事業再構築補助金の採択率とは?不採択になる原因や対処方法も解説!

事業再構築補助金の採択率とは?不採択になる原因や対処方法も解説!

事業再構築補助金の申請を考える際、採択率が気になる方も多いのではないでしょうか。また、採択率を上げるポイントやどんな基準で不採択になるかは、申請する上で押さえておきたいですよね。

本記事では、これまでの事業再構築補助金の採択率や、採択率を上げる方法などを解説します。

目次
  1. 1. 事業再構築補助金の全体の採択率について
  2. 2. 事業再構築補助金の業種や金額別の採択割合
    1. 2-1. 業種による採択割合
    2. 2-2. 金額別の採択割合
  3. 3. 事業再構築補助金の個人事業主の採択率について
  4. 4. 事業再構築補助金の補助額や補助率について
  5. 5. 事業再構築補助金が不採択になる原因
    1. 5-1. 必要書類に不備がある
    2. 5-2. 事業再構築の指針や方法が明確になっていない
    3. 5-3. 事業計画書が公募要項にそぐわない
    4. 5-4. 事業計画書が情報不足になっている
    5. 5-5. 申請する事業が本当に実現できるか不透明
    6. 5-6. 資金調達が十分ではない
  6. 6. 採択率を向上させる事業計画書
    1. 6-1. 事業環境の分析をしっかり実施する
    2. 6-2. 自社の商品やサービスを具体的に提示する
    3. 6-3. 市場や競合分析に手を抜かない
  7. 7. 事業再構築補助金が不採択になった時の対処法
  8. 8. 事業再構築補助金の第11回スケジュールについて
  9. 9. 【まとめ】事業再構築補助金の採択率について紹介しました

事業再構築補助金の全体の採択率について

 

応募件数

採択件数

採択率

第1回

(令和3年)

22,231件

8,016件

36.0%

第2回

(令和3年)

20,800件

9,336件

44.8%

第3回

(令和3年)

20,307件

9,021件

44.4%

第4回

(令和3年)

19,673件

8,810件

44.7%

第5回

(令和4年)

21,035件

9,707件

46.1%

第6回

(令和4年)

15,340件

7,669件

49.9%

第7回

(令和4年)

15,132件

7,745件

51.1%

第8回

(令和5年)

12,591件

6,456件

51.2%

第9回

(令和5年)

9,369件

4,259件

45.4%

事業再構築補助金の採択率は、約35%〜50%の間で変動していることが上記の表からわかります。第1回の採択率は36.0と低かったものの、徐々に採択される件数が増えて第7回、第8回では50%超えを記録。応募した事業の2件に1件は採択されたということになります。

しかし第9回では採択率は45.4%とやや落ち込んだため、採択率が上がってきたとはいえ「採択されやすくなった」とはいえないでしょう。

事業再構築補助金は100万円から応募枠によっては最大1.5億円。補助金額が大きい分、誰でも簡単に採択されるわけではありません

事業再構築補助金の業種や金額別の採択割合

業種による採択割合

〈事業再構築補助金 第9回 業種別の採択割合〉

業界

採択割合

製造業

28.7%

卸売業・小売業

14.8%

宿泊業、飲食サービス業

13.3%

建設業

12.4%

学術研究、専門・技術サービス業

6.2%

その他サービス業

5.5%

生活関連サービス業、娯楽業

5.3%

情報通信業

3.5%

不動産業、物品賃貸業

3.1%

医療、福祉

2.0%

運輸業、郵便業

1.7%

教育、学習支援業

1.5%

その他

2.0%

第9回公募の結果では製造業の割合が最も多く、次いで卸売業・小売業、宿泊業・飲料サービス業。近い数値では、建設業も多く採択されているといえます。

特に宿泊・サービス飲食業は、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で経営に大打撃を受けた業種です。規制が緩和された現在、事業の再構築を目指して採択される企業も多いと予測できます。

金額別の採択割合

〈事業再構築補助金 第9回 金額別の採択割合〉

金額

割合

100~500万円

10.73%

501~1,000万円

19.96%

1,001~1,500万円

10.33%

1,501~3,000万円

40.46%

3,001~4,500万円

10.05%

4,501~6,000万円

4.04%

6,001~8,000万円

2.72%

8,001万円~1億円

1.69%

1億円超

0.02%

事業再構築補助金の採択された金額で最も多かったのは、全体の約40%を占める1,501〜3,000万円でした。次いで多いのは19.96%を記録した501〜1,000万円。続く100〜500万円、1,001〜1,500万円、3,001~4,500万円はそれぞれが約10%の割合を占めています。

この結果から、金額が低いからという理由で採択がされやすいとはいえないことがわかります。

ただ、4,501円以上になると一気に4.04%まで下がり、採択されにくくなる傾向にあります。1億円以上の補助金で採択された企業は0.02%とほんの一握りですね。自社の該当枠に適した補助金額であることを前提として、4,500万円以下で申請すると採択率が上がることがわかります。

事業再構築補助金の個人事業主の採択率について

事業再構築補助金は法人・個人別での採択率が明らかにされていないため、個人事業主の採択率を算出することができません。しかし、個人事業主は法人に比べて採択率が低いといわれることがあります。

例えば、事業を再構築できる可能性が低いとみなされることです。個人は法人と比べて自己資金が少ないため、財務状況が悪くなる可能性が高くなります。資金不足であるために再構築を実現できないと判断されると、採択されにくくなるでしょう。

採択率を上げるには、事業を実施できるような体制が整っていることを証明した上で、事業計画・資金調達計画をしっかりと行うことが必要です。

事業再構築補助金の補助額や補助率について

事業再構築補助金は、中小企業を支援してポストコロナ・ウィズコロナの経済社会の変化に対応するために設けられた補助金。コロナの影響で厳しい経済状況にある中小企業や個人事業などに対し、事業の再構築を支援することで日本経済の構造転換を促す目的があります。

「事業再構築」には、支援の対象を明確化するための指針が定められています。申請する事業者は、事業再構築に該当するための要件を満たさなければいけません。

要件を満たす事業は、新市場進出(新分野展開、業態転換)・事業転換・業種転換・事業再編・国内回帰の5つの類型の事業があります。

事業再構築補助金の申請枠・補助額の上限・補助率は以下の通りです。

申請枠

補助額上限

補助率

最低賃金枠

最大1,500万円

3/4

物価高騰対策・回復再生応援枠

最大3,000万円

2/3 (一部3/4)

産業構造転換枠

最大7,000万円

2/3

成長枠

最大7,000万円

1/2

(大規模な賃上げ達成で

2/3へ引き上げ可)

グリーン成長枠

エントリー:最大8000万円

(中堅1億円)

スタンダード:1億円

(中堅1.5億円)

1/2

(大規模な賃上げ達成で

2/3へ引き上げ可)

サプライチェーン強靭化枠

最大5億円

1/2

事業再構築補助金の補助額上限や補助率は、従業員規模によって変動します。

国内回帰に該当するサプライチェーン強靭化枠では、建設費用を含む場合最大5億円という巨額の補助金を受け取れる可能性も。事業を再建するための大きな支援を受けられることがわかります。

事業再構築補助金が不採択になる原因

事業再構築補助金の採択率とは?不採択になる原因や対処方法も解説!                _1

事業再構築補助金を申請しても、不採択になってしまうこともあります。以下では、事業再構築補助金が不採択になる原因を解説。申請する際の注意点を押さえておきましょう。

必要書類に不備がある

必要書類の不備は、事業再構築補助金が不採択になる可能性が高くなります。書類に不備があると、適正な審査が行えないためです。

例えば、申請要件を満たす書類。売上高減少要件(コロナ前と後の売上高を比較し、10%以上減少していること)を満たしている証明には月別売上高を表す書類が必要です。それが添付されていないと、要件を満たしているかわかりません。単純な不備でも申請要件を満たしていないと判断され、不採択に繋がる原因になり得ます。

修正事項がある場合、事務局から申請を差し戻しされることもあります。その場合、新規で申請すると「重複申請」となり補助対象外になってしまうため、注意が必要です。

事業再構築補助金事務局では、交付申請の注意事項も紹介されています。申請にあたっては逐一注意事項を確認し、必要な書類をリストアップして提出前にもう一度確認するなど、慎重に実施しましょう。

事業再構築の指針や方法が明確になっていない

事業再構築の指針や方法が申請要件に沿って明確でないと、不採択に繋がります。新市場進出(新分野展開、業態転換)・事業転換・業種転換・事業再編・国内回帰のいずれかに当てはまらない場合、申請要件を満たしているとは認められないためです。

例えば、売上高減少要件は満たしていても「経済的に事業継続が厳しい」という理由では、再構築する必要性がないと判断されかねません。

事業再構築補助金の採択率を上げるためには、事業再構築の必要性を明確にした上で、事業再構築指針に則った事業計画書を作成することが大切です。

事業計画書が公募要項にそぐわない

事業計画書に必要な記載事項は、事務局に指定されています。項目が満たされていなかったり意図とは異なる内容の事業計画は、公募要項にそぐわないとして不採択になる可能性が高まります。事業の計画作成における注意事項として、公募要項が明示的に記載されていない場合は不採択になることが明言されているためです。

事業計画書には以下の項目の記載が必要です。

  1. 補助事業の具体的取組内容
  2. 将来の展望
  3. 本事業で取得する主な資産
  4. 収益計画

他にもページ数や明記が必要な内容など、細やかな指定があります。公募要領は最新のものを参照しながら慎重に作成しましょう。

事業計画書が情報不足になっている

事業計画書には、審査項目として定められた項目の内容を満たす情報を記載することが必要です。

  1. 補助対象事業としての適格性
  2. 事業化点
  3. 再構築点
  4. 政策点
  5. グリーン成長点(グリーン成長枠の場合)
  6. 大規模な賃上げに取り組むための計画書の妥当性(成長枠・グリーン成長枠で補助率引上げを希望する事業者の場合)
  7. 卒業計画の妥当性(卒業促進枠の場合)
  8. 大規模賃上げ及び従業員増加計画の妥当性(大規模賃金引上促進枠の場合)
  9. 加点項目

以上に対応する記載がないと、情報不足と判断されて不採択になる可能性も。審査項目ごとにも記載内容が細かく指定されているため、情報を網羅する必要があるでしょう。

また事業計画書は、A4 サイズで原則最大15ページ以内(補助金額1,500万円以下の場合は計10ページ以内)での作成を指定されています。必要な情報を網羅しながらも、最大ページ数に収まるよう工夫が必要です。

申請する事業が本当に実現できるか不透明

事業再構築補助金の補助対象要件は、以下の2点です。

「補助事業終了後3~5年で付加価値額を(事業類型に応じて)年率平均3.0%~5.0%以上増加させること」

および「従業員一人当たり付加価値額を(事業類型に応じて)年率平均3.0%~5.0%以上増加させること」の2点を満たすこと。

以上が見込めない事業は、補助対象外として不採択になります。そのため、2つの要件を満たすことを事業計画書で明示しなければいけません。

実現できる可能性のある事業の判断材料として、公募要領で発表されている取り組み内容や審査項目の中で、以下のポイントが注目されることがわかります。

  • 具体的なユーザーやマーケット規模は明確か
  • 明確な算出根拠を用いた収益計画か
  • 事業の適切な遂行が期待できる財務状況か
  • 事業化に至るまでの方法・スケジュール・課題は明確か
  • 競合との差別化戦略ができているか
  • 補助事業として費用対効果が高いか
  • 経済社会の変化に対応した感染症等の危機に強い事業か

資金調達が十分ではない

事業再構築補助金の審査項目では、「事業化」の部分でチェックされる内容の1つに「金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか」が挙げられています。

資金調達が十分でないと、事業の実現は困難であるとみなされるでしょう。自己資金や融資の目処がないと不採択になります。

採択率を向上させる事業計画書

事業再構築補助金の採択率とは?不採択になる原因や対処方法も解説!                _1

事業計画書は採択・不採択の判断材料となる最も重要な書類。以下では、採択率を向上させる事業計画書の作成方法を解説します。採択率の上がる事業計画書のポイントは押さえましょう。

事業環境の分析をしっかり実施する

採択率を上げるためには、自社の事業分析をしっかりと行った上で事業計画書を作成することが必要です。事業再構築補助金の事業計画書は、単に新規事業についての方針を求められているわけではないためです。

何のために事業を再構築したいのか明らかにしないと、途中で方針がブレて採択率の低い事業計画書になってしまいます。

自社の現状を丁寧に分析した上で事業計画書を作成し、透明性の高い事業目的を示すことが大切です。

自社の商品やサービスを具体的に提示する

事業の実現をイメージできるよう、自社の商品やサービスを具体的に提示することも大切です。事業内容が素晴らしくても、テキストのみで魅力が伝わりきらず不採択になってしまうのは非常にもったいないですよね。

開始予定のサービスの仕組みをフロー図で表したデータや、開発予定の商品の写真を添付するなど、視覚で訴えることで事業の実現に現実味が増します。

審査員が事業計画の実現を具体的にイメージできると、採択率も上がるでしょう。

市場や競合分析に手を抜かない

市場や競合分析を徹底して行うことで、採択率を上げることが可能です。不採択理由を問い合わせた際に「市場や競合の分析が不十分」という点が多く挙げられているためです。

また、事業を実現して業績を伸ばすためには、競合他社との差別化が必要不可欠です。分析結果を踏まえて自身の事業計画を行うことで、実現できる事業であると判断されやすくなるでしょう。

競合の商品やサービスの調査をはじめ、PEST分析や3C分析など、市場調査や競合調査には、様々な手法があるため、利用してみるのも1つの手段です。

事業再構築補助金が不採択になった時の対処法

事業再構築補助金が不採択になった場合は、次回以降の公募で再申請するために事業計画書を見直しましょう。再申請の際は不採択になった原因究明を行い、次回の公募で採択されるにはどのように修正するべきか、しっかり分析しましょう。

不採用の理由は、事務局に問い合わせて審査員のコメントを聞くことができます。採択率の高い事業計画書を作成するためには、忘れず問い合わせることが大切です。

不採択の原因は、コールセンターへ電話して問い合わせることができます。

<コールセンター>

  • ナビダイヤル  0570-012-088
  • IP電話用    03-4216-4080

不採択になっても大切なのはその後の対応。事業計画書の作成に行き詰まった場合は、専門のコンサルタントに依頼して作成してもらう手段も考えましょう。

事業再構築補助金の第11回スケジュールについて

事業再構築補助金の第11回公募スケジュールは、以下の日程が予定されています。

  • 公募開始:令和5年8月10日(木)~
  • 申請受付:令和5年9月中旬
  • 応募締切:令和5年10月6日(金)18:00
  • 補助金交付候補者の採択発表:令和5年12月下旬~1月上旬(予定)

事業再構築補助金の公式ホームページで採択事業者一覧がPDFが公開されます。採択された場合は交付の手続きへ。交付の手続きでもGビズIDプライムアカウントを使用します。

代理申請は不正アクセスとみなされ、不採択や今後の申請を受け付けられなくなることも。必ず申請者自身が内容を理解し、申請手続きを進めなければいけません。

【まとめ】事業再構築補助金の採択率について紹介しました

事業再構築補助金の採択率の傾向や採択率の上げ方について紹介しました。事業再構築補助金は、補助金額が大きく審査も厳正に行われるため、簡単に採択されることはありません。しかし、事業計画書の内容次第で採択率を上げることが可能です。必要な情報を網羅するのはもちろん、自社や競合他社についてしっかりと分析した上で事業計画書を作成することが不可欠。実現できそうな事業内容であると評価される必要があります。

本記事を参考に事業計画書をブラッシュアップして、事業再構築補助金の採択率を向上させましょう。採択率を上げるためには、専門のコンサルタントへ相談することも効果的です。