ものづくり補助金の交付申請の必要書類は?差し戻しになるケースも紹介
ものづくり補助金が採択されたが、その後の「交付申請」で滞っている方もいるかと思います。「何の書類が必要で、どのように提出すればよいかわからない」といった悩みもあるでしょう。そこで本記事では、ものづくり補助金の交付申請の必要書類をご紹介。交付申請の手順や書類が差し戻しになってしまうケースについてもお伝えします。
ものづくり補助金における交付申請とは
ものづくり補助金における交付申請とは、応募に通過した後に行う第二ステップです。まず「応募」にて、事業計画や決算書、労働者名簿などを添付し、それが採択されたら「交付申請」のステップに進めます。交付申請に通過すると「交付決定」され、補助事業をスタート可能です。
ものづくり補助金における交付申請の必要書類
ものづくり補助金における交付申請では以下の書類が必要です。それぞれの書類について詳しく解説します。
事業計画書等一式1(申請内容ファイル)
申請内容ファイルとは、同補助金の申請システムからダウンロードできるExcelファイルをまとめたものです。応募時点で提出したファイルを見直し、必要に応じて修正します。次の書類があり、Excelファイルとして保存し、最後にZipファイルにて提出します。
- 補助事業計画書
- 会社全体の事業計画書
- 決算書
- 労働者名簿
- 補助事業計画書別紙
補助事業計画書
補助事業の内容や計画を説明する資料です。文章だけでなく図やグラフなどを用いて説明します。記載内容は以下のとおりです。
- 補助事業の具体的取組内容
- 将来の展望
- 事業計画における付加価値額等の算定根拠
付加価値額の算定根拠とは、営業利益や人件費、減価償却費などの数値を、説明しやすいように細かく分解したものです。「補助事業の具体的取組内容」と「将来の展望」については、変更があった場合、変更内容をファイルに添付しましょう。
会社全体の事業計画
補助事業のみならず、自社全体の事業計画を記載した書類です。書類には「付加価値額」や「給与支払総額」などを盛り込みます。
決算書
法人の場合、決算書の添付が必要です。直近2年間の貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書といった書類が含まれます。
労働者名簿
自社に在籍している従業員の一覧表です。様式は任意となっています。
補助事業計画書別紙
主に補助事業にかかる経費の明細を記載します。機械装置・システム構築費、技術導入費、クラウドサービス利用費など。何の経費をどのような用途で使うのか詳細を記載します。
事業計画書一式2(見積書や誓約書など)
交付申請では申請ファイルのほか、「事業計画書一式2」の提出も必須です。具体的には以下の書類が含まれます。
- 見積書・相見積書
- 履歴事項全部証明書(法人の場合)
- 確定申告書(個人の場合)
- 賃金引上げ計画の誓約書
- 補助経費に関する誓約書
見積書・相見積書
経費の購入元より発行された見積書が必要です。なお、費用単価50万円以上(税抜)の場合、相見積書が必要となります。機械設備であれば2者以上、中古品であれば3者以上の見積もりが必須です。
履歴事項全部証明書
法人の場合、会社の登記情報が記載された「履歴事項全部証明書」が必要です。書類は法務局の窓口にて取得できます。
確定申告書
申請者が個人の場合、「確定申告書」が必要です。確定申告書にはいくつかの書類が含まれますが「第一表の写し」を提出すれば問題ありません。
賃金引上げ計画の誓約書
ものづくり補助金における賃上げで、実際に賃金を引き上げることを誓約する書類です。
補助経費に関する誓約書
補助事業計画に記載する経費を実際の事業で使い、他の補助金と重複がないことを誓約する書類です。
続いて、ものづくり補助金の交付申請の手順をご紹介します。
交付申請書に従って入力する
ものづくり補助金の公式ページから「交付申請書」をダウンロードし、内容に従って入力を進めます。基本的には、事業計画名や経費、申請金額など、応募段階で作成した計画に沿って入力しましょう。
見積書を取得する
続いて見積書を取得します。見積書が必要なのは、購入する製品やサービスが妥当な金額であることを示すためです。費用単価50万円以上(税抜)だと相見積書が必要です。機械設備であれば2者以上、中古品であれば3者以上の相見積を出しましょう。
必要書類を揃えてjGrants上で申請する
お伝えした「事業計画書等一式1」と「事業計画書等一式2」のファイル・データを揃えて、jGrants(ジェイグランツ)上で申請を行います。jGrantsとは、デジタル庁が運営する、補助金の電子申請システムです。申請時は、ものづくり補助金の「jグランツ入力ガイド」を参考になさってください。
交付申請で書類が「差し戻し」になるケース
ものづくり補助金の交付申請では、書類が差し戻しになる可能性もあります。たとえば以下のようなケースです。
相見積の条件と品目名が一致しない
相見積書の様式は決まっていませんが、比較する各業者の条件や品目名が一致していないと、書類が差し戻される可能性が高いです。すべての業者が同一条件・品目で比較されているか、細かくチェックしましょう。
経費の見積書が揃っていない
交付申請では、経費すべての見積書を提出しなければなりません。たとえば機械装置・システム構築費と運搬費、クラウドサービス利用費の3つがあった場合、3つすべての見積書を用意する必要があります。1つでも欠けると差し戻されるので、複数の経費がある場合は注意が必要です。
見積書の有効期間が過ぎている
見積書の有効期限が過ぎていて差し戻しを受けるケースです。基準は「交付決定日」となります。見積書の有効期限が交付決定日より前だった場合、差し戻しの対象です。交付申請から交付決定まで3ヶ月程度かかることがあるため、見積書は余裕をもって作成してもらいましょう。
消費税や地方消費税を含めている
ものづくり補助金では、消費税や地方消費税額を算定に含めることができません。補助金額を申請する際は、すべて「税抜」で計算する必要があります。見積書や相見積書を提出する際も、税抜金額が表示されているか確認しましょう。
書類が差し戻されたら事務局に確認する
提出書類が差し戻されたら、その理由を事務局に聞いてみましょう。明らかに不備がある場合は自力で修正できますが、理由がわからない場合は、直接問い合わせるのが早いです。担当者によって対応は違いますが、何が原因で差し戻されて、どのように修正すべきか具体的に提示してくれます。
【まとめ】ものづくり補助金の交付申請における必要書類を紹介しました
提出書類は大きく「事業計画書等一式1」と「事業計画書等一式2」に分類できます。ただし、Zipファイルにまとめる必要があったり、応募時に提出した事業計画を見直して適宜修正を加える必要があったりと、ある程度の工数がかかります。書類が差し戻しになれば自社の担当者の負担も大きくなるので、必要書類の内容を見直し、正しい形式で提出しましょう。