小規模事業者持続化補助金とは?種類や補助率、対象者について解説

小規模事業者持続化補助金とは?種類や補助率、対象者について解説

小規模事業者が「販路開拓を行いたい」「事業を見直したい」と考えた場合、利用できるのが小規模事業者持続化補助金です。

この記事では、小規模事業者持続化補助金に関する種類別の概要やよくある質問について解説
ます。

最後まで読めば、小規模事業者持続化補助金の内容を知り、対象であれば申請しやすくなります。

目次
  1. 1. 小規模事業者持続化補助金とは
  2. 2. 【種類別】小規模事業者持続化補助金の対象者と支給要件
    1. 2-1. 一般型
    2. 2-2. 低感染リスク型ビジネス枠
  3. 3. 小規模事業者持続化補助金に関するよくある質問
    1. 3-1. 持続化補助金は、申請をすれば、補助金が必ず交付されますか?
    2. 3-2. 「常時使用する従業員」とはどのような人ですか?
    3. 3-3. 起業から3年未満の企業であっても、課税所得の年平均額が15億円を超えている場合は、申請の要件を満たしていますか?
    4. 3-4. 補助対象経費の支払いは、現金払いでも可能でしょうか?
    5. 3-5. 「汎用性があり目的外使用になるもの〜」とは、具体的にどのようなものですか?
  4. 4. 小規模事業者持続化補助金の種類・補助率・対象者について解説しました

小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者の販路開拓等に関する取組と業務効率化に関する取組の一部経費を補助する制度です。小規模事業者の生産性向上と持続的発展を図ることを目的としています。

小規模事業者持続化補助金には、審査があり不採択になる場合があります。また、補助金は後払いとなっており、補助事業遂行には自己負担が必要です。

一部のコンサルティング会社が、補助金への応募代行で成功報酬を中小企業・小規模事業者等に請求する事例が報告されています。補助金申請にあたり、小規模事業者自らが経営計画を作成し販路開拓の取組をする必要があります。

上記コンサルティング会社を通しての申請は、採択の対象とならないため注意が必要です。

関連記事:小規模事業者持続化補助金の採択率は?直近の実績と確認方法

【種類別】小規模事業者持続化補助金の対象者と
支給要件

【種類別】小規模事業者持続化補助金の対象者と支給要件

小規模事業者持続化補助金の対象者と支給要件について、種類別に解説します。コロナ特別枠は廃止されました

一般型

一般型は、小規模事業者が経営計画を作成後に実施される販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。

一般型には以下のように5つの申請類型があります。通常枠、特別枠のいずれか1つの枠のみ申請可能です。

項目

内容

通常枠

  • ・商工会・商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓等の取組を支援

賃金引上げ枠

  • ・事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上である小規模事業者

※赤字事業者は、補助率3/4に引上げ

卒業枠

  • ・雇用を増やし小規模事業者の従業員数を超えて事業規模を拡大する小規模事業者

後継者支援枠

  • ・アトツギ甲子園においてファイナリスト及び準ファイナリストに選ばれた小規模事業者

創業枠

  • ・特定創業支援等事業の支援を受け、販路開拓に取り組む創業した小規模事業者

受給要件

一般型の受給要件は以下の通りです。

項目

内容

対象者

  • ・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):従業員数5人以下
  • ・宿泊業・娯楽業:従業員数20人以下
  • ・製造業その他:従業員数20人以下

要件

  • ・資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接
  •  又は間接に100%株式保有されていない※
  • ・直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が
  •  15億円を超えていない
  • ・持続化補助金で採択を受けて、「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果
  •  及び賃金引上げ等状況報告書」の提出を行った
  • ・卒業枠で採択され事業を実施した事業者ではない

※間接に100%の株式を保有:補助対象者の株式を直接に保有する企業(A社)の資本金は 5億円以下であり、A社の株式を直接保有する企業(B社)の資本金が5億円以上とした場合、以下のような事例が該当

受給要件

画像引用:小規模事業者持続化補助金公募要領

受給額

受給額は以下の通りです。

類型

通常枠

賃金引上げ枠

卒業枠

後継者支援枠

創業枠

補助率

2/3

2/3

(赤字事業者に

ついては3/4)

2/3

補助上限

50万円

200万円

インボイス

特例

  • ・2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で
  •  一度でも免税事業者であった又は免税事業者である事業者のうち、
  •  適格請求書発行事業者の登録が確認できた事業者
  • ・免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者に対して
  •  上記補助上限額に50万円を上乗せ
受給額

画像引用:小規模持続化補助金ガイドブック

補助対象経費は以下の通りです。

  • 機械装置等費
  • 広報費
  • Webサイト関連費
  • 展示会等出展費
  • 旅費
  • 開発費
  • 資料購入費
  • 雑役務費
  • 借料
  • 設備処分費
  • 委託・外注費

申請期間

受付開始及び締切は以下の通りです。「事業支援計画書」の交付の受付締切は、原則公募締切の1週間前です。

  • 公募要領公表:2023年3月3日(金)
  • 申請受付開始:2023年3月10日(金)
  • 申請受付締切:第12回:2023年6月1日(木)[郵送:締切日当日消印有効]

必要書類

必要書類は以下の通りです。

  • 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書
  • 経営計画書兼補助事業計画書
  • 補助事業計画書
  • 事業支援計画書
  • 補助金交付申請書
  • 宣誓・同意書
  • 電子媒体
  • 貸借対照表および損益計算書(直近1期分)
  • 株主名簿(該当者のみ)
  • 直近の確定申告書
  • 貸借対照表および活動計算書(直近1期分)
  • 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書
  • 法人税確定申告書

申請手続きの流れ

(1)申請の準備

申請書類に不備があった場合、不採択となります。必要書類を地域の商工会・商工会議所窓口に提出する必要があります。

(2)申請手続き

電子申請または郵送により提出します。電子申請に際しては、補助金申請システム(Jグランツ)を利用。Jグランツを利用するにはGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。アカウントの取得には数週間程度を要するため、早めに利用登録をしましょう。

(3)申請内容の審査

提出された申請内容について、外部有識者等が審査を実施。要件を満たす全ての方が採択となるわけではありません。審査によって、高評価の案件から順に採択されます。また事業計画書は審査員が短時間で審査するため、枚数が多く図や写真があるものが有利です。

審査のポイントは以下の通りです。

  • 自社の製品・サービスや自社の強みを把握している
  • 経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえている
  • 対象とする市場(商圏)の特性を踏まえている
  • 事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いもの
  • 事業計画は、今後の方針・目標を達成するために必要なもの
  • 事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴がある
  • 事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られる
  • 事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっている
  • 事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されている

(4)採択・交付決定

審査終了後、採択案件が公式サイトで公表され、採択の結果が通知されます。応募時に提出した補助金交付申請書を補助金事務局が確認し、不備がなければ交付決定通知書が通知されます。

(5)補助事業の実施

交付決定通知書を受領後、事業計画に沿って事業を実施。事業は補助事業実施期限までに完了する必要があります。決定日から補助事業実施期限までに発注し、支払い済みのものが補助対象です。

(6)実績報告書の提出

補助事業終了後、その日から1カ月後又は最終提出期限のいずれか早い日(必着)までに補助事業の実施内容と経費内容を取りまとめた実績報告書を商工会に提出します。

(7)確定検査・補助金額の確定

事務局が審査・確認をし、補助金額が確定となります。証拠書類の提出ができないものは、補助対象経費として認められません。そのため、内容に不備があった場合、修正や書類の追加提出が必要
です。

証拠書類は以下の通りです。

  • 見積書
  • 発注書
  • 契約書
  • 納品書
  • 請求書
  • 領収書
  • 預金通帳の該当部分の写し

(8)補助金の請求(事業者が実施)

補助金額が確定した後、補助金確定通知書が送付されます。金額を確認して、事務局に精算払請求をします。

(9)補助金の入金補助金の入金がされますが、振込完了の通知はないため、通帳等で入金確認をする必要があります。

(10)事業効果報告(事業者が実施)

補助事業の完了から1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」の提出が必要です。

事業効果等状況報告期間終了日の翌日から1カ月以内に報告します。賃金引上げ枠・卒業枠の申請をした場合、賃金台帳・労働者名簿等の写し等を求められる場合があります。

低感染リスク型ビジネス枠

低感染リスク型ビジネス枠は、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等に関する取組を支援する制度。小規模事業者が感染拡大防止のための対人接触機会の減少と事業継続を両立させることを目的としています。

低感染リスク型ビジネス枠の公募については、2022年3月9日をもちまして終了しました

小規模事業者持続化補助金に関するよくある質問

小規模事業者持続化補助金に関するよくある質問についてまとめました。

持続化補助金は、申請をすれば、補助金が必ず交付されますか?

補助金は要件を満たした場合でも補助されない場合があります。申請内容を審査し、評価の高い順に採択者が決まる仕組みです。

また補助金は後払いとなるため補助事業に必要な費用を用意する必要があります。採択・交付決定を受けた内容で補助事業を実施し、金額確定後に支払われます。

「常時使用する従業員」とはどのような人ですか?

従業員に以下の人は含まれません。

  • 会社役員
  • 個人事業主本人および同居の親族従業員
  • 申請時点で育児休業中・介護休業中・疾病休業中または休職中の社員
  • 雇用契約期間の短い者
  • 正社員よりも所定労働時間・日数の短い者

起業から3年未満の企業であっても、課税所得の年平均額が15億円を超えている場合は、申請の要件を満たしていますか?

15億円を超えた年があった場合でも、3年間の平均で15億円を超えていなければ応募ができます。ただし創業して2年目の場合、前年15億円を超えていたら応募はできません。

3年目の企業が前年14億円、2年前16億円の場合、平均15億円とぴったりなため、応募は可能
です。

補助対象経費の支払いは、現金払いでも可能でしょうか?

補助対象経費の支払いは、銀行振込が原則です。旅費や現金決済のみの取引(証拠書類が別途必要)を除き、1取引10万円超(税抜き)の支払いに関して、現金払いは認められません。

「汎用性があり目的外使用になるもの〜」とは、具体的にどのようなものですか?

対象経費とならない経費例は以下の通りです。

  • パソコン
  • 事務用プリンター
  • 複合機
  • タブレット端末
  • WEBカメラ
  • ウェアラブル端末
  • タブレット
  • PC周辺機器

小規模事業者持続化補助金の種類・補助率・対象者について解説しました

小規模事業者持続化補助金について知りたい方向けに、小規模事業者持続化補助金に関する種類別の概要やよくある質問を解説しました。

小規模事業者持続化補助金の一般型に関する申請類型は、以下の通りです。

  • 通常枠
  • 賃金引上げ枠
  • 卒業枠
  • 後継者支援枠
  • 創業枠

本記事で紹介した内容をもとに、小規模事業者持続化補助金の申請を検討してみましょう。