補助対象となる「小規模企業者・小規模事業者」は以下の事業者です。

業種

常勤従業員数

製造業その他

20人以下の会社および個人事業主

商業・サービス業

5人以下の会社および個人事業主

サービス業のうち宿泊業・娯楽業

20人以下の会社および個人事業主

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

D.特定事業者の一部

「特定事業者」とは、以下の1~5に該当する事業者です。

特定事業者の区分

要件詳細

1.従業員数が所定の人数以下※

資本金または出資総額が10億円未満

2.生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、
 生活衛生同業組合連合会

構成員の3分の2以上が常時300人(卸売業は400人)以下の従業員数、
かつ資本金または出資総額10億円未満

3.酒造組合、酒造組合連合会、
 酒造組合中央会、酒販組合、
 酒販組合連合会、酒販組合中央会

下記のいずれか

  • 構成員の3分の2以上が常時500人以下の従業員数、
    かつ資本金または出資総額10億円未満

  • 構成員の3分の2以上が常時300人(卸売業は400人)以下の従業員数、
    かつ資本金または出資総額10億円未満

4.内航海運組合、内航海運組合連合会

構成員の3分の2以上が常時500人以下の従業員数、
かつ資本金または出資総額10億円未満

5.技術研究組合

構成員の3分の2以上が

  • 1.に該当する事業者、企業組合、協同組合のいずれか

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

※「1.従業員数が所定の人数以下」は、業種別に常勤従業員数が以下のように定められています。

業種

常勤従業員数

製造業、建設業、運輸業

500人

卸売業

400人

サービス業又は小売業

(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)

300人

その他の業種(上記以外)

500人

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

E.特定非営利活動法人

「特定非営利活動法人」とは、以下に該当する事業者です。

  • 活動が中小企業一般の振興・発展につながる特定非営利活動法人
  • 従業員数が 300 人以下
  • 法人税法上の収益事業を行う特定非営利活動法人
  • 認定特定非営利活動法人ではない
  • 交付決定時までに補助金の事業の「経営力向上計画」の認定を受けている

F.社会福祉法人

補助対象となる「社会福祉法人」とは、以下に該当する法人です。

  • 「社会福祉法」に定める、所管庁の認可を受け設立されている法人
  • 従業員数が 300 人以下

補助対象外事業者

中小企業・小規模事業者であっても「みなし大企業」や、3年以内の複数回申請、他の制度との重複申請など、以下に該当する事業者は補助対象外です。

  • 「みなし大企業※」に該当する事業者
  • 同一法人・事業者が同じ締切回で複数申請をしている場合
  • 過去3年間に2回以上、ものづくり補助金の交付決定を受けた事業者
  • 申告済みの直近3年分の各年、または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者
  • 公序良俗に反する事業
  • 他の助成制度との重複申請
  • 業務を他社へ外注する事業
  • 申請時に虚偽の申告をした事業者
  • 補助対象事業者の基準を満たすために、資本金や従業員数を調整したと判断された事業者

※「みなし大企業」とは、以下のいずれかに該当する中小企業者です。

  1. 発行済株式の総数または出資価格総額の2分の1以上を、同一の大企業が所有
  2. 発行済株式の総数または出資価格総額の3分の2以上を、大企業が所有
  3. 大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている
  4. 発行済株式の総数または出資価格総額を、1~3に該当する中小企業者が所有
  5. 1~3に該当する中小企業者の役員または職員を兼ねている者が、役員総数のすべてを占めている

基本要件

ものづくり補助金には以下3項目の「基本要件」があり、すべてを満たす事業計画を策定する必要があります。

  • 給与支給総額の増加:給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させる
  • 最低賃金の引き上げ:事業場内最低賃金※を毎年、地域別最賃金+30円以上の水準とする
  • 付加価値額の増加:事業者全体の付加価値額を年平均成長率 3%以上増加させる

※事業場内最低賃金:補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金

事業を実施して基本要件に届かない場合は、補助金の返還義務があるため、計画立案は入念に行いましょう(再生事業者は目標未達でも返還免除)。

ものづくり補助金の補助対象経費

ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介_1

続いて、ものづくり補助金の補助対象経費と補助対象経費を解説します。

補助対象経費

ものづくり補助金の補助対象経費は、以下3つの条件を満たした表内の経費です。

  • 補助事業に使われることが明確である
  • 経費の必要性・金額の妥当性が証拠書類で明確に確認できる
  • 交付決定以降に発注し、補助事業実施期間内に支払いを完了している

補助対象経費

概要

備考

機械装置・

システム構築費

  • 機械・装置、工具・器具の購入、製作、借用
  • 専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用
  • 上記にともなう改良・修繕または据付け

単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必須

技術導入費

事業に必要な知的財産権の導入

上限額は補助対象経費総額(税抜き)の3分の1

専門家経費

事業のために依頼した専門家への支払い

上限額は補助対象経費総額(税抜き)の2分の1

運搬費

運搬料、宅配・郵送料など

-

クラウドサービス利用費

クラウドサービスの利用料

-

原材料費

試作品の開発に必要な原材料・副資材の購入

-

外注費

新製品・サービスの開発に必要な加工や
設計(デザイン)・検査の一部の外注費

上限額は補助対象経費総額(税抜き)の2分の1

知的財産権等関連経費

新製品・サービスの事業化に必要な知的財産権取得のための
弁理士の手続代行費用・
外国特許出願費用

上限額は補助対象経費総額(税抜き)の3分の1

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

補助対象外経費

以下の経費はものづくり補助金の補助対象外です。

  • 事業で販売する製品を生産する機械装置・システム構築費以外の諸経費(試作品の原材料費は補助対象)
  • 工場建屋や構築物・簡易建物の取得費用と建築部材の取得費用
  • 再生エネルギーの発電設備と附属設備
  • 設置場所の整備工事・基礎工事の費用
  • 事務所の家賃や保証金、敷金、仲介手数料および光熱水費
  • 電話代やインターネット利用料金などの通信費(クラウドサービス利用費以外)
  • 商品券などの金券
  • 文房具などの事務用品等の消耗品代、雑誌購読・新聞代、団体などの会費
  • 飲食や奢侈・娯楽、接待の費用
  • 不動産の購入費、自動車などの車両購入費・修理費・車検費用
  • 税務申告・決算書作成時の税理士・公認会計士費用および訴訟時の弁護士費用
  • 収入印紙
  • 振込・両替手数料
  • 消費税および地方消費税額
  • 各種保険料
  • 借入金の支払利息・遅延損害金
  • 事務局への提出書類の作成・申請費用
  • 汎用性があり、補助事業のみに使用すると証明できない費用※
  • 価格設定の適正性が明確でない中古品の購入費
  • 事業に必要な自社の人件費
  • 同一代表者・役員が含まれる事業者や資本関係がある事業者への支払い
  • 上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費

※「汎用性のある経費」の例:事務用のパソコン・プリンター・デジタル複合機・文書作成ソフト・スマートフォン・タブレット・キュービクル・従業員用エレベーター・家具・3Dプリンター など

補助事業実施期間以前に行った投資も、補助対象外となるためご注意ください。事業の経費が補助対象かどうか確信が持てない場合は、補助金事務局か専門家への相談をおすすめします。

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

ものづくり補助金の申請枠と補助額・補助率

ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介_11

ものづくり補助金には3つの申請枠があり、従業員数に応じて補助額と補助率が定められています。

省力化(オーダーメイド)枠

「省力化(オーダーメイド)枠」は、デジタル技術を活用した専用設備による「革新的な生産プロセス」「サービス提供方法の効率化・高度化」の設備投資を支援する枠です。

デジタル技術とはICTやIoT、AI、ロボット、センサーなどを指し、事業に活用せず単に装置を導入するだけでは補助対象となりません。

省力化(オーダーメイド)枠の要件として、以下のすべてに当てはまる必要があります。

  • 事業計画期間内に労働生産性が2倍以上となり、かつ投資回収可能な事業計画を策定すること
  • 外部SIerを活用する場合は保守・メンテナンス契約を締結し、必要な保守・メンテナンス体制を整備すること

なお金融機関から資金調達をする場合は、金融機関による事業計画の確認書が必要です。

省力化(オーダーメイド)枠の補助上限額と補助率は以下のとおりです。

補助上限額※()は大幅賃上げを行う場合

補助率(補助対象経費総額に対する)

5人以下 :750万円(1,000万円)

 

 6~20人 :1,500万円(2,000万円)

 21~50人 :3,000万円(4,000万円)

 

 51~99人 :5,000万円(6,500万円)

 100人以上:8,000万円(1億円)

中小企業 1/2

小規模企業者・再生事業者 2/3※ 


※補助金額1,500万円までは1/2もしくは
2/3、1,500万円を超える部分は1/3

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.0版

製品・サービス高付加価値化枠

「製品・サービス高付加価値化枠」は、新製品・サービスの売上高の合計額が、企業全体の売上高の10%以上となる事業計画が求められる申請枠で、2つの類型があります。

  • 通常類型
  • 成長分野進出類型(DX・GX)

同枠では、生産性向上のために年収 350 万円以上の正社員(無期雇用)を新規採用する場合、ケースによっては厚生労働省の「産業雇用安定助成金」の併給も可能です

通常類型

製品・サービス高付加価値化枠の「通常類型」は、革新的な製品・サービス開発に必要な設備・システム投資を支援する類型です。基本要件に加え、以下の要件を満たす必要があります。

  • 新製品・サービスの売上高の合計額が、企業全体の売上高の10%以上となる事業計画を策定する

なお金融機関から資金調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認書が必要です。

通常類型の補助上限額と補助率は以下のとおりです。

補助上限額※()は大幅賃上げを行う場合

補助率(補助対象経費総額に対する)

5人以下 :750万円(850万円)

 6~20人 :1,000万円(1,250万円)

 21人以上 :1,250万円(2,250万円)

中小企業 :1/2

小規模企業者・再生事業者:2/3

新型コロナ回復加速化特例:2/3

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 18次公募要領 概要版

成長分野進出類型(DX・GX)

「成長分野進出類型」は、今後成長が見込まれる以下の分野(DX・GX)で革新的な製品・サービスを開発するための設備・システム投資を支援する類型です。

  • DX:AI・IoT・センサーなどのデジタル技術を活用した、遠隔操作や自動制御、プロセス可視化につながる製品・サービスの開発(部品、ソフトウェア開発を含む)
  • GX:「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で「実行計画」が策定されている14分野の課題解決につながる事業であること

DXにおいて、単にデジタル技術を導入しただけの場合や、すでに同業種の中小企業である程度普及している製品やサービスの開発の場合は、補助対象となりません。なお金融機関から資金調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認書が必要です。

成長分野進出類型(DX・GX)の補助上限額と補助率は以下のとおりです。

補助上限額※()は大幅賃上げを行う場合

補助率(補助対象経費総額に対する)

5人以下 :1,000万円(1,100万円)

 6~20人 :1,500万円(1,750万円)

 21人以上 :2,500万円(3,500万円)

2/3

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 18次公募要領 概要版

グローバル枠

「グローバル枠」は、下記いずれかの海外事業を実施している事業者が、国内の生産性向上を図るための設備・システム投資を支援する枠です。

  1. 海外への直接投資に関する事業
  2. 海外市場開拓(輸出)に関する事業
  3. インバウンド対応に関する事業
  4. 海外企業と共同で行う事業

「新商品・サービスの開発改良」「ブランディング」「新規販路開拓」の取組みが対象で、基本要件には以下の2つがあります。

  • 事前のマーケティング調査(実現可能性調査)の結果に基づき、開発改良やブランディングを行う
  • 社内に海外事業の専門人材を置くか、海外事業の外部専門家と連携する

グローバル枠の補助上限額と補助率は以下のとおりです。

補助上限額※()は大幅賃上げを行う場合

補助率(補助対象経費総額に対する)

5人以下:3,000万円(3,100万円)

6~20人:3,000万円(3,250万円)

21人以上:3,000万円(4,000万円)

中小企業:1/2

小規模企業者・小規模事業者:2/3

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 18次公募要領 概要版

グローバル枠には事業形態別にも要件があります。

1.「海外直接投資事業」の要件

  • 国内の本社を補助事業者とし、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となっている
  • 国内事業所でも、海外事業と一体的な機械装置(税抜き単価50万円以上)を設備投資する
  • 応募申請時に海外子会社の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料を提出し、実績報告時に海外子会社等との委託(貸与)契約書と事業完了報告書を追加提出する

2.「海外市場開拓(輸出)事業」の要件

  • 国内に補助事業実施場所があり、製品の最終販売先の2分の1以上が海外顧客、かつ補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画である
  • 応募申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的に分かる海外市場調査報告書を提出し、実績報告時には、想定顧客による試作品の性能評価報告書を提出する

3.「インバウンド対応関連事業」の要件

  • 国内に補助事業実施場所があり、製品・サービスの販売先の2分の1以上が訪日外国人で、補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画である
  • 応募申請時に、想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書を提出し、実績報告時にプロトタイプの仮説検証※の報告書を提出する

※仮説検証:開発に立てた機械装置・システムについて、計画の初期段階で立てた計画どおりの機能や操作性を実現できたか、想定どおりの効果を得られたかを評価すること

4.「海外企業との共同事業」の要件

  • 国内に補助事業実施場所を置き、外国法人と行う共同研究・共同事業開発にともなう設備投資があり、成果物の権利の全部または一部が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外)
  • 応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)を提出し、実績報告時に契約の進捗が分かる実績成果報告書を提出する

ものづくり補助金の申請手続き

ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介_4

ここでものづくり補助金の申請手続きと、必要な書類を解説します。

申請の流れとスケジュール

ものづくり補助金の申請は電子申請システム「 jGrants」から行います。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要となり、アカウントの発行までには時間がかかるため、期限に余裕を持って手続きを行いましょう。        

郵送では申請を受け付けていないため、申請書類もjグランツに添付します。「jグランツ事業者向け_入力ガイド」を参照しながら、以下の手順で入力しましょう。

  1. 「補助金を探す」で申請する補助金をクリック
  2. GビズIDでログインしたら「申請する」をクリック
  3. 案内に従い申請フォームへ入力・必要書類を添付

18次公募回の申請締め切りは2024年3月27日で、次回公募は未定です。ただし石川県、富山県、新潟県、福井県の事業計画については、2024年5月9日(木)まで18次公募回の受付を延長しています(被災証明書・罹災証明書が必要)。

必要な書類

ものづくり補助金の申請に必要な書類は以下のとおりです。

【全事業者共通の書類】

  • 事業計画書
  • 補助経費に関する誓約書
  • 賃金引上げ計画の誓約書
  • 決算書等
  • 従業員数の確認資料
  • 労働者名簿

【該当する事業者のみ提出が必要な書類】

  • 「再生事業者」であることを証明する書類
  • 大幅な賃上げ計画書
  • 金融機関による確認書
  • 海外事業の準備状況を示す書類
  • 最低賃金要件に関する確認書
  • (任意)加点に必要な資料

提出書類には決められたファイル形式・ファイル名があるため、公募要領の「提出書類一覧」「添付書類」に従い正しく作成しましょう。ファイル作成方法やパスワード設定などに不備があると、審査を受けられないためご注意ください。

ものづくり補助金の申請書類については、以下の記事でも詳細に解説しています。

関連記事:ものづくり補助金の申請書類は?申請の流れや記載時のポイントも解説

ものづくり補助金に採択されるためのポイント

ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介_5

ものづくり補助金に採択されるかどうかは、事業計画書の策定方法や書き方によります。ここでは、ものづくり補助金に採択されるためのポイントを解説します。

審査項目と加点項目を押さえる

ものづくり補助金に採択されやすくするためには、審査項目と加点項目を押さえた事業計画の策定が重要です。

書面審査ではまず「対象事業・対象者・申請要件に当てはまっているか」「付加価値額年平均成長率3%以上を満たす計画か」をチェックされます。以下の3点も事業計画のチェック項目です。

  • 「技術面」=製品やサービスの革新性、生産プロセスの改善性、課題解決方法の具体性・明確性
  • 「事業化面」=事業化スケジュールの具体性、製品・サービスの市場性、企業の収益性・生産性の向上可能性
  • 「政策面」=地域経済や国の経済政策への貢献性

また、事業が将来の経済・社会構造の変化に対応する、柔軟な環境適応性があることを申請時に示せば、審査で以下の加点を受けることも可能です。

  • 成長性加点
  • 政策加点(創業5年以内、パートナーシップ構築、DX認定事業者、サイバーセキュリティお助け隊サービス利用者、GXリーグ参画 など)
  • 災害等加点(有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者)
  • 賃上げ加点等
  • 女性活躍等の推進の取り組み加点(えるぼし認定、くるみん認定)

申請枠ごとに、どのようなポイントで審査され、どのような加点項目があるのか、自社に当てはまる加点項目はあるのかを押さえ、採択率アップを図りましょう。

公式サイトの「活用イメージ」「成果事例」を参考にする

ものづくり補助金に採択される事業のイメージが難しい場合は、補助金公式サイトに掲載されている補助金活用方法や、過去の活用事例を参照しましょう。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 18次公募要領概要版」には、以下のような補助金の活用方法が例示されています。

  • 課題:取扱商品が多種多様で在庫や入出荷タイミングが不規則な物流の集荷業務において、商品の保管規模に応じ、弾力的に荷役作業をロボット化できる単機能小型ロボットユニットを導入。
  • 解決方法:当日の出荷指示データを基に決められた全カートの積載パターンに沿って、AGVがパレット/カートを運搬、ロボットが商品をつかみ、トラックバースへ運搬するまでを全自動化した。

また公式サイト「成果事例のご紹介」では、歴代の活用グッドプラクティスが紹介されているので、自社と似た業態や事業者規模の事例を参考にできます。

ものづくり補助金を設備投資に活用した採択事例

「自社事業がものづくり補助金の対象かわからない」という方のために、補助金の活用をイメージしやすくなるよう、事業者規模や業種の異なる採択・活用事例を紹介します。

  • パロンド(​Parond:技術サービス業・他に分類されないもの)
  • 株式会社アクト・ノード(情報サービス業)
  • 有限会社礎(その他の生活関連サービス業)
  • 株式会社厳選(飲食料品小売業)
  • 有限会社オハラ(飲食店)

パロンド(​Parond:技術サービス業・他に分類されないもの)

ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介_2

画像引用:Parond

三重県鈴鹿市の「パロンド(Parond)」は、ドローンによる企業やイベントの空撮動画・静止画を撮影するフリーランスカメラマンです。2012年から通算1,000時間を超えるフライト時間を誇り、大手鉄道会社のCMやホテルPVも担当した実績があります。

コロナ禍で測量における非対面化の必要性が生じたことから、パロンド代表はものづくり補助金を活用し、新型ドローンと電子評定点を用いた革新的測量法を開発。従来の人力による測量作業から非対面型への転換に成功しました。

さらに、多くの人手と長い時間を要していた測量業務を、約10分の1の評定点と少人数、約6分の1の時間で実施し大幅なスマート化も実現。公共測量の基準「±5cm未満」の精度も達成し、国土交通省の「i-Construction」にも貢献しています。

フリーランスが多くの会社との協業ネットワークを活かしながら、高い品質の革新的技術を事業化した事例です。

株式会社アクト・ノード(情報サービス業)

ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介_7

画像引用:アクト・ノード

神奈川県横浜市にある「株式会社アクト・ノード」は、一次産業向けのクラウド・IoT・AIテクノロジーシステムデザインを提供する会社です。

大手通信社で農業向けアプリ開発に携わっていた、同社代表がプロジェクトの中止を受け、自身で会社を立ち上げものづくり補助金を申請。一次産業の生産現場を記録・集計しデータを活用できるシステムを開発しました。

開発したクラウドアプリ「アクト・アップ」は、農業や畜産、水産養殖まで幅広い一次産業に対応が可能。アプリで「作業内容や資材の記録」「センサーによる環境測定記録」「AIカメラによる育成記録」を行い、収集したデータの分析とグラフでの可視化も可能になりました。

現在では「アクト・アップ」導入者が増え、生産者からのフィードバックを収集・反映しているため、システムは年々改善されています。データ化の困難な一次産業で、データを可視化・利活用する革新的な生産情報記録システムを開発し、SDGsと食の流通改革に貢献している好事例です。

有限会社礎(その他の生活関連サービス業)

ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介_6

画像引用:ペットホテルセカンドハウス

岐阜県羽島市の「有限会社礎」は、ペットホテルやトリミングサロンなどのペット関連事業会社で、年齢制限のないペットホテル「セカンドハウス」の運営を手がけています。

同社はペットの課題である高齢化問題を解決すべく、ものづくり補助金を活用し、獣医師との連携による業界未聞の「 老犬ホーム 」のサービスを開始。老犬への終の棲家とリハビリ提供を事業化しました。同事業では獣医師と連携して、リハビリプログラム作成をはじめとする、老犬の健康管理・維持のシステムの構築を進めています。

老犬は飼い主も高齢化して飼えなくなるケースが多く、引き取り手が現れなければ殺処分となってしまうことが、飼い主の心も傷めていました。ものづくり補助金を活用した獣医師連携の高レベル老犬サービス創出は、飼い主と愛犬両方の幸せを実現した好事例です。

株式会社厳選(飲食料品小売業)

ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介_3

画像引用:春日水神市場

香川県高松市の「株式会社厳選」は、無農薬栽培の地元農産物や鮮魚・雑貨などを販売するスーパーマーケット「春日水神市場」の運営会社です。

同社では、競合他社が多く差別化が必要になったことに加え、 販売増加で野菜をストックする大型冷蔵スペースが不足したことが課題でした。さらに需要の増えているカット野菜に対応できる設備の導入も遅れていました。

そこで同社は、野菜が本来持っている糖度と旨味を引き出し、付加価値を高めるために、ものづくり補助金を活用して農産物の低温熟成設備を導入。「低温熟成野菜」の開発で他社との差別化を目指しました。

野菜ごとに適正な環境・温度で保存できるプレハブ冷凍冷蔵庫を設置したほか、電解水生成装置を導入し、カット野菜の衛生的な製造も可能にしています。

低温熟成野菜は顧客からも好評で、遠方の顧客の要望によりWebショップの開設も実現しました。一般的には認知度の高くない「野菜の熟成」を実現し、付加価値向上による差別化に成功した好事例です。

有限会社オハラ(飲食店)

ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介_8

画像引用:徳島コーヒーワークス

徳島県徳島市の「有限会社オハラ」は、カフェと自家焙煎コーヒーのオンラインショップ「TOKUSHIMA COFFEE WORKS」を運営する会社です。ものづくり補助金には2017年と2019年の2回採択され、設備投資に活用しています。

従来は目視でコーヒー豆の選別を行っており、非効率なうえ欠陥の見逃しも懸念事項でした。安定した品質の確保のために、1回目のものづくり補助金活用で、光識別によるコーヒー豆の自動選別機を導入。欠点豆の完璧な除去に成功し、品質の確保と「見える化」を実現しています。

2回目のものづくり補助金では、創業からこだわってきたネル方式フィルターを開発し、ドリップコーヒーの小ロット包装機を導入。さらに非対面式パーキングドライブスルー・テイクアウトシステムを構築し、焙煎したてのコーヒーのテイクアウト販売も実現。アフターコロナのテイクアウト需要に応えました。

高鮮度・高品質なオリジナルドリップコーヒーパックを、小ロット・多品種で展開できた結果、品質とサービスでブランドを確立し、他社との差別化に成功した事例です。

設備投資に使える他の補助金・助成金制度

ものづくり補助金の対象企業とは?条件や対象経費・採択事例も紹介_10

ものづくり補助金以外にも設備投資に使える制度がありますので、自社の事業規模や形態にあわせて検討できるよう、ご紹介します。

小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金」は、小規模事業者・個人事業主の販路開拓や生産性の向上、持続的発展を支援する制度です。運営主体は商工会と商工会議所です。商工会・商工会議所の会員でなくても申請は可能です。

補助対象となる事業者は「宿泊・娯楽業を除く商業・サービス業」で5人以下、「宿泊業・娯楽業」「製造業その他」で20人以下の小規模事業者です。

補助対象事業は「販路を開拓するための事業」または「販路開拓を目的とした業務効率化のための事業」で、商工会・商工会議所の支援を受けて行われる必要があります。

補助対象経費は「経営計画」に基づき実施する事業で使用する以下の経費です。

  • 機械装置の費用
  • 広報費
  • ウェブサイト関連費
  • 展示会などの出展費(オンラインでの展示会・商談会を含む)
  • 旅費
  • 新商品開発費
  • 資料購入費
  • 借料
  • 設備処分費
  • 委託・外注費

小規模事業者持続化補助金の申請枠と補助上限額、補助率は以下のとおりです。

 

通常枠

賃金引上げ枠

卒業枠

後継者支援枠

創業枠

補助率

2/3

2/3(赤字事業者は3/4)

2/3

2/3

2/3

補助上限額

50万円

200万円

200万円

200万円

200万円

申請手続きは電子申請と郵送で受け付けています。事業所が商工会・商工会議所どちらのエリアかによって申請先が異なるため、事前に確認が必要です。

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型> 第15回公募 公募要領

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」による思い切った事業再構築を行う中小企業・中堅企業を支援する制度です。資本金10億円未満の中堅企業も対象としている点が特徴で、収益事業を行う一般社団法人や一般財団法人、NPO法人も支援対象。中小企業者には個人も含まれます。

事業期間内で付加価値額の年率平均を3.0~5.0%増加させる必要があり、他の制度よりも要件が厳しく、そのかわり補助上限額が高いことも特徴です。

補助上限額と補助率は下記のように補助対象事業の類型(枠)ごとに定められています。

類型

補助対象

補助上限

補助率

最低賃金枠

最低賃金引上げの影響を受け、原資の確保が困難な事業者

1,500万円

3/4

物価高騰対策・回復再生応援枠

  • 業況が厳しい事業者
  • 事業再生に取り組む事業者
  • 原油価格・物価高騰等の影響を受ける事業者

3,000万円

2/3(一部3/4)

産業構造転換枠

国内市場縮小など、構造的な課題に直面する業種・業態の事業者

7,000万円

 

2/3

成長枠

成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者

7,000万円

1/2(大幅賃上げ実施で2/3)

グリーン成長枠・エントリー

研究・技術開発または人材育成を行いながら、
グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決につながる事業を行う事業者

8,000万円

(中堅1億円)

グリーン成長枠・スタンダード

1億円

(中堅1.5億円)

サプライチェーン強靭化枠※

海外で製造する部品などの国内回帰により、
国内サプライチェーンの強靱化および地域産業の活性化につながる取組を行う事業者

5億円

1/2

※第11回公募ではサプライチェーン強靭化枠は実施されず

出典:事業再構築補助金の概要 

IT導入補助金

以下、要再編

「IT導入補助金」は、中小企業・小規模事業者が業務効率化やDXのために導入する、 ITツール(ソフトウェア・サービスなど)の費用を支援する制度です。個人事業主も申請できます。

他の制度では補助対象外のハードウェアや、導入のための相談やコンサルティング・サポート費用、クラウドサービス利用料も対象となることが特徴。ただし補助対象となるITツールは、事前に事務局の審査を経て登録されているものに限られます。ツールの導入には、事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組んでの申請も必須です。

申請枠には「通常枠」「セキュリティ対策推進枠」「インボイス枠」「複数社連携IT導入枠」があり、2024年2月16日公募回では通常枠のみ実施されています。通常枠での補助額は5万円(1プロセス以上)~450万円(4プロセス以上)、補助率は1/2です。

申請手続きは「gBizID」プライムアカウントで行います。申請時には「みらデジ」の経営チェックと、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「SECURITY ACTION」宣言が必要です。

※SECURITY ACTION:「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」に基づいて、中小企業自らが情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度。

出典:IT導入補助金公募要領(2024.3.15版)

業務改善助成金

「業務改善助成金」とは、生産性向上のための設備投資※を行うと同時に、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、設備投資にかかった費用の一部を助成する制度です。
助成対象となる設備投資費用には、コンサルティングや従業員教育の費用も含まれます。

助成対象事業者は以下の3項目と、表内のAまたはBを満たす中小企業・小規模事業者です。

  • 中小企業・小規模事業者であること
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

 

業種

A:資本金または出資額

B:常時使用する労働者

小売業

小売業、飲食店 など

5,000万円以下

50人以下

サービス業

物品賃貸業、宿泊業、医療、福祉、複合サービス業 など

5,000万円以下

100人以下

卸売業

卸売業

1億円以下

100人以下

その他の業種

農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業 など

3億円以下

300人以下

上記を満たした場合、事業者単位ではなく事業場ごとに申請を行います。なお労働者の最低賃金引き上げを目的とした制度のため、従業員のいない事業者は対象外です。

助成上限額は事業場内の賃金引き上げ額(30円・45円・60円・90円)に応じて、事業場規模と従業員数ごとに60万円~600万円の範囲で定められています。助成率は事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金に応じた下記割合です。

事業場内最低賃金額

900円未満

900円以上950円未満

950円以上

助成率

9/10

4/5(9/10)

3/4(4/5)

※()内は生産性要件を満たした場合

出典:業務改善助成金|厚生労働省

助成金額は、設備投資費用に下記の助成率をかけた金額と、助成上限額のいずれか低い方の金額です。

なお、以下の「特例事業者」に該当すれば、助成上限額の拡大・助成対象経費の拡大を受けられます。

  • 事業場内最低賃金が950円未満
  • 原材料費の高騰などの外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1月の利益率(売上高総利益率または売上高営業利益率)が、前年同期に比べ、3%ポイント以上低い

業務改善助成金の申請は、各都道府県の労働局雇用環境・均等部室です。jGrantsによる電子申請も可能です。

参考:業務改善助成金|厚生労働省

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新枠)

「事業承継・引継ぎ補助金(経営革新枠)」は、事業承継やM&Aによる経営革新、M&Aによる経営資源の引継ぎや廃業・再チャレンジを図る中小企業者を支援する制度です。対象事業者は日本国内に拠点・居住地を置いて日本国内で事業を営み、事業承継を行う中小企業者や特定非営利活動法人です(承継者が申請)。

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新枠)の補助上限金額と補助率、補助対象事業は以下のとおりです。

  • 補助上限:600万円(賃上げ時は800万円)
  • 補助率:1/2(小規模事業者・営業利益率低下事業者・再生事業者は2/3)
  • 補助対象事業:「DX化」「グリーン化」「事業再構築」のいずれかをともなう事業

申請方法はjGrantsによる電子申請のみで、GビズIDプライムアカウントが必要です。

出典:中小企業生産性革命推進事業「事業承継・引継ぎ補助金」(九次公募)の公募要領を公表します【公募要領】(9次公募)

自治体の支援制度

都道府県・市などの自治体でも、以下1~3のような補助金・融資などの設備投資支援制度を実施しています。

1.東京都「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」

補助対象事業者

  • 東京都内に登記簿上の本店または支店があり、
    2年以上事業を継続しているすべての業種の中小企業者
  • 東京都内で開業届出をして事業を営んでいる個人事業主

要件

いずれかの事業区分に該当する事業であること

  • 競争力・ゼロエミッション強化/賃上げ促進
  • DX推進
  • イノベーション
  • 後継者チャレンジ

助成率

事業区分、事業者規模、要件により1/2~3/4

補助上限額

事業区分、事業者規模、要件により3,000万円~1億円

出典:躍進的な事業推進のための設備投資支援|東京都

2.大阪市「大阪市設備投資応援融資」

利用資格

市内に事務所または事業所を有し、
原則として事業による大阪市市民税を納税している中小企業者

要件

経営基盤の強化に必要な設備を市内に導入し、
かつ金融機関等による融資後のサポートを受けることが可能な方で、
以下のいずれかを満たす方

 

  • 中小企業等経営強化法に規定する新事業活動を営む
  • 同法に規定する先端設備等の導入を図る
  • 中小企業強靭化法に規定する事業を単独もしくは連携して行う

融資利率

年1.0%以下の金融機関所定金利(固定)

担保要否

  • 10年以内は無担保
  • 20年以内は不動産・有価証券などの担保が必要

出典:大阪市:大阪市設備投資応援融資のご案内

3.山形県「山形県中小企業パワーアップ補助金(事業継続力強化支援事業) 」

山形県では、県内の中小企業・小規模事業者が行う研究開発や設備投資、販路開拓の取組みに対し、下記の多彩な支援事業を実施しています。

  • デジタル化支援事業
  • 事業継続力強化支援事業
  • 観光施設経営強化支援事業
  • イノベーション創出支援事業
  • 地域商社型販路開拓支援事業

「デジタル化支援事業」を例に取ると、制度概要は以下のとおりです。

補助対象事業者

山形県内に事業所を有する中小企業・小規模事業者で以下2つを満たす事業者

  • 「パートナーシップ構築宣言」を行っている
  • 「みらデジ」か専門家によるデジタル化診断を受けている

補助対象事業

デジタル化やDX推進による生産性向上や業務効率化に資する事業

補助率

1/2以内

 

補助上限額

100万円

出典:山形県中小企業パワーアップ補助金山形県中小企業パワーアップ補助金(デジタル化支援事業) 第1次公募

自治体によっては、ものづくり補助金や他の補助金への上乗せ補助を実施しているところもあります。自社の所在地で自治体が補助事業を実施しているか、確認するとよいでしょう。

【まとめ】ものづくり補助金の対象企業について解説しました

ものづくり補助金は製造業にとどまらず、幅広い業種・形態の中小企業者や小規模事業者を補助対象とし、多様な設備投資に活用できる支援制度です。

自社事業が補助対象となるのか不明な点がある場合は、専門家に相談のうえ申請されるようおすすめします。ものづくり補助金の要件と審査・加点項目を踏まえた事業計画書の作成サポートも受けられるため、採択率を高めることが可能です。