事業再構築補助金の不採択理由とは?再申請に向けてすべきことも解説

事業再構築補助金の不採択理由とは?再申請に向けてすべきことも解説

事業再構築補助金を申請したものの、不採択になってしまったので理由を知りたい企業担当者も多いのではないでしょうか。本記事では、事業再構築補助金の採択率や不採択になってしまう理由、不採択後にすべきことなどを解説します。再申請に向けてすべきことがわかるのでぜひお役立てください。

目次
  1. 1. 事業再構築補助金の採択率
    1. 1-1. 都道府県別の採択率
    2. 1-2. 認定支援機関別の採択率
    3. 1-3. 業種別の応募割合と採択割合
    4. 1-4. 応募金額と採択金額の分布
  2. 2. 事業再構築補助金の主な不採択理由
    1. 2-1. 書類に不備がある
    2. 2-2. 申請要件を満たしていない
    3. 2-3. 事業計画が公募要領の内容を反映していない
  3. 3. 事業再構築補助金の不採択後にすべきこと
    1. 3-1. 事務局に不採択理由を問い合わせる
    2. 3-2. 公募要領を再度読み込む
    3. 3-3. 認定支援機関に相談する
    4. 3-4. 事業計画を見直す
    5. 3-5. 加点項目に取り組む
    6. 3-6. 再申請する
  4. 4. 事業再構築補助金が不採択にならないためには
    1. 4-1. 事業化点、再構築点、政策点を確認する
    2. 4-2. 読みやすい事業計画書を作成する
  5. 5. 【まとめ】補助金が不採択になっても再度チャレンジしよう

事業再構築補助金の採択率

事業再構築補助金の不採択理由とは?再申請に向けてすべきことも解説_5

2023年9月22日に公表された事業再構築補助金の第10回公募における採択率は48.1%(不採択率51.9%)でした。応募件数は10,821件のうち、採択されたのは5,205件です。約2社に1社が不採択になる割合です。採択結果について、詳しく紹介します。

都道府県別の採択率

事業再構築補助金の都道府県別採択率は以下の通りです。

都道府県

応募件数

採択件数

採択率

北海道

321

118

36.8%

青森県

63

30

47.6%

岩手県

54

30

55.6%

宮城県

126

35

27.8%

秋田県

41

12

29.3%

山形県

61

27

44.3%

福島県

88

43

48.9%

茨城県

174

92

52.9%

栃木県

116

57

49.1%

群馬県

163

84

51.5%

埼玉県

354

167

47.2%

千葉県

247

108

43.7%

東京都

1,948

976

50.1%

神奈川県

398

177

44.5%

新潟県

126

65

51.6%

富山県

83

41

49.4%

石川県

122

64

52.5%

福井県

101

55

54.5%

山梨県

74

34

45.9%

⾧野県

193

99

51.3%

岐阜県

202

101

50.0%

静岡県

303

176

58.1%

愛知県

791

413

52.2%

三重県

149

77

51.7%

滋賀県

147

74

50.3%

京都府

342

154

45.0%

大阪府

1,202

576

47.9%

兵庫県

554

246

44.4%

奈良県

139

68

48.9%

和歌山県

74

36

48.6%

鳥取県

41

20

48.8%

島根県

45

19

42.2%

岡山県

146

74

50.7%

広島県

239

126

52.7%

山口県

73

40

54.8%

徳島県

83

41

49.4%

香川県

95

37

38.9%

愛媛県

111

57

51.4%

高知県

36

18

50.0%

福岡県

471

212

45.0%

佐賀県

45

21

46.7%

⾧崎県

92

47

51.1%

熊本県

156

79

50.6%

大分県

91

35

38.5%

宮崎県

77

29

37.7%

鹿児島県

100

47

47.0%

沖縄県

164

68

41.5%

合計

10,821

5,205

48.1%

事業再構築補助金「第10回公募の結果について(令和5年9月)」をもとに編集部が作成

採択率が高いのは、静岡県(58.1%)、岩手県(55.6%)、山口県(54.8%)、福井県(54.5%)などです。一方、宮城県(27.8%)、秋田県(29.3%)、北海道(36.8%)、宮崎県(37.7%)などは採択率が低い傾向があります。都道府県によって、審査基準が異なるわけではありませんが、静岡県と宮城県では、採択率に30.1%もの差があります。

認定支援機関別の採択率

事業再構築補助金の不採択理由とは?再申請に向けてすべきことも解説_6

画像引用:事業再構築補助金「第10回公募の結果について(令和5年9月)」

認定支援機関別の採択数では、金融機関が約3,000件で最多です。次いで、税理士関係が約1,900件、商工会・商工会議所が約1, 100件です。採択率は商工中金(56.8%)、信用金庫(53.9%)、地方銀行(53.3%)が高い傾向にあります。

業種別の応募割合と採択割合

事業再構築補助金の不採択理由とは?再申請に向けてすべきことも解説_2

画像引用:事業再構築補助金「第10回公募の結果について(令和5年9月)」

応募件数および採択件数は、製造業、卸売・小売業、建設業、宿泊業・飲食サービス業の割合が多いです。

応募金額と採択金額の分布

事業再構築補助金の不採択理由とは?再申請に向けてすべきことも解説_7

画像引用:事業再構築補助金「第10回公募の結果について(令和5年9月)」

応募金額および採択金額は、500~1,000万円が最も多く、次いで1,501~3,000万円、1,001〜1,500万円です。なお、応募金額では約62%、採択金額では約61%を100~1,500万円が占めます。

事業再構築補助金の主な不採択理由

事業再構築補助金の不採択理由とは?再申請に向けてすべきことも解説_3

続いて、事業再構築補助金が不採択になってしまう主な理由を解説します。

書類に不備がある

補助金が不採択になる代表的な理由として挙げられるのが書類不備です。事業再構築補助金事務局が公表した「電子申請にあたってご注意いただくこと」によると、以下のような事例が報告されています。

<申請不備の事例>

  1. 売上が減少した要件に必要な書類(月別売上高)が添付されていない。
  2. 売上が減少したと記載している年月とは異なる期間の書類が添付されている。
  3. 「認定経営革新等支援機関による確認書」 に記載されている法人名が申請者と異なる。
  4. 認定経営革新等支援機関の確認書が、申請者名で作成されている。
  5. 添付書類にパスワードがかかっていたり、ファイルが破損していたりする。

ヒューマンエラーをゼロにすることは難しい一方、複数人でチェックする体制を整えればミスが起こる確立を低減できます。申請前は、担当者以外にも書類を複数回チェックしてもらうなどして、不備がない状態で提出しなければなりません。

申請要件を満たしていない

補助金の申請要件を満たしていない場合も不採択になります。事業再構築補助金で必須となる申請要件は以下の通りです。

  • 認定経営革新等支援機関から事業計画の確認を受けること
  • 付加価値額を向上させること

申請する補助金額が3,000万円超の場合、銀行や信用金庫、ファンドなどの金融機関の確認を受けなければなりません。また、付加価値額については、補助事業終了後3~5年で年率平均3~5%以上増加、または従業員1人当たりの付加価値額を年率平均3~5%以上増加させるのが要件です。申請前に、書類チェックとあわせて、申請要件を満たしているかも確認しましょう。

事業計画が公募要領の内容を反映していない

事業再構築補助金の不採択理由とは?再申請に向けてすべきことも解説_4

事業計画が公募要領の内容を反映していない場合も不採択になる可能性が高いです。具体的なケースを3つ紹介します。

自社の強みを活かしていない

自社の強みを活かした事業計画でない場合、不採択になる可能性が高まります。事業再構築補助金では「付加価値額の向上」が必須要件に掲げられているように、事業の成長性も審査では重要な要素です。強みを発揮できない領域で事業を行う場合、競争優位性がないため

リスクが増えます。まずは、自社分析を行い、強みと弱みを把握してから事業計画を立てるとよいでしょう。

収益性が明確でない

収益性が明確でない場合も補助金が不採択になりやすいです。収益性が見込めない事業に補助金を交付しても、補助金事業の費用対効果が低くなるからです。国はボランティアで補助金事業を行っているわけではありません。事業再構築補助金であれば、中小企業の思い 切った事業再構築をサポートし、日本経済の構造を転換させることを目的としています。そのためにも、事業計画は収益性の見込めるものでなければなりません。

市場分析が十分にできていない

市場分析が不十分な場合も不採択になりやすいです。事業計画書で市場ニーズが明確に記載されていないと、審査員は事業がうまくいくかどうか判断できません。審査員に納得感をもってもらうには、市場分析を行う際は、国や業界団体、シンクタンクなどが公表している資料を参考にするのがおすすめです。客観的な数値を用いて、表やグラフなどで視認性を高めて作成すれば、審査員も事業計画の実現可能性を判断しやすくなります。

事業再構築補助金の不採択後にすべきこと

事業再構築補助金の不採択理由とは?再申請に向けてすべきことも解説_1

事業再構築補助金が不採択になって、再申請を検討している企業担当者がすべきことを解説します。

事務局に不採択理由を問い合わせる

まずは補助金事務局に不採択理由を問い合わせましょう。補助金によっては、不採択理由を知ることができないものもありますが、事業再構築補助金では、口頭で審査員のコメントを聞けます。不採択になった理由だけでなく、良かった点などもヒアリングするのがおすすめです。メモの準備をした上で電話しましょう。なお、事業再構築補助金の問い合わせ先は以下の通りです。

ナビダイヤル:0570-012-088

IP電話:03-4216-4080

※受付時間 9:00~18:00(日・祝日は除く)

公募要領を再度読み込む

事業再構築補助金には、成長枠や卒業促進枠、最低賃金枠など、計8つの申請枠があります。枠ごとに対象となる事業者が異なるため、公募要領を読み込んで、条件を満たしているか確認しましょう。また、公募要領はこれまでにも複数回にわたって改訂されています。再申請する際は、新たに改訂された点がないかも確認することをおすすめします。

認定支援機関に相談する

不採択になった理由を認定支援機関と共有し、改善点を洗い出して事業計画書をブラッシュアップしましょう。市場分析が不十分なことで不採択になったのであれば、認定支援機関のサポートを受けて、情報収集を行うことも可能です。なお、既存の認定支援機関の対応に満足行かない場合は、支援機関を切り替えるのも手です。

事業計画を見直す

事業計画を見直すことで、採択率アップにつなげやすくなります。見直すポイントは以下の通りです。

  • 事業が補助金の目的に合致しているか
  • 審査項目を満たしているか
  • 事業計画書はわかりやすいか

見直した結果、申請したい補助事業が事業再構築補助金にふさしくない場合もあります。その際は、ほかの補助金を検討することも視野に入れて総合的に判断しましょう。

加点項目に取り組む

加点項目を満たす事業計画を申請すれば、採択率アップにつなげやすくなります。自社で取り組める項目がないかチェックしてみましょう。なお、代表的な加点項目は以下の通りです。

  • 大きく売り上げが減少している
  • 指定の要件を満たして最低賃金枠で申請
  • 経済産業省が行うEBPM(証拠に基づく政策立案)の取り組みに協力
  • パートナーシップ構築宣言を行っている
  • 指定の要件を満たして事業再生を行う
  • 指定の要件を満たした、中小企業者でない特定事業者
  • 健康経営優良法人に認定されている
  • 大幅な賃上げを実施する
  • ワークライフバランスに取り組む

加点項目を満たせば、不採択になったときよりも点数を高められます。条件を満たしやすい項目があれば、積極的に取り組みましょう。

再申請する

事業再構築補助金は、不採択になったとしても、次回以降の公募に再申請することが可能です。大幅な変更が必要ない限り、再申請にかかる労力は初回申請よりも少ないでしょう。申請を断念すれば、これまでの労力が無駄になってしまいます。リソースが確保できる限りは、採択されるまで取り組むのがおすすめです。

事業再構築補助金が不採択にならないためには

事業再構築補助金の不採択理由とは?再申請に向けてすべきことも解説_8

事業再構築補助金が不採択にならないための重要なポイントを2つ紹介します。

事業化点、再構築点、政策点を確認する

事業再構築補助金は、事業化点、再構築点、政策点から審査されます。再申請する際は、あらためて3つの観点を確認しましょう。なお、各ポイントは以下の通りです。

事業化点

マーケティングやスケジュール、

補助事業の費用対効果などの観点で、事業計画の妥当性が評価される

再構築点

自己資金のみ取り組むのが難しい事業なのか、

コロナによって深刻な被害を受けており、

必要性や緊要性が高い事業であるかが評価される

政策点

日本の経済成長を牽引できるか、

地域の経済成長を牽引する事業として期待できるかが評価される

読みやすい事業計画書を作成する

第三者が読んでも容易に理解できるような事業計画書を作成しましょう。どれだけ優れた事業計画書だったとしても、専門用語が多かったり、文字ばかりだったりすると、審査員が内容を理解しにくくなります。申請前に、社外の関係者に確認してもらうなどして、わかりにくい部分があれば修正しましょう。

【まとめ】補助金が不採択になっても再度チャレンジしよう

事業再構築補助金の採択率や不採択になる理由、再申請に向けてすべきことを解説しました。事業再構築補助金の採択率は48.1%なので、2社に1社は不採択になります。本記事を参考に、不採択になった理由を突き止めて、再申請に向けて事業契約を改善しましょう。