補助金の申請から交付までの流れとは?書類作成のポイントも解説

補助金の申請から交付までの流れとは?書類作成のポイントも解説

補助金の申請を検討している方の中には、どのような流れで進めればよいか知りたいという方も多いのではないでしょうか。本記事では、申請から交付までの一連の流れや手続きを紹介します。書類作成のポイントも解説するので、ぜひお役立てください。

目次
  1. 1. 補助金とは
    1. 1-1. 助成金との違い
  2. 2. 補助金申請の流れ
    1. 2-1. 補助金を探す
    2. 2-2. 公募要領を読み込む
    3. 2-3. 申請書を作成する
    4. 2-4. 必要書類を準備する
    5. 2-5. 最終チェックを行う
    6. 2-6. 審査を受ける
    7. 2-7. 採択される
    8. 2-8. 事業を実施する
    9. 2-9. 中間検査を受ける
    10. 2-10. 確定検査を受ける
  3. 3. 補助金の申請書類を作成する際のポイント
    1. 3-1. 審査基準を満たしている理由を示す
    2. 3-2. 専門用語は使いすぎない
    3. 3-3. 客観的に記述する
    4. 3-4. 専門家に相談する
  4. 4. 補助金を申請する際の事前チェックポイント
    1. 4-1. 趣旨に合致しているか
    2. 4-2. 応募期限に間に合うか
    3. 4-3. 資金繰りは問題ないか
  5. 5. 中小企業が申請可能な補助金4選
    1. 5-1. 小規模事業者持続化補助金
    2. 5-2. IT導入補助金
    3. 5-3. 事業再構築補助金
    4. 5-4. ものづくり補助金
  6. 6. 【まとめ】補助金申請から交付までの流れを解説しました

補助金とは

補助金とは、国や自治体などが、企業の業務改善や販路拡大を後押しするために支給するお金のことを指します。税金を財源としており、返済不要であるのが特徴です。年度ごとに補助額や補助率、対象となる経費が変更される場合があるため、最新の情報を確認して手続きを進める必要があります。

助成金との違い

補助金と似たものに助成金があります。助成金も補助金と同じように返済義務はありません。主な違いは実施主体です。補助金は主に経済産業省が実施しており、助成金は主に厚生労働省が実施しています。また、補助金には審査があり、必ず受け取れるわけではありませんが、助成金は受給要件を満たしていれば高い確率で受け取ることが可能です。

補助金申請の流れ

補助金を申請する際の一連の流れは以下の通りです。

  1. 補助金を探す
  2. 公募要領を読み込む
  3. 申請書を作成する
  4. 必要書類を準備する
  5. 最終チェックを行う
  6. 審査を受ける
  7. 採択される
  8. 事業を実施する
  9. 中間検査を受ける
  10. 確定検査を受ける

順番に解説します。

補助金を探す

まずは自社のニーズに合致した補助金を探しましょう。補助金は、経済産業省や中小企業庁、各自治体などのWebサイトで公表されています。資料を読んだり、セミナーに参加したりして情報収集を行いましょう。どの補助金がよいのかわからない場合は、補助金コンサルタントが実施している無料相談を活用してみるのもよいかもしれません。専門家が自社に適した補助金を提案してくれます。

公募要領を読み込む

公募要領とは、補助金に応募する際のルールが記載された資料のことです。採択につなげるためには、公募要領を読み込んで、補助金制度の目的を理解することが不可欠です。補助金を交付することで国や自治体が何を実現したいのかを把握した上で申請書類の作成に着手しましょう。

申請書を作成する

申請書はわかりやすさを重視して作成するのがポイントです。審査員は自社の業界に詳しいとは限らないので、専門用語はできるだけ使わずに易しい言葉に置き換えたり、注釈をつけたりしましょう。数値データを用いれば、伝わりやすくなるだけでなく説得力も増します。

必要書類を準備する

補助金を申請する際は、申請書以外にも決算書類や履歴事項全部証明書などの提出が求められます。書類の取得に時間がかかる場合もあるため、余裕をもって入手しておきましょう。また、例えば事業再構築補助金では、申請にあたって「認定支援機関」の確認が必要になります。申請期限に間に合うように各種準備を進めましょう。

最終チェックを行う

提出書類が揃ったら、最終チェックを行います。「誤字や脱字はないか」「数値は正しいか」「専門用語を多用してないか」などを複数人で確認しましょう。

審査を受ける

申請書類は、事務局から委託された中小企業診断士や税理士などの専門家によって審査されます。審査員が項目ごとに採点して点数の高い順に採択されます。審査基準は新規性や独自性、実現可能性などです。公募要領に審査基準が記載されている場合もあるので、確認しておきましょう。

採択される

審査を通過して、補助金を受け取れる権利を得ることを採択されるといいます。採択された後は、事務手続きを行い、補助金の交付が決定します。

事業を実施する

補助金の交付決定日以降に、事業を実施しましょう。交付決定日より前に商品やサービスの契約をしてしまうと、補助対象外になってしまうので注意が必要です。また、申請した事業計画から経費が大幅に増加した場合は、補助対象外となってしまう可能性があります。経費は正確に見積もって、予期せぬ事態が起きないように注意しましょう。

中間検査を受ける

中間検査とは、事業期間中に事務局が事業所を訪問し、進捗状況を確認することです。補助金によって中間検査がない場合もあります。

確定検査を受ける

確定検査とは「申請内容の通りに事業が実施されたか」「経費の支出は適正化」などを事務局がチェックすることです。確定検査を経て、補助額が決定し、補助金が交付されます。

補助金の申請書類を作成する際のポイント

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審査基準を満たしている理由を示す

審査基準を満たしている理由を第三者が理解できるように示しましょう。例えば、IT導入補助金の場合、導入するITツールと改善すべきプロセスがマッチしているかが厳しく審査されます。ITツールの導入によって、なぜプロセスを改善できるのかがわかるように記載しましょう。その際は、数値を用いて、審査員が客観的に判断できるようにするのがおすすめです。

専門用語は使いすぎない

業界特有の言葉や専門用語を使いすぎている場合、審査員が理解できない可能性があります。伝えたいことが十分に伝えられないおそれがあるため、わかりやすい言葉に置き換えたり、注釈をつけて誰が読んでもわかる内容に仕上げましょう。

客観的に記述する

主観的な意見を記載するのではなく、納得感をもってもらえるように客観性を意識して書類を作成しましょう。例えば、補助金を活用することで、生産性を向上できるのであれば、現状のコストと補助金活用語のコストを数値で示すことが効果的です。

専門家に相談する

一部の中小企業診断士や税理士、経営コンサルタントなどの専門家は、補助金のコンサルティングを行っている場合があります。コンサルタントの中には、自社に適した補助金を提案してくれるケースもあります。どの補助金を申請すればよいか迷っているのであれば、積極的に相談してみるとよいでしょう。なお、初回の相談を無料で実施している専門家もいるので、有効活用することをおすすめします。

補助金を申請する際の事前チェックポイント

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趣旨に合致しているか

補助金を申請する際は、趣旨に合致しているか確認しましょう。補助金ごとに趣旨は異なるので、公募要領を熟読して補助金を交付する国や自治体の意図を把握することが重要です。

例えば、IT導入補助金の場合は、ITツールの導入によって、業務改善や生産性向上を図るのが趣旨です。事業再構築補助金の場合は、時代の変化に対応するために、自社の事業を思い切って転換したり、再構築したりするのが趣旨です。取り組みが魅力的だったとしても、趣旨とあわない場合は不採択になる可能性が高まるので注意しましょう。

応募期限に間に合うか

補助金はいつでも申請できるわけではありません。申請期限が定められているので、逆算して間に合うように余裕をもって準備する必要があります。提出書類は補助金によって異なりますが、申請書のほかに決算書類や履歴事項全部証明書、所得税の確定申告書などが求められます。取得にかかる時間を考慮して、スケジュールを立てて手続きを進めましょう。

資金繰りは問題ないか

補助金は後払いで支払われるため、補助事業にかかる経費は一旦、自社が負担しなければなりません。経費の支払いで資金繰りが悪化して、事業に支障が出ないように配慮する必要があります。自社で資金を用意するのが難しい場合は、銀行から借り入れるなどして対応しましょう。

中小企業が申請可能な補助金4選

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主要な補助金の対象事業者や補助額、補助率を紹介します。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、販路開拓や生産性向上を目的としており、小規模事業者が申請できます。

対象事業者

  • 商業・サービス業:従業員数5人以下
  • サービス業(宿泊業・娯楽業):従業員数20人以下
  • 製造業・その他:従業員数20人以下

補助額と補助率

申請枠

補助額

補助率

通常枠

50万円

2/3

賃金引上げ枠

200万円

2/3

卒業枠

200万円

2/3

後継者支援枠

200万円

2/3

創業枠

200万円

2/3

IT導入補助金

IT導入補助金とは、ITツールを導入して業務改善や生産性向上を図る中小企業や小規模事業者を対象とした補助金です。

対象事業者

対象事業者は以下のような小規模事業者や中小企業です。

<小規模事業者>

  • 商業・サービス業:従業員数5人以下
  • サービス業(宿泊業・娯楽業):従業員数20人以下
  • 製造業・その他:従業員数20人以下

<中小企業>

  • 製造業:資本3億円以下または従業員300人以下
  • 卸売業:資本1億円以下または従業員100人以下
  • サービス業:資本5,000万円以下または従業員100人以下
  • 小売業:資本5,000万円以下または従業員50人以下
  • ソフトウェア業:資本3億円以下または従業員300人以下
  • 旅館業:資本5,000万円以下または従業員200人以下
  • その他の業種:資本3億円以下または従業員300人以下

補助額と補助率

申請枠

補助額

補助率

通常枠(A類型)

5万円~150万円未満

1/2以内

通常枠(B類型)

150万円~450万円以下

1/2以内

セキュリティ対策

推進枠

5万円~100万円

1/2以内

デジタル化基盤導入枠

(下限なし)~50万円以下

3/4以内

50万円超~350万円

2/3以内

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、業種転換や事業再編などのように思い切った取り組みを行う事業者を支援することを目的としています。

対象事業者

対象事業者は以下のような中小企業および中堅企業です。

<中小企業>

  • 製造業:資本3億円以下または従業員300人以下
  • 卸売業:資本1億円以下または従業員100人以下
  • サービス業:資本5,000万円以下または従業員100人以下
  • 小売業:資本5,000万円以下または従業員50人以下
  • ソフトウェア業:資本3億円以下または従業員300人以下
  • 旅館業:資本5,000万円以下または従業員200人以下
  • その他の業種:資本3億円以下または従業員300人以下

<中堅企業>

中小企業の範囲に収まらない資本金10億円未満の会社

補助額と補助率

申請枠

補助額

補助率

成長枠

100万~7,000万円

中小企業:1/2

 (大規模な

賃上げを実施する場合:2/3)

中堅企業:1/2

 (大規模な

賃上げ実施する場合:1/2)

グリーン成長枠

100万~1.5億円

中小企業:1/2

 (大規模な

賃上げを実施する場合:2/3)

中堅企業:1/3

 (大規模な

賃上げ実施する場合:1/2)

卒業促進枠

成長枠・グリーン

成長枠の補助金

額上限に準じる

中小企業者:1/2

中堅企業:1/3

大規模賃金引上促進

100万~3,000万円

中小企業者:1/2

中堅企業:1/3

産業構造転換枠

100万~7,000万円

中小企業者:2/3

中堅企業:1/2

最低賃金枠

100万~1,500万円

中小企業者:3/4

中堅企業:2/3

物価高騰対策・回復再生応援枠

100万~3,000万円

中小企業者:2/3

中堅企業:1/2

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、革新的なサービスや試作品の開発、生産プロセスの改善に取り組む中小企業や小規模事業者の設備投資を支援することを目的としています。

対象事業者

主に以下に該当する事業者がものづくり補助金の対象です。

<小規模事業者>

  • 商業・サービス業:従業員数5人以下
  • サービス業(宿泊業・娯楽業):従業員数20人以下
  • 製造業・その他:従業員数20人以下

<中小企業>

  • 製造業:資本3億円以下または従業員300人以下
  • 卸売業:資本1億円以下または従業員100人以下
  • サービス業:資本5,000万円以下または従業員100人以下
  • 小売業:資本5,000万円以下または従業員50人以下
  • ソフトウェア業:資本3億円以下または従業員300人以下
  • 旅館業:資本5,000万円以下または従業員200人以下
  • その他の業種:資本3億円以下または従業員300人以下

補助額と補助率

申請枠

補助額

補助率

通常枠

100万~1,250万円

1/2

※小規模事業者・再生事業者:2/3

回復型賃上げ・雇用拡大枠

100万~1,250万円

 

 

2/3

デジタル枠

100万~1,250万円

2/3

グリーン枠

100万~4,000万円

2/3

グローバル市場開拓枠

100万~3,000万円

1/2

※小規模事業者・再生事業者:2/3

【まとめ】補助金申請から交付までの流れを解説しました

採択されてからではなく、交付が決定してから補助事業を開始しましょう。交付決定日より前に契約したり、経費を支払ったりした場合、補助金の対象経費になりません。また、補助金は後払いであるため、資金繰りにも注意が必要です。補助金の申請と同時に、資金計画を立てて、本業に支障が出ないように手続きを進めましょう。