小規模事業者持続化補助金は個人事業主も利用可能!申請時のポイントを紹介

小規模事業者持続化補助金は個人事業主も利用可能!申請時のポイントを紹介

個人事業主の中には、小規模事業者持続化補助金の利用を検討している方も多いのではないでしょうか。

本記事では小規模事業者持続化補助金を検討したい個人事業主に向けて、申請手続きの流れ、申請ポイントなどを紹介します。補助金をスムーズに申請したり、採択率を高めたりするために、本記事をお役立てください。

目次
  1. 1. 個人事業主でも利用できる小規模事業者持続化補助金の概要
    1. 1-1. 対象者
    2. 1-2. 申請できる枠
    3. 1-3. 補助率・補助上限額
    4. 1-4. 補助対象の経費
  2. 2. 小規模事業者持続化補助金の申請手続きの流れ
    1. 2-1. 1.申請書類を準備する
    2. 2-2. 2.申請手続きを行う
    3. 2-3. 3.審査により採択・交付が決定したら補助事業を実施する
    4. 2-4. 4.実績報告書を提出する
    5. 2-5. 5.補助金額が確定したら事務局に請求する
    6. 2-6. 6.事業効果報告を行う
  3. 3. 個人事業主が小規模事業者持続化補助金の採択率を高める申請ポイント
    1. 3-1. 審査項目を意識する
    2. 3-2. 具体的で第三者でもわかりやすい内容にする
    3. 3-3. 補助金の専門家のアドバイスを受ける
    4. 3-4. 書類の不備をなくす
  4. 4. 小規模事業者持続化補助金でよくある質問
    1. 4-1. 個人事業主の場合は確定申告が必要ですか?
    2. 4-2. 何回でも補助金を申請できますか?
    3. 4-3. 創業予定の場合は申請できますか?
  5. 5. 【まとめ】小規模事業者持続化補助金の個人事業主の申請を紹介しました

個人事業主でも利用できる小規模事業者持続化補助金の概要

小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)とは、小規模事業者の販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する制度です。補助金を申請することで、販路開拓に必要な経費の一部の補助が受けられます。

本見出しは、以下の資料を参考にしています。

対象者

小規模事業者持続化補助金は、以下に該当する法人・個人事業主・特定非営利活動法人(NPO)が対象です。

項目

内容

対象者

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数5人以下
  • 宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数20人以下
  • 製造業その他:常時使用する従業員の数20人以下

要件

補助対象者は以下全ての要件を満たすこと

 

  • 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または
  • 間接に100%株式保有されていないこと(法人のみ)
  • 直近過去3年分各年または各事業年度の
  • 課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
  • 持続化補助金(一般型、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠)
  • で採択を受けて、補助事業を実施した場合、
  • 各事業の交付規程で定める
  • 「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を、
  • 原則本補助金の申請までに受領された
  • (事務局から指摘のあった不備が解消した状態)ものであること
  • 「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者ではないこと

申請できる枠

小規模事業者持続化補助金には5つの申請枠が設けられています。個人事業主を含む補助対象者は、以下の申請枠の中から、いずれか1つの枠を選択して申請しましょう。

項目

内容

通常枠

商工会・商工会議所の支援を受けながら行う販路開拓等の取組を支援

賃金引上げ枠

販路拡大に加え、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より

+30円以上である小規模事業者

※赤字事業者は補助率3/4に引上げ

卒業枠

販路拡大に加え、雇用を増やし小規模事業者の従業員数を超えて

事業規模を拡大する小規模事業者

後継者支援枠

販路拡大に加え、アトツギ甲子園において

ファイナリストおよび準ファイナリストに選ばれた小規模事業者

創業枠

産業競争力強化法に基づく特定創業支援等事業の支援を受け、

販路開拓に取り組む創業をした小規模事業者

補助率・補助上限額

小規模事業者持続化補助金の補助率や補助上限額は、申請枠によって異なります。

類型

通常枠

賃金引上げ枠

卒業枠

後継者支援枠

創業枠

補助率

2/3

2/3

(赤字事業者に

ついては3/4)

2/3

補助上限額

50万円

200万円

インボイス特例

上記の補助上限額に50万円上乗せ

インボイス特例を受けられる対象者は、免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者です。具体的には以下どちらかの要件に該当する必要があります。

  • 2021年9月30日〜2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった事業者
  • 免税事業者であることが見込まれる事業者で、適格請求書発行事業者の登録が確認できた事業者

なおインボイス特例は5つの申請枠のうちいずれか1枠を申請した上で、要件に該当する場合に利用できます。

補助対象の経費

小規模事業者持続化補助金の補助対象になる経費は以下のとおりです。

補助対象の経費

概要

経費例

1.機械装置等費

補助事業に必要な製造装置の購入

  • 衛生向上や省スペース化の
  • ためのショーケース
  • 販路開拓等のための特定業務用
  • ソフトウェア

2.広報費

新サービス紹介のチラシ作成

・配布、看板の設置

  • チラシ・カタログの外注や発送
  • 新聞、雑誌等への商品、
  • サービスの広告

3.ウェブサイト関連費

WebサイトやECサイト等の開発、

構築、更新、改修、運用に係る経費

  • 商品販売のための
  • ウェブサイト作成や更新
  • インターネットを介したDMの発送

4.展示会等出展費

展示会・商談会の出展料

  • 展示会出展の出展料
  • 展示会に関する運搬費
  • (レンタカー代、
  • ガソリン代は除く)
  • 通訳料、翻訳料

5.旅費

販路開拓(展示会等の

会場との往復を含む)

を行うための旅費

  • 展示会への出展や、
  • 新商品生産のために
  • 必要な原材料調達の調査等に係る、
  • 宿泊施設への宿泊代
  • バス運賃・電車賃・新幹線料金

6.開発費

新商品の試作品開発に伴う経費

  • 新商品の試作開発用の原材料購入
  • 新たな包装パッケージに
  • 係るデザイン費用

7.資料購入費

補助事業に関する資料・図書

  • 補助事業遂行に必要不可欠な図書

8.雑役務費

補助事業のために臨時的に

雇用したアルバイト・派遣社員費用

  • アルバイト代、
  • 派遣労働者の派遣料、交通費

9.借料

機器・設備のリース・レンタル料

(所有権移転を伴わないもの)

  • 商品・サービスPR
  • イベント会場のレンタル料

10.設備処分費

新サービスを行うための

スペース確保を目的とした設備処分

  • 既存事業で使用していた
  • 設備機器の解体・処分費用

11.委託・外注費

店舗改装など自社では

実施困難な業務を

第三者に依頼した

場合の費用(契約必須)

  • 補助事業に関する
  • コンサルティング費用

なお補助対象の経費はウェブサイト関連費単独では申請できません。ウェブサイト関連費を申請する際は、他の経費と一緒に申請しましょう。

また小規模事業者持続化補助金は、仮に事業に関連している経費であっても車やオートバイ、パソコンなど汎用性が高く補助事業以外にも使える経費が補助対象外です。

小規模事業者持続化補助金の申請手続きの流れ

小規模事業者持続化補助金は個人事業主も利用可能!申請時のポイントを紹介_2

小規模事業者持続化補助金をスムーズに申請するために手続きの流れを把握しましょう。

1.申請書類を準備する

小規模事業者持続化補助金を申請する際は、法人・個人・NPOによって必要な書類が異なるので、必要な書類を確認の上、提出書類を準備しましょう。申請枠にかかわらず必須の提出書類は以下のとおりです。

書類名

法人

個人

NPO

小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(原本)

※電子申請の場合は不要

経営計画書兼補助事業計画書(様式2)

補助事業計画書(様式3)

事業支援計画書(様式4)

補助金交付申請書(様式5)

※郵送の申請の場合は必要

宣誓・同意書(様式6)

電子媒体

(様式1、様式2、様式3、

様式5、様式6、様式7、様式8、様式9)

※郵送の申請の場合は必要

貸借対照表および損益計算書(直近1期分)

-

-

株主名簿

※該当者のみ

-

-

直近の確定申告書

【第一表及び第二表及び収支内訳書(1・2面)

または所得税青色申告決算書(1~4面)】

(税務署受付印のあるもの)

または開業届(税務署受付印のあるもの)

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-

貸借対照表および活動計算書(直近1期分)

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-

現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書

(申請書の提出日から3ヶ月以内の日付のもの)

-

-

法人税確定申告書(直近1期分)

-

-

※提出書類の詳細は小規模事業者持続化補助金の公募要領をご確認ください

小規模事業者持続化補助金は審査があるため、申請しても必ずしも採択されるとは限りません。ただし提出書類の内容に不備があると、審査すら受けられず不採択になります。

2.申請手続きを行う

書類の準備が完了したら、補助金事務局に書類を提出します。申請手続きは「電子申請」または「郵送」の2種類です。

書類の申請先は、商工会・商工会議所地区ごとに異なります。提出する先を誤ると、不採択になるので十分に注意しましょう。書類の申請先については、公募要領の申請手続きをご確認ください。

なお電子申請をする際は、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。GビズIDプライムとは、1つのID・パスワードで複数の行政サービスにログインできるサービスのことです。アカウントの取得は数週間かかるので、GビスIDの公式サイトから早めに利用登録をしてください。

3.審査により採択・交付が決定したら補助事業を実施する

小規模事業者持続化補助金の申請をした後は、約2ヶ月かけて補助金事務局による審査が行われます。補助金の採択・交付の決定後は、申請時に提出した補助事業計画に沿って補助事業を実施していきます。補助金事業の実施期間はあらかじめ決められているため、期限内に完了させてください。申請する回によって異なりますが、約5〜8ヶ月以内に補助事業を実施することになります。

もし交付決定後の補助事業の実施期間内に、補助事業の内容または経費配分の変更を希望する場合、計画変更の申請が必要です。

4.実績報告書を提出する

補助事業が終了した後は、補助事業の実施内容と経費内容をまとめた実績報告書の提出が必要です。提出期限は補助事業の終了日から起算して30日を経過した日または最終提出期限のいずれか早い日です。締切日までに実績報告書の提出がないと、補助金の支払いが行われないので注意が必要です。

実績報告書提出に関する詳しい情報は、小規模事業者持続化補助金の事務局ホームページ「補助事業の手引き」をご確認ください。

5.補助金額が確定したら事務局に請求する

実績報告書の提出後は、事務局側が実績報告書や支出ごとの証拠書類を審査・確認し、補助金額が確定します。金額が確定したら、事業者に対して「補助金確定通知書」が送付されます。補助金額を確認し、精算払請求を補助金事務局に行いましょう。

また請求後、数週間程度で補助金事業者に入金されます。振込完了の通知はないので、通帳で入金確認をしてみてください。

6.事業効果報告を行う

小規模事業者持続化補助金は、補助金が入金されて終わりではありません。補助事業の完了から1年後に「事業効果および賃金引上げ等状況報告」を文書等で提出する必要があります。事業効果等状況報告期間終了日の翌日から30日以内に、事業効果報告を行いましょう。

個人事業主が小規模事業者持続化補助金の採択率を高める申請ポイント

小規模事業者持続化補助金は個人事業主も利用可能!申請時のポイントを紹介_1

個人事業主が小規模事業者持続化補助金の採択率を高めるためには、これから紹介するポイントを押さえて申請しましょう。

審査項目を意識する

小規模事業者持続化補助金は審査によって、評価の高い案件から順に採択されていきます。各回によって採択率は異なりますが、2023年8月23日に発表された第12回分の採択率は55.6%だったとのことです。公募要領に記載されている審査ポイントは以下のとおりです。

  • 自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか
  • 経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか
  • 経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか
  • 補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか
  • 補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか
  • 補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか
  • 補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか
  • 補助事業計画に合致した事業実施に必要なものとなっているか
  • 事業費の計上・積算が正確・明確で、真に必要な金額が計上されているか

出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック

参考:中小企業庁|令和4年度補正予算「小規模事業者持続化補助金(第12回締切分)」の補助事業者が採択されました

具体的で第三者でもわかりやすい内容にする

小規模事業者持続化補助金の審査は、補助金事務局側の外部有識者が行います。そのため誰が見ても事業や申請内容を瞬時に理解できる内容にする必要があります。

箇条書き、図、表、写真などを使用すると、第三者でもわかりやすい計画書になり、審査で有利になる可能性が高いでしょう。さらに申請内容に数値を加えることで、申請内容の具体性が高まります。

補助金の専門家のアドバイスを受ける

小規模事業者持続化補助金を自分だけで申請するのが不安なら、補助金に精通している士業や商工会議所・商工会などに相談することも1つの方法です。相談することで補助金が採択されやすいアドバイスが得られる可能性が高いでしょう。

場合によっては小規模事業者持続化補助金よりも、自社の事業に最適な補助金を提案してもらえることもあります。申請する補助金の選択肢を増やせるため、少しでも不安・不明点があるなら補助金の専門家に相談しましょう。

書類の不備をなくす

提出書類の不備は不採択になる原因の1つです。書類の不備は事前確認を行うことで防げるはずです。不採択になる可能性を低くするため、入念に書類の不備がないかを確認してから申請しましょう。締切日の直前に申請をすると、焦ってしまい不備が発生しやすくなるので、余裕を持ったスケジュールで準備を行ってください。

小規模事業者持続化補助金でよくある質問

小規模事業者持続化補助金は個人事業主も利用可能!申請時のポイントを紹介_3

最後に、小規模事業者持続化補助金の申請において、よくある質問と回答を紹介していきます。

個人事業主の場合は確定申告が必要ですか?

小規模事業者持続化補助金は、所得税の課税対象です。補助金が入金された場合は、確定申告を行う必要があります。もし確定申告をしなかった場合、無申告加算税や延滞税が発生しますので注意しましょう。

何回でも補助金を申請できますか?

小規模事業者持続化補助金は、採択日から11ヶ月以上経っていると、複数回の申請が可能です。2回目以降の申請をしたい方は、採択日から11ヶ月待ちましょう。

創業予定の場合は申請できますか?

小規模事業者持続化補助金は、申請時点で開業していれば、補助金対象になります。ただしすでに税務署に開業届を提出している場合でも、開業届上の開業日が申請日よりも後になると対象外になるので注意しましょう。

【まとめ】小規模事業者持続化補助金の個人事業主の申請を紹介しました

ここまで、小規模事業者持続化補助金を申請したい個人事業主に向けて、手続きの流れや申請ポイントなどを紹介しました。補助金の申請には審査が必要になるので、公募要領の審査項目を意識することが大切です。事務局からの評価が高まり、採択されやすくなります。個人事業主で小規模事業者持続化補助金の申請を検討している方は、本記事を参考にしてみてください。