ものづくり補助金の対象事業とは?基本的な要件や対象事業者を紹介!

対象事業

国にはさまざまな補助事業や助成制度があります。そのなかでもものづくり補助金は、小規模事業者でも申請ができる事業です。

しかし、なかには「うちの会社でも活用できるのか?」「要件が分かりにくい」と悩んでいる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでは今回は、ものづくり補助金の対象事業を中心に基本的な要件や、対象事業者について紹介します。また申請にあたり注意すべきポイントについて記載していますので、ぜひ参考にしてください。

目次
  1. 1. ものづくり補助金とは
  2. 2. ものづくり補助金の対象事業とは
    1. 2-1. 対象となる事業
    2. 2-2. 基本要件
    3. 2-3. 補助対象経費
  3. 3. ものづくり補助金の支援分類
    1. 3-1. 1.省力化(オーダーメイド枠)
    2. 3-2. 2.製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)
    3. 3-3. 3.製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型)
    4. 3-4. 4.グローバル枠
  4. 4. ものづくり補助金の対象事業者
    1. 4-1. 中小企業者等が対象
    2. 4-2. 製造業以外でもOK
  5. 5. ものづくり補助金を申請する際に注意すべき点
    1. 5-1. 50万円以上の設備投資が必要になる
    2. 5-2. 5年間は報告義務がある
    3. 5-3. 後払いになるため資金確保が必要になる
  6. 6. ものづくり補助金の申請方法
    1. 6-1. 申請前に「GビズID」の取得が必要
    2. 6-2. 申請に必要な書類
  7. 7. 【まとめ】ものづくり補助金の対象事業を紹介しました

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金は、国内の中小企業・小規模事業者の革新的な製品・サービスの開発や、省力化のための設備投資・システム構築を支援する補助制度です。

また賃金の引き上げや働き方改革の後押しをすべく、さまざまな要件を求めています。2024年1月31日、ものづくり補助金18次公募が開始されました。

ものづくり補助金の対象事業とは

以下では、ものづくり補助金の対象事業に関するポイントについて紹介します。

対象となる事業

ものづくり補助金には、4つの申請枠があります。各申請枠はそれぞれ目的が異なり、活用できる事業が異なります。ここでは、申請枠別に対象となる事業を紹介します。

申請枠

目的

活用例・活用イメージ

省力化(オーダーメイド)枠

革新的な生産プロセス・サービス提供方法の
効率化・高度化を図る取り組みに必要な
設備・システム投資を支援

生産性向上のため、手作業の工程に
AI技術を用いた自動組立ロボットを導入

製品・サービス高付加価値化枠
(通常類型・成長分野進出類型)

今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する
革新的な製品サービス開発※の取組みに必要な
設備・
ステム投資等を支援

(通常型)

国際基準に準拠した部品の開発を目的とした
最新複合加工機を導入

(成長分野進出類型)

24時間体制での搬送を実現するため、
AI・
センサーなどを活用した
高精度自律走行搬送ロボットの試作機を開発

グローバル枠

海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに
必要な設備システム投資などを支援

海外市場獲得のため、
新たな製造機械を導入し新製品の開発

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 18次公募要領 概要版

なお、省力化(オーダーメイド)枠は、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するためにシステムの構築が必須です。デジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業については、本事業の対象にならないため注意しましょう。

基本要件

ものづくり補助金は以下の3つの基本要件を満たし、3〜5年の事業計画書の策定および実行が必要です。

  1. 付加価値額が年平均成長率+3%以上増加
  2. 給与支給総額が年平均成長率+1.5%以上増加
  3. 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上

毎年、事業化状況報告を提出し成果を示す必要があり、基本要件が未達の場合は補助金返還義務が発生します。

補助対象経費

18次公募では、ものづくり補助金の対象経費(以下、補助対象経費)となるのは、主に以下の8品目です。

補助対象経費

概要

備考

機械装置・

システム構築費

  • 機械・装置、工具・器具の購入、製作、借用の経費
  • 専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用の経費
  • 上記にともなう改良・修繕または据付けの経費

単価50万円(税抜)以上の設備投資が必須

技術導入費

  • 本事業に必要な知的財産権の導入経費

上限額は補助対象経費総額(税抜)の3分の1

専門家経費

  • 本事業のために依頼した専門家に支払われる経費

上限額は補助対象経費総額(税抜)の2分の1

運搬費

  • 運搬料、宅配・郵送料などの経費

_

クラウドサービス利用費

  • クラウドサービスの利用に関する経費

_

原材料費

  • 試作品の開発に必要な原材料・副資材の購入経費

_

外注費

  • 新製品・サービスの開発に必要な加工や
    設計(デザイン)・検査の一部を外注する経費

上限額は補助対象経費総額(税抜)の2分の1

知的財産権等関連経費

  • 新製品・サービスの事業化に必要な知的財産権の取得にかかる
    弁理士の手続代行費用、外国特許出願などにかかる経費

上限額は補助対象経費総額(税抜)の3分の1

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 18次公募要領 概要版

経費計上するには、上記のうち次の条件を満たす必要があります。

  • 補助事業の対象と明確に区分できる
  • 経費の必要性・金額の妥当性が証拠書類で明確に確認できる
  • 交付決定以降に発注し、補助事業実施期間内に支払いを完了している

見積段階から、補助対象経費となる部分を区別し、書類を整えておくことが大切です。

ものづくり補助金の支援分類

ものづくり補助金の対象事業とは?基本的な要件や対象事業者を紹介!                _2

以下では、ものづくり補助金の支援分類についてくわしく紹介します。

1.省力化(オーダーメイド枠)

省力化枠は第17次から新設された申請枠であり、中小企業・小規模事業者の人手不足解消が目的です。

従業員規模によって補助額が変わる特徴があり、以下のように比例して補助額が増加していきます。

従業員規模

補助額(特例上限)

補助率

5人以下

100万~750万円以内(1,000万円以内)

  • 中小企業1/2
  • 小規模・再生事業者は2/3

 

1500万を超える場合:

中小企業:1/2・1/3

小規模・再生事業者:2/3・1/3

6~20人

100万~1,500万円以内(2,000万円以内)

21~50人

100万~3,000万円以内(4,000万円以内)

51~99人

100万~5,000万円以内(6,500万円以内)

100人以上

100万~8,000万円以内(1億円以内)

※大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例を受けると、括弧内の補助額に引き上げられます。

なお、ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠では、補助金額が1,500万円を超えた部分の補助率が変更されます。

 

補助金額1,500万円まで

補助金額1,500万円を超える部分

中小企業

1/2

1/3

小規模・再生事業者

2/3

1/3

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版

2.製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)

製品・サービス高付加価値化枠の(通常類型)は、第17次から再編成された申請枠です。

こちらの申請枠も従業員規模によって補助額が変わる特徴があり、以下のように比例して補助額が増加していきます。

従業員規模

補助上限額

補助率

5人以下

750万円(850万円)

  • 1/2
  • 小規模・再生 2/3
  • 新型コロナ回復加速化特例 2/3

6~20人

1,000万円(1,250万円)

21人以上

1,250万円(2,250万円)

※大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例を受けると、括弧内の補助額に引き上げられます。

また、この申請枠には新たな特例措置があり、新型コロナ回復加速化特例に該当すれば中小企業の補助率が1/2から2/3にアップします。

 新型コロナ回復加速化特例の要件

  1. 常時使用する従業員がいること
  2. 2022年10月から2023年8月までに、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること
  3. 補助事業を完了した事業年度の翌年度3月末時点において、その時点での給与支給総額が1.5%以上増加目標を達成していること
  4. 補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以上の水準を達成していること

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 18次公募要領 概要版

申請前に該当するか確認し、申告しましょう。

3.製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型)

製品・サービス高付加価値化枠の(通常類型)は、第17次から新設された申請枠です。

従業員規模によって補助額が変わる特徴があり、以下のように比例して補助額が増加していきます。

従業員規模

補助上限額

補助率

5人以下

1,000万円(1,100万円)

2/3

6~20人

1,500万円(1,750万円)

21人以上

2,500万円(3,500万円)

※大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例を受けると、括弧内の補助額に引き上げられます。

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 18次公募要領 概要版

なおこの申請枠は、今後成長が見込まれる分野(DX)や特定の分野(GX)に限定されており、製品・サービスの開発を伴わないものは申請できません。

4.グローバル枠

グローバル枠は、従業員規模によって補助額が変わる特徴があり、以下のように比例して補助額が増加していきます。

従業員規模

補助上限額

補助率

5人以下

3,000万円(3,100万円)

1/2

小規模 2/3

6~20人

3,000万円(3,250万円)

21人以上

3,000万円(4,000万円)

※大幅賃上げに係る補助上限額引き上げの特例を受けると、括弧内の補助額に引き上げられます。

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 18次公募要領 概要版

ものづくり補助金の対象事業者

ものづくり補助金の申請には、さまざまな要件を満たす必要があります。ここでは、組織形態や資本金、従業員数に関する条件を紹介します。

中小企業者等が対象

ものづくり補助金は、中小企業以外にも組合やNPO法人、社会福祉法人等が申請が可能です。

申請できる対象事業者の組織は、以下の通りです。

組織形態

詳細

中小企業者

資本金や常時使用する従業員が一定以下の企業

※金額や人数の規定は業種により異なる

 

例:製造業の場合

資本金3億円以下かつ従業員数300人以下

組合・法人

企業組合、協業組合、事業協同組合、商工組合、商店街振興組合など

※一部の組合では出資金と組合員に条件あり

小規模企業者・小規模事業者

常時使用する従業員人数が0人~20人以下の会社または個人事業主

※人数の規定は業種により異なる

特定事業者の一部

資本金が10億円未満かつ常時使用する従業員数が300人~500人以下

特定非営利活動法人

常時使用する従業員人数が300人以下のNPO法人

社会福祉法人

従業員数が 300 人以下

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版

公益財団法人・一般社団法人・医療法人・法人格のない任意団体は対象外となります。

ものづくり補助金の申請には、業種ごとの資本金および常時使用する従業員数を確認することが大切です。申請を検討している人は、以下で紹介する要件も確認してください。

製造業以外でもOK

ものづくり補助金は製造業以外でも申請が可能です。

ものづくり補助金の補助対象者は、業種別の資本金や従業員数で判断されます。

業種

資本金

常勤従業員数

製造業、建設業、運輸業、旅行業

3億円

300人

卸売業

1億円

100人

サービス業

(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)

5,000万円

100人

小売業

5,000万円

50人

ゴム製品製造業

(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業
並びに工業用ベルト製造業を除く)

3億円

900人

ソフトウェア業又は情報処理サービス業

3億円

300人

旅館業

5,000万円

200人

その他の業種(上記以外)

3億円

300人

※ 資本金は、資本の額又は出資の総額

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版

なお小規模企業者・小規模事業者は、常勤従業員数で定義されています。
人数は製造業その他業種・宿泊業・娯楽業の場合20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下の、会社または個人事業主です。

ものづくり補助金を申請する際に注意すべき点

ものづくり補助金の対象事業とは?基本的な要件や対象事業者を紹介!                _1

以下では、ものづくり補助金を申請する際に注意すべき点を紹介します。

50万円以上の設備投資が必要になる

ものづくり補助金では、単体価格50万円(税抜き価格)以上の設備投資を行う必要があります。

業種などによっては大きな設備投資を必要としない場合には、申請できないので注意してください。

5年間は報告義務がある

補助金が交付された後は、事業対象者は事業の報告義務があります。

「補助事業の手引」に記載された方法に沿って、事務局へ5年間で計6回「事業化状況・知的財産権等報告書」を提出します。

後払いになるため資金確保が必要になる

事業者はある程度の設備投資資金を用意して設備投資を行う必要があります。

ものづくり補助金は、採択されても補助金が振込されません。交付申請や実績報告書の提出、確定監査を経て補助金の(精算払)申請が可能となります。

一般的に精算払申請した後、2週間程度で振り込まれます。

そのため長期的な資金の確保・運用が必要となるため、借入金の借入・返済を検討しておくことが大切です。

工事を含めると、交付申請から半年〜1年程度必要となり、資金の確保をしっかりと考えておきましょう。

ものづくり補助金の申請方法

ものづくり補助金は、申請プロセスが電子化されています。準備段階を含め、申請に必要な書類を以下にて紹介します。

申請前に「GビズID」の取得が必要

先ほど紹介した申請の流れで登場した「GビズID」は、ものづくり補助金の電子申請システムを利用する際に事前に取得が必要なデジタルアカウントです。

この「GビズID」は、企業から国への申請に関する行政サービスを1つのアカウントで利用できる認証システムとなっており、ものづくり補助金の申請時だけでなく、他の補助金制度でも利用可能です。

「GビズID」の取得には、デジタル庁への事業者登録が必要となります。IDの取得までに時間がかかるため、早めに登録しものづくり補助金の申請準備を整えましょう。

申請に必要な書類

申請時には事業計画書をはじめとした必要書類は、電子ファイルにて作成し、提出する必要があります。

提出書類は申請する枠組みや事業形態によって異なりますが、共通する書類は以下の通りです。

  • 事業計画書
  • 補助経費に関する誓約書
  • 賃金引上げ計画の誓約書
  • 決算書等
  • 従業員数の確認資料
  • 労働者名簿
  • 「再生事業者」であることを証明する書類
  • 大幅な賃上げ計画書
  • 金融機関による確認書
  • 海外事業の準備状況を示す書類
  • 最低賃金要件に関する確認書
  • その他加点に必要な資料(任意)

なお基本的な企業情報等は、別途電子申請システムに直接入力する必要があります。

【まとめ】ものづくり補助金の対象事業を紹介しました

ものづくり補助金の対象事業は大きく分類すると4つです。各申請枠には、従業員数や形態によって補助額の上限が変更になります。

まずは、対象事業の全体を把握し、細かな条件や書類を確認しましょう。