補助金と交付金の違いとは?申請の流れや注意点を解説
補助金の申請を検討している方の中には、交付金との違いについて知りたい方もいるのではないでしょうか。本記事では、補助金と交付金の違いやメリット、デメリットなどを紹介します。補助金を申請する際の流れや注意点も解説するので、ぜひお役立てください。
補助金とは
補助金とは、個人事業主や中小企業の取り組みに対して、国や地方公共団体が資金を支給する制度です。銀行からの融資とは違い、原則として返済義務がないため、コストを抑えて新しい事業を実施することが可能です。補助金を受給するには、審査を通過して採択される必要がありますが、採択されれば、数十万円から数千万円の補助を受けられます。
補助金の具体例
代表的な補助金は以下の4つです。
補助金名 |
内容 |
IT導入補助金 |
ITツールの導入をサポート |
ものづくり補助金 |
革新的な商品やサービスの開発をサポート |
小規模事業者持続化補助金 |
小規模事業者の販路拡大や生産性向上をサポート |
事業再構築補助金 |
事業の転換や異業種への進出をサポート |
交付金とは
交付金とは、主に国が政策目標にもとづいて地方公共団体へ支給するお金のことを指します。教育や福祉、インフラ整備、環境保護などで利用されるのが一般的です。金額は数十万円から億単位に上ることもあります。
交付金の具体例
交付金の具体例は以下の通りです。
交付金名 |
内容 |
地方創生推進交付金 |
地方公共団体の自主的かつ主体的な取り組みを支援することで、 地方創生を推進 |
地方創生拠点整備交付金
|
観光施設の新設や周辺設備の整備などをサポート |
地方大学・地域産業創生交付金
|
専門的な人材の育成や地域産業の振興などを重点的にサポート |
地域子供の未来応援交付金 |
困難な状況にある子供たちをサポート |
補助金と交付金の違い
補助金と交付金の違いをまとめてみました。内容は個別に異なるため、すべてが以下にあてはまるわけではありません。
|
補助金 |
交付金 |
支給元 |
国、地方公共団体 |
国 |
支給先 |
民間企業 |
地方公共団体、その他団体 |
返済義務 |
なし |
なし |
審査 |
あり |
なし(申請は必要) |
金額 |
数十万~数千万円 |
数十万~数億円 |
補助率 |
1/2~2/3程度 |
全額補助が多い |
期間 |
半年程度 |
複数年 |
補助金・交付金のメリット/デメリット
補助金と交付金のメリットとデメリットを解説します。
補助金のメリット
補助金には、以下のようなメリットがあります。
メリット |
内容 |
返済義務がない |
コストを抑えて事業拡大につなげられる |
信用につながる |
審査を通過して採択されれば、信用につながる |
用途が幅広い |
補助金にも様々な種類があり、対象経費が幅広い |
事業内容を振り返れる |
申請書を作成する際に、事業内容を振り返れる |
大きなメリットは返済義務がない点です。積極的に活用することで、事業拡大につなげられます。
補助金のデメリット
一方、補助金には以下のようなデメリットもあります。
デメリット |
内容 |
後払いで支給される |
先に経費を支払う必要があるため資金繰りに注意が必要 |
もらえない可能性がある |
予算は限られている、採択されなければ受給できない |
すべての経費を補助できない |
事業に関するあらゆる経費が補助されるわけではない |
補助金は経費を自社の資金で支払った後で、請求書や振込み明細などを提出する手続きを経て入金されます。資金繰りを考慮した上で申請する必要があるのです。
交付金のメリット
交付金のメリットも返済義務がない点が挙げられます。また、まちづくりや福祉、インフラ整備などを目的としているため、支給額の規模が補助金よりも大きいのも特徴です。社会的意義のある事業に使用されるため、地域住民もメリットを享受できます。
交付金のデメリット
交付金は主に地方公共団体に支給されるため、民間企業は受け取れません。ただし、地方公共団体が事業を実施する際に、民間企業に委託するケースもあるため、事業を受託できれば売上拡大につなげることが可能です。
補助金の公募開始から受け取るまでの流れ
補助金の公募開始以降の流れは以下の通りです。
- 公募開始
- 申請
- 審査
- 採択
- 事業の実施
- 実績報告
- 交付額の決定
- 補助金交付
- 事業進捗の報告
順番に解説します。
公募開始
経済産業省や中小企業庁などのホームページで公募要領が公表されます。公募要領に記載されているのは、補助金の目的や補助対象経費、補助額、補助率などです。様々な補助金があるため、公募要領を読んで自社に適したものを見つけましょう。
申請
事業計画や履歴事項全部証明書、身分証明書などの書類を提出します。申請方法は郵送や電子申請などです。書類に不備があるだけで、不採択になる可能性もあるため、提出前のチェックは欠かさずに行いましょう。
審査
補助金の実施主体から委託された中小企業診断士や税理士などの有識者が審査します。審査員はあらゆる業界に精通しているわけではありません。業界特有の用語や専門的な用語はわかりやすい言葉に置き換えたり、注釈をつけたりして、相手に伝えることを意識しましょう。
採択
申請期間内に提出された書類が審査され、採択通知が行われます。補助金のホームページでも採択事業者一覧が公表されるのが一般的です。
交付申請
採択された時点では、補助金を受け取れる権利を獲得したまでに過ぎません。予算や補助金の使途などを記載した交付申請書類を提出し、審査を経て交付が決定します。
事業の実施
交付が決定した日以降に、事業を実施する上で必要な経費を支出します。交付決定日前の経費は補助対象外なので、注意しましょう。
実績報告
補助事業を実施するために購入した商品やサービスなどの支払明細書や振込み明細などを補助金事務局に提出します。
交付額の決定
「事業は計画通りに実施されているか」「金額に誤りはないか」などのチェックを経て、交付額が決定します。
補助金交付
一般的には、交付額が決定して補助金が振り込まれるまでの期間は1~2か月程度です。事務局の対応状況により、入金までにさらに時間を要する場合もあります。
事業進捗の報告
補助事業の進捗状況を事務局に報告します。例えばIT導入補助金の場合、事業実施の翌年から3年間にわたり、事業効果報告を3回行わなければなりません。補助金が振り込まれた後も計画通りに事業を実施する必要があるのです。
補助金申請時の注意点
書類不備に気をつける
補助金の手続きでは、プロセスごとに複数の書類を提出しなければならないため、記載ミスや不備には十分注意しましょう。提出書類が不足していたり、誤った情報を記載したりしていると、不採択になる可能性があります。提出前に「誤字脱字はないか」「書類はすべて揃っているか」などを複数人でチェックしましょう。
資金繰り計画を立てる
補助金を申請する際は、あわせて資金繰り計画も立てましょう。補助金は後払いのため、先に自社が経費を支払わなければなりません。事業規模が大きい場合、数百万円〜数千万円を先払いしなければならないケースも。固定費やランニングコストなども考慮して資金計画を立てておく必要があります。不安な場合は、金融機関から融資を受けられるのかどうかも事前に確認しておくとよいでしょう。
申請した計画に沿って事業を実施する
補助事業は申請した計画に沿って実施しなければなりません。採択された事業計画から逸脱した補助金の使い方をした場合、返還を求められる可能性があるからです。事業を実施していく中で、事業計画通りに進めることが難しくなった際は、補助金事務局に相談しましょう。
申請期限に間に合うように進める
補助金の申請期限に間に合うように余裕をもって進めましょう。補助金を申請する際は、事業計画策定のほか、必要書類の取得に時間を要します。さらに、申請要件を満たすためにも時間がかかる場合があります。
例えばIT導入補助金の場合「gBizプライム」のアカウントが必須です。gBizプライムとは、複数の行政サービスを利用できるIDのことです。アカウント発効までに2〜3週間程度かかります。公募要領を読み込んで、タスクを洗い出し、スケジューリングしましょう。
【まとめ】補助金と交付金の違いを解説しました
補助金は民間企業の事業拡大や生産性向上を目的とした取り組みを支援するために支給されます。一方、交付金は地方公共団体に対して、福祉や教育の充実、インフラ整備などを目的に支給されます。民間企業の場合、交付金を申請できないため申請するとすれば補助金です。返済不要という大きなメリットがあるため、積極的に活用を検討しましょう。