助成金のメリットとデメリットを徹底解説!

助成金のメリットとデメリットを徹底解説!

助成金の申請を検討している方の中には、メリットとデメリットを理解した上で判断したいという方も多いのではないでしょうか。本記事では、助成金のメリット6つとデメリット5つを解説します。中小企業におすすめの助成金も紹介するので、ぜひお役立てください。

目次
  1. 1. 助成金とは
  2. 2. 助成金のメリット6選
    1. 2-1. 返済義務がない
    2. 2-2. 自由に使える
    3. 2-3. 労働環境を整備できる
    4. 2-4. 従業員の満足度を高められる
    5. 2-5. 人材を獲得しやすくなる
    6. 2-6. 社会的信用を得られる
  3. 3. 助成金のデメリット5選
    1. 3-1. 申請に労力がかかる
    2. 3-2. 会社の負担が増える場合がある
    3. 3-3. 資金繰りに注意する必要がある
    4. 3-4. 制度が変更・廃止することがある
    5. 3-5. 課税される
  4. 4. 中小企業におすすめの助成金7選
    1. 4-1. 人材確保等支援助成金
    2. 4-2. キャリアアップ助成金
    3. 4-3. 雇用調整助成金
    4. 4-4. 人材開発支援助成金
    5. 4-5. 両立支援等助成金
    6. 4-6. トライアル雇用助成金
    7. 4-7. 地域雇用開発助成金        
  5. 5. 【まとめ】助成金を活用して魅力的な職場をつくろう

助成金とは

助成金とは主に厚生労働省が主体となって実施する制度で、労働環境整備や雇用促進に取り組む企業に支給されます。補助金には審査があるため、支給されない可能性がある一方、助成金は申請要件を満たせば高い確率で支給されます。

助成金のメリット6選

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返済義務がない

銀行からの融資とは違い、助成金は返済義務がありません。会計上も雑収入として処理されます。返済不要のお金が数十万〜数百万円受け取れるため、企業には資金面で大きなメリットがあります。

自由に使える

補助金の場合は、申請段階で使途を明確にしなければならない一方、助成金には使途が定められていません。運転資金として活用できるほか、人材確保やシステムの導入費用にあてることが可能です。

労働環境を整備できる

助成金を申請する際には、労働条件通知書や就業規則、出勤簿、賃金台帳などの提出が求められます。申請要件を満たすために、書類を作成・準備することは、自社の労働環境を整備するきっかけになります。

従業員の満足度を高められる

助成金を申請する過程で、申請要件を満たすことにより、従業員満足度を高めることが可能です。申請要件を満たすには、法令に則った労務管理を行っている必要があるからです。例えば助成金の中には、以下の要件を満たしていなければ申請できないものもあります。

  • 未払い賃金がない
  • 法定労働時間を超える残業がない
  • 勤怠管理が適切に行われている

労働関係法令を遵守していなければ受給できないため、労働環境の健全化につなげることが可能です。

人材を獲得しやすくなる

申請要件を満たす過程で、労働環境が整備されるため、人材を獲得しやすくなります。例えば人材確保等支援助成金の申請要件は、研修制度やメンター制度、福利厚生などの充実化です。申請要件を満たすために制度を整備できるため、魅力的な職場づくりにつながります。

社会的信用を得られる

助成金を受給できれば、厚生労働省の審査を通過したとして、社会的な信用を得ることが可能です。コンプライアンス(法令遵守)に則った人事労務管理を行っている証になるのです。さらに、銀行からの融資を受けやすくなるメリットもあります。

助成金のデメリット5選

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申請に労力がかかる

助成金の申請手続きには様々なプロセスがあるため、労力がかかります。助成金を申請する際の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 申請要件の確認
  2. 計画の立案
  3. 計画書の提出
  4. 計画の実行
  5. 支給申請
  6. 審査
  7. 支給

特に計画の立案や書類作成、証拠書類の収集などに手間がかかるため、社内のリソースを使って申請する際は、本業に支障をきたす可能性があります。

会社の負担が増える場合がある

助成金を受給することを目的にしてしまうと、会社の負担が増える場合があります。例えば、要件を満たすためだけに、人員を採用したり、研修制度を設けたりすれば、経費が増して経営を圧迫するおそれも。助成金を受給できたとしても、長期的には費用の負担が増大してしまうため注意が必要です。

資金繰りに注意する必要がある

助成金は後払いのため、取り組みに必要な経費は自社で支払わなければなりません。例えばキャリアアップ助成金の場合、申請から至急までに半年から1年程度を要します。不正受給を防止するために、審査に時間がかかるからです。資金が不足している場合は、金融機関から融資を受けるなどで対応するとよいでしょう。

制度が変更・廃止することがある

助成金は経済情勢や社会情勢、国の予算などに応じて、変更や廃止される可能性があります。例えば、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金が2020年4月から支給されましたが、申請受付は2023年5月31日で終了しました。助成金が廃止されたり、助成額が減少したりする場合があるので、常に最新の情報をチェックしましょう。

課税される

助成金は収入として扱われるため、法人税や所得税がかかります。例えば、100万円の助成金を受け取った場合、100万円は法人の収益として計上されます。23%の法人税率が適用される場合、法人税を23万円納付しなければなりません。ただし、ほかの事業を含めて、赤字決算で課税される所得がない場合は法人税を支払う必要はありません。

中小企業におすすめの助成金7選

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人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金は、魅力ある職場環境づくりのために、労働環境の向上を図る場合に受給できる助成金です。テレワークコースでは、テレワークを導入して、労働環境を整えた場合に申請できます。

 

助成額

機器導入助成

 

支給対象経費の30%

※以下のいずれか低い方の金額が上限

 

  • 100万円
  • テレワーク実施対象労働者20万円/人

目標達成助成

(賃上げや離職率低下の目標を達成した場合)

支給対象経費の20%

(賃金要件を満たす場合35%)

 

※以下のいずれか低い方の金額が上限

 

  • 100万円
  • テレワーク実施対象労働者20万円/人

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者のキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取り組みを実施した場合に受給できる助成金です。非正規雇用労働者とは、アルバイトやパート、契約社員、派遣社員などのことです。正社員コースでは、非正規雇用労働者を正社員化した際に助成金が支給されます。

 

助成額

有期雇用から正規雇用に転換

57万円

無期雇用から正規雇用に転換

28.5万円

雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、経済的な理由により、事業活動を縮小せざるを得なくなった企業が、労働者の雇用を維持した場合に受給できる助成金です。具体的には、休業や教育訓練、出向などにかかった費用が助成されます。

 

助成率または助成額

  • 休業手当や教育訓練の賃金に対する助成率
  • 出向させた場合の出向元企業の負担額に対する助成率

 

   ※上限は8,490円/人(2023年年8月1日時点)

 

中小企業:2/3

中小企業以外:1/2

教育訓練を行った際の加算額        

1人1,200円/日

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、従業員が職務に関連した専門的な知識やスキルを習得することを目的として、職業訓練を実施した場合に受給できます。人材育成訓練コースでは、非正規雇用労働者を対象に、正社員化に向けた訓練を実施した場合も助成対象です。

 

助成率

助成額

人材育成訓練コース

45~70%

1人760円/時間

両立支援等助成金

両立支援等助成金とは、仕事と家庭の両立支援や女性の活躍推進に取り組んだ場合に受給できる助成金です。出生時両立支援コースは子育てパパ支援助成金とも呼ばれ、男性労働者が育児休暇を取得しやすい職場づくりに取り組んだ場合に助成金が支給されます。

 

助成額

育児休暇取得

20万円

代替要員加算

(労働者の育児休暇中に別の労働者を雇用した場合)

 

20万円(3人以上は45万円)

育児休業等に関する情報公表加算

2万円

 

育児休業取得率の30%以上上昇

1年以内達成:60万円

2年以内達成:40万円

3年以内達成:20万円

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金とは、職業経験やスキル、知識などが不足しており、就職が困難な求職者をトライアル雇用した場合に受給できる助成金です。トライアル雇用期間中に、企業が求職者の能力や適正を見極め、無期雇用へ移行することを目的としています。

コース

助成額

  • 一般トライアルコース
  • 新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース

最大4万円(最長3か月)

 

※条件によっては最大5万円

新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース

最大2.5万円(最長3か月)

地域雇用開発助成金        

地域雇用開発助成金とは、求人件数が少ない地域にある企業が地域の求職者を雇用した場合に受給できる助成金です。地域雇用開発コースでは、事業所の新設や増設、移転に伴い、地域の求職者を雇用した際に助成金が支給されます。

 

事業所の設置・整備費用

対象労働者の増加人数

3~4人

5~9人

10~19人

20人以上

300万円以上

50万円

80万円

150万円

300万円

1,000万円以上

60万円

100万円

200万円

400万円

3,000万円以上

90万円

150万円

300万円

600万円

5,000万円以上

120万円

200万円

400万円

800万円

【まとめ】助成金を活用して魅力的な職場をつくろう

助成金のメリットやデメリットを解説しました。助成金には返済義務がなく、比較的自由に使えるため、企業の資金繰りや人材確保に役立ちます。一方、後払いのため、資金繰りには注意が必要です。助成金の申請を検討する際には、メリットとデメリットをよく理解した上で、自社に適した制度を選ぶことが大切です。申請要件を満たせば、高い確率で受給できるため、積極的に活用して従業員が働きやすい環境を整えましょう。