事業再構築補助金の成長枠の概要、対象業種・採択事例などを解説!

事業再構築補助金の成長枠の概要、対象業種・採択事例などを解説!

事業再構築補助金の成長枠について調べたものの「成長枠と通常枠はどう違うのか」「自社の事業は該当するのか」がいまいち分からなかった方もいるかもしれません。本記事では、成長枠の概要や通常枠との違い、必要書類や採択事例を解説します。ぜひ、参考にしてください。

目次
  1. 1. 事業再構築補助金の通常枠と成長枠の違い
    1. 1-1. 事務局が業種を指定する
    2. 1-2. 売上高等減少要件が撤廃された
    3. 1-3. 補助率の減少
    4. 1-4. 補助上限の減少
  2. 2. 事業再構築補助金の成長枠が対象外になる業種・業態
  3. 3. 事業再構築補助金の採択事例
    1. 3-1. 製造業の採択事例
    2. 3-2. 小売業の採択事例
  4. 4. 事業再構築補助金の成長枠の補助率を引き上げるには
  5. 5. 事業再構築補助金の成長枠の申請に必要な書類
  6. 6. 【まとめ】事業再構築補助金の成長枠について紹介しました

事業再構築補助金の通常枠と成長枠の違い

廃止された通常枠と代わりに新設された成長枠の主な違いは、以下の4つです。順に解説していきます。

事業再構築補助金の成長枠の概要、対象業種・採択事例などを解説!_2

事務局が業種を指定する

成長枠では、業種や業態が指定されていることが大きな変更点です。成長が見込まれる分野に事業再構築することを支援する枠になったためこのような変更がされました。

よって、成長枠で申請するためには共通の必須要件を満たした上で、原則として事務局に指定されている業種・業態に該当することが条件となります。指定されているリストは、事業再構築補助金の公式Webサイト内の「成長枠の対象となる業種・業態の一覧」で確認できます。主に製造業や小売業、卸売業が中心にリストアップされていることが特徴です。

事業再構築補助金公式Webサイト内「成長枠の対象となる業種・業態の一覧」

ただし、事務局が指定した業種や業態でない場合でも応募時に要件を満たすことを証明するデータを提出して認められれば対象になります。

売上高等減少要件が撤廃された

成長枠では、以前の通常枠にあった「売上高等減少要件」が撤廃されました。これまでは売上高が一定以上減少してなければいけませんでしたが、成長枠では不問です。

これまではコロナの影響で売上が減少した事業者が主な利用者でしたが、売上高等減少要件が撤廃されたことにより成長中の事業者でも利用可能になりました。自社で行う予定の事業が成長枠の対象になっている場合は、好調な事業者であっても利用を検討してみると良いでしょう。

補助率の減少

成長枠では、これまでの通常枠よりも補助率が減少しています。変更前と変更後の補助率は、以下の表の通りです。

企業規模

過去にあった通常枠

成長枠

中小企業

3分の2

2分の1

中堅企業

2分の1

3分の1

出典:事業再構築補助金第11回「公募要領」

補助上限の減少

成長枠では、補助率と同様に補助金額の上限も減少しています。変更前と変更後の補助上限は以下の表の通りです。

従業員数

補助の上限額

20人以下

2,000万円

21~50人

4,000万円

51~100人

5,000万円

101人以上

7,000万円

出典:事業再構築補助金第11回「公募要領」

事業再構築補助金の成長枠が対象外になる業種・業態

事業再構築補助金の成長枠では、飲食業や宿泊業、旅行業、介護施設などさまざまな業種が対象外です。ただし、過去の公募に申請した事業者が成長分野であることを証明しているものについてはその後の公募では指定業種として扱われます。

例えば、中分類では宿泊業の一部であるキャンプ場・グランピング施設宿泊業は、第10回の公募の際に認められているため補助対象です。また、焼肉店も中分類では飲食業の一部ですが、第10回の公募の際に認められていますので小分類での焼肉店は補助対象です。

このように、対象外であっても成長分野であることを証明できれば補助対象になるため、対象外になる業種や業態は一概にはいえません。

日本標準産業分類の小分類基準で定められているので、自社の事業がどの小分類になるかを調べて、事業再構築補助金事務局のリストにあるか確認しましょう。その際は「業界団体等が要件を満たすことについて示した業種・業態」も忘れずに確認してください。

事業再構築補助金公式Webサイト内「成長枠の対象となる業種・業態の一覧」

事業再構築補助金の採択事例

第10回の公募で採択された案件から一部を採択事例として紹介しますので、参考にしてください。

製造業の採択事例

製造業の採択事例1

企業名

株式会社中野製作所

事業計画名

木の愛好家向け地域資源・十勝木材を魅せるオリジナル家具製造業

概要

コロナで在宅時間が長くなり、木の名産地産家具の販売量が増加している。

そこで、立型MCを設備し、十勝木材を生活スタイルと調和する

曲線的な加工を施した自社ブランド家具の製造事業を展開できる体制を構築する。

引用元:事業再構築補助金公式サイトの第10回公募採択案件一覧

製造業の採択事例2

企業名

有限会社山川牧場自然牛乳

事業計画名

明治創業ジャージー牧場の命運をかけた幻のジャー黒加工事業

概要

酪農と乳製品製造を行う当社が、ジャージー牛とホルスタイン牛を交雑した

希少なジャー黒牛を用いた食肉加工業に参入する。

新たに精肉・弁当・冷凍食品を製造・販売することで

コロナ不況と飼料高騰に対抗する事業。

引用元:事業再構築補助金公式サイトの第10回公募採択案件一覧

小売業の採択事例

小売業の採択事例1

企業名

株式会社高千代

事業計画名

セルフ写真館新設

概要

店舗2階を年齢業種を問わず利用できるセルフ写真館を新設し、

成人式等イベント時の記念撮影の他、プリント倶楽部(プリクラ)のような

気軽に撮影できるサービスを提供する。

引用元:事業再構築補助金公式サイトの第10回公募採択案件一覧

小売業の採択事例2

企業名

河原商店

事業計画名

グリーンツーリズム型古民家民泊による世界遺産地域結節点の実現

概要

酒小売店事業から新たに体験型民泊事業に進出し、

地域課題と当社課題の双方の解決を図っていきます。

現有資産である古民家を改装しての農泊体験と

平泉・一関の観光資源等を活かした体験型サービスの提供。

引用元:事業再構築補助金公式サイトの第10回公募採択案件一覧

事業再構築補助金の成長枠の補助率を引き上げるには

事業再構築補助金の成長枠は、大規模な賃上げを行うことで補助率を上げられます。中小企業の場合は2分の1から3分の2へ、中堅企業の場合は3分の1から2分の1へ増やせます。

具体的な要件は以下の2つです。

  • 補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上増加させること
  • 補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること

どちらも簡単に達成できる目標ではないので、認定支援機関や中小企業診断士などの専門家に相談をすると良いでしょう。

事業再構築補助金の成長枠の申請に必要な書類

事業再構築補助金の成長枠に必要な申請書類を解説します。

まず、すべての枠で必要になる書類は以下の書類です。

  • 事業計画書
  • 認定経営革新等支援機関による確認書
  • 決算書
  • ミラサポplus「ローカルベンチマーク」の事業財務情報
  • 従業員数を示す書類(労働者名簿)
  • 収益事業を行っていることを説明する書類

これに加えて、補助金額が3,000万円を超える場合は「金融機関による確認書」、新築にかかる費用を計上する場合は「新築の必要性に関する説明書」が必要です。

成長枠で必要になる書類は以下の2つです。

  • 市場拡大要件を満たすことの説明書
  • 給与総額増加要件を満たすことを説明する書類(賃金引上げ計画の誓約書)

【まとめ】事業再構築補助金の成長枠について紹介しました

事業再構築補助金の成長枠は、以前の通常枠に代わって新設された枠です。成長分野に対して事業再構築をする事業者に向けた支援のため、成長分野と認められる分野でしか使えなくなりました。代わりに売上高減少要件がなくなったので、成長中の企業でも利用可能です。

また、公募時点では成長分野と認められていなくても、申請時に証明できれば補助対象となります。自社の事業が対象の分野でなかったとしても、成長枠の利用を検討してみても良いかもしれません。