建設業で利用できる補助金を紹介!目的別で詳しく解説!

建設業で利用できる補助金を紹介!目的別で詳しく解説!

さまざまな補助金がある中で、建設業でも利用できる制度には何があるか知りたい方もいるのではないでしょうか。

本記事では、建設業に向けた補助金・助成金について解説。それぞれの制度の概要を理解し、自社が対象となる補助金・助成金を判断できるようになります。

目次
  1. 1. 補助金・助成金とは
    1. 1-1. 補助金と助成金の違い
    2. 1-2. 建設業で補助金・助成金を利用するメリット
    3. 1-3. 補助金・助成金を申請する際の注意点
  2. 2. 関連の用語の定義
    1. 2-1. 複数の助成金・補助金の併用は可能
  3. 3. 人材育成・雇用に関する助成金
    1. 3-1. トライアル雇用助成金
    2. 3-2. 人材確保等支援助成金
    3. 3-3. 人材開発支援助成金
    4. 3-4. 働き方改革推進支援助成金
    5. 3-5. 業務改善助成金
  4. 4. 販路開拓に関する補助金
    1. 4-1. 小規模事業者持続化補助金
  5. 5. ITに関する補助金
    1. 5-1. IT導入補助金
  6. 6. その他補助金
    1. 6-1. 事業再構築補助金
    2. 6-2. 事業承継・引継ぎ補助金
  7. 7. ものづくり補助金
  8. 8. 建設業での補助金採択事例
    1. 8-1. 3Dレーザースキャナー導入による業務効率の向上(ものづくり補助金)
    2. 8-2. ITツール導入による業務効率化(IT導入補助金)
  9. 9. 【まとめ】建設業に利用できる補助金を紹介しました

補助金・助成金とは

助成金、補助金は、国が推進する政策に応じた事業者をサポートするために交付されるお金です。政策ごとにさまざまな分野で募集されています。「融資」とは異なり返済の義務が生じないため、交付の対象となる事業者にとっては大きな支えとなるでしょう。以下では、補助金、助成金の概要について詳しく解説します。

補助金と助成金の違い

「助成金」と「補助金」の大きな違いは、それぞれの管轄と財源にあります。まず、補助金は、経済産業省の管轄で、税金が主な財源です。新規事業の支援や促進が目的で、個人事業主や小規模事業者、中小企業が支給対象とされます。審査の結果で交付されるかが決まります。

助成金は厚生労働省の管轄で、財源は雇用保険料です。雇用保険の適用事業主が支給対象となり、条件を満たせば交付されます。

建設業で補助金・助成金を利用するメリット

現在の建設業界では、人手不足や若者離れの深刻化など、多くの課題を抱えています。補助金・助成金を利用して若手の採用やITツールを購入する資金源を確保することで、そのような課題を解消しやすいでしょう。例えば、ITツールの導入で管理業務における事務作業を自動化すれば、業務の効率化が可能です。会社の抱える問題を解決し、経営の安定につなげやすくなります。

補助金・助成金を申請する際の注意点

補助金・助成金は「後払い」となるため、余裕を持った運用資金の確保が必要です。補助金によっては、承認から1年後に支給されるものもあります。申請した補助金と同額の資金は、自身で用意する必要があるでしょう。また、定められた事業期間以外の経費は補助対象として扱われないため、補助額の対象となる経費は把握しておかなければいけません

関連の用語の定義

以下では、補助金・助成金の申請要件に記載される頻度が高い用語の定義を解説します。

「中小企業者」の定義

「中小業者」は、中小企業基本法で以下のように定義されています。

業種

中小企業基本法の定義

製造業その他

資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社

又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人

卸売業

資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社

又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

小売業

資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社

又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人

サービス業

資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社

又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

「小規模企業者」の定義

「小規模企業者」は、中小企業基本法で以下のように定義されています。

業種

中小企業基本法の定義

製造業その他

        従業員20人以下

商業・サービス業

従業員 5人以下

複数の助成金・補助金の併用は可能

1つの事業につき、受け取ることができる補助金・助成金の種類は1つです。しかし異なる事業であれば、同じ事業者でも複数の助成金・補助金を受け取る事は可能。事業転換を行う場合や新規事業を立ち上げる場合は、助成金・補助金を上手く活用しましょう。

人材育成・雇用に関する助成金

建設業における人材育成・雇用に関する助成金は、以下の制度が用意されています。

名称

概要

トライアル雇用助成金

建設業における若年建設労働者及び女性建設労働者の確保、

建設労働者の雇用の安定に資する助成金。

 

支給額:支給対象となる若年・女性建設労働者1人につき、

支給対象期間1ヶ月間当たり4万円(コースにより変動)

 

人材確保等支援助成金

処遇改善やキャリアパスの明確化、若年者等の建設業への

入職・定着促進に向けた基盤整備、職業能力開発、

キャリアアップシステム等の普及促進に取り組む事業者に向けた助成金。

人材開発支援助成金

労働者の育成および技能継承を図り、建設労働者の雇用の安定、

並びに能力の開発及び向上に資するための助成金

働き方改革推進支援助成金

生産性を向上させ、時間外労働の削減、

年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた

環境整備に取り組む中小企業事業主に向けた助成金

業務改善助成金

生産性向上に資する設備投資や、

事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合の

設備投資などにかかった費用の一部を対象とした助成金

ここからは、それぞれの助成金の詳細について解説します。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金とは、建設業における若年建設労働者・女性建設労働者の確保を図り、雇用の安定を図るための助成金です。支給対象は、以下のいずれにも該当する者とされます。

  • トライアル雇用の開始日時点で35歳未満の者又は女性
  • トライアル雇用期間に主として建設工事現場での現場作業(左官、大工、鉄筋工、配管工など)又は施工管理に従事する者

また支給額は、支給対象コースによって異なります。

支給対象コース

支給額

  • 一般トライアルコース
  • 障害者トライアルコース
  • 新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース

1~4万円

  • 新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース

0.62~2.5万円

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金は、キャリアアップの促進や雇用の改善などに取り組む建設事業主団体に対して交付される助成金です。建設労働者の処遇改善やキャリアパスの明確化、担い手の確保、魅力的な労働環境づくりのための基盤整備や、職業能力開発の促進などを目的とします。

助成金の対象者は全国団体、都道府県団体、地域団体です。1年間当たりの上限額は、以下のように設定されています。

  • 全国団体:3,000万円
  • 都道府県団体:2,000万円
  • 地域団体:10,00万円

以下は、定められた支給対象コースと支給率です。

支給対象コース

支給率

建設キャリアアップシステム等普及促進コース

中小建設事業主団体:対象経費の2/3

中小建設事業主団体以外:対象経費の1/2

若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース

(建設分野)(事業主経費助成)

中小建設事業主:対象経費の3/5

中小建設事業主以外:対象経費の9/20

若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース

(建設分野)(事業主団体経費助成)

中小建設事業主団体:対象経費の2/3

中小建設事業主団体以外:対象経費の1/2

若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース

(建設分野)(推進活動経費助成)

作業員宿舎等設置 対象経費の2/3

作業員宿舎等設置助成コース

(建設分野)(作業員宿舎等経費助成)

女性専用作業員施設 対象経費の3/5

作業員宿舎等設置助成コース

(建設分野)(女性専用作業員施設設置経費助成)

女性専用作業員施設 対象経費の3/5

作業員宿舎等設置助成コース

(建設分野)(訓練施設等設置経費助成)

支給対象経費の1/2

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、建設業における労働者の育成や技能継承、雇用の安定、能力開発を目的とした助成金です。対象者は主に、中小建設事業主又は中小建設事業主団体が該当します。

支給対象コースや支給率・支給額は以下のように定められています。

支給対象コース

支給率・支給額

建設労働者認定訓練コース

(経費助成)

経費助成 対象経費の1/6

建設労働者認定訓練コース

(賃金助成)

賃金助成 3,800円/人日

建設労働者技能実習コース

(経費助成)

中小建設事業主(20人以下)の場合:経費助成 3/4

中小建設事業主(21人以上)の場合:経費助成 7/10

建設労働者技能実習コース

(賃金助成)

中小建設事業主(20人以下)の場合:賃金助成 8,550円/人日

中小建設事業主(21人以上)の場合:賃金助成 7,600円/人日

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金は、時間外労働が上限規制された中での生産性向上・時間外労働・休暇取得の促進に取り組む中小企業の事業者に向けた助成金です。支給対象となる事業主は、以下のように定められています。

  • 労働者災害補償保険の適用事業主であること。
  • 交付申請時点で、「成果目標」1から3の設定に向けた条件を満たしていること。
  • 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
  • 常時使用する労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が3億円以下の建設業

取り組みの実施に要した経費の一部が、「成果目標」の達成状況に応じて支給されます。

支給されるのは、1から3の上限額および賃金加算額の合計額、対象経費の合計額×補助率3/4のいずれか低い額です。

〈成果目標〉

  1. 全ての対象事業場において、令和5年度又は令和6年度内において有効な36協定について、時間外・休日労働時間数を縮減し、月60時間以下、又は月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行うこと
  2. 全ての対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入すること
  3. 全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入すること

※上記の成果目標に加えて、対象事業で指定する労働者の時間当たりの賃金額の引上げを3%以上行うことを成果目標に加えることが可能。

業務改善助成金

業務改善助成金では、生産性向上に値する設備投資等を行う際、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定金額)以上引き上げた場合、費用の一部が助成されます。助成金額は、生産性向上に資する設備投資等にかかった費用に一定の助成率をかけた金額と助成上限額とを比較し、いずれか安い方の金額です。

対象の事業となる条件は、以下のように定められています。

  • 中小企業・小規模事業者であること
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

最低賃金の引き上げ額や事業規模により、異なるコースが用意されています。

コース区分

助成上限額(人数に応じ異なる)

30円コース

30万~130万円

45円コース

45万~180万円

60円コース

60万~300万円

90円コース

90万~600万円

販路開拓に関する補助金

建設業界が対象となる、販路開拓に関する補助金には「小規模事業者持続化補助金」があります。以下では、小規模事業者持続化補助金について解説します。

小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金」とは、小規模事業者が働き方改革やインボイス制度の対応などに対応し、それらに基づいて販路開拓等に取り組む資金を一部支援する補助金です。申請には、商工会議所・商工会が発行する事業支援計画書が必要になります。支給の対象者となるのは、小規模事業者です。

小規模事業者助成金の補助上限額は200万円。通常枠の補助上限額は50万円。補助率は2/3。

以下の中で、いずれか1つの枠のみ申請できます。

類型

通常枠

賃金引き上げ枠

卒業枠

後継者支援枠

創業枠

補助率

2/3(賃金引上げ枠は例外あり)

補助上限

50万円

200万円

インボイス特例

50万円(要件により上乗せされる場合も)

ITに関する補助金

建設業が支給対象となるITに関する補助金には、「IT導入補助金」があります。以下では、IT導入補助金について解説します。

IT導入補助金

IT導入補助金は、企業がITツールを導入する際やセキュリティ対策を実施する際の費用を支給する補助金です。支給対象者は中小企業とされています。

目的に応じ、異なる申請枠が用意されています。

申請枠

補助対象経費区分

補助率・補助額

通常枠「A類型」

 

ソフトウェア購入費・

クラウド利用料(最大2年分)・

導入関連費

補助率:1/2以内:

上限額・下限額:

5万円~150万円未満

通常枠「B類型」

ソフトウェア購入費・

クラウド利用料(最大2年分)・

導入関連費

補助率:1/2以内:

上限額・下限額:

150万円~450万円以下

セキュリティ対策推進枠

サービス利用料(最大2年分)

補助率:1/2以内:

上限額・下限額:

5万円~100万円

デジタル化基盤導入枠

「デジタル化基盤導入類型」

ソフトウェア購入費・

クラウド利用料(最大2年分)・

導入関連費

補助率:3/4の場合、

(下限なし)~50万円以下、

2/3の場合50万円超~350万円

その他補助金

建設業が支給対象となる補助金は、「事業再構築補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」「ものづくり補助金」があります。

補助金

概要

事業再構築補助金

ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために

中小企業等の事業再構築を支援する補助金

 

500万円~1.5億円

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継やM&Aを契機とした経営革新等への挑戦や、

M&Aによる経営資源の引継ぎ、廃業・再チャレンジを行おうとする

中小企業者等を後押しする補助金。

 

補助率:2/3又は1/2 補助上限:600万円以内又は800万円以内

ものづくり補助金

中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり

相次いで直面する制度変更に対応するため、

革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うため

支援する補助金

 

補助上限額:750万円~8000万円

(事業内容や従業員数による)

補助率:1/2または2/3

以下では、それぞれの補助金について詳しく解説します。

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、コロナ禍によって業績が低下した中小企業等の事業再構築を支援する補助金制度です。補助上限額は枠によって異なり、最大で1.5億円が支給されます。対象者は枠によって異なりますが、中小企業・小規模事業者等が申請可能です。第10回の公募で採択された建設業の事業者は、全体の13.4%でした。

事業承継・引継ぎ補助金

「事業承継・引継ぎ補助金」とは事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業者等を支援する補助金制度です。事業再編や事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業者等も対象になります。補助額は事業の類型ごとに分類され、上限は800万円です。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、相次ぐ制度の変更等に対応するために中小企業・小規模事業者等が取り組むサービス革新・業務プロセス改善等の費用を補助する制度です。上限額は事業内容や従業員数により750万円〜8000万円で、補助率は1/2または2/3に設定されています。支給対象者は、主に中小企業者です。

建設業での補助金採択事例

以下では、建設業での補助金採択事例について解説します。

3Dレーザースキャナー導入による業務効率の向上(ものづくり補助金)

事業者名

株式会社 マイギ

課題

多大な作業工数の削減、業務全般の見直し

補助金の用途

3Dでの図面作成

成果

・作業時間の削減

・設計品質・顧客満足度の向上

・人的作業の高付加価値化

電気計装工事・設計・施工を手掛ける株式会社 マイギは、図面作成において多大な作業時間がかかる点や、業務全般の見直しの必要性に課題を抱えていました。そこで、IT導入補助金を活用して3Dレーザースキャナーおよび3Dキャドソフトを導入します。

手作業による現地寸法計測だったのを、導入したソフトにより安全、短納期、高精度の図面製作技術を実現。作業時間の削減をはじめ設計品質や顧客満足度の向上を図り、人的作業の高付加価値化にもつながっています。

ITツール導入による業務効率化(IT導入補助金)

事業者名

野村建設工業 株式会社

課題

管理部門で採算の把握や正確な原価管理を行いたい

補助金の用途

工事の原価管理、財務・給与システムとの連携

成果

  • 正確な採算管理・原価を実現
  • 労働時間の短縮
  • 異なる拠点間での迅速な情報共有

首都圏にてビル、ホテル、工場、学校などの設計施工を行う野村建設工業 株式会社。管理部門で工事進捗に伴う採算の把握や、正確な原価管理を行いたいという課題がありました。

ITベンダーの紹介により補助金の存在を知り、「LA-cPRO 工事原価管理」と「MJSLINK NX-Plus財務大将、給与大将」を導入。工事の予算・実績をスピーディかつ正確に管理し、管理部門からも工事内容や採算を確認できるようになりました。手作業が減ったことで、労働時間の短縮も実現しています。

【まとめ】建設業に利用できる補助金を紹介しました

人材不足や労働環境に課題を抱えている建設業界において、補助金・助成金は事業継続の大きな支えになります。目的に応じて、多様な種類の補助金や助成金の制度が用意されているため、事業に応じたものに申請することが大切です。なお、補助金・助成金は後払いとなるため、資金には余裕を持たせて申請してください。

対象となる制度に申請し、企業の成長や組織の活性化に活用してみてはいかがでしょうか。