事業再構築補助金で必要になる申請書類とは?申請の詳しい流れも解説!
事業再構築補助金の申請を検討していても、必要な申請書類が分からずお困りではないでしょうか。本記事では、事業再構築補助金を申請する際に必要となる書類と添付書類、書類のフォーマットを取得する方法などを解説します。本記事を参考に、計画的な申請書類の作成を進めてみましょう。
事業再構築補助金の申請に必要な書類
以下では、事業再構築補助金の申請に必要な書類について解説します。
事業計画書
事業計画書は、電子申請システムにPDF形式のファイルを添付して提出が必要です。事業計画書の1ページ目のフォーマットは公式サイトの「事業計画書表紙」よりダウンロードして使用します。その他のフォーマットはありませんが、A4サイズで15ページ以内(補助金額1,500万円以下の場合は計10ページ以内)の作成が必要です。
以下の項目について明示的に記載されていない場合は、不採択になる可能性が高まります。
記載項目 |
記載内容 |
補助事業の具体的取組内容 |
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将来の展望 |
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本事業で 取得する主な資産 |
本事業により取得する主な資産 (単価50万円以上の建物、機械装置・システム等) の名称・分類・取得予定価格等を記載。 |
収益計画 |
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提出後に不備がないよう、必要事項を網羅しているか慎重に確認しながら事業計画書を作成しましょう。
認定支援機関の確認書
事業再構築補助金を申請する際は、認定支援機関の確認書が必要です。認定支援機関は、中小企業支援の専門知識や実務経験がある者として国に認められている機関で、以下の職種が該当します。
- 金融機関
- 中小企業診断士
- 商工会議所
- 税理士
- 公認会計士
申請の際に提出する事業計画書は、認定支援機関の確認を受けた上で確認書を作成する必要があります。認定支援機関の支援を受けていない場合、申請ができません。
認定支援機関確認書は、公式ページよりダウンロードが可能です。申請者だけで作成はできないため、計画的に作成しましょう。
金融機関の確認書
補助金額が3,000万円を超える場合は金融機関による事業計画の確認を受け、確認書をもらう必要があります。金融機関が認定支援機関であれば、当該金融機関のみで認定支援機関の確認書としても提出が可能です。
卒業促進枠・大規模賃金引上促進枠で申請する場合や、補助率引上げを受ける場合、すべての補助金額を合算して3,000万円以上になると金融機関の確認書が必要です。
決算書
事業再構築補助金の申請には、直近2年間の決算書の提出が必要です。2年分の提出ができない場合は、1期分の決算書を添付します。決算書には、以下の書類が該当します。
- 貸借対照表
- 損益計算書(特定非営利活動法人は活動計算書)
- 製造原価報告書
- 販売管理費明細
- 個別注記表
決算書の添付ができない中小企業等は、法人等の全体の事業計画書及び収支予算書の提出が必要です。
ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報
経済産業省ミラサポplusの「ローカルベンチマーク」で事業財務情報を作成し、PDF出力して添付する必要があります。事業財務情報を作成するためには、GビズIDを用いた会員登録をしなければいけません。事業再構築補助金の申請をする際は、早めにIDを取得しましょう。
労働者名簿
最低賃金枠で申請する場合、対象となる3ヶ月の労働者名簿の提出が必要です。労働基準法に基づく労働者名簿を作成しましょう。従業員がいない場合、その旨を記載した書類の添付が求められます。
収益事業を行っていることを説明する書類
事業再構築補助金の申請には、収益事業を行っていることを説明する書類の提出が必要です。法人と個人事業主で提出する書類が異なるため、それぞれ確認した上で間違いのないよう添付しましょう。
<法人の場合>
- 直近の確定申告書一の控え(事業者名)
- 法人事業概況説明書の控え(事業者名)
<個人事業主の場合>
- 直近の確定申告書第一表の控え(事業者名)
- 所得税青色申告決算書の控え(事業者名)
(白色申告の場合は直近の確定申告書第一表及び収支内訳書の控え)
建物の新築が必要なことを説明する書類
建物の新築に係る経費を補助対象経費として計上している場合、建物の新築が必要なことを説明する書類の提出が必要です。建物の新築に必要な経費は、補助事業の実施に真に必要不可欠であることおよび代替手段が存在しない場合に限り、必要性が認められます。
採択された場合も、本書類の内容に基づき、 建物の新築については補助対象経費として認められない場合があります。
建物の新築が必要なことを説明する書類は、公式サイトの応募申請ページから「申請時に提出する書類」部分の「新築の必要性に関する説明書」よりダウンロードできます。
事業再構築補助金の申請枠ごとに必要な書類
事業再構築補助金は、申請枠ごとに必要な書類が異なります。以下では、申請枠ごとに必要な書類について解説します。
申請枠 |
必要な書類 |
全て共通 |
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成長枠 |
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グリーン成長枠 |
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卒業促進枠 |
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大規模賃金引上促進枠 |
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産業構造転換枠 |
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最低賃金枠 |
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物価高騰対策 回復再生応援枠 |
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成長枠の申請で必要な書類
成長枠の申請では、賃金引上げ計画の誓約書と市場拡大要件を満たすことの説明書の2つが必要です。
賃金引上げ計画の誓約書は、給与支給総額を年率平均で2%以上増加させる計画を作成します。補助事業実施期間の終了時が含まれる事業年度の給与支給総額を基準として、補助事業終了後の3~5年の事業計画期間が計画の対象です。応募以降の給与支給総額を引き下げや、補助率の引上げを受ける場合に6%以上の引上げ後、一時的に給与支給総額を引き下げることは認められません
市場拡大要件を満たすことの説明書には、取り組む事業の業種・業態が事務局から指定されている業種・業態であることを記載します。該当する業種・業態でない場合には、過去〜今後のいずれか10年間で、市場規模が 10%以上拡大する業種・業態であることを示すことが必要です。その場合、政府による公的統計や業界団体が作成した推計など信頼性の高いデータの添付が求められます。
グリーン成長枠の申請で必要な書類
グリーン成長枠の申請で必要書類は、賃金引上げ計画の誓約書と研究開発・技術開発計画書または人材育成計画書の2つです。賃金引上げ計画の誓約書は成長枠と同様なので、成長枠の記載内容を参考にしてみてください。
研究開発・技術開発計画書または人材育成計画書は、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で策定された14分野の課題解決へ資する取組みであることの記載が必要です。補助事業で取り組む内容により異なるため、研究開発・技術開発計画書または人材育成計画書のどちらか1つを提出します。
研究開発・技術開発計画書または人材育成計画書を作成する際は、14分野の中のどの課題の解決に対する取り組みであるか確認したうえで書類を作成しましょう。
産業構造転換枠の申請で必要な書類
産業構造転換枠の申請で必要な書類は、市場縮小要件を満たすことの説明書の1つのみです。現在の業種や業態が事務局から指定されたものである旨を記載します。
指定されていない業種・業態の場合は、過去から現在までのいずれかの10年間で市場規模が10%以上縮小する業種や業態であることを証明することが必要です。その際、信頼性の高いデータ・統計などの添付が求められます。
最低賃金枠の申請で必要書類
最低賃金枠の申請では、事業場内最低賃金を示す書類と売上高の減少を証明する書類が必要です。事業場内最低賃金を示す書類として「最低賃金確認書」と、最低賃金要件の対象となる3ヶ月分、最低賃金+50円以内の従業員全てがわかる賃金台帳を提出します。事業場内最低賃金の引上げによる加点を希望する場合は、最低賃金確認書にその旨記載が必要です。
売上高の減少を証明する書類は、法人と個人事業主で異なります。以下それぞれの書類を全て提出することが必要です。
<法人の場合>
- 申請に提示する任意の3ヶ月の比較対象となる2019~2021年の同3ヶ月の売上が分かる年度の確定申告書別表一の控え 1枚
- 1の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え
- e-Taxで申請している場合は受信通知 1枚
- 申請時に提示する任意の3ヶ月の売上がわかる確定申告書別表一の控え 1枚
- 4の確定申告書と同年度の法人事業概況説明書の控え
<個人の場合>
- 請に提示する任意の3ヶ月の比較対象となる2019~2021年の同3ヶ月の売上が分かる年度の確定申告書別表一の控え 1枚
- 1の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控えがある場合は、その控え (白色申告の場合は対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類を提出)
- e-Taxで申請している場合は受信通知 1枚
- 申請時に提示する任意の3ヶ月の売上がわかる確定申告書別表一の控え 1枚
- 4の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある所得税青色申告決算書の控えがある場合は、その控え(白色申告の方は対象月の月間売上がわかる売上台帳、帳面その他の確定申告の基礎となる書類を提出)
物価高騰対策・回復再生応援枠の申請時に必要な書類
物価高騰対策・回復再生応援枠へ申請時の必要書類は、中小企業活性化協議会等による確認書と売上高減少を証明する書類です。
中小企業活性化協議会等の確認書として、以下のいずれかに該当することを証明する書類が必要です。
- 中小企業活性化協議会等から支援を受けており、公募申請時において再生計画等を「策定中」
- 再生計画等を「策定済」かつ公募終了日から遡って3年以内に再生計画等が成立等した者に該当する
売上高減少を証明する書類は、最低賃金枠で説明した内容と同様の書類を提出します。
卒業促進枠の申請に必要な書類
卒業促進枠の申請に必要な書類は、卒業計画書の1つのみです。内容は現状の資本金や従業員数と、事業計画期間の3〜5年の資本金や従業員数の推移を記載します。また補助事業を基礎として、法人規模の拡大や成長に向けた具体的な計画や算出根拠の妥当性など、詳細な内容の記載が必要です。
大規模賃金引上促進枠の申請に必要な書類
大規模賃金引上促進枠の申請に必要なのは、賃上げ表明書と大規模賃上げおよび従業員増加計画書です。添付書類として賃金台帳の写しの提出も求められます。
賃上げ表明書や大規模賃上げおよび従業員増加計画書には、申請の直近月の事業場内最低賃金が明記されていることが必要です。また、補助事業終了後3〜5年の間、事業場内最低賃金を年額45円以上引き上げる計画を従業員等に表明していることが証明できる書面を提出します。
賃金台帳(またはそれに相当する書類)は賃上げ表明書と同様の対象月で、直近の事業場内最低賃金で雇用している従業員の全てが分かるものの提出が必要です。
事業再構築補助金の加点審査を利用するときに必要な書類
加点審査を利用する際、売上高減少要件が提出できない場合は、税理士が署名済みの「事業収入証明書」や「売上台帳」などで代替できます。以下は、法人と個人事業主それぞれで代替できる書類です。
必要書類 |
代替できる書類 |
<法人 対象月> 確定申告書別表一の控え+法人事業概況説明書 |
税理士による署名押印済みの 事業収入証明書のみで代替可能 |
<法人 任意月> 確定申告書別表一の控え+法人事業概況説明書 |
売上台帳または それに相当する書類 (試算表、帳面、その他、 確定申告の基礎となる書類) |
<個人 対象月>
確定申告書第一表の控え+所得税青色申告決算書
確定申告書第一表の控え+売上台帳+確定申告基礎書類 |
税理士による署名押印済みの 事業収入証明書のみで代替可能 |
<個人 任意月>
確定申告書第一表の控え+所得税青色申告決算書
確定申告書第一表の控え+売上台帳+確定申告基礎書類 |
売上台帳またはそれに相当する書類 (試算表、帳面、その他、 確定申告の基礎となる書類) |
対象月:2019年~2021年
任意月:2022年1月以降
事業再構築補助金の申請手続きの手順
事業再構築補助金の申請手続きは、以下の手順で行います。
- 公募内容の確認
- 電子申請のためのアカウント取得
- 認定支援機関の選定
- 申請書類のを作成してそろえる
- 電子申請
- 審査結果の通知・公表
申請までに準備する書類や細かい確認事項が多いため、余裕をもったスケジュールで進めることが必要不可欠です。電子申請の前に書類の不備がないか点検する期間を設けておくと、不採択のリスクを低減できるでしょう。
事業再構築補助金の採択後に必要な書類も準備しておく
採択後には交付申請や実績報告などがあり、そのときに必要な書類もあるため期限までに準備が必要です。補助金交付申請する際に必要なのは、以下の書類が該当します。
- 「経費明細表」
- (個人事業主の場合)直近の確定申告書(第一表)(法人の場合)決算書、(個人事業主の場合)青色申告決算書/収支内訳書(白色申告)
- 決算書(直近の確定したもの。)
- 見積依頼書及び見積書
- 建物費、機械装置・システム構築費の追加書類
- 取得財産に係る誓約書
補助事業の完了後は、補助事業の実施結果を記した「実績報告書」の提出が必要です。完了日から起算して30日を経過した日または、補助事業実施期間の終了日のいずれか早い日までに提出します。
【まとめ】事業再構築補助金の申請書類について解説しました
事業再構築補助金の申請は、全ての申請枠において必要な書類と、申請枠ごとに必要な書類があります。書類の不備で不採択にならないよう、細かい記載内容まで確認することが必要不可欠です。
また、事業再構築補助金は必ず認定支援機関の支援が必要で、3,000万円以上の補助が必要なときは金融機関へ相談しなけれないけません。
申請時に限らず、採択後も交付申請や実績報告があるため、期限内に提出できるよう必要書類を準備しておく必要があります。採択後まで提出物に気を抜かず、事業を継続できる環境を整えましょう。