小規模事業者持続化補助金の対象経費を徹底解説!活用例もご紹介
小規模事業者持続化補助金の利用を検討しており、どのような経費が補助されるのか気になる方もいるでしょう。
本記事では、小規模事業者持続化補助金の対象・対象外の経費を紹介します。自社の取り組みたい事業が補助金にマッチするか確認するために、本記事をお役立てください。
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金とは、販路開拓や生産性向上などに取り組む小規模事業者を支援する制度です。補助事業に必要な経費の一部を支援してもらえます。
なお、本見出しの内容は以下の資料を参考にしています。
申請類型一覧
小規模事業者持続化補助金は、以下の5つの申請枠が用意されています。
類型 |
通常枠 |
賃金引上げ枠 |
卒業枠 |
後継者支援枠 |
創業枠 |
概要 |
商工会・ 商工会議所の 支援を 受けながら 行う 販路開拓等の 取組を支援 |
販路拡大に加え、 事業場内 最低賃金が 地域別 最低賃金より +30円以上 である 小規模事業者 |
販路拡大に加え、 雇用を増やし 小規模事業者の 従業員数を 超えて 事業規模を 拡大する 小規模事業者 |
販路拡大に加え、 おいて ファイナリスト および 準ファイナリストに 選ばれた 小規模事業者 |
産業競争力強化法に 基づく 特定創業支援等 事業の 支援を受け、 販路開拓に 取り組む 創業をした 小規模事業者 |
補助率・補助上限
小規模事業者持続化補助金の申請枠ごとの補助率・補助上限額は、以下のとおりです。
類型 |
通常枠 |
賃金引上げ枠 |
卒業枠 |
後継者支援枠 |
創業枠 |
補助率 |
経費の2/3 |
2/3 (赤字事業者 については3/4) |
2/3 |
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補助上限額 |
50万円 |
200万円 |
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インボイス枠 |
上記の補助上限額に50万円上乗せ ※免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者が対象 |
補助対象者
小規模事業者持続化補助金は、以下の要件を満たす法人・個人事業主・特定非営利活動法人が対象になります。
項目 |
内容 |
対象者 |
※常時使用する従業員には、会社役員や個人事業主本人、 一定条件を満たすパートタイム労働者は含まれない |
要件 |
以下全ての要件を満たすこと
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小規模事業者持続化補助金の対象経費
小規模事業者持続化補助金の対象経費には、以下の11区分が設けられています。
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 展示会等出展費
- 旅費
- 開発費
- 資料購入費
- 雑役務費
- 借料
- 設備処分費
- 委託・外注費
順番にみていきましょう。
なお、本見出しの内容は以下の資料を参考にしています。
出典:小規模事業者持続化補助金<一般型> 第14回公募 公募要領
機械装置等費
機械装置等費は、補助事業に必要な製造装置の購入にかかる経費です。通常の事業活動を行う費用、単なる取替・更新をするための機械装置の購入は補助対象外になります。機械装置等費は、ソフトウェア使用権も補助対象になりますが、補助事業期間分の利用料が補助されます。
なお、1件あたりの費用が税込で100万円を超える場合、2社以上からの見積もり取得が必要です。
対象の経費例 |
対象にならない経費例 |
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広報費
広報費は、新サービス紹介のチラシ作成・配布、看板の設置にかかる経費です。補助事業計画に基づく商品・サービスの広報を目的としたものが補助対象です。単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費は対象外になります。
対象の経費例 |
対象にならない経費例 |
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ウェブサイト関連費
ウェブサイト関連費は、WebサイトやECサイト等の開発、構築、更新、改修、運用に係る経費です。商品販売(EC)やインターネット広告など、販路開拓に必要な経費が補助されます。
ウェブサイト関連費は、単独での利用ができません。ウェブサイト関連を経費として申請する際は、他の経費と一緒に申請することになります。
また、ウェブサイト関連費の申請額の上限は、補助交付申請額の1/4です。通常枠は12.5万円、特別枠(賃金引上げ枠や卒業枠など)は50万円が申請額の上限になります。
対象の経費例 |
対象にならない経費例 |
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展示会等出展費
展示会等出展費は、新商品等を展示会や商談会に出展する際にかかる経費です。出典に関連する運搬費(レンタカー代・ガソリン代・駐車場代などは除く)・通訳料・翻訳料も補助対象になります。
海外展示会等の出展費用を計上する際は、外国語で記載の証拠書類等の記載内容を日本語で要約・説明する書類の提出が必要です。
対象の経費例 |
対象にならない経費例 |
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旅費
旅費は、販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)を行うための経費です。補助事業計画の販路開拓を行う出張であることを記載した出張報告を作成し、必要性が確認できるものが補助対象になります。移動にかかる経費は、公共交通機関を使用した最も経済的および合理的な経路により算出された実費です。
対象の経費例 |
対象にならない経費例 |
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開発費
開発費は新商品の試作品や包装パッケージの試作開発に伴う原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工にかかる経費です。あくまで新商品の開発に必要な費用が補助対象です。
開発において購入する原材料等の数量は、サンプルで使用する必要最小限にとどめ、補助事業終了時には使い切る必要があります。
対象の経費例 |
対象にならない経費例 |
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資料購入費
資料購入費は、補助事業に必要不可欠な資料・図書の購入にかかる経費です。取得単価(税込)が10万円未満のものが補助対象です。購入する部数・冊数は、1種類につき1部(1冊)までとなります。同じ図書の複数購入は対象外です。
中古書籍を購入する際は、同等の中古書籍を2社以上(個人は不可)から見積もりを取得する必要があります。
対象の経費例 |
対象にならない経費例 |
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雑役務費
雑役務費は、補助事業計画の販路開拓を行うために、業務・事務を補助するアルバイト・派遣社員を補助事業期間に臨時的に雇用する際の経費です。アルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費が支払われます。
雑役務費の補助を受けるには、補助事業完了後の実績報告で作業日報・労働契約書等の提出が必要になります。
対象の経費例 |
対象にならない経費例 |
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借料
借料は、補助事業の遂行に直接必要な機器・設備のリース・レンタル(所有権移転を伴わないもの)にかかる経費です。実績報告時に借用のための見積書、契約書等が確認でき、補助事業に要する経費のみ対象です。契約期間が補助事業期間を超える場合、補助事業期間分のみが補助されます。
対象の経費例 |
対象にならない経費例 |
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設備処分費
設備処分費は、販路開拓の取り組みを行う作業スペースを拡大する目的で、事業者が所有する死蔵の設備機器等を廃棄・処分する場合にかかる経費です。借りていた設備機器等を返却する際に、修理・原状回復する経費も設備処分費になります。設備処分費の計上額は、補助対象経費総額の1/2が上限です。
対象の経費例 |
対象にならない経費例 |
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委託・外注費
委託・外注費は、店舗改装など自社では実施困難な業務を第三者に依頼した場合の経費です。補助事業者が通常業務として実施している業務は、委託・外注費の対象外です。
委託・外注費を計上するには、委託内容や金額が明記された契約書を締結する必要があります。さらに、実績報告時に成果物のわかる資料の提出が必要です。
対象の経費例 |
対象にならない経費例 |
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小規模事業者持続化補助金の対象経費の事例
ここからは、小規模事業者持続化補助金の対象経費の事例を紹介します。
新規顧客獲得のための設備導入
画像引用:Cafe&sweets壱番蔵
2005年創業の北海道にあるカフェは、小規模事業者持続化補助金を利用して、顧客の好きな絵や写真を可食シートを使って印刷できるプリンターを導入しました。写真や絵は、バースデイケーキやクリスマスケーキなどに印刷でき、他店との差別化を行いつつ新規顧客の獲得により、業績向上を図りました。
カフェにプリンターを導入し、子供の写真を載せられる点をPRしたところ、クリスマスシーズンのケーキ注文数が増加し、売上増につながっています。さらに、ケーキ以外にもカフェがある地域の街並みやご当地キャラクターを印刷したオリジナルクッキーを製造・販売し、街のPRにも貢献しています。
廃棄食材を活用した新商品の開発
画像引用:有限会社みずほファーム
1988年創業の京都にある養鶏場は、廃棄される親鳥の有効活用、かつ卵を入れたときの相性を追及した「京丹波鶏カレー」を開発しました。さらに、販路開拓として商品パッケージ、チラシ、ポスターなどを作製しています。
自社の直売所の目立つ場所に商品を置いたところ、商品を食べた人からの評判が上々でした。道の駅やスーパーマーケット、生協(生活協同組合)との取引が決まり、販路開拓に成功しています。
パッケージデザインの改良を行い展示会に出展
画像引用:わくわくお米本舗
栃木県のお米本舗では、小規模事業者持続化補助金を利用して「ブランドイメージを向上させる取り組み」を行いました。商品コンセプトを明確にした統一感のあるロゴ作成、パッケージ改良などの具体的な表現によりブランド価値を高めています。さらに「ニッポン全国物産展」に出展し、認知度向上や販路開拓を目指しました。
事業の効果として、パッケージ改良後の展示会で自社ブランドの認知拡大、市場ニーズにあった新商品の開発につながっています。展示会への出展により、全国5社との取引が開始になりました。
小規模事業者持続化補助金の補助対象外になる経費
小規模事業者持続化補助金の対象経費は、補助事業のみで利用できるものです。たとえ補助事業に使える経費でも、汎用性の高いものは対象外になります。
小規模事業者持続化補助金の補助対象外になる経費の一例は、以下のとおりです。
- 補助事業の目的に合致しないもの
- 必要な経理書類(見積書・請求書・領収書等)を用意できないもの
- 交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの
- 自社内部やフランチャイズチェーン本部との取引によるもの
- 販売や有償レンタルを目的とした製品、商品等の生産・調達に係る経費
- オークションによる購入(インターネットオークションを含む)
- 駐車場代、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
- 電話代、インターネット利用料金等の通信費
- 事務用品等の消耗品
補助経費の詳しい情報については、小規模事業者持続化補助金の公募要領をご確認ください。
小規模事業者持続化補助金の対象経費の申請方法
小規模事業者持続化補助金で対象経費を申請する際は、補助事業計画書2にある「経費明細表」に経費の情報を記入します。
記入する内容は、以下のとおりです。
- 経費区分
- 経費の内容・必要な理由
- 経費内訳(単価×回数)
- 補助対象経費(税抜または税込)
免税事業者は「税抜」で、課税事業者は「税込」で経費金額を記入する必要があります。
小規模事業者持続化補助金の採択後の経費変更は申請が必要
小規模事業者持続化補助金の採択後は、事業者側で勝手に申請内容を変更できません。万が一、採択後に経費区分を変更する際は、補助金事務局に対して計画変更の申請をする必要があります。勝手に申請した経費区分を変更せず、補助金事務局に相談してください。
ただし、交付決定後は通知された補助金額が上限になります。経費の変更にあたって、補助金額上限を超える変更はできないことに注意が必要です。
【まとめ】小規模事業者持続化補助金の対象経費を紹介しました
ここまで、小規模事業者持続化補助金の対象経費を紹介しました。対象経費は11区分が定められており、補助事業のみに利用できるものが対象です。補助事業以外にも利用できる汎用的な経費は対象外になります。本記事を参考に、小規模事業者持続化補助金の申請を進めてみてください。