事業再構築補助金が不採択になる理由は?原因と対策を解説!

事業再構築補助金が不採択になる理由は?原因と対策を解説!

事業再構築補助金の申請は必要書類が多く書類の作成が難しいため、不採択になってしまった方も多いでしょう。

本記事では、事業再構築補助金で不採択になる理由や不採択になったときの対策を解説しますので、再申請する際の参考にしてください。

目次
  1. 1. 事業再構築補助金の採択率
    1. 1-1. 業種別の応募と採択率
    2. 1-2. 都道府県別の応募と採択率
    3. 1-3. 応募金額と採択金額の分布
    4. 1-4. 認定支援機関別の応募と採択率
  2. 2. 事業再構築補助金が不採択になる理由
    1. 2-1. 書類の不備
    2. 2-2. 公募要領と事業計画があっていない
    3. 2-3. 事業の収益性が明確になっていない
    4. 2-4. 市場規模やニーズの分析ができていない
  3. 3. 事業再構築補助金が不採択だったときにやるべきこと
    1. 3-1. 不採択理由を事務局に問い合わせる
    2. 3-2. 事業計画を修正する
    3. 3-3. 公募要領を確認して加点項目がないか確認する
    4. 3-4. 認定支援機関への依頼内容を見直す
    5. 3-5. 再申請にチャレンジする
  4. 4. 事業再構築補助金における事業計画書作成のポイント
    1. 4-1. 補助対象事業として適しているか確認する
    2. 4-2. 公募要領の審査項目は網羅されているか確認する
  5. 5. 【まとめ】事業再構築補助金が不採択になったときの対策を紹介しました

事業再構築補助金の採択率

第10回公募の事業再構築補助金の応募件数や採択件数、採択率は以下の表の通りです。

 

応募件数

採択件数

採択率

成長枠

2,734

1,242

45.4%

グリーン成長枠

631

262

41.5%

産業構造転換枠

275

102

37.1%

最低賃金枠

249

133

53.4%

物価高騰対策・回復再生応援枠

6,775

3,387

50.0%

サプライチェーン強靭化枠

157

79

50.3%

(※複数の企業が連携して行う事業の申請は1件と計上しています。)

出典:「事業再構築補助金 第10回公募の結果について」

業種別の応募と採択率

事業再構築補助金事務局が公表しているデータによると、製造業や卸売業・小売業、建設業、宿泊業・飲食サービス業の応募・採択が多くなっています。詳細は以下の表の通りです。

業種

応募件数ベースの割合

採択件数ベースの割合

建設業

13.1%

13.4%

製造業

20.3%

24.6%

情報通信業

5.4%

6.0%

運輸業・郵便業

1.5%

1.7%

卸売業・小売業

15.9%

15.0%

不動産業・物品賃貸業

4.0%

3.5%

学術研究
専門・技術サービス業

6.7%

6.9%

宿泊業・飲食サービス業

12.5%

11.0%

生活関連サービス業
娯楽業

7.1%

5.9%

教育・学習支援業

1.5%

1.3%

医療・福祉

3.4%

3.2%

サービス業
(他に分類されないもの)

6.4%

5.7%

その他

2.2%

1.9%

(※複数の企業が連携して行う事業の申請は1件と計上しています。)

出典:「事業再構築補助金 第10回公募の結果について」

都道府県別の応募と採択率

都道府県別の応募数は、件数ベースで見ると東京や大阪、愛知、兵庫が多くなっています。一方で、都道府県別の採択率ベースで見ると岩手や静岡、山口、福井などの採択率が高くなっています。詳細は以下の表の通りです。

都道府県名

応募件数

採択数

採択率

北海道

321

118

36.8%

青森

63

30

47.6%

岩手

54

30

55.6%

宮城

126

35

27.8%

秋田

41

12

29.3%

山形

61

27

44.3%

福島

88

43

48.9%

茨城

174

92

52.9%

栃木

116

57

49.1%

群馬

163

84

51.5%

埼玉

354

167

47.2%

千葉

247

108

43.7%

東京

1948

976

50.1%

神奈川

398

177

44.5%

新潟

126

65

51.6%

富山

83

41

49.4%

石川

122

64

52.5%

福井

101

55

54.5%

山梨

74

34

45.9%

長野

193

99

51.3%

岐阜

202

101

50.0%

静岡

303

176

58.1%

愛知

791

413

52.2%

三重

149

77

51.7%

滋賀

147

74

50.3%

京都

342

154

45.0%

大阪

1202

576

47.9%

兵庫

554

246

44.4%

奈良

139

68

48.9%

和歌山

74

36

48.6%

鳥取

41

20

48.8%

島根

45

19

42.2%

岡山

146

74

50.7%

広島

239

126

52.7%

山口

73

40

54.8%

徳島

83

41

49.4%

香川

95

37

38.9%

愛媛

111

57

51.4%

高知

36

18

50.0%

福岡

471

212

45.0%

佐賀

45

21

46.7%

長崎

92

47

51.1%

熊本

156

79

50.6%

大分

91

35

38.5%

宮崎

77

29

37.7%

鹿児島

100

47

47.0%

沖縄

164

68

41.5%

(※複数の企業が連携して行う事業の申請は1件と計上しています。)

出典:「事業再構築補助金 第10回公募の結果について」

応募金額と採択金額の分布

事業再構築補助金の応募金額は、501万円~1,000万円が最も多く、次いで1,501万円~3,000万円、1,001万円~1,500万円の順に多くなっています。採択金額も同様の分布です。

詳細は以下の表の通りです。

 

応募金額の分布

採択金額の分布

100万円~500万円

9.90%

7.63%

501万円~1,000万円

32.68%

32.49%

1,001万円~1,500万円

20.28%

21.58%

1,501万円~3,000万円

25.17%

25.73%

3,001万円~4,500万円

4.62%

4.82%

4,501万円~6,000万円

2.13%

2.31%

6,001万円~8,000万円

1.72%

1.86%

8,001万円~1億円

1.99%

1.88%

1億円超

1.52%

1.71%

(※複数の企業が連携して行う事業の申請は1件と計上しています。)

出典:「事業再構築補助金 第10回公募の結果について」

認定支援機関別の応募と採択率

事業再構築補助金事務局の統計によると、認定支援機関別の応募数は民間コンサルティング会社や地方銀行、信用金庫などの金融関係の支援機関による応募が最多です。そのほかでは、税理士や中小企業診断士、商工会が多くなっています。

採択率を支援機関別に見ると、商工中金が56.8%、信用金庫が53.9%、地方銀行が53.3%と高い採択率を出しています。

詳細は以下の表の通りです。

 

応募数

採択数

採択率

銀行

121

64

52.9%

地銀(地方銀行)

1,618

863

53.3%

信用金庫

1,259

679

53.9%

信用組合

109

51

46.8%

商工中金

44

25

56.8%

税理士

993

402

40.5%

税理士法人

941

369

39.2%

公認会計士

297

149

50.2%

商工会

524

232

44.3%

商工会議所

609

271

44.5%

中小企業診断士

1,128

557

49.4%

行政書士

167

73

43.7%

民間コンサルティング会社

2,509

1228

48.9%

一般社団法人

63

31

49.2%

公益財団法人

79

41

51.9%

コンサルタント

167

76

45.5%

その他

184

93

50.5%

(※複数の企業が連携して行う事業の申請は1件と計上しています。)

出典:「事業再構築補助金 第10回公募の結果について」

事業再構築補助金が不採択になる理由

事業再構築補助金が不採択になる理由は?原因と対策を解説!        _1

書類の不備

事業再構築補助金の申請が不採択になる理由の1つ目は、書類の不備です。

事業再構築補助金の申請は必要な書類が多いので、書類の不備で不採択になるケースが多くなりがちです。また、提出書類のファイル名が指定されていたり書類の並び順が指定されていたりするケースもあります。公募要領と照らしあわせて、提出する書類に不備がないかを確認することが大切です。

書類を提出する際は、以下の点に注意してください。

  • 必要書類がそろっているか確認する(申請枠ごとに必要書類が違うので注意する)
  • ファイル形式が決められたとおりになっているか確認する
  • ファイルにパスワードをかけていないか確認する
  • ファイルが破損していないか提出前に確認する
  • ファイル名や順番は指定の通りになっているか確認する

公募要領のほか、事業再構築補助金の事務局から注意喚起の資料が出ていることもありますので、あわせて確認すると良いでしょう。

公募要領と事業計画があっていない

事業再構築補助金の申請が不採択になる理由の2つ目は、事業計画が公募要領の指定に沿っていないという理由です。

事業再構築補助金を利用するためには、中小企業庁が出している「事業再構築指針」に沿っている必要があります。同資料によると「事業再構築」とは、新市場進出や事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰の5つを指すと定義されています。この5つのどれかの類型に該当しなければ不採択になってしまうので注意しましょう。

また、事業計画書に書くべき内容はある程度指定されていますが、決まったフォーマットが用意されていません。よって、公募要領で指定されている項目を全て記載しつつ事業内容を説明する計画書を独自に作成する必要があります。そのため、必要な記載事項を記入し忘れてしまうミスが起こりがちです。必要な項目を記載し忘れないように気をつけて計画書を作成しましょう。

事業再構築補助金の公式サイトで、事例紹介として過去に採択された案件の事業計画書を見られるので、参考にすると良いかもしれません。

事業の収益性が明確になっていない

事業再構築補助金の申請が不採択になる理由の3つ目は、事業の収益性が明確になっていないという理由です。

補助金として出せる財源は限られているので、収益性の不明な事業に補助金を出すわけにはいきません。そのため、収益性が明確になっていない事業は不採択になってしまいます。

例えば、売上や利益をまとめて記載するだけで済ましてしまうと内訳がわからないため収益性が正しく判断できず、不採択になるおそれがあります。可能な範囲内で内訳を詳細に書くようにしましょう。

また、事業再構築補助金は原則として収益を目的としている企業に対して支援する補助金のため、収益事業を実施していることを証明する必要があります。法人の場合は直近の確定申告書別表一と法人事業概況説明書の控え、個人事業主の場合は直近の確定申告書第一表と所得税青色申告決算書の控えが必要です。白色申告の個人事業主の場合は、直近の確定申告書第一表と収支内訳書の控えが「収益事業を行っていることを説明する書類」にあたります。

市場規模やニーズの分析ができていない

事業再構築補助金の申請が不採択になる理由の4つ目は、市場規模やニーズの分析ができていないという理由です。

事業再構築補助金の事務局が出している公募要領では、市場規模やニーズの分析ができているかを審査項目としていることが明記されています。そのため、市場規模やニーズの有無を分析できていることを示す必要があります。市場規模やニーズを分析した上で、補助金の審査をしている方に説明できるような資料を作成しましょう。資料を作る際は、国や自治体の統計資料や信頼のある業界団体の統計資料などを参考にすると良いでしょう。

また、成長枠の場合は「過去から今後の10年間で市場規模が10%以上拡大する業種や業態に属していること」を証明する資料が必要です。忘れないように注意してください。

事業再構築補助金が不採択だったときにやるべきこと

事業再構築補助金が不採択になる理由は?原因と対策を解説!        _3

以下で詳細を解説していきます。

不採択理由を事務局に問い合わせる

事業再構築補助金の申請が不採択になったときは、まず不採択の理由を事業再構築補助金の事務局へ問い合わせましょう。他の一般的な補助金と違い、事業再構築補助金では不採択理由や評価した点などを教えてもらうことが可能です。電話番号は、事業再構築補助金の公式サイトに記載されています。

ただし、問い合わせは会社の代表や申請の担当者でなければできません。申請のサポートをしている方が代理で問い合わせをすることはできませんので注意しましょう。また、不採択となった理由を聞き漏らさないように、メモの準備をきちんとしてから問い合わせをするとよいでしょう。

事業計画を修正する

不採択になった理由が判明したら、事業計画を修正しましょう。

問い合わせの指摘内容や「事業再構築指針」を参考に見直して、不足している内容を追加していきます。指摘された項目だけを追記するのではなく「なぜその情報が必要か」を考え、その内容を理解してもらうために必要な情報をできるだけ載せていくと良い資料になります。審査をしている方の目線から見て納得できる資料を目指して作成することが大切です。

また、問い合わせの際には評価されていた点も教えてもらえるので、その点をさらにアピールできる要素があれば、積極的に追加していきましょう。

公募要領を確認して加点項目がないか確認する

公募要領を確認して加点項目を狙って事業計画を修正することも大切です。

事業再構築補助金の事務局が出している公募要領には、加点される項目が記載されています。この加点項目の要件を満たせないか検討し、満たせる場合は事業計画に盛り込んでいきましょう。

主な加点項目をいくつか簡単に紹介すると以下の通りです。

  • 補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか
  • ターゲットとする市場に対して競合他社の状況を把握し、自社の優位性を確保できているか
  • 中長期での補助事業の課題を検証できているか。スケジュールや課題の解決方法は妥当か
  • 事業目的に沿った事業を実施するための体制や財務状況から、事業の遂行が期待できるか
  • 自社の強み・弱み・機会・脅威を分析した上で事業再構築の必要性が認識されているか
  • 「事業再構築指針」に沿った取り組みであるか
  • 補助事業として、費用対効果が高いか
  • 先端的なデジタル技術の活用や新しいビジネスモデルの構築を通じて、地域やサプライチェーン(製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連の流れ)に貢献できるか

上記のほか、各申請枠の特色にあわせた加点項目もありますので、申請する枠の加点項目を確認しておくとよいでしょう。

また、過去に補助金交付候補者として採択されている場合や交付決定を受けている場合、事業の利益が第三者のものになる場合などは減点対象となる場合があります。減点の対象になる場合は、加点項目をできるだけ多く満たすように事業計画を策定しましょう。

認定支援機関への依頼内容を見直す

事業再構築補助金の申請が不採択になったときは、認定支援機関への依頼内容を見直しをすることもポイントです。

最低限のサポートだけを受けていて不採択になった場合は、事業計画の策定のサポートや書類の確認、書類の添削なども追加で依頼すると良いでしょう。その際は、問い合わせで判明した不採択理由をきちんと共有して対策をしましょう。

事業計画の見直しが終わったら、確認書を発行してもらいましょう。

再申請にチャレンジする

事業計画の修正をし、確認をしてもらったら事業再構築補助金に再度申請しましょう。

事業再構築補助金は、次回以降の公募であれば採択されるまで申請可能です。ただし、公募をする回によって公募要領が変更されていることも少なくないため、公募要領を忘れずに確認してください。公募要領の内容が変わっていれば、指定にあわせて事業計画を修正する必要があります。

事業再構築補助金における事業計画書作成のポイント

事業再構築補助金における事業計画書の作成のポイントを解説していきます。主なポイントは以下の2つです。

事業再構築補助金が不採択になる理由は?原因と対策を解説!        _2

補助対象事業として適しているか確認する

申請する事業計画が、事業再構築補助金を受ける補助事業として適しているかを確認することがポイントの1つです。事業再構築補助金の申請では、どんなに収益性や加点要素をアピールしても補助事業として適していない事業は採択されない傾向があります。

「事業計画指針」にある新市場進出や事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰の5つのどれかに当てはまるかどうかを確認しましょう。当てはまらない場合は、5つのどれかに当てはまるように事業計画を作り直す必要があります。それでも該当させることが難しい場合は、ほかの補助金を検討した方が良いかもしれません。

公募要領の審査項目は網羅されているか確認する

事業再構築補助金の事務局が出している公募要領に記載されている審査項目を網羅することも事業計画を作成するときのポイントの1つです。

共通する審査項目は、大きく分類すると以下の4つです。

  • 補助対象事業としての適格性
  • 事業化点
  • 再構築点
  • 政策点

これらに加えて、各申請枠の特色にあわせた審査項目や加点項目、減点項目などがいくつかありますので忘れずに確認し記載してください。

審査項目を確認する際は、最新の公募要領で確認することが大切です。申請する回によって審査項目が変更されていることがあるため、最新の公募要領の指定にあわせて書類を作成しましょう。

【まとめ】事業再構築補助金が不採択になったときの対策を紹介しました

事業再構築補助金が不採択になる理由や不採択になったときの対策を紹介しました。

事業再構築補助金は、不採択になったとしても次回以降の公募で再度申請できる仕組みです。不採択になってしまった場合は事務局に不採択の理由を問い合わせ、支援機関のサポートを受けながら次回以降の申請で採択を目指しましょう。

補助金の申請支援実績が豊富な専門家にサポートをしてもらうと、書類の添削や必要な資料の確認をしてもらえます。事業計画書や必要書類の修正が難しいと感じた場合は、専門家に支援を依頼すると良いでしょう。